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人工関節置換術の痛みはどれくらいなの?人工関節置換術の基礎知識や術後の痛みまで解説!

人工関節 痛み

人工関節置換術は、関節の痛みや機能障害を改善する手術です。
本記事では人工関節の痛みについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 人工関節置換術とはどんな手術なのか
  • 人工関節置換術後の痛みについて
  • 人工関節置換術後に長期間痛みが続く原因について

人工関節の痛みについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

人工関節置換術について

人工関節置換術について

人工関節置換術とは何でしょうか?
「人工関節置換術」とは、患者の痛みを和らげるために、痛みの原因となる部分を取り除き、人工の関節に置き換える手術のことを指します。人工関節は、膝・股関節だけでなく、肩関節や肘関節などさまざまな関節に対して適応されています。 人工関節は、金属(チタン合金やコバルトクロム合金など)、プラスチック(ポリエチレン)、セラミックなど、摩耗に強く、耐久性を高めるための処理が施された材料で作られています。これらの人工関節は約15~20年持つとされており、状況によって再度手術を行い人工関節を交換する必要があります。 人工関節置換術を受けることで、関節の痛みを大幅に軽減し、患者の生活の質(QOL)が向上します。最近では、50歳代でも、より快適な生活を送るための選択肢として選ぶ人も増えています。
人工関節のメリットとデメリットは何でしょうか?
「人工関節」の導入には、さまざまなメリットとデメリットがあります。メリットは以下の通りです。
  • 痛みの軽減:痛みの軽減:人工関節の利点は、関節の痛みを大幅に軽減できることです。痛みがないことで日常の動作を快適に行えるようになります。
  • 関節の安定化:人工関節は関節を安定させます。これにより、動くことや支えることができるようになります。
  • 他の関節への負担の軽減:痛みが軽減されることで、他の関節への負担も軽減されます。
  • 生活の質の向上:人工関節の導入により、活動範囲が広がり、生活の質が向上し、より充実した生活を送ることが可能になります。

デメリットは以下の通りです。

  • 感染症のリスク:人工関節は生体材料ではないため、感染症に対する抵抗力が低いです。感染症が発生した場合、再手術が必要になることがあります。
  • 人工関節の摩耗とゆるみ:人工関節は摩耗しやすく、ゆるみが生じる可能性があります。これにより、再手術が必要になることがあります。
  • 血栓症のリスク:人工関節手術後は、下肢に血栓ができる可能性があります。これは、肺塞栓症や心筋梗塞、脳梗塞などの重大な病気を引き起こす可能性があります。
  • 運動制限:人工関節を導入した後でも、一部の動きが制限されることがあります。

これらのメリットとデメリットを考慮に入れ、医師と相談しながら治療法を選択することが重要です。また、手術後も定期的な受診を行い、人工関節の状態を確認することが大切です。

人工関節置換術の入院期間を教えてください。
人工関節置換術の入院期間は、患者の個々の状況や施設により異なりますが、一般的に股関節・肩関節・肘関節は約1〜2週間、膝関節では約3週間とされています。手術は通常、前日に入院し、手術後はリハビリテーションを行いながら回復を待つことになります。
関節の変形が著しい方は、筋力の回復に時間がかかることがあり、その結果、入院期間が長くなることがあります。また、人工関節の交換手術を受ける方も、回復に時間がかかることがあります。
若い方や体力のある方は、早期に退院することもありますが、病状は個々に異なるため、必ずしも短期入院が良いとは限りません。状態に合わせたリハビリテーションが重要であり、そのためには適切な入院期間が必要となります。したがって、具体的な入院期間については、患者の状態を総合的に判断し決定されます。

人工関節置換術と痛みについて

人工関節置換術と痛みについて

痛みを感じる仕組みについて教えてください。
痛みを感じる仕組みは、主に3つのタイプがあります。

1.侵害受容性疼痛:身体のどこかが傷ついたときに感じる痛みです。体内の神経が刺激を感知し、それを脳に伝えることで「痛み」として認識されます。

2.神経障害性疼痛:神経自体が損傷したり、神経周辺で炎症が起こったりしたときに感じる痛みです。

3.心因性疼痛:心理的なストレスが原因で脳に問題が生じ、痛みを感じる場合です。

これらの痛みは、原因が解消されれば通常は数日から6週間以内に治まります。しかし、一部の痛みは3~6ヶ月以上続くこともあり、その場合は「慢性痛」と呼ばれます。これらの痛みのメカニズムを理解することは、適切な治療法を選択する上で重要です。また、痛みが長期間続く場合は、医療専門家に相談することをお勧めします。

