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変形性膝関節症の再生医療とは?再生医療の種類とメリット・デメリットを解説!

再生医療 変形性膝関節症

変形性膝関節症の再生医療とはどのようなものかご存知でしょうか。 新たな治療法として注目されている再生医療ですが、どのような治療で、どのようなリスクがあるのか気になる方もいるでしょう。
本記事では、変形性膝関節症の再生医療について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 変形性膝関節症における再生医療の種類
  • 培養幹細胞治療のメリット・デメリット
  • PRP療法のメリット・デメリット

変形性膝関節症の再生医療について理解するためにも、ご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

そもそも変形性膝関節症とは

そもそも変形性膝関節症とは

変形性膝関節症は、膝の関節軟骨がすり減ることで、膝に強い痛みを生じる病気です。 変形性膝関節症は、軟骨細胞の働きが衰えることにより、新しい軟骨が作られにくくなり、軟骨の量が減少してしまうことが原因です。 軟骨の中では、古い軟骨を壊して新しい軟骨を作る新陳代謝が起こっていますが、このバランスが崩れると軟骨が減少します。
また、軟骨は血流が乏しいため、1度すり減った軟骨は再生しにくいといわれています。
変形性膝関節症の治療には、保存療法と手術療法があります。 保存療法には運動療法と薬物療法があり、手術療法は、保存療法で効果がなく、さらに膝の痛みや変形が悪化している場合に実施されます。
変形性膝関節症は、原因は人によってさまざまで、症状にも個人差があります。 痛みが長期にわたって続く場合や、膝がときどき腫れる場合、膝の関節の異常がなかなか治らない場合は、病院にかかることが推奨されます。
変形性膝関節症は時間をかけて進行していき、しだいに症状が重くなる病気です。 膝に生じるこわばりや違和感、痛みは、変形性膝関節症の初期症状の可能性があります。 変形性膝関節症には早期発見と治療が重要であり、病気の進行を食いとめるためには、適切な治療を早めに始めることが大切です。

変形性膝関節症の症状と原因

変形性膝関節症の症状と原因

変形性膝関節症の症状や原因には、どのようなものがあるのでしょうか。 以下で詳しく解説します。

症状

変形性膝関節症の症状は、病気の進行に伴って段階的に変化し、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。 以下に、その症状を初期から末期までの段階に分けて説明します。
初期症状として、以下の症状があらわれます。

  • 動き始めの違和感や痛み:起床するときや椅子から立ち上がる際、歩き始めに膝の動かしにくさや違和感、不快感、痛みを感じることがあります。この症状は、しばらくするとおさまります。
  • 階段昇降するときの痛み:特に、階段を降りるときに顕著にあらわれることがあります。階段の昇降は膝に大きな負担をかけるため、変形性膝関節症の初期症状としてあらわれやすいとされています。

中期症状として、以下の症状があらわれます。

  • 持続する痛み:動作開始するときだけでなく、動作中も膝が痛むようになります。特に、重い荷物を持って歩く際に、痛みが顕著になることがあります。
  • 膝の曲げ伸ばしの難しさ:膝関節の変形により、膝を曲げたり伸ばしたりすることが難しくなります。
  • 膝の腫れ:関節内部の炎症が進むと、膝が腫れて熱感を伴うことがあります。関節液の分泌量が増え、膝の変形が目立つようになります。

末期症状として、以下の症状があらわれます。

  • 移動困難:関節軟骨がほとんどなくなり、骨同士が直接ぶつかるようになると、歩行が困難になります。杖や車椅子を必要とすることもあります。
  • 脚の変形:膝関節の変形が進行し、O脚の変形が顕著になります。これにより、歩行する際の横揺れが強くなることがあります。

変形性膝関節症の症状は、初期段階では軽微な違和感や痛みから始まりますが、病気が進行するにつれて痛みが増大し、日常生活に大きな支障をきたすようになります。 初期段階では、痛みや違和感が一時的に治まることもあり、症状を見過ごしやすいですが、変形性膝関節症は進行性の疾患であるため、早期の診断と治療が重要です。
中期になると、痛みが持続し、膝の腫れや変形が目立ち始めます。 これにより、正座や階段の上り下りなどが困難になり、日常生活に支障をきたすようになります。
末期には、膝関節の変形がさらに進行し、膝の動きが大きく制限されます。 歩行が困難になり、杖や車椅子を必要とすることもあります。 この段階では、日常生活に大きな支障や精神的な負担も大きくなります。
変形性膝関節症の症状に気づいた場合は、早めに整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。 早期に治療を開始することで、症状の進行を遅らせ、より健康的な生活を送ることが可能になります。

