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再生医療

傷跡の再生治療とは?傷跡の治療法について徹底解説!

再生医療とは?

傷ができてしまったけどこれって再生医療で隠せるの? 本記事では、傷跡の再生医療について以下の点を中心にご紹介します。

  • 皮膚の再生医療とは
  • どんな傷跡を目立ちにくくできるのか
  • 傷跡の手術方法

傷跡の再生医療について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

そもそも傷跡とは?

そもそも傷跡とは?

傷あとは、皮膚が損傷を受けた後に残る変化や痕跡を指します。これは、大きな事故ややけどだけでなく、日常生活での小さな切り傷からも生じることがあります。特に大きな傷あとは、手術を必要とすることもあり、現在の技術では、手術以外の方法で完全に目立たなくするのは難しいとされています。

傷あとが生じる原因や特徴には以下のような点が挙げられます。

皮膚のテクスチャの変化:傷あとの部分では、皮膚の通常のきめが失われたり、乱れたりしています。

皮膚付属器の喪失:傷あとの範囲内では、毛髪や汗腺などの皮膚の付属構造が存在しないことが多いです。

色の変化:傷あとは色素沈着を起こすことがある一方で、色素が失われて白くなることもあります。

血管の変化:傷あとの部分には、通常よりも多くの毛細血管が存在することがあります。

形状の変化:皮膚が隆起していたり、逆に凹んでいたりすることもあります。

皮膚の再生医療とは?

皮膚の再生医療とは?

皮膚の再生医療は、皮膚の損傷や損失を治療するための革新的な技術です。皮膚は私たちの体の最も外側の層であり、さまざまな機能を持っています。これには、体の水分を保持し、体温を調節し、外部からの刺激を感じ取り、さまざまな外的要因から保護するといった役割が含まれます。しかし、大きな傷ややけどなどで皮膚が大きく損傷すると、これらの機能が失われ、生命に危険が及ぶこともあります。

過去には、皮膚の大部分が損傷した場合、治療は困難であり、多くの場合、他の部位から皮膚を移植する必要がありました。しかし、移植にはドナーが必要であり、移植された皮膚が拒絶されるリスクもありました。

1975年、ハワード・グリーン教授らがヒトの表皮細胞の培養方法を発見し、これが皮膚の再生医療の出発点となりました。彼らは、特定の細胞を使用して、表皮細胞を培養する方法を開発しました。この技術は、重度のやけどを負った患者さんの治療に成功し、世界中で注目を浴びました。

日本でも、この技術は1985年から研究され、2007年には日本初の再生医療製品として認可を受けました。現在、この「自家培養表皮」という技術は、全国の医療機関で使用されています。この方法の利点は、患者さんの細胞を使用するため、免疫拒絶反応のリスクが非常に低いこと、およびドナーを待つ必要がないことです。これにより、広範囲の皮膚損傷の治療が可能となり、多くの患者の命を救っています。

再生治療の種類

再生治療の種類

再生医療にはどんな種類があるのでしょうか?

自家培養表皮

「自家培養表皮」は、患者さんの健康な皮膚から採取した細胞を培養し、必要な範囲で再生させて患者さんに移植する技術です。「自家」という言葉は、患者さん本人のものを指します。この技術では、健康な皮膚の一部を取り、特定の条件下で培養します。この培養の際、グリーン教授らによって開発された「3T3 細胞」という特別な細胞を基盤として使用し、抗生物質や動物由来の成分を加えて、表皮細胞の安定的な増殖を促進します。この手法により、数週間の培養で患者さんの体表面積の大部分をカバーできる細胞シートを作成することが可能です。具体的には、日本での標準的な細胞シートのサイズは「8㎝×10㎝」で、約20枚のシートで大人の体の約10%の面積をカバーできます。

表皮水疱症の治療

表皮水疱症は、日常の軽い刺激や摩擦によって皮膚や粘膜に炎症や水ぶくれが生じる遺伝的な皮膚疾患です。人の皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つの層から成り立っており、表皮と真皮の間には基底膜という接着部分が存在します。この病気は、基底膜の成分となるタンパク質の遺伝子変異が原因とされています。

この疾患は、水疱が形成される皮膚の深さによって3つのタイプに分類されます。

1.表皮内で水疱が形成される「単純型」 2.表皮と基底膜の間で水疱が形成される「接合部型」 3.真皮で水疱が形成される「栄養障害型」

これらの症状には、水疱や炎症の他、瘢痕や栄養不良、貧血などの合併症が伴うことがあります。治療は症状を和らげるためのもので、疾患そのものを治すわけではありません。特に「接合部型」と「栄養障害型」の治療には、「自家培養表皮」の移植がおすすめとされています。この手法では、健康な皮膚を採取し、培養して患部に移植することで、皮膚の回復を促進します。