人工関節置換術の痛みはどれくらいですか?
手術直後には一定の痛みを感じることがあります。手術直後の痛みのピークは、手術当日の夜になることが多く、その後は時間とともに痛みは軽減します。痛みの強さは、一般的には、手術当日には10点満点(一番大きな痛みを10とした場合)で4程度の痛みを感じる方が多いとされています。その後、痛みは徐々に軽減していくとされています。
また、手術する関節の部位によっても痛みの感じ方に差異があるとされています。しかし、痛みを緩和する方法が進化しているため、手術後に我慢できないほどの痛みを感じることはほとんどありません。具体的には、手術前の麻酔段階から、手術中にも神経障害を最小限に抑えるための工夫が行われ、手術後も注射や飲み薬などを使用して痛みを感じにくくする対策が取られています。ですが、痛みの経験は個々人で異なる可能性があります。そのため、痛みがある場合は我慢をせずに、主治医や医療従事者へ相談することが重要です。
人工関節置換術後の痛みはどれくらい続きますか?
人工関節置換術後の痛みに関しては、手術直後から数日間がピークで、その後は徐々に軽減します。数種類の鎮痛薬を使用して疼痛管理を行いながら、手術後1週間~10日程度で痛みは大幅に軽減していきます。
手術後の数ヶ月間は、人工関節が患者の骨と一体化するまでの過程で、軽度の痛みが続くことがあります。しかし、人工関節が骨としっかり固定されると、痛みを感じることはほとんどなくなります。
人工関節置換術後の痛みが続いている場合、どのような原因や症状が考えられますか?
人工関節置換術後に痛みが続く場合、いくつかの原因が考えられます。
  • インプラントと骨との間の微細な損傷:手術で挿入した人工関節と骨との間に微細な損傷が生じ、体重をかけるときに痛みが生じることがあります。
  • 神経障害:手術中に神経が損傷し、神経障害性の痛みが生じることがあります。これは、神経が切れた部分から先がピリピリ、ビリビリと痛む、触ると違和感があるなどの症状が出ます。
  • 関節周辺の炎症:手術後の関節周辺に炎症が生じ、動き出しの痛みや、階段の痛み、またじっとしている時や夜間も痛みが出ることがあります。
  • 筋肉痛:手術後に膝周辺の筋肉に筋肉痛のような重だるい痛みが生じることがあります。
  • 傷口の痛み:手術の傷口周辺が痛む、傷が赤みを帯びているなどの症状が出ることがあります。

これらの原因は、同時に複数生じることもあれば、どれか1つだけが生じることもあります。また、人工関節のゆるみや設置位置不良、術後感染症なども痛みの原因となることがあります。痛みが長引く場合は、痛みの原因を詳しく調べ、適切な治療を行うことが重要です。そのため、痛みが続く場合は、手術を受けた病院を再度受診することをお勧めします。それでも改善しない場合には、他の病院でセカンドオピニオンを求めることも考慮に入れてみてください。また、下肢痛の原因としては、坐骨神経痛などの腰椎疾患の可能性もあります。そのような場合には、総合病院への受診をお勧めします。

人工関節置換術の合併症やリハビリについて

人工関節置換術の合併症やリハビリについて

人工関節置換術の合併症はあるのでしょうか?
人工関節置換術は、いくつかの合併症が起こる可能性があります。
  • 感染:手術中に細菌が侵入したり、手術後に口腔内の細菌や皮膚の傷から二次的に感染したりすることがあります。特に糖尿病や関節リウマチの治療を受けている方、ステロイド治療を受けている方は感染リスクが高まります。
  • 血栓症・肺塞栓症:手術中や手術後に、下肢の深部静脈に血栓ができることがあります。さらに、この血栓がはがれて肺の血管を詰まらせることがあります。これは肺塞栓症と呼ばれ、命に関わる重大な合併症です。
  • 脱臼・骨折:手術後、特に退院後に活動性が高まると、転倒により人工関節周辺の骨折や脱臼を起こす可能性があります。
  • 人工関節のゆるみ:長期間人工関節を使用していると、人工関節と骨との間にゆるみが生じ、痛みや歩行障害を引き起こすことがあります。
  • 神経、血管損傷:手術中に神経や血管に傷がつくことがあります。

手術後は定期的に健診を受けることなどが重要です。また、日常生活においても、体調管理に気を付けたり虫歯の予防に努めたりすることで、合併症の予防や人工関節の寿命を延ばすことへ繋がります。

なぜリハビリが必要なのでしょうか?
人工関節置換術後のリハビリテーションは、患者の回復を促進し、手術の効果を引き出すために重要な役割を果たします。
  • 手術前のリハビリ:手術前からリハビリを開始することで、手術後の回復がスムーズに進むことが期待されます。
  • 手術後のリハビリ:手術後は早期からリハビリを開始し、筋力や関節の可動域を改善します。これにより、術後の安静期間を短縮し、血栓症のリスクを低減することが可能です。
  • 退院後のリハビリ:退院後もリハビリを続けることで、筋力や関節の可動域の改善を維持し、生活の質の向上を目指します。

また、リハビリテーションは、手術による合併症の予防にも役立ちます。例えば、人工関節の脱臼や骨折を防ぐためには、適切な筋力トレーニングや生活習慣の指導が必要です。さらに、人工関節のゆるみを防ぐためには、適度な体重管理や無理なく活動することが重要です。それぞれの状態に合わせて、適切なリハビリテーションプログラムが選択されます。

人工関節置換術のリハビリ期間はどのくらいですか?
具体的なリハビリテーションの期間は、施設や患者の状態によりますが、術後の約1〜3週間は入院リハビリが実施され、術後半年間は通院しながらのリハビリが推奨されます。
リハビリテーションは手術が成功するために重要なプロセスであり、適切なリハビリテーションを受けることで、より早く日常生活に戻ることを目標としています。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで人工関節の痛みについてお伝えしてきました。人工関節の痛みの要点をまとめると以下の通りです。

  • 人工関節置換術とは、痛みなどの異常がある関節に対して、人工の関節に置き換える手術のこと
  • 人工関節置換術後の痛みに対して数種類の鎮痛薬を使用して疼痛管理を行い、手術直後から数日間が痛みのピークで、その後は徐々に軽減し、手術後1週間~10日程度で痛みは大幅に軽減していく
  • 人工関節置換術後に痛みが続く場合、インプラントと骨との間の微細な損傷、神経障害、関節周辺の炎症、筋肉痛、傷口からの痛みなどがの原因が考えられる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
松繁 治医師(新東京病院)

松繁 治医師(新東京病院)

岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科

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