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関節リウマチは何が原因?発症メカニズムや症状についても解説します

関節リウマチは何が原因?発症メカニズムや症状についても解説します

リウマチという言葉を聞いたことがある方は多いと思います。関節が変形したり、手がこわばったりといった症状があり、年配の方に発症するイメージが強いリウマチですが、発症原因は何なのでしょうか。今回は関節リウマチの発症メカニズムを、原因や症状とともに紹介していきます。

関節リウマチの原因と発症メカニズム

関節リウマチの原因と発症メカニズム 関節リウマチになる原因と、発症までのメカニズムを説明します。原因を知り、予防できる部分がないかぜひ一緒に考えてみてください。

原因

関節リウマチの原因は少しずつ解明されてきてはいるものの、いまだにはっきりとしたことは分かっていないのが現状です。人の体には、細菌やウイルスなどの異物から体を守る免疫機能が備わっています。しかし、なんらかの影響でこの免疫機能が異常を起こすと、異物ではないにも関わらず、自分の体の中のあらゆる組織を攻撃してしまうようになります。この現象を自己免疫疾患と呼び、関節リウマチはこの自己免疫疾患の1つとされています。

免疫機能に異常が起きることで関節を守っている筋肉や骨などの組織を攻撃してしまい、関節周りに炎症が起きてしまうのです。自己免疫疾患が起こる原因としては、細菌やウイルスへの感染のほか、疲れやストレス、喫煙などの生活習慣、出産やケガなどの外傷や体質変化が考えられています。30代~50代の女性の発症が多く、男性に比べ女性のほうが約3倍も発症リスクが高いともいわれています。

発症メカニズム

関節リウマチは、関節周りが炎症を起こす病気であり、その炎症の原因となるのはサイトカインというタンパク質です。サイトカインとは、免疫細胞が作り出すタンパク質の1つで、普段は体を正常に動かすために必要なものです。サイトカインにもいくつかの種類があり、IL-6やTNFαと呼ばれるサイトカインの数が異常に増え、関節の軟骨や骨などの細胞表面にある受容体と結合すると、「炎症を起こせ」という信号が細胞内に送られてしまい、その結果、関節周りの軟骨や骨などに腫れや痛みなどの炎症が起こってしまうのです。炎症が続くと関節を壊し続け、関節リウマチの症状がどんどん悪化していくことになります。

関節リウマチの関節症状

関節リウマチの関節症状 関節リウマチは関節周りに炎症が起きるものだと説明しましたが、それによってどのような症状が引き起こされるのでしょうか。ここでは関節リウマチによって起こるさまざまな症状について紹介します。

朝のこわばり

リウマチの代表的な症状として知られているのが、体のこわばりです。特に朝方に出やすく、進行するほどこわばりの時間も長くなります。

関節水腫

関節内に水が大量にたまった状態のことを関節水腫と呼びます。膝関節に起こることが多いとされており、関節水腫の状態になると関節周りが大きく腫れ、関節の動かしづらさ、痛み、赤み、熱感などの症状が出ます。関節の裏側が袋状に膨らむ場合もあります。

滑液包炎

滑液包炎とは、滑液包という組織が炎症を起こすことをいいます。滑液包とは、関節の周りにある袋状の組織で、中には粘り気のあるゼリー状の液が入っています。滑液包は関節がスムーズに動くための働きをしており、関節に必要な組織なのですが、関節リウマチにより滑液包炎が起きるとゼリー状の液が異常に増えてたまってしまい、腫れや痛みが出てきます。滑液包炎は、主に肘関節や股関節、膝関節などに起こります。

関節炎

関節炎を起こすと関節周りが熱を帯びて腫れ、関節を動かすたびに強い痛みが起こります。関節炎は手指などの小さな関節から股関節などの大きな関節などさまざまな所で起こります。体のあちこちに痛みが移動するという特徴もあります。

関節変形

関節変形は、その名の通り関節が変形してしまうものです。リウマチにより、関節が炎症を起こすと周辺組織が破壊されたり筋肉が萎縮したりして、関節が変形してしまいます。脱臼を起こすこともあり、関節の動きが著しく制限されてしまいます。リウマチの場合は、足や手指の側面が外反母趾のように出っぱったり、指の先が外側に反り返ったりという変形が起こり、こうした独特の形状はリウマチ変形と呼ばれています。手指の変形がひどい場合は日常生活の細かな作業や家事などに影響を及ぼします。股関節や膝などの関節変形の場合は、歩くのが困難になる場合もあるので注意が必要です。

