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再生医療で肌が変わる?肌の老化への再生医療の可能性を徹底解説します!

再生医療で肌が変わる?肌の老化への再生医療の可能性を徹底解説します!

毎日しっかりとスキンケアをしていても「しわ」や「たるみ」といった肌の老化は進んでいきます。このようなお悩みを解消する方法として、レーザー治療や光治療といった美容施術や注射療法などの美容整形を思い浮かべる方が多いかと思いますが、今回は再生医療についてご紹介していきます。肌の構造や老化する原因、代表的な再生医療やメリット・デメリットなどをまとめていますので、エイジングケアに興味のある方、肌のお悩みを抱えている方はぜひ参考にしてみてください。

肌の老化とは?

肌の老化とは? 「肌の老化」とは、年齢を重ねることで肌の内側や外側に変化が現れることを指します。誰にでも起こりうることなので「老化するのは当たり前」「年齢にあらがうことはできない」と考えている方も多いかもしれませんが、実は肌の老化は加齢だけが原因ではありません。まずは肌の構造や機能などの基本的な知識から、肌が老化するにはどのような原因が考えられるのか、肌が老化するとどのような症状が出るのかを解説していきます。

肌の構造と機能

まずは肌の構造と機能についてご紹介します。肌は身体全体を包んでおり 「人体最大の臓器」とも呼ばれます。肌の1番外側にある 「表皮」、表皮の内側にあり肌組織の大部分を占める 「真皮」、内側から表皮と真皮を支える 「皮下組織」の3層構造となっており、さらにその中に血管やリンパ管、皮脂腺、汗腺などがあります。

機能としては、紫外線や乾燥・ほこりといった外部の刺激から守る バリア機能、皮脂や汗を分泌して 老廃物を排出する機能、表皮や毛穴を通して薬剤などを吸収する 経皮吸収機能、外部の温度を伝わりにくくする、かつ体温を一定に保つ 体温調節機能、物に触れた感覚や痛み、熱さ・冷たさを脳に伝える 感覚機能、異物や細菌などを排除して身体を守る 免疫機能などが備えられており、身体を正常に保つための重要な役割を担っています。

肌の老化の原因

肌の老化の原因として考えられるものは3つあります。

1つ目は皆さんの想像通り、 加齢によるものです。加齢によって肌内部のコラーゲンやエラスチンといったタンパク質が糖と結びつき「糖化」という状態になります。糖化によって作られた「AGEs」は、くすみやたるみ、しわにつながります。

2つ目は 紫外線によるもので、光老化と呼ばれます。紫外線にはUV-A・UV-B・UV-Cという種類がありますが、UV-Aはじわじわと時間をかけて蓄積し、乾燥やたるみを引き起こします。また、紫外線といえばシミというイメージもあるかと思いますが、これはUV-Bが原因となっています。

最後に、 肌に合わない化粧品の使用や 間違ったスキンケア方法が、肌の老化を加速させていることもあります。

肌の老化の症状

先ほども述べたように、肌の老化はさまざまな症状を引き起こします。しかし、原因によって症状の出方は少し異なります。例えば、紫外線による光老化、加齢による自然老化のどちらにもしわの症状は見られますが、 光老化はUV-Aが皮膚の深部まで到達して起きるため、 深いしわが現れます。一方、 自然老化の場合は皮膚が薄くなることが原因のため、 細かく浅いしわになるケースが多いのです。また、自然老化ではシミは比較的発生しづらいと言われています。光老化によって、サイズ・色の異なるシミが現れるのです。さらに、加齢によって皮下脂肪が少なくなると肌のハリが失われ、たるみや表情じわにつながります。

これらの症状を防ぐには、正しいケアをすることが大切です。まずは、紫外線対策を徹底することが欠かせません。 日焼け止め 傘・衣類などを活用して紫外線が当たるのをできるだけ防ぎましょう。紫外線は雨や曇りの日でも降り注いでいますし、窓ガラスも通過すると言われているため、天気の悪い日や家にいるときなども日焼け止めを塗ることをおすすめします。時間とともに変化していく肌の状態に合わせて化粧品をこまめに選び直すのも重要です。