また、2023年7月の時点で、「自家培養表皮移植」は「重症熱傷」や「先天性巨大色素性母斑」、そして「表皮水疱症(接合部型・栄養障害型)」の治療において、医療保険の対象となっています。高額療養費制度も適用されるため、患者さんの経済的負担は軽減されることが期待されます。さらに、子どもの患者さんや特定の難病に対しては、自治体の助成制度も利用できる場合があります。

熱傷の治療

熱傷は、一般的に「やけど」として知られる皮膚の損傷です。人の皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つの層から成り立っています。特に深い熱傷、つまり真皮の下部や皮下組織まで影響を及ぼすものは、自然に治癒するのは難しく、治療が必要となります。特に広範囲にわたる深い熱傷の場合、通常の植皮術だけでは十分な皮膚が得られないことがあります。

こうした状況での解決策として「自家培養表皮」が注目されています。この技術は、患者さんの健康な皮膚から採取した細胞を培養し、大量の表皮細胞を生成するものです。これにより、広範囲の熱傷部位にも対応可能となります。具体的には、体表面積の30%以上が深い熱傷を受けた患者さんの健康な部分から採取した皮膚を培養し、熱傷部位に移植する治療が行われます。

母斑の治療

母斑は、皮膚に現れる黒褐色のあざで、色素細胞であるメラノサイトが集まることで形成されます。これらのあざは、小さなほくろのようなものから、体の広範囲にわたる大きなものまでさまざまです。特に、先天性巨大色素性母斑というタイプは、生まれたときから体に存在し、大きさや位置によっては手術が必要となることがあります。この母斑の特徴として、大人で直径20㎝以上、幼児では体幹部で6㎝以上、頭部で9㎝以上のものを指します。

先天性巨大色素性母斑の懸念点として、将来的に皮膚がんである悪性黒色腫に進行するリスクがあることが挙げられます。特に、このリスクは3歳までの幼児で高まるとされているため、早期の治療が推奨されています。

治療方法として、母斑が小さく、手術しやすい位置にある場合は、直接切除や健康な皮膚の移植が行われることが多いです。しかし、大きな母斑や手術が困難な位置にある場合は、「自家培養表皮」という技術を用いて治療することが検討されます。これは、患者さん自身の皮膚細胞を培養して増やし、母斑を取り除いた部位に移植する方法です。

白斑の治療

白斑は、皮膚の色を形成するメラノサイトという色素細胞が減少したり、その機能が失われたりすることで、皮膚の部分的な白くなる症状を指します。人の皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つの層から成り立っており、表皮の大部分は表皮細胞で構成されていますが、その中にメラノサイトが約5%存在します。このメラノサイトは、紫外線から皮膚を守る役割を果たしています。

白斑の原因はさまざまなものがあります。先天的なものや後天的なものもあります。特に、尋常性白斑というタイプが最も一般的で、全体の約60%を占めています。

白斑の治療方法は、症状の進行度や患者さんの年齢、発症部位などによって異なります。主な治療方法としては、

1.塗り薬:初期段階での治療としてよく用いられ、ステロイドや活性型ビタミンD3軟膏などがある。 2.光線療法:塗り薬だけでは効果が得られない場合に選択される。紫外線療法が主流。 3.飲み薬:ステロイドの内服薬があり、塗り薬と併用されることも。 4.外科的治療:皮膚移植などの手術が行われる。

治療の選択は、医師の診断に基づき、患者さんの状態や希望を考慮して決定されます。また、再生医療として「メラノサイト含有自家培養表皮」という治療法も存在し、これは患者さん自身の皮膚からメラノサイトを培養し、白斑部位に移植するものです。

治療に関する詳細や適切な治療法の選択については、皮膚医に相談することが推奨されます。

どのような傷あとを目立ちにくくしてくれるのか

どのような傷あとを目立ちにくくしてくれるのか

再生医療の技術は、さまざまな傷あとの治療に対応しています。具体的には、顔面や頭部の傷、手術後の痕跡、熱傷や外傷による傷跡、さらにはリストカットなどの自傷行為による傷あとなど、多岐にわたる傷あとの治療におすすめです。

しかし、体質や傷の位置によって、傷あとが異常に隆起し、拡大してケロイドや肥厚性瘢痕といった状態になることがあります。これらは、単なる傷あととは異なり、病的な状態として扱われることが多いです。再生医療の技術も、これらの病的な傷あとの治療に対応することが期待されています。

傷跡の手術方法

傷跡の手術方法

傷跡の手術方法の種類と手術方法について解説します。

切除術・分割切除術

切除術と分割切除術は、傷跡の治療法の一つとして用いられる手法です。これらの手術は、特に広がった傷跡や、隆起している、または凹んでいるような傷跡の修正に適しています。

具体的には、切除術では、問題のある傷跡部分を直接切り取り、その後特別な技術を用いて綺麗に縫合することで、傷跡の見た目を改善します。この方法は、シンプルで、体への負担も少ないため、多くの場合での第一選択となります。

