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変形性関節症の治し方とは?治療法の種類と選び方を解説

変形性関節症の治し方とは?治療法の種類と選び方を解説

変形性関節症という疾患を聞いたことはありますか?今回は、悩んでいる方が多いこの疾患について治療法の種類や選び方を紹介します。今悩んでいる方も、周りで悩んでいる人のためにこの記事を読んでいる方も、ぜひ参考にしてみてください。

変形性関節症について

変形性関節症について まずは変形性関節症がどのような疾患なのかを説明します。原因や症状を知り、変形性関節症について理解を深めてください。

変形性関節症とは

変形性関節症とは、関節にある軟骨がさまざまな原因ですり減ることで痛みや腫れが起き、数年かけて徐々に関節が変形してしまう疾患です。 中高年に多く、60歳以上の8割がどこかしらの関節に変形性関節症を患っているといわれるほど身近な疾患です。男性よりも女性の患者さんが多いという特徴もあります。

関節の変形が起こる前の軽度な症状の段階で治療できれば良いのですが、自覚症状がなく、レントゲンなどの画像を撮って初めて自分の疾患を知るという患者さんが多いのが現状です。膝関節で起こった場合は変形性膝関節症と呼ばれますが、65歳以上の日本人の半数以上が変形性膝関節症ともいわれています。

変形性関節症の原因

変形性関節症は関節の軟骨がすり減ることによって発症すると先ほど触れましたが、関節にある軟骨は、関節の曲がる角度を調整したり、骨同士がぶつかるのを防いだり、骨が受ける衝撃を受け止め緩衝したりする働きがあります。このように、スムーズに体を動かすために必要不可欠な軟骨ですが、なぜすり減ってしまうのでしょうか。

一番の理由としては、日頃の関節への負荷が長年積み重なることが挙げられます。スポーツや日常生活の中でよく使う関節であればあるほど、また、負荷がかかりやすい場所であればあるほど軟骨が削られていくスピードは速くなります。一方軟骨はもともと損傷を受けた際の修復能力が乏しいため、関節の変形が徐々に進行していきます。 長年の関節への負荷のほかに、体重の増加や遺伝的な要因、外傷が原因で変形性関節症を発症することもあります。脱臼などを繰り返し、関節が不安定な状態になると変形性関節症になる可能性が高まるため、注意が必要です。

変形性関節症の症状

軟骨がすり減ると、衝撃がうまく吸収できなくなるため、関節に痛みや腫れが生じます。関節の変形が進むことにより、関節を動かすときに引っかかりを感じることもあります。背骨に発症した場合は、背骨の真ん中を通っている神経を圧迫することにより、下肢などのほかの部位が痛んだりしびれたりすることがあります。

変形性関節症の進行度

患者数が多い変形性膝関節症を例に出して、進行度を説明します。初期の頃は起きた直後や立ち上がり、歩きはじめなどに関節に痛みを感じますが、しばらく動いていると痛みは消えてしまう場合が多く、あまり気にしない人がほとんどです。しかし、放置していると、痛みが消えるまでの時間が徐々に長くなり、日常生活で不便を感じるシーンが増えてきます。 さらに進行すると、膝を曲げるのが困難になり、階段の上り下りや正座ができなくなってきます。

関節が炎症を起こして一時的に腫れてしまったり、徐々に変形が進むことによりO脚になったりもします。最終的には炎症を起こしてなくても、外見的に明らかな変形となり、膝の曲げ伸ばしに制限が出てしまいます。炎症がひどくなると、関節を動かしていないときにも痛みが生じることにより、睡眠が妨げられることがあります。最終的には膝が伸びなくなることにより、歩くことができなくなってしまいます。

変形性関節症の治し方①:保存療法

変形性関節症の治し方①:保存療法 ここからは変形性関節症の治療について紹介します。変形性関節症の治療には保存療法と手術療法、再生療法があります。保存療法には、運動療法、薬物療法、装具療法、関節への注射、物理療法があります。変形がひどい場合には保存療法だけでは改善しない場合がほとんどなので、初期の段階に適した治療といえます。各保存療法について、さらに詳しく紹介します。