原因

変形性膝関節症の原因には、複数の要因が関与しています。
まず、加齢による関節軟骨のすり減りが、主な原因の一つです。 年齢とともに軟骨は摩耗し、弾力や水分が失われるため、関節の動きが悪くなり、骨同士がこすれ合うことで炎症や痛みが生じます。
特に、40歳以上の女性に多く見られる傾向があり、女性ホルモンの減少も関連しています。 閉経後のエストロゲンの分泌減少は、軟骨の形成を阻害し、変形性膝関節症のリスクを高めると考えられています。
肥満も重要な原因の一つです。 体重が増加すると、膝にかかる負担が増大し、膝関節の損傷を促進します。 特に中高年では、運動不足や食べ過ぎによる内臓脂肪の増加が問題となります。
また脚の変形、特にO脚やX脚は、膝への不均等な負担を生じさせ、変形性膝関節症の発症を促進します。 日本人にはO脚が多く、これが膝関節の内側に大きな負担をかけることが知られています。
さらに、膝関節の損傷、例えば激しいスポーツや、転倒による半月板損傷や靭帯損傷も、変形性膝関節症の原因となりえます。 若いときに膝を痛めた方は、中高年になってから変形性膝関節症になりやすいとされています。
これらの原因は、複合的に作用し、変形性膝関節症の発症につながります。 早期の対策として、適切な体重管理、適度な運動、膝への負担を軽減する生活習慣の改善などが重要です。

変形性膝関節症と再生医療について

変形性膝関節症と再生医療について

変形性膝関節症に対する従来の治療法には、薬物療法やヒアルロン酸注射などの保存療法と、人工膝関節置換術などの手術療法がありますが、これは根本的な治療にはならず、新しい治療法の開発が求められています。
再生医療は、失われた体の組織や臓器を再生することを目指す医療技術であり、変形性膝関節症に対する新しい治療法として注目されています。
再生医療の一つとして、PRP(多血小板血漿)療法があります。 これは、患者さん自身の血液から多血小板血漿を抽出し、膝関節に注射することによって、軟骨を修復したり痛みを軽減したりするための方法です。 この治療は、薬物療法など既存の保存療法で効果がなかった方にも適している場合がありますが、一方で患者さんの年齢や体調により安定した効果が出にくい場合があります。
また東海大学では、自己細胞シートによる軟骨再生治療も実施されています。 この治療法は、患者さん自身の細胞を培養して移植することで、軟骨の再生を促すものです。 軟骨再生治療は、2004年から研究が続けられており、2019年には先進医療として承認されています。 この治療法は、軟骨が修復再生されることにより本来の関節機能が取り戻され、長期的な治療効果も期待できます。
これらの再生医療は、患者さん自身の組織を用いるため、理論上、拒絶反応などのリスクは少ないと考えられています。 しかし、医療行為である以上、リスクがゼロとは言いきれず、脂肪塞栓症や感染、神経や血管が損傷するリスクも考えられます。 さらに、再生医療は自由診療であり、自己負担額が高額になることもあります。
再生医療は、変形性膝関節症の治療において新たな希望をもたらしています。 しかし、治療を受ける際には、リスクや費用、などを十分に理解した上で、慎重に検討することが求められます。

変形性膝関節症における再生医療の種類

変形性膝関節症における再生医療の種類

再生医療には、どのような種類の治療法があるのでしょうか。 以下で詳しく解説します。

培養幹細胞治療

培養幹細胞治療は、再生医療の一環として、特に変形性膝関節症の治療に応用されています。 この治療法は、患者さん自身の細胞を使用して、軟骨を修復することを目的としています。 主に、血液中の血小板や脂肪由来の幹細胞が利用され、傷んだ組織の修復を促進します。
治療プロセスでは、患者さんから採取した細胞を濃縮し、膝軟骨に直接注入することで、自己治癒力を高め、痛みや炎症の早期治療が期待できます。 この方法は手術を伴わないため、持病がある方や手術に抵抗がある方にも適しています。
また、脂肪由来幹細胞治療は、患者さん自身の腹部から採取した脂肪細胞を使用します。 脂肪の中に含まれる幹細胞は、骨や筋肉、血管などの組織に変化できる能力を持ち、失われた細胞を再生する能力があります。
採取した幹細胞を専門の施設で増殖させた後、患者さんの膝軟骨に直接注入することで、痛みや炎症の緩和、傷んだ軟骨の組織修復を促進します。