腱鞘炎

体の筋肉と骨がくっついている箇所にある腱は、腱鞘という鞘で包まれています。この腱鞘という組織が炎症を起こすことを、腱鞘炎と呼びます。外側の腱鞘や内側にある腱に炎症が起きると、周辺が腫れて痛みを伴います。手や足で腱鞘炎が起きた場合は、体を動かしづらかったり、何かに引っかかったような感覚になったりします。

関節リウマチの関節以外の症状

関節リウマチの関節以外の症状 関節リウマチは関節周りの症状がよく知られていますが、実は関節以外にもあらゆる症状を引き起こします。ここでは、関節以外に起きる代表的な症状をいくつか紹介します。

肺障害

関節リウマチになると、間質性肺炎や肺線維症、胸膜炎などの肺障害が合併症として起きることがあります。すぐに息が切れたり、空咳が続いたりします。胸膜炎の場合は、胸膜という部分に炎症が起こることで、胸膜が本来の役目を果たさずにその内部まで浸水してしまうため、胸痛や呼吸困難を引き起こすこともあります。関節リウマチに罹患したことが原因ではなく、リウマチの薬によってこうした肺障害が引き起こされることもあるので、関節以外に起こる合併症についてもよく知っておく必要があります。

リウマトイド結節

リウマトイド結節とは、肘や膝周辺の皮下にできる硬いしこりのことです。米粒程度の小さいものもあれば大豆程度の少し大きなものまでさまざまですが、リウマトイド結節ができたことによる痛みは特になく、見た目上の変化がメインです。

悪性関節リウマチ

関節リウマチでは、血管にも炎症が起こり重症化するケースがあります。こうしたケースは悪性関節リウマチといわれ、注意が必要なリウマチです。どこの血管に炎症が起こるかによって合併症は異なりますが、太い血管に炎症が起きた場合は心筋梗塞や動脈血栓症などのリスクが高まります。

二次性アミロイドーシス

二次性アミロイドーシスという強い下痢症状を引き起こす場合もあります。リウマチの炎症がコントロールできない期間が長く続くと、血清アミロイドAたんぱくと呼ばれるタンパク質が異常に増加します。このタンパク質がうまく処理されないと、アミロイドという状態になり、さまざまな臓器の機能低下や臓器障害を起こすようになってしまいます。アミロイドーシスになると、消化管と腎臓に影響が及ぶことが多く、下痢のほか、嘔吐や食欲低下、血尿や腎不全を起こします。重篤化しやすい合併症です。

全身の症状

全身症状として、熱っぽさや体重の減少、首などのリンパの腫れといった症状が起こることもあります。目の乾きやドライマウス、慢性的なだるさや疲れを感じる人もいます。こうした全身症状は関節リウマチの患者さん全員が常に感じるものではなく、症状を感じたり、なくなったりを繰り返すといわれています。

関節リウマチの症状の進行

関節リウマチの症状の進行 関節リウマチに罹患したら全ての患者さんが一定の速度で病気が進行していくわけではありません。大きく分けると「短周期型」「多周期進行型」「急速進行型」の3つのタイプがあり、それぞれ進行スピードが異なります。ここでは3つのタイプについて、特徴を説明します。

短周期型

まずは短周期型についてです。短周期型の関節リウマチ患者さんは、全体の約20%といわれています。関節炎を起こしたり骨が壊れたり、これまで紹介したような関節リウマチの症状が突然起こりますが、その後しばらくすると炎症が軽くなり、比較的軽症のままその後の期間を過ごせるタイプです。ほかのタイプと比べて治療への反応が良く、改善しやすいとされています。

多周期進行型

次に多周期進行型についてです。多周期進行型には多周期寛解型と多周期増悪型があります。多周期寛解型は関節リウマチ患者さん全体の約40%といわれており、良くなったり悪くなったりを繰り返しながらも、最終的には治療での改善が期待できるタイプです。一方、 全体の約30%といわれている多周期増悪型の関節リウマチは、途中までは多周期寛解型と同様に良くなったり悪くなったりを繰り返しますが、長期間かけて徐々に病気が進行し、骨や軟骨など、全身の関節破壊が止まらないタイプです。

急速進行型

最後は急速進行型についてです。急速進行型は、関節リウマチ患者さん全体の約10%しかいないタイプです。発症後すぐに急激に病気が進行し、治療にも良い反応を示さず、どんどん症状が悪化し全身の関節が壊れたり外れたりして身体障害が免れません。数年で歩行困難になるケースもあり、最も重度の関節リウマチといえます。