一方、非常に広範囲にわたる傷跡の場合、一度の手術だけでは完全に縫合することが難しいことがあります。そういった場合には、分割切除術が適用されることがあります。この手法では、最初の手術で一部の傷跡を切除し、その後一定期間(通常は半年以上)を置いてから再度手術を行い、段階的に傷跡を縮小していきます。

植皮術・皮弁形成術

植皮術と皮弁形成術は、特定の傷跡や皮膚欠損部分の治療に用いられる外科的手法です。

植皮術は、体の一部から皮膚を採取し、傷跡や欠損部分に移植する手術です。特に広範囲の傷跡や、直接縫合することが難しい部位に対して行われることが多いです。しかし、移植された皮膚と周囲の皮膚との色の違いや、テクスチャの変化が生じることがあるため、完全に元の状態に戻るわけではありません。

一方、皮弁形成術は、隣接する健康な皮膚を利用して、欠損部分を覆う手術です。特に、顔の特定の部位(例:目の周りや口の周囲)など、形状や機能を維持することが重要な場所での治療に適しています。皮弁は、血流を維持したまま移動するため、生着が良好であるという特徴があります。

組織拡張器

組織拡張器は、皮膚の再生や修復のための特別な医療デバイスです。この技術は、皮膚が自然に伸びる能力を利用して、特定の部位の皮膚を増やすことを目的としています。

手術の際、シリコン製の小さな袋状のデバイスを皮膚の下に挿入します。このデバイスは、徐々に液体で膨らませられる特性を持っています。手術後、数ヶ月定期的に液体を注入して、デバイスを少しずつ膨らませていきます。これにより、周囲の皮膚が徐々に伸びていきます。

伸びた皮膚は、傷跡や欠損部分の修復に使用される資材として非常に価値があります。特に、大きな傷跡や欠損がある場合や、自然な皮膚のテクスチャや色合いを維持したい場合に、この方法は非常におすすめです。

組織拡張器を使用することで、人工的な皮膚や他の部位からの移植皮膚を使用することなく、患者さん自身の皮膚を使用して治療をします。これにより、外見や感触が自然であるとともに、拒絶反応のリスクも低減します。

チップスキングラフト

チップスキングラフトは、皮膚の治療法の一つで、特に広範囲で柔らかい傷跡や色の変わった部分の修復に適しています。この手法では、傷跡の表面を特殊な器具を使用して綺麗にすることから始めます。次に、健康な皮膚部分から薄く皮膚を採取し、それを細かく切り分けます。これらの小さな皮膚の断片を、前述の傷跡部分に均等に配置します。

この方法の利点は、自身の皮膚を使用するため、拒絶反応のリスクが低く、また、治療後の質感が自然であることです。特に、色の変わった傷跡や色素の失われた部分に対して、色調を均一にし、皮膚のテクスチャを改善する効果が期待できます。チップスキングラフトは、皮膚の外見と機能を回復するための方法として、多くの皮膚科医によって推奨されています。

禿創

禿創は、毛髪の生えている部位に生じた傷跡で、このような傷跡の範囲内では毛髪の再生が難しいとされています。一般的に、このような傷跡を直接切除して縫合すると、皮膚のテンションにより傷跡が拡大し、結果として目立つ傷跡が残ることが多いです。

しかし、新しい治療法では、傷跡の周囲の皮膚のテンションを最小限に抑える技術や、傷跡内に毛包を導入する方法が取り入れられています。さらに、自毛植毛技術を併用することで、禿創の部位にも自然な毛髪を再生させることが可能となっています。これらの統合的なアプローチにより、禿創の治療は大きく進化しており、傷跡がほとんど目立たない状態に修復が可能になっています。

レーザー治療

レーザー治療は、皮膚の特定の問題に対応するための高度な技術です。特に、色素の過剰な沈着が見られる場合、Qスイッチルビーレーザーを使用して色素をターゲットに治療をします。この治療は、特定の色素に反応するレーザーの光を利用して、色素の沈着を減少させることを目的としています。また、軟膏療法との組み合わせで、より結果を得られるとされてます。

さらに、皮膚の赤みや微細な血管の拡張が原因で発赤が見られる場合、色素レーザー治療が推奨されます。この治療は、特定の波長のレーザー光を使用して、皮膚の赤みや血管の問題を緩和することを目的としています。

傷跡は、多様な要因の組み合わせによって形成されるため、その治療も個別化される必要があります。

まとめ

まとめ

ここまで傷跡の再生医療についてお伝えしてきました。傷跡の再生医療の要点をまとめると以下の通りです。

  • 皮膚の再生医療とは皮膚の損傷や損失を治療するための革新的な技術
  • 肌の再生医療はさまざまな傷あとの治療に対応していて、具体的には顔面や頭部の傷、手術後の痕跡、熱傷や外傷による傷跡、さらにはリストカットなどの自傷行為による傷あとなどがある
  • 傷跡の手術方法には切除術・分割切除術や植皮術・皮弁形成術、組織拡張器などがある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業

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