再生医療の世紀といわれる21世紀において、日本はiPS(多能性幹細胞)の研究・応用において世界をリードする存在です。眼科領域はその最先端といえるでしょう。
この領域においてiPS細胞の特性を活かした研究はこれまで着実に進展してきました。代表例が培養した視細胞を移植して失われた視覚機能を回復させる技術です。
開発途上ですが、難治疾患に新たな治療法をもたらす可能性が広がっています。視覚喪失や視力低下など、今まで治療が難しかった症例にも希望が持てるようになっています。
しかし臨床での活用に向けては検証が続いているのが現状です。技術的な限界を超え、安全性や効果を実証するだけでなく、倫理的な観点も踏まえた継続的な研究と議論が今後も必要でしょう。
ただ、眼科におけるiPS細胞を使った視細胞移植が再生医療の一翼を担っていることに変わりはありません。本記事では現状と未来に向けた可能性を紹介します。
眼科における再生医療とは?
再生医療とは、機能低下あるいは不全となった組織や臓器を再構築する治療法です。難治あるいは不治とされてきた病気やけがの根治が期待される技術として注目されています。
本記事では、主な再生医療としてiPSやES(胚性幹細胞)といった幹細胞を利用した技術を位置づけます。これらは体外で調製した細胞を用いて機能低下した組織を修復する医療です。
眼科における再生医療は、眼の損傷や疾患に対するアプローチです。具体的には角膜や網膜などの治療で活用が期待されています。
角膜の再生医療では、角膜幹細胞や角膜内皮細胞の移植により角膜の透明性回復を目指します。また網膜の治療では損傷部を修復する細胞療法が研究されてきました。
このように、再生医療は従来の治療法では回復不可能だった機能不全に新たな治療法を提供し、失われた視力を取り戻させる可能性があります。
iPS細胞を使った視細胞移植とは?
再生医療においていち早く臨床での活用が期待されてきたのがiPS細胞を用いた視細胞移植です。世界で日本がリードしてきた技術でもあります。
iPS細胞は、身体のさまざまな細胞に分化することができる特殊な細胞です。ヒトの皮膚や血液などの体細胞から培養され、臓器や神経の細胞に分化しほぼ無限に増殖します。
英語のinduced pluripotent stem cellの頭文字から名付けられました。日本語では人工多能性幹細胞とも呼ばれます。このiPS細胞を用いた再生医療における代表的な研究を2つ紹介します。
ひとつは山中伸弥氏による業績です。2006年、同氏が率いる京都大学の研究チームが初めてヒトの皮膚細胞からiPS細胞の培養に成功しました。
その後の研究の発展は目覚ましく、同氏が所長を務める京都大学iPS細胞研究所が、iPS細胞に特化した世界初の研究機関として2010年に設立されます。
この業績は世界の大きな注目を集めました。同氏は2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
ふたつめは京都大学と神戸市立医療センターによる共同研究です。このチームは、iPS細胞を用いた網膜色素変性症という難治性疾患の治療法開発に取り組んできました。
研究では患者のiPS細胞を使って視細胞を作製し、網膜に移植することで視力改善を目指します。
網膜や視神経は中枢神経系に属しています。中枢神経は再生が非常に難しく、障害されると回復はほぼ不可能とされていました。
中枢神経には脳なども該当します。その再生医療には技術的な課題だけでなく倫理的な議論の余地が多々あります。
ただその分野の進歩が多くの人の希望となることに変わりはありません。本研究は世界に先駆けた中枢神経の再生技術の開発と言えます。
iPS細胞を用いた治療で効果を期待できる疾患
眼科領域におけるiPS細胞を用いた再生医療の研究対象となる疾患には、次のようなものがあります。
- 加齢黄斑変性症
- 網膜色素変性症
- 水疱性角膜症
- 角膜上皮幹細胞疲弊症
- 網膜色素上皮不全症
こうした眼科疾患の対象となる視神経を含む中枢神経系には、脳や脊髄などが含まれます。研究技術がほかの中枢神経系疾患へ応用されることも期待されます。