運動療法

まずは運動療法についてです。運動療法は関節周りのトレーニングやストレッチで柔軟性や筋力をキープ・向上させていくことを目的に行います。関節を動かすだけでなく、周りの筋肉も一緒に鍛えることで痛みの軽減や機能改善が目指せます。筋力と同時に柔軟性も高められるようにトレーニングとストレッチは一緒に行うようにしましょう。毎日家で行うことも大切ですが、体の状態によって適切な運動は変わってきます。

薬物療法

次に薬物療法です。薬物療法では、痛みや炎症を抑える目的で内服薬や外用薬を使用します。内服薬の中には即効性のあるものもあり、今ある痛みを軽減させたい場合によく処方されます。ただし、薬は長期間使い続けると副作用がでてくることもあるため、薬物だけに頼らない治療を行うことが大切です。効き目が強いものはそれだけ副作用が強い傾向にあるため、医師や薬剤師の説明をよく聞き指示に沿って服用しましょう。

外用薬の場合は塗り薬と貼り薬があります。痛みや炎症を落ち着かせたい部位に合わせて使用する薬を工夫しましょう。内服薬も、外用薬も、根本的に炎症を無くすわけではありません。あくまでもほかの治療の補助的存在と捉え、薬物療法と平行して運動療法などを取り入れましょう。

装具療法

次に装具療法についてです。装具療法は、変形した関節を補強し、関節にかかる負担を軽減させる目的で行うものです。膝や肘など、変形性関節症が発症している箇所にサポーターを巻くことで関節が安定し、痛みの軽減が目指せます。ただし、長い間装着していると、関節周辺の筋力が低下する恐れがあるため、長期間の使用は推奨されていません。膝に発症している場合は、靴の中にインソールを装着するのも効果的です。片側が厚くなっているインソールを使用することで、変形がおこっている側にかかる荷重を軽くすることができ、膝の痛みを軽減させることができます。O脚やX脚を予防することも期待できます。

関節注射

次は関節注射です。関節注射とは、関節内に直接ヒアルロン酸やステロイドの注射を打つ治療法です。ヒアルロン酸注射の場合は、関節の動きをスムーズにしたり、軟骨の変形を食い止めたりすることができ、繰り返し注射することで痛みの緩和が期待できます。ただし、症状が進行している場合、ヒアルロン酸注射だけでは良い反応が見られません。 ステロイド注射は、痛みを抑えたいときに使用するものです。効果が強く、即効性がありますが、何度もステロイドを使用していると副作用がでてきてしまうため、痛みが強いときのみの使用にとどめましょう。

物理療法

最後に物理療法についてです。物理療法は、ホットパックや電気、レーザー、超音波などを使って患部を温めることで痛みの軽減を目指す治療法です。患部が温まると血流が改善され、運動機能の改善も期待できます。物理療法は、単体ではなく運動療法などと組み合わせて行うことでより効果を発揮します。

変形性関節症の治し方②:手術療法

変形性関節症の治し方②:手術療法 基本的には保存療法が治療の第一選択肢となりますが、保存療法だけでは改善が見られなかった場合や変形がひどい場合などは、手術療法を検討します。手術療法は根本的な治療であるという魅力がある反面、入院やリハビリテーションが必須となるため、長期間家を離れることが難しい人などには向いていない治療法です。また、変形性関節症の手術は大がかりなものであるため、患者さんの体に大きな負担がかかることも事実です。症状の改善を目指せる手術はいくつかあるので、ここでは滑膜切除術と骨切り術、人工関節置換術について紹介します。

滑膜切除術

まずは滑膜切除術についてです。この手術は、腫れて増殖した滑膜という関節周囲の膜を除去する手術法です。軟骨のすり減りが重度になると、骨同士がぶつかりあい、それによって骨が削れて砕けてしまいます。その砕けた骨が滑膜にぶつかり刺激すると滑膜に炎症が起き、滑膜内に水がたまっていきます。炎症を起こした滑膜は、サイトカインという痛みの原因物質を大量に出すため、関節内の痛みがどんどんと悪化していきます。そのため、滑膜切除術で増えてしまった滑膜を切り取ることでサイトカインを減らし、痛みの軽減を目指します。