PRP療法

PRP療法は、自己血液を用いた再生医療の一つで、特に関節痛の治療に効果が期待されています。 この治療法は、患者さん自身の血液から血小板を濃縮して作成した血漿を患部に注入することで、自己治癒力を高めることを目的としています。 PRP療法は、入院や手術が不要で、高い安全性と治療効果の持続性が特徴です。
また、PRP療法と並行して、ACP療法とAPS療法も注目されています。 ACP療法は、従来型のPRP療法であり、白血球がほとんど含まれないため、投与後の患部の腫れや疼痛が少ないという特徴があります。
一方、APS療法は、専用のAPSキットを用いてPRPから抗炎症成分など、関節の健康に関わる成分を取り出したもので、特に変形性膝関節症の新しい治療として注目されています。
この治療法は、自己血液を用いるため、副作用が少ないとされています。 治療後の数日間は、注射部位周囲の発赤や熱感、腫脹を伴う場合がありますが、一時的なものであり、異常を感じた場合は速やかに医師に相談することが重要です。
PRP療法、ACP療法、APS療法は、それぞれ異なる特性を持ち、患者さんの状態や疾患の種類に応じて選択されます。
これらの治療法は、特に関節痛や変形性関節症に対して効果が期待でき、生活の質の向上に寄与する可能性が高いとされています。 治療の選択にあたっては、医師と相談し、状態やニーズに適した方法を選択することが重要です。

培養幹細胞治療のメリット・デメリット

培養幹細胞治療のメリット・デメリット

培養幹細胞治療には、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。 以下で詳しく解説します。

メリット

培養幹細胞治療は、膝の疾患治療における再生医療の1つで、多くのメリットがあります。
培養幹細胞治療の一つ目のメリットは、メスを使用せずに治療ができるという点です。 これにより、手術に伴うリスクや入院の必要がなく、日帰りで治療を受けられます。 また、治療に使用される幹細胞は、患者さん自身の体から採取されるため、拒絶反応やアレルギーのリスクが非常に低いとされています。
治療後、幹細胞が軟骨や骨組織を修復することで、膝の痛みや炎症が緩和されることが期待できます。 膝に痛みを感じる主な原因である、慢性的な負荷や急激な外力による靭帯や筋肉の炎症、軟骨のすり減りに対処できるためです。
培養幹細胞治療の二つ目のメリットは、ヒアルロン酸注射などの従来の治療法より、効果が持続しやすいという点です。 幹細胞が軟骨の修復や再生を促すことにより、膝関節症状の改善が期待でき、数ヶ月から数年にわたって効果が持続することが報告されています。
幹細胞は特定の細胞に分化する能力を持っており、損傷した軟骨や骨組織を修復・再生することが可能です。 これにより、変形性膝関節症の進行を抑制し、膝関節の機能の回復が期待できます。
培養幹細胞治療の三つ目のメリットは、治療後の回復期間が短いという点です。 治療自体は約15〜30分程度で終わり、問題がなければその日のうちに帰宅できます。 一般的な手術より、体への負担が少なく、気軽に受けやすい治療法と言えます。
また、治療によって損傷した組織が修復されることで、膝の炎症や痛みが緩和され、日常生活に支障が出ません。 これは、膝の痛みによって日常生活に影響が出ている方にとって、特に魅力的な治療法といえます。
培養幹細胞治療の四つ目のメリットは、膝の軟骨を厚くする可能性があるという点です。 膝関節の軟骨は、運動や負荷によって摩耗しやすい部位であり、血管が通っていないため再生力が低く、修復が難しいとされています。 しかし、幹細胞の多様な分化能力により、膝の軟骨の再生が促進されることが期待されます。

デメリット

培養幹細胞治療には、いくつかのデメリットやリスクが存在します。
まず、治療に高額な費用がかかることが挙げられます。 培養幹細胞治療は自由診療であり、保険適用外のため、治療費が高額になる傾向があります。 また、治療効果には個人差があり、すべての患者さんに同じ効果が得られるわけではありません。これは、患者さんの病態や体質、治療に対する反応性によって異なるためです。
次に、治療に伴うリスクとして、感染症や脂肪塞栓症(血中に脂肪が混入し血管が詰まる状態)などの合併症の可能性があります。 医療行為に伴う一般的なリスクであり、特に脂肪を採取する際や幹細胞を注入する際に発生する可能性があります。
また、治療後の経過においても、腫れや熱感などの症状が出ることがあります。 これらの症状は通常数日間で治まりますが、患者さんによっては長期間にわたって症状が続くこともあります。
最後に、培養幹細胞治療は新しい治療法であり、長期的な効果や安全性に関するデータがまだ十分には蓄積されていないという点もデメリットとして考えられます。 そのため、治療を受ける際には、リスクを十分に理解し、慎重に判断する必要があります。