中枢神経系は体の機能や認知、感覚などを制御する部位です。その損傷や疾患は脳卒中・パーキンソン病・アルツハイマー病・脊髄損傷など、生活に深刻な影響を与えます。
再生医療がこうした損傷や疾患にも治療の可能性を広げていくことが期待されています。
ここでは上記に上げた眼科の各疾患について概要を紹介しましょう。
加齢黄斑変性症
iPS細胞を用いた世界で初めて臨床研究がなされた疾患です。網膜の中心部にある黄斑が不可逆的に変性して視覚機能が低下します。
欧米では以前から失明原因の上位を占め、日本では近年増加し失明原因の第4位となりました。50歳以上の約1%にみられ高齢になるほど増えます。
以前は不治の病気とされてきましたが治療法が新たに開発されて、視力の維持や改善が得られるようになってきました。
加齢黄斑変性は大きく滲出型と萎縮型に分けられます。原因は加齢・喫煙・遺伝など多岐に渡り、日本人の加齢黄斑変性の9割は滲出型とされています。
萎縮型に対する有効な治療法は現在見つかっていません。滲出型の治療としては主に、抗VEGF薬硝子体内注射法・光線力学療法・レーザー法が主に行われてきました。
ただ、こうした治療は機能の維持や低下を遅らせるにとどまっていました。iPS細胞による再生医療ではこの疾患で傷害されている網膜色素上皮細胞を作製して移植します。
網膜色素変性症
網膜色素変性は遺伝的な要因により、網膜の中で最初に光に反応する視細胞が変性し消失していく疾患です。難治性で病態が解明しきれているとはいえません。
100以上の原因遺伝子が同定されてきましたが、患者から病変組織を採取することができず正確に病態を再現することが難しかったためです。
そのため有効な治療法も開発困難でした。神戸市立神戸アイセンター病院などによる研究を通じ、再生医療分野での革新が期待されている疾患のひとつです。
2020年10月、同院により、世界で初めてこの疾患患者へ他人の細胞から培養したiPS細胞で作製した網膜シート移植が行われました。
水疱性角膜症
水疱性角膜症では角膜内皮細胞が減少することで水分が過剰になり、浮腫が生じて視覚機能が低下します。唯一の治療法は角膜移植とされてきました。
国内ではドナーからの提供により、年間約1,300件の移植手術が行われています。しかしながら需要にたいして提供は追いついていないのが現状です。
また術後感染や乱視や眼圧上昇・移植片の接着不良などさまざまな課題がありました。
2022年10月、世界で初めてこの疾患患者へのiPS細胞由来の角膜細胞移植が藤田医科大(愛知県)と慶応大のチームにより行われました。主な特徴は下記です。
- 他家iPS細胞を使っている
- iPS細胞から分化誘導させた角膜内皮代替細胞を使っている
- 凍結保存した角膜内皮代替細胞を解凍して使っている
移植により、水疱性角膜症で生じている角膜浮腫の軽減と透明性の回復が期待されます。同時に唯一の治療法であった角膜移植の問題点を克服できる可能性を広げる試みとなりました。
現在この治療には、ドナー角膜に依存しない水疱性角膜症の第一選択治療として期待が寄せられています。臨床研究で移植細胞と移植方法の安全性と有効性の確認が続いています。
角膜上皮幹細胞疲弊症
眼の角膜が傷ついて角膜上皮が傷害されると、通常は角膜上皮細胞が増殖して速やかに治癒します。角膜上皮幹細胞疲弊症では、角膜上皮の幹細胞が障害されています。
そのため新たな角膜上皮ができず、修復されません。角膜が角膜輪部周囲の血管を伴う結膜上皮と結合組織で覆われ視力が著しく低下します。
原因は外因性・内因性・先天性に分けることが可能です。外因性としては、やけどや化学薬品などによる傷・感染症・コンタクトレンズの不適切な使用などがあります。
内因性としては、スティーヴンス・ジョンソン症候群・眼類天疱瘡・移植片対宿主病といった原疾患に由来するものが原因です。
先天性、つまり遺伝的な原因には虹彩に生まれつき無形成・低形成がみられる無虹彩症があります。この疾患では中高年になると角膜上皮細胞が足らなくなるのです。
治療には「自家角膜輪部移植」と「同種角膜輪部移植」があります。自家角膜輪部移植は自身の健康な角膜輪部を一部移植する治療で、 他人の角膜輪部を移植するのが同種角膜輪部移植です。