再生医療と肌

再生医療と肌 シミやしわ、くすみ、たるみなどの肌トラブルに気付いた際、塗り薬や飲み薬、サプリメントなどを使用する方も多いでしょう。しかし、人間の身体には「自力で再生する力」が備わっているため、これらのような化合物を使わなくても、再生医療によって症状改善が見込める場合があります。ここからは、再生医療とはどのようなものか、メリット・デメリットについてご説明します。

再生医療の概要

ケガや病気などで機能を失ってしまった組織・臓器に対して薬を使用せず、細胞や人工的な材料を利用して元通りにすることを目指す医療を「再生医療」と言います。これまで治療法がなかったケガや病気に対して新しいアプローチ方法が見つかる可能性があるほか、再生医療の技術を活用して難病の原因がわかったり薬の開発が進められたりすることもあります。

2023年4月現在、日本で健康保険が適用となる再生医療は 19種類で、この中の多くは有効性や安全性などが確認中の段階となっています。このほか、一部保険適用となるものや自由診療で行うものなどがあります。

再生医療のメリットとデメリット

再生医療にはさまざまなメリットがあります。例えば、患者さん自身の細胞を使用する場合、拒絶反応などのリスクはとても低く、 副作用が少ないことがメリットとして挙げられます。また、肌の再生医療で採取・培養した細胞は冷凍保管をして保存することができます。若いときに採取しておいた細胞を、数十年後、ご自身が治療したいと思ったタイミングで使用することも可能です。

一方でデメリットもあります。必ずしもすべての患者さんに作用が出るわけではなく、体質によっては再生医療を行っても症状緩和が見られなかったり、作用が現れるまでに時間がかかったりします。治療費が高額なのもデメリットと言えるでしょう。再生医療を行うことで入院や手術をしなくても良いのはメリットですが、経済的負担が大きくて再生医療を受けられないという方が多いのも現状です。

再生医療で肌の質を向上させる方法

再生医療で肌の質を向上させる方法 では、どのような再生医療が肌のお悩み解消につながるのでしょうか。具体的な治療名や治療方法などについて説明していきます。

再生医療の種類

肌の再生医療には「真皮線維芽細胞療法」という治療法があります。これは、肌の真皮の部分にある肌細胞(真皮線維芽細胞)を移植して増やすことで、シミやしわなどの老化症状が起きる前の状態に戻すことを目指した治療です。肌細胞は、肌にハリを与えるコラーゲン線維や潤いを与えるヒアルロン酸、弾力を維持するためのエラスチンなどのタンパク質を生成します。ただ、50歳を超える頃には若い頃の3分の1ほどに細胞の量が減ってしまうため、肌細胞を移植することで症状緩和を目指します。

具体的な治療手順としては、患者さんの耳の裏から少しだけ細胞を採取し、細胞培養センターにて培養します。およそ1万倍に培養した肌細胞を患者さんの肌に戻すと、その肌細胞が衰えてしまった肌組織を修復していきます。

また、患者さん自身の血液の成分を用いて肌細胞を活性化させる「PRP皮膚再生療法」という治療法もあります。PRPとはPlatelet-Rich Plasma(多血小板血漿)の略で、血小板を多く含んでいる成分のことです。血小板には身体に刺激を与えて元気になる成長因子が含まれており、これによりしわ改善肌のハリを取り戻すことが期待できます。

治療法の選び方

では、どのように治療法を選択すれば良いのでしょうか。再生医療は費用が高額なため、金額を重視して選ぶという方も少なくないでしょう。しかし、ご自身の肌の状態や年齢も考慮することが大切です。

例えば、20代で線維芽細胞が若い状態で保たれている方はPRP療法でも十分な作用が得られますし、若いうちに線維芽細胞を採取しておいて30代後半頃から培養を開始し、40代頃に移植するという方法もあります。

また、それぞれの治療による作用の持続時間も異なるため、何歳で治療を始めるか、どのような治療計画を考えているか、を踏まえて治療を選択することをおすすめします。「美容医療と再生医療は何が違うの?」「痛みはある?」など不安なことがありましたら、まずは再生医療を専門としている医療機関に相談してみましょう。