関節リウマチの治療

関節リウマチの治療 タイプにより、治療への反応の良しあしがあると説明しましたが、関節リウマチになってしまったときにできる治療にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、長年リウマチ患者さんに行われてきた治療から、近年注目されている新しい治療法まで、さまざまな治療法を紹介します。リウマチの症状レベルによっても適切な治療法は異なるので、ぜひ治療法を選ぶ際の参考にしてみてください。

薬物療法

まずは、薬物療法についてです。リウマチの治療の中で最もよく採用されるのが、この薬物療法です。使用する薬は、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド (副腎皮質ホルモン)薬、抗リウマチ薬、生物学的製剤の4つの種類に大きく分類されます。非ステロイド性抗炎症薬とは、主に炎症や痛みを抑える薬ですが、これだけではリウマチを改善させる作用はないため、ほかの薬と併用して補助的に使用されることがほとんどです。ステロイド薬は非ステロイド性抗炎症薬と同じように鎮痛、抗炎症作用がありますが、より強く即効性があります

ただし、長期間使い続けると副作用があり、糖尿病や骨粗しょう症などほかの病気を併発する可能性が出てくるため、使う期間や頻度は医師の指示に必ず従うことが大切です。抗リウマチ薬はリウマチ治療のメインとなる薬で、リウマチの原因となっている免疫異常を正常に戻すように調整する役目があります。抗リウマチ薬にもさまざまな種類があるので、反応を見ながら薬を調整したり、場合によっては複数の抗リウマチ剤を組み合わせたりします。生物学的製剤は、特定のサイトカインに働きかけて炎症を抑える薬です。炎症だけでなく組織の破壊を食い止め遅らせる作用が強いため、抗リウマチ薬だけでは効果が不十分な場合などによく用いられます。ただし、副作用が強い、高価であるなどの難点があります。

手術療法

次に手術療法についてです。薬だけでは改善が見られなかったり、骨の変形がひどかったりする場合は手術を検討します。どのような原因で炎症が起こっているのかによってさまざまな術式が検討されますが、滑膜が腫れていることで炎症がひどくなっている場合は、滑膜を切除する滑膜切除術を行います。関節が壊れて動かしづらい場合や痛みが強くなった場合には、人工関節置換術や関節固定術などが採用されます。

使いづらくなった関節を人工のものと入れ替える人工関節置換術は、耐用年数に制限はありますが、膝や肩、肘などさまざまな部位の関節に行える手術です。そして、関節が壊れているものの、さまざまな理由で人工関節置換術が行えない場合に採用されるのが関節固定術です。関節を使いやすい角度に固定することで、体が動かしやすくなったり、周りの神経への余計な負荷を減らしたりすることができます。

リハビリテーション

薬物療法や手術療法と一緒に行うことが大事なのが、リハビリテーションです。関節リウマチは痛みを伴う場合がほとんどなので、意識していないと自然とその部位を使わなくなり、関節のこわばりがひどくなったり可動域が狭まったりしてしまいます。リハビリテーションには運動療法、理学療法、作業療法などがあり、それらを組み合わせて無理のない範囲で少しずつこわばりをほぐしていきます。自宅でできるリハビリテーションもありますが、作業療法士や理学療法士などと一緒に行うことも大切です。一度に大幅な改善を目指すものではないので、地道に少しずつ目標をたて、毎日行いましょう。

幹細胞治療

一度壊れてしまった関節は、自然に元の状態に戻ることはありません。しかし、幹細胞という特殊な細胞を利用した再生医療を受ければ、関節の状態を元に戻すことが期待できます。幹細胞とは、さまざまな働きを持つほかの細胞に分化できる細胞のことです。幹細胞を利用して、関節周りの組織を再生させることで炎症を抑え、関節リウマチの症状を改善させることができるのです。幹細胞は患者さん自身の体から採取して利用するので、拒絶反応が起きにくいことも魅力です。新しい治療法ではあるものの、クリニックレベルでも行う医療機関が増えてきています。

まとめ

まとめ 関節リウマチの原因や発症メカニズム、治療方法などのイメージは持っていただけたでしょうか。関節リウマチには複数のタイプがありますが、早期発見・早期治療が大切であることは全てに共通していえることです。痛みやこわばりなど、少しでも異変を感じたらなるべく早く医療機関を受診しましょう。また、発症の確率があがる30~50代の女性は特に注意して自分の体の変化に気づけるよう意識しておくことをおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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