自家角膜輪部移植は侵襲性が高く、同種角膜輪部移植は長期的な免疫抑制が必要でドナー不足というデメリットがあります。
羊膜が移植される場合もあります。ただ羊膜には角膜上皮幹細胞は含まれないため、眼に角膜上皮幹細胞が残存している必要があります。
これまで十分な治療法は存在しなかった角膜上皮幹細胞疲弊症に対する治療法の開発において、再生医療は期待されてきました。
こうして開発された保険適用の製品のひとつに患者さんの口腔粘膜上皮細胞を羊膜上で培養して作製する「培養自家口腔粘膜上皮シート」があります。
患部に移植することで角膜を再建し、正常に近い状態に導くことが期待できます。
網膜色素上皮不全症
上述した加齢黄斑変性のほかにも、網膜色素上皮細胞の異常が原因となる疾患は多々あります。加齢黄斑変性の萎縮型や一部の網膜色素変性などが該当します。
これら複数の疾患を網膜色素上皮不全症と呼ぶことになりました。現在、臨床研究が神戸市立神戸アイセンター病院などを中心に進められています。
2022年11月に同院で1例目の移植が実施されました。他人の細胞から培養したiPS 細胞で網膜色素上皮細胞を作製し移植する内容です。
この臨床研究では移植細胞が広範囲に均質に定着することが目指されます。そのため移植方法の改善と新しい検査が実施されました。
目的は安全性だけでなく、治療の有用性を調べることに置かれました。具体的には視機能の維持やQOL向上などをみるものです。
こうした有効性の評価が、品質管理や臨床データ管理といった実用化に向けてのほかの技術開発とともに進んでいます。より多くの医療機関で今後は臨床研究が予定されています。
iPS細胞を利用した再生医療のメリット
日本は再生医療を推進するため世界に先駆け法制度が整備されました。薬や医療機器の安全基準を定めていた法律が改正されるなど、国を挙げて推進する体制が構築されています。
iPS細胞を利用した再生医療にはメリットとデメリットがあります。まずメリットを、下記の3つのポイントから説明しましょう。
- 従来の方法では治療不可能だった疾患も対象となる
- 自己の細胞を利用した治療が可能
- さまざまな細胞に分化できる
従来の方法では治療不可能だった疾患も対象となる
iPS細胞を活用した再生医療は、従来の疾患治療に光明をもたらしました。治療法が存在しない、あるいは十分な効果が得られないとされてきた難治疾患も対象となります。
上述したように組織が不可逆的な損傷を受けたり、病態が解明されていない疾患も対象になります。治療法の開発が難航していたさまざまな疾患が注目されることとなりました。
iPS細胞の特性を活かすことで、いちど傷害されると再生しない組織や神経・臓器も必要な細胞を作り出し、疾患部位に移植することで根治が期待されます。
自己の細胞を利用した治療が可能
iPS細胞を利用した再生医療では、患者さん自身の細胞を利用できる可能性があります。これにより治療効果の向上を狙うと同時に移植がはらむリスクを大幅に低減できるでしょう。
患者さん自身の細胞を利用することで適合性が上がり、移植組織がより機能しやすくなることが期待されます。同時に免疫拒絶反応や移植片拒絶反応の抑制が可能です。
さまざまな細胞に分化できる
iPS細胞は幹細胞の一種です。つまり、皮膚や血球などさまざまな細胞になる「分化能」と呼ばれる力を持っています。
体の細胞は全てひとつの受精卵に由来しており、同一のゲノムを共通に持っています。普段はゲノムの必要な場所に鍵がかかっていて、血液が皮膚になったりしないように分化能は制限されているのです。
鍵を外す「初期化」がなされたのがiPS細胞です。さまざまな細胞に分化する力が治療において大きな利点となります。
例えば、網膜や脳・心臓・肝臓など損傷した組織や臓器に適した細胞をiPS細胞から生成し、移植することで、その部位の機能を回復させることが期待されます。
疾患や損傷に合わせて多様なアプローチが可能になる点が、iPS細胞を利用した再生医療の重要なメリットの一つです。
細胞移植はiPS細胞をそのまま移植するのではなく、目的の細胞に分化させて移植します。 したがって、確実に分化させる技術の開発が進んでいます。
