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再生医療における糖尿病治療|仕組み・治療法などを解説

再生医療 糖尿病

糖尿病は、通常の血糖値よりも高い状態が長期間続く慢性的な病気の総称です。血糖はブドウ糖を指し、食事から摂取された炭水化物が体内で分解されてできるものとアミノ酸などから体内で合成されてできるものがあります。

通常、体内で産生されるホルモンのインスリンが血糖値を正常範囲に保ちます。糖尿病の主な原因は、体内でのインスリンの不足や効果の低下です。

これまで糖尿病治療は、1型糖尿病はインスリン療法・食事療法・運動療法で、2型糖尿病では食事療法・運動療法を主に行われていました。

一方で、現在注目を集めているのは再生医療です。

再生医療は、損傷した体の組織や臓器を修復・再生するための医療分野です。この医療的方法は糖尿病治療においても導入されてきています。

本記事では、再生医療における糖尿病治療の仕組み・治療法などを詳しく解説します。最後までご一読いただけますと幸いです。

再生医療における糖尿病治療の仕組み

血糖値を測る機器

糖尿病の再生医療とはどのようなものですか?

糖尿病は、膵臓が正しく機能せずに血糖が増える病気です。
血糖は、体内で一定の範囲に保つために必要なインスリンという重要なホルモンにより制御されています。血糖値が長期間高いままでいると血管が傷つき、将来的には心臓病・失明・腎不全・足の切断など、より深刻な合併症が発生する可能性があるのです。
糖尿病の再生医療には幹細胞治療が行われています。体内で未分化の細胞である「脂肪由来幹細胞」を活用し損傷を受けた膵臓の機能を向上させ、血糖の調節を促進する治療法です。再生医療における糖尿病のメカニズムは、患者さんの体内で新しい細胞や組織が機能するように生み出され、これによって血糖の正常な調整が促進されることを目指しています。
以下に、主な再生医療アプローチとその仕組みの例を挙げてみましょう。

  • 膵島移植
  • 幹細胞治療
  • 遺伝子治療
  • バイオインク

これらの再生医療アプローチにはまだ実用化されていないものもあり、研究段階のものもあります。
糖尿病治療における再生医療の進展は、患者さんのQOLを向上させ合併症のリスクを減少させる可能性があります。しかし、実用化には時間がかかる可能性があります。

インスリンは再生医療を受けるうえでは必要ですか?
再生医療は、通常の薬や臓器移植とは異なり、体の組織を再生させて病気や機能改善を根本的に行います。
糖尿病再生医療は、自分の身体がインスリンを生成・分泌できる力を回復させ、健康な体を取り戻すことを目指しています。開腹などによる手術は必要なく、免疫抑制剤を服用し続ける必要もありません。身体を修復し、インスリン注射を必要とせずに健康な生活を取り戻す手段といえるでしょう。
糖尿病治療をすぐ再生医療に切り替えることはできますか?
糖尿病治療を再生医療に切り替えるには、薬・インスリン注射・食事療法などの従来の治療を専門とする医師の指導のもとでしっかりと受けるのが一般的です。
再生医療を受けるべきかどうかは、治療を提供する医師が判断し該当した20歳から80歳の患者さんに対して実施されます。

再生医療における糖尿病の治療法について

血糖値グラフと薬

糖尿病の幹細胞治療について教えてください
患者さんからの脂肪組織から取り出した幹細胞を培養して増やし、それらの幹細胞を再び患者さんの身体に戻す治療法です。
脂肪由来の幹細胞を投与すると、これらの細胞は血液の流れにのり損傷を受けた場所へ向かいます。これをホーミング効果といいます。その後、移動した幹細胞は分裂・増殖し、不足している細胞を補ったり新しい血管を作ったりしていろいろな機能を持つ細胞に変化するのです。
この働きにより、膵臓にあるランゲルハンス島の中にあるインスリンをつくるβ細胞が修復され、インスリンの危機が弱まるインスリン抵抗性も改善されます。これらの効果によって、糖尿病の症状が改善されることが期待されます。
効果には個人差があるため治るとはいえません。ただし、注目すべき点がいくつかあります。

