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再生医療

再生医療の費用は?治療方法ごとの相場や保険適用について解説

再生医療 費用

再生医療という言葉を最近耳にする方も多いのではないでしょうか。

再生医療は傷ついた臓器の修復など病気の治療だけでなく、しわ改善といった美容にも使用されています。

そのような再生医療は高額なイメージがありますが、本記事では実際どのくらいの費用がかかるのか治療法ごとにご紹介します。

また、保険適用されるのかも解説するので参考にしてみてください。

再生医療とは?

再生医療とは?

「再生医療」は最近出てきた新しい言葉です。生体組織や臓器の機能が損なわれた場合に、細胞や人工材料を活用して、その機能を回復させる医療アプローチです。これにより、これまで治療法の限られていたケガや疾患に対する新たな可能性が広がっています。さらに、再生医療の技術を用いて難病の原因の解明や新薬の開発も進展しています。

再生医療は病気の治療のために使われる手段と思われがちですが、それだけではありません。以下のような治療に使用されています。

  • 病気の治療
  • 外傷などの治療
  • しわ改善など肌の悩み
  • 薄毛治療
  • 認知症
  • 身体の疲れ

また、再生医療は組織や臓器の機能を回復させるため、臓器移植と混同されがちですが別物です。再生医療では細胞製品を使用しますが、臓器移植では他人の臓器の組織が必要です。

日本では、世界に先駆けて再生医療を推進するための法律が整備されています。薬や医療機器の安全基準を改定するなど、新しい医療分野を奨励するための体制が整えられています。

ただし、がん化や初期段階の不完全な化学変化に関連した遺伝子的問題については、未解決の課題も多いです。

再生医療で取られている方法は何があるの?

再生医療で取られている方法は何があるの?

再生医療はいくつか種類があり、ものによって適用される症例が異なります。以下の方法が取られることが多いため、それぞれ詳しく見ていきましょう。

iPS細胞やES細胞を指す多能性幹細胞を使う方法

ヒトの細胞は体細胞と幹細胞に分類され、幹細胞はさらに体性幹細胞と多能性幹細胞に分けられます。多能性幹細胞はあらゆる種類の細胞に分化できる潜在能力を持つ細胞です。

人工多能性幹細胞であるiPS細胞や胚性幹細胞であるES細胞などが該当します。

iPS細胞は多様な細胞への分化潜在能力を活かし、血糖値の調整を行う細胞を生成します。また、神経細胞を移植して損失したネットワークを再接続したりするなどの治療法に使用される細胞です。

そのほかにも、iPS細胞は難治性疾患の研究にも活用されている細胞の1つです。患者さんの体細胞からiPS細胞を作成しそれを疾患部位の細胞に分化させ、疾患のメカニズムを解明する研究に役立てられています。

これにより、難治性疾患や脳内の神経細胞に関連する疾患の研究が進展し、新薬の開発に寄与する可能性があります。

さらに、iPS細胞を使用して薬剤の効果や副作用を評価するための検査や毒性テストを行うことができ、新薬の開発に革命的な影響を及ぼす可能性があるでしょう。しかし、腫瘍を形成する可能性があることが、安全面での課題です。

ES細胞は受精卵に非常に近い細胞で、適切な環境下であれば半永久的に維持できます。パーキンソン病・脊髄損傷の治療・心筋梗塞の治療・糖尿病・関節や骨などの修復に効果が期待できるでしょう。

ES細胞は様々な細胞へと分化することが可能であると考えられていますが、分化誘導方法が適切でなければなりません。これが可能になれば、近い将来細胞移植治療が開始されるでしょう。

ES細胞は免疫拒絶の問題があり研究が重ねられていますが、完全に拒絶反応をなくすことは不可能と現時点ではいわれています。そのため、免疫抑制剤を共用することが検討されています。

体性幹細胞を移植する方法

体性幹細胞は私たちの身体内に存在する多目的な幹細胞です。これらの細胞は、特定の役割を果たします。

例えば造血幹細胞は血液細胞を生成し、神経幹細胞は神経系の細胞を生み出すなどです。しかし最近の研究では、骨髄内に存在する「間葉系幹細胞」が、筋肉・軟骨・神経などの異なる種類の細胞に分化する「多機能性」を持つことが明らかになりました。

このことから間葉系幹細胞は、ES細胞やiPS細胞のように、多岐にわたる細胞へと変化することができる細胞だとわかります。

体性幹細胞は可塑性の問題が多く、肝細胞の一部が変化してしまうといった事例が多数報告されています。この原因は未だ解明できていません。

臓器や体組織を増やした後移植する方法

ヒトまたは異種動物の生体組織や臓器から細胞成分を取り除いた後の新しい基盤のことを、脱細胞化生体組織や脱細胞化臓器といいます。これらは移植や再生医療における支持材料の1つです。

これらは移植後の拒絶反応が少ないことから、再生医療の応用が期待されています。細胞密度・組織密度・脂肪量・組織構造・厚さなど組織の性質に大きく依存しますが、これらに依存することで脱細胞化しやすくなるでしょう。

移植する部分と同じ性質で脱細胞化した組織は、同所性の部分に移植します。移植後は同系組織に再構築されます。

同所性の部分に移植されることが多いですが、それだけではありません。

脱細胞化した皮膚を靭帯など異所性の部分に移植することもあります。別の組織を移植しても、最終的には適した組織に再構築されると確認されています。

しかし、脱細胞化製品は心臓や肝臓などの複雑な構造をしている臓器には適していません。そのため、今後さらなる研究が必要です。

治療方法ごとの現在の相場は?

治療方法ごとの現在の相場は?

再生医療は治療方法によって相場が異なります。ここでは、多能性幹細胞・自身の体性幹細胞・血液中の多血小板血漿を使用した治療法の相場を詳しく見ていきましょう。

多能性幹細胞を使った治療法

多能性幹細胞といわれる細胞には、iPS細胞やES細胞などがあります。iPS細胞やES細胞は第1種再生医療等に該当し、ヒトへの臨床試験が少ないため高リスクといわれている治療法です。

そのため、費用は数千万円から1億円かかるといわれています。患者さん本人から細胞を作り、この細胞から移植する細胞を作り出して移植するオーダーメイド再生医療のため高額になってしまいます。

また、iPS細胞はがんを誘発する可能性があるといわれているため、注意が必要な多能性幹細胞です。ES細胞はがん化のリスクは出ていませんが、ヒトの胚を破壊するという倫理的な問題があります。

自身の体性幹細胞を使った治療法

自身の体性幹細胞を使った治療法には間葉系幹細胞・造血幹細胞・脂肪幹細胞などが使用されますが、保険適応外の治療法です。費用の相場は120〜400万円(税込)と高額な費用がかかります。

体性幹細胞の細胞数・培養面積・投与回数によって価格が大幅に変わってしまう点に注意しましょう。自身から採取した細胞を培養するためには、導入費・依頼費・保管料・輸送費など多額のコストがかかります。

これらに加え、細胞の採取や投与などの技術料が発生します。そのため、自身の体性幹細胞を使った治療法では高額になってしまうのです。

高額な治療方法ではあるものの、拒絶反応が最も少ない方法です。そのため、細胞を投与しても副作用が出ることは少ないでしょう。

血液中の多血小板血漿を使った治療法

血液中の多血小板血漿を使った治療法は一般的にPRP療法といわれます。

従来の治療方法では切開する必要があったケースでも、切開することなく治療できます。そのため、傷跡が残りません。

このPRP療法は保険適応外のため全額自費となることを覚えておきましょう。相場は両膝で15〜60万円(税込)と価格に幅があります。

これは