なお、幹細胞と呼ばれるにはもうひとつ、自分とまったく同じ能力を持った細胞に分裂することができる自己複製能が必要です。
iPS細胞は同じ人から同じ方法で作っても分化能や自己複製能にばらつきが見られます。能力が低いiPS細胞があると、細胞集団の中に分化しきれない細胞が残ってしまいます。
こうしたiPS細胞の増殖や分化に関する研究も進んできました。
iPS細胞を利用した再生医療のデメリット
2023年4月現在、厚生労働省の承認が降り保険診療の対象となっている「再生医療等製品」は19種類に限られます。
有効性と安全性が確立された標準医療として認められ、保険診療に取り入れられている技術はそれだけ少なく、現在も多くの治療法について研究が続けられています。
iPS細胞を利用した再生医療において、5つの観点から可能性として検討するべきデメリットを説明しましょう。
- 前例が少ない
- 効果には個人差がある
- がん化のリスクがある
- 費用が高額となるおそれ
- 症状によっては治療を受けられない
前例が少ない
iPS細胞による再生医療は新しい分野で、実績や成功事例は限られています。データが蓄積されてきてはいますが、長期的予後に関する観察・評価は十分とは言えません。
保険診療の適応がまだ少ないことからも治療の安全性や有効性が保証された前例が少ないのは明らかです。
難治性疾患や予後不良例に対する革新的な治療法として期待される一方で、未知の要素や不確実性があるのが現状です。
どれほど経験と知識のある医師や医療機関が対応しても、まだ知られていないリスクや前例にない経過を辿る可能性があることに変わりはありません。
ですので、自由診療による再生医療を検討する際は、まずその治療法が「再生医療等安全性確保法」という法律に沿った審査を受けているか確認しましょう。
これは前例が少ない本領域において、国により最低限の安全確保を医療機関に求めるための法律です。
効果には個人差がある
iPS細胞を利用した治療の効果には個人差があります。保険診療の適用になっている治療法においては一定の評価はされてきました。
ただ、治験を重ねて有効性・安全性ともに厳しい審査で一定の水準を超えた保険診療でも、往々にして体質や疾患の進行度合い、治療前の状態などによって効果が変わるのは事実です。
特に自費診療の治療には、一定の効果について認められるものの、科学的根拠が不十分な方法もあります。海外で承認されているが日本では承認されていない治療などに注意が必要です。
上記で紹介した前例が少ないことも、個々の患者さんにおける効果の予測を困難にしています。
また、再生医療等安全性確保法には、治験を実施する際のような厳密な根拠に基づくことを求める内容はありません。
治療の目的は「その患者さんを治す」ことですが、治験は「将来の患者さんを治す」ために行われる研究です。有効性・安全性に関する情報を集めるため厳密な審査が行われます。
再生医療等安全性確保法のもとでの治療による場合、安全性に重点をおいた審査となります。そのため効果については不確実性が高い、つまり成功の保証が難しいといえるでしょう。
がん化のリスクがある
iPS細胞は移植する際にがん化するリスクがあります。原因究明と対応が進められてきました。そのいくつかを紹介します。
まず、細胞に導入された初期化因子の再活性化によるがん化があります。
山中伸弥教授らが、2006年iPS細胞を作製するとき用いた初期化因子の一つはこの理由でがん化するリスクが指摘されました。その後2010年にリスクが抑えられ作製効率や多能性も高い代替因子が報告されました。
次に初期化因子を導入するときに、もとの細胞ゲノムに傷がつくことで起きるがん化が挙げられます。もともとある遺伝子が失われたり活性化されたりすることが原因とされ、ゲノムに傷をつけない作製方法が開発されてきました。
またiPS細胞の作製に初期化因子を導入するとき、遺伝子をウイルスに入れ細胞に感染させる手法も、がん化リスクをあげる原因を生んでいました。
2000年代以降、初期化因子が細胞の染色体に取り込まれないiPS細胞の作製方法や、作製効率を高める研究が進められています。