骨切り術

次は骨切り術についてです。この手術では、関節を構成している骨の一部を切って角度を変えることで、関節のバランスを調整し、ダメージを受けている部分への負担軽減を目指します。膝関節の内側の骨と骨の隙間が狭くなって痛みが出る場合に、特に有効な手術です。正常な状態に戻るまでは半年程度を要するため、高齢者などの体力がない人には向いていない手術です。一般的には、切った部分を安定させるために金属で固定をしたり、骨と骨の間に人工骨を入れたりします。

人工関節置換術

最後は人工関節置換術についてです。この手術では、削れて損傷した軟骨や骨などの組織を人工のものと入れ替えることで機能改善を目指します。病気の進行が著しい場合に行う手術で、1カ月程度の入院を要します。プラスチックやチタン、ステンレス、セラミックなどでできた人工関節には耐用年数があり、10~20年程度使用したら取り換えが必要です。新しい関節となるため、一気に機能改善が目指せます。

変形性関節症の治し方③:再生療法

変形性関節症の治し方③:再生療法 これまで、保存療法で改善が見られなかった人は手術療法を行う選択肢しかありませんでしたが、近年再生医療を利用した変形性関節症の治療が注目を集めています。ここではPRP療法という再生療法について紹介します。

PRP療法

PRP療法とは、患者さん自身の血液の中に含まれる血小板を利用した治療法です。血小板から出される成長因子には、ダメージを負った組織を修復するための自然治癒力を高める働きがあります。その働きを利用することで体の自然治癒力を高め、軟骨などの組織の再生が期待できるのです。PRP療法では、患者さんから採った血液を遠心分離し、血小板を多く含んだ部分を治療薬に加工します。その後、作製した薬を関節内に直接注射することで痛みの軽減や関節の機能改善を促します。 PRP療法はこれまでの治療法で効果がなかった人も受けられる治療法ですが、新しい治療であることにより保険が適用されず、治療費の負担が大きいのが現状です。また、患者さん自身の血小板を利用するため、もともとの血小板の力によって治療効果には大きく差が生まれることも理解しておく必要があります。

治療法の選び方

治療法の選び方 変形性関節症の患者さんには複数の治療の選択肢があることが分かっていただけたと思います。しかし、どの治療を選択すれば良いか悩んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。どのような人にどの治療法があっているかを簡単にまとめましたので、治療法を選ぶときの参考にしてみてください。

自分に合った治療法を選ぶ

まずは、疾患の進行具合を見るためにレントゲンやMRIなどの画像検査を受けましょう。治療法にはそれぞれメリットとデメリットがあるので、医師はもちろん、家族やパートナーともよく相談して決めましょう。

保存療法がおすすめの人

保存療法は、比較的症状が軽度な方におすすめです。変形がひどくなる前にこうした保存療法でしっかりと痛みをコントロールし、重症化を防ぐことが大切です。また、進行してからも、ほかの治療法と平行して行うことが大切です。

手術療法がおすすめの人

関節の変形がひどく、保存療法だけでは満足な日常生活が送れないという方は手術療法で治療すると良いでしょう。繰り返しになりますが、手術療法の場合は、長期間の入院やリハビリテーションが必要になるので、そうなっても問題ない生活環境を整えておく必要があります。

再生療法がおすすめの人

保存療法だけでは改善が見られない方、かつ手術療法を選択したくない方には再生療法がおすすめです。先ほどデメリットとして紹介したように、金銭面の負担が大きいほか、医療機関によって再生療法が受けられる条件が異なりますので、そうした部分も知った上で治療を検討してみてください。

まとめ

まとめ いかがでしたか。変形性関節症は日本人の私たちにとって、非常に身近な疾患です。原因を踏まえて治療法を知り、老後も長く快適な生活を送ることができるようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松繁 治医師(新東京病院)

松繁 治医師(新東京病院)

岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科

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