PRP療法のメリット・デメリット

PRP療法のメリット・デメリット

続いて、PRP療法のメリット・デメリットについて解説します。

メリット

PRP療法は、患者さん自身の血液から多血小板血漿を抽出し、患部に注射する再生医療の一種です。 この治療法は、特に変形性膝関節症などの関節疾患に対して適しているとされています。
PRP療法の一つ目のメリットは、自己組織由来であるため安全性が高いとされている点です。 PRP療法は患者さん自身の血液を使用するため、アレルギーや拒絶反応などの副作用のリスクが低いといわれています。
PRP療法の二つ目のメリットは、外科的手術が不要であり、日帰りで治療ができるという点です。
PRP療法は注射による治療であり、メスを使った外科的な手術が必要ないため、身体への負担が少なく、手術による目立つ傷痕が残ることもありません。 また、PRP療法は外来で実施され、入院の必要がないため、日常生活への影響が最小限におさえられます。 治療後は、ほぼ通常通りの生活ができます。
PRP療法の三つ目のメリットは、急性期から慢性期まで、どの段階でも受けられるという点です。 また、さまざまな疾患に対して効果が期待でき、繰り返し受けることも可能であるため、慢性的な痛みや損傷に対して持続的な治療効果を期待できます。
PRP療法の四つ目のメリットは、筋や腱、靭帯など運動器の大半に対して実施できるという点です。 多くの疾患に対して効果が期待できるため、スポーツ障害や、慢性的な腱・靭帯由来の痛みに対してもおすすめとされています。 さらに、PRPに含まれる成長因子が患部の自然治癒力を高め、組織の修復を促進するため、損傷した組織の早期治癒や痛みの軽減が期待できます。

デメリット

PRP療法は、特に変形性膝関節症などの関節疾患に対して適していますが、いくつかのデメリットも存在します。
PRP療法の一つ目のデメリットは、効果に個人差があるという点です。 PRP療法の効果は、個人の血小板の質に左右されるため、全ての方が同程度の効果を実感できるわけではなく、効果がない場合もあります。
PRP療法の二つ目のデメリットは、感染症のリスクがあるという点です。 非常に稀ですが、血液から血小板を抽出する過程で細菌に汚染される可能性があり、これが感染症の原因となることがあります。 治療後に赤みや腫れ、発熱などが気になる場合は、早急に医療機関を受診する必要があります。
PRP療法の三つ目のデメリットは、治療箇所のしこりが残る場合がある点です。 PRPの成分がしこりとなって施術箇所に残ってしまうことがあります。 しこりは通常数ヶ月経つと自然に消滅しますが、しこりが残ると患者さんの精神的負担となる可能性があります。
PRP療法の四つ目のデメリットは、治療費が高額であるという点です。 PRP療法は自由診療であるため、保険適用外となり、治療費が高くなることがあります。 これは、患者さんにとって大きな経済的負担となる可能性があります。
PRP療法の五つ目のデメリットは、即効性がないという点です。 PRP療法は即効性のある治療ではなく、治療の効果が出るまでに一定期間が必要です。 そのため、症状の改善を急ぐ患者さんにとっては不向きな場合があります。
PRP療法の六つ目のデメリットは、病状が進行していると期待できる効果に限界があるという点です。 変形性膝関節症が進行しすぎている場合、PRP療法では対処できないことがあります。 完全に軟骨がなくなった場合や骨が削れて変形した場合は、PRP療法では効果が出にくくなります。
PRP療法の七つ目のデメリットは、日常生活において一時的な制限があるという点です。 PRP療法実施後は、感染症予防のために、当日の入浴やシャワーができない場合があります。 また、施術後14日以内は、運動やスポーツなどを避け、安静に過ごす必要があります。

まとめ

まとめ

ここまで、変形性膝関節症の再生医療についてお伝えしてきました。 変形性膝関節症の再生医療の要点をまとめると、以下の通りです。

  • 変形性膝関節症における再生医療の種類には、培養幹細胞治療やPRP療法がある
  • 培養幹細胞治療は、手術が不要であり効果が持続しやすいなどのメリットがあるが、感染症のリスクなどのデメリットもある
  • PRP療法は、アレルギーや拒絶反応などの副作用のリスクが低い、どの段階でも受けられるなどのメリットがあるが、即効性はなく治療箇所のしこりが残る場合があるなどのデメリットもある

これらの情報が、少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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