  • インスリン注射から解放される可能性がある
  • 薬の副作用・運動・食事制限が不要になる可能性がある

これらは従来の治療法と大きく異なる可能性があるのです。脂肪由来幹細胞の点滴投与による糖尿病再生医療は、症状を根本的に改善できる画期的な治療法とされています。

膵島β細胞を用いた治療法があると聞いたのですが?
膵島β細胞を用いた治療法は、糖尿病に対する特別な治療法の1つです。
膵島は膵臓の中にある小さな細胞のまとまりで、その中には主にインスリンを作るβ細胞があります。膵島β細胞を使った治療法では、患者さんから取り出した膵島からβ細胞を分離し増幅させてから再び患者さんの体に戻します。これにより、体内に不足しているインスリンを補うことが期待できるのです。
糖尿病の通常の治療には、食事療法・運動・薬・インスリン注射などがあります。これらは主に症状の抑制に焦点を当てたもので、根本的な治療とはいえません。
それに対して、幹細胞を投与することで糖尿病の根本的な原因である膵臓の機能を取り戻し血糖値の正常なコントロールができます。およそ1億もの幹細胞が体内を巡ることで、ほかの弱った臓器も同時に改善され予想外の効果が期待されます。
再生医療に伴う副作用は生じますか
再生医療を受ける場合のリスクとして、脂肪の取り出しや細胞の投与に伴う合併症や副作用が生じる可能性があります。
臨床試験では、軽度な副作用と軽い発熱・頭痛・腰痛などが報告されましたが、これらはいずれも回復しています。深刻な副作用や後遺症が残る可能性のあるような状況は報告されていません。これらの合併症や副作用が発生することは稀です。
再生医療では患者さん自身の細胞や血液を使用するため、拒絶反応がなく体に対する負担が非常に少ない治療法です。
自費診療になりますか?
再生医療はまだ自由診療で医療保険が使えないため、治療費は患者さんが自己負担することになります。将来的には再生医療が進歩し、一部が保険で賄われる可能性もあります。
治療を考えるときは、具体的な医療機関や治療内容について情報を確認し、医療費に関する相談をすることが大切です。

再生医療における糖尿病のメリットと問題点について

注射器

メリットを教えてください
再生医療における糖尿病治療のメリットは、患者さん自身の細胞を活用し病気の原因に直接アプローチするので根本的な改善が期待されます。また、拒絶反応や副作用が少ない傾向にあり、一度の治療で長期間にわたって効果が持続するのです。
同時に、障害組織からのシグナルにより幹細胞がその部位に集まり(ホーミング効果)、組織を再生する効果も期待されます。
問題点について教えてください
再生医療における糖尿病の問題点は、まだ実用化の段階であり確立された標準的な治療法ではないことです。そのため治療の安全性や有効性に関する情報が十分ではありません。稀に一時的な発熱や肺梗塞が起こることがデメリットとして挙げられます。
また、高度な技術や手続きが必要なため、治療費が高額になり患者さんにとって経済的負担が大きくなります。
治療の効果が全ての患者さんに対して確実に期待できるわけではありません。症状によっては、治療が効果を発揮しないことがあります。例えば、適応検査で感染症が発見が発見された場合・血液凝固機能に異常がある場合などは行えません。
また、人工透析を受けている場合も治療を行っても期待される効果が得られないことがあります。人工透析によって幹細胞が取り除かれる可能性があるからです。
このように全ての患者さんが再生医療を受けられるわけではないことに注意してください。これらの問題に鑑みて、再生医療を受ける際には慎重な検討が必要です。
ほかの合併症があっても再生医療での糖尿病治療は受けられますか?
合併症がある場合でも、治療が可能かどうかは個々の病態に依存します。具体的な合併症が治療に影響を与える可能性や、治療の有効性・安全性が検討されます。再生医療の専門の医師や治療施設に相談することが非常に重要です。
医師は患者さんの健康状態を詳しく評価し、再生医療が適切かどうかを判断します。治療の際には、既存の合併症やほかの治療法との相互作用も考慮されます。

編集部まとめ

問診する医師

最近、世界中で行われている再生医療が糖尿病に対しても良い影響をもたらしています。

この治療を受けることで、これまでほかの治療で十分な成果がみられなかった人たちにも機能が回復する可能性があります。

食事制限・運動・服薬・インスリン注射などによる精神的負担からも解放される再生医療が、将来的に進歩して多くの患者さんにとって受けやすい治療法となることを期待しています。

再生医療に興味がありましたら、糖尿病内分泌科を受診してみてください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
久高 将太医師(琉球大学病院)

久高 将太医師(琉球大学病院)

琉球大学医学部医学科卒業 / 琉球大学病院勤務 / 専門は内分泌代謝・糖尿病内科、総合内科

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