再生医療で肌を治療する際のリスクや副作用

再生医療で肌を治療する際のリスクや副作用 費用が高額なこともあり身近な治療法とは言えないため、再生医療にはどんなリスクがあるのか、そのリスクを防ぐことはできるのか、防ぐためにはどのような方法があるのかと不安や疑問を抱いている方もいらっしゃるでしょう。そのため、ここからは再生医療のリスクについてご紹介します。

再生医療のリスク

副作用が少ないのが特徴の再生医療ですが、リスクがまったくないわけではありません。まず、細胞などを注入する際に注射針を刺すため、出血するリスクがあります。また、針先から菌が体内に入ってしまい、感染症に罹患する可能性も考えられます。アレルギーを起こしたり、腫瘍を形成したりするリスクもあります。さらに、再生医療は新しい治療法のため、これまでに考えられなかった新しいリスクが存在している場合もあります。

リスクを最小限に抑える方法

これらのリスクをできるだけ少なく抑える方法があります。まず、注射針を刺した部位は、こすったりもんだりせずやさしく触るようにしましょう。そうすることで出血のリスクが軽減します。また、感染症を防ぐために、抗生物質が投与されることもあります。治療をすることによって皮膚が乾燥し皮がむけてしまうこともあるため、肌に合ったスキンケア用品を用いてしっかりと保湿をすることも大切です。

再生医療で肌のケアをする際の注意点

再生医療で肌のケアをする際の注意点 再生医療をうたっている医療機関は比較的数も少なく、また身の回りに再生医療の経験者がいる場合もまだまだ少ないでしょう。どのように医療機関を選ぶべきか、アフターケアはどのように行うかなどをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

医療機関の選び方

再生医療は、他人の細胞を培養して投与する治療やiPS細胞・ES細胞を使用するリスクの高い「第一種」と、患者さん自身の幹細胞を培養して行う中程度のリスクが見込まれる「第二種」、治療対象部位と同じ機能を持つ患者さん自身の細胞を培養しないで利用する低リスクの「第三種」に分類されます。

また、再生医療を行っている施設は、治療項目ごとに治療の妥当性・安全性・医師体制・細胞加工管理の体制が厳しく審査されています。再生医療を受けようと考えている方は、その施設が厚生労働省の認可を受け、治療提供を認められているかをしっかりと確認する必要があります。

アフターケア

治療後も定期的に検診などを行い、アフターケアを大切にしてくれる医療機関を選びましょう。患者さんによって年齢や性別、お悩みが異なるように、適したスキンケア方法ももちろん異なります。そのため、一人ひとりに合ったケア方法の指導を受けることが大切です。

なお、注射した部位には出血や腫れが見られることがあります。入浴や飲酒腫れを悪化させてしまうため、なるべくお酒は控え、お風呂はぬるめのシャワーで軽く済ますなど、身体を温めすぎないようにしましょう。

再生医療における肌治療の未来

再生医療における肌治療の未来 最後に、再生医療の課題や今後の展望について説明していきます。

再生医療の課題

再生医療には、製造コストや流通コストが高いことの費用面の課題、承認審査ルールの整備が整っていないことの規制面の課題、体外で培養することによって細胞が変質してしまうリスクがある安全面での課題、培養期間が必要なため早期治療機会を損失してしまう供給面での課題などがあります。

再生医療の展望

現在日本では、文部科学省、厚生労働省、経済産業省などが支援したうえでのAMED(日本医療研究開発機構)による再生医療実現プロジェクトが行われています。これによって、これまで治療できないと考えられてきた疾患の症状改善や、患者さんの治療機会の向上が期待できます。

まとめ

まとめ 生きていれば避けられない老化ですが、できることなら少しでも若々しく、ハリのあるお肌を維持したいですよね。再生医療について正しい知識を持ち、ぜひ治療の選択肢として考えてみてください。もし再生医療を希望するのであれば、まずはカウンセリングを受けてみることをおすすめします。どのような再生医療に対応しているのか、その費用やリスク、万が一救急医療が必要になった場合の連携体制は整っているかなど、事前に詳しく話を聞いておくことが大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業

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