このほか未分化の細胞やiPS細胞の樹立時、培養時に発生する傷などさまざまな腫瘍リスクがこれまで分かっており、引き続き今後の研究が期待されます。
費用が高額となるおそれ
iPS細胞を使った再生医療は、現在その多くが自費診療です。技術的な高度さや複雑なプロセスから、費用は高額になる可能性があります。
ただし国が承認していないので、公的な健康保険は使えず、全額自費負担です。費用負担が大きくなるため、より有効性の確立された治療を受けるチャンスを失う可能性があります。
細胞の誘導や分化、移植手術など、多くの段階で専門的な技術や設備が必要です。また、個々の患者さんに合わせたカスタマイズや適合性を確保するための作業も必要です。そのため、高い技術的要求と維持費が、治療の費用を高額化させる可能性があります。
「有効性」と、「副作用はあるのか、どの程度の副作用なのか」を示す 「安全性」などのリスクの2つの要素を考えてみましょう。
副作用がなければリスクはないとはいえません。費用が効果に見合わなければ経済的なリスクとなります。
症状によっては治療を受けられない
iPS細胞を利用した再生医療が有効でないと判断される場合はあります。特に、疾患が進行している場合や、治療が病態に適応しない場合は効果が得られにくいでしょう。
また、身体的な状態や治療可能な範囲など、個々の条件によっては治療が適用できない場合もあります。例えば広範にわたる組織移植は困難です。
そのため状態によってはiPS細胞を利用した再生医療が適切な選択肢ではない可能性があります。
他分野とも並行して検討する必要もあります。新薬や治療機器の開発を待つほうがよい場合もあるでしょう。
何をもって効果とするか、リスクとするかは最終的に個人の判断です。十分な理解のもと、自身が納得する治療が最も適切な、望ましいありかたと言えます。
iPS細胞を使った治療を受けることができる人
例えば、年齢や身体部位といった観点からiPS細胞を利用する再生医療は、理論上対象の制限がありません。
例えばこれまでの研究で、6歳から81歳までの日本人の皮膚細胞からiPS細胞の作製に成功しています。iPS細胞の多能性に大きな差異はなくどのような細胞にも分化が可能です。
一方で安全性などに課題が残されます。日本再生医療学会により作製された再生医療を受ける前のチェックリストより、納得感や理解度の目安を紹介しましょう。
特に自費診療の場合は参考にして、自身が治療を受けるかどうか(受けることができるか)判断の参考にしましょう。
- 安全性と有効性が保証されるものでないことを納得しているか
- 標準治療に比べたときの、治療上の効果が有用でしょうか
- 予想される副作用や体への悪影響について知り具体的に言えるか
- 他の治療法がない場合も含め、治療における選択肢を理解しているか
- 治療にかかる費用は回数・期間・総額を理解しているか
- 治療費以外に発生する費用(検査、リハビリ、治療後の薬など)を理解しているか
なお、現在自費診療で有害事象が出た場合、対応している民間保険は少ないです。同意説明文書などで、治療後の有害事象に関する確認は必ずしましょう。
治療が必要な場合の対策を具体的にイメージできるまでは検討するほうがよいでしょう。例えばどの医療機関でどのような治療や対策を行うか、費用はどうなるのかといった内容です。
まとめ
1990年代に体性幹細胞の培養、1998年にヒトES細胞の培養を経て2007年に成功が報告されたヒトiPS細胞の培養。再生医療の躍進は続きます。
今後は遺伝子治療などとの融合や臓器移植などに取り組むことが期待されています。また昨今、倫理的・社会的な課題がより具体的になってきました。
法制度のいっそうの整備が必要ですし、議論を尽くしてそのためのコンセンサスをとっていくことが必要です。
どのような医療もその目指すところは患者さんの幸福です。つらさや悩みに対して現在の医療ができることも、できないこともあるでしょう。
再生医療も例外ではありません。本記事が眼科の再生医療に関心を持たれるかたにとって正確な知識を得る一助になれば幸いです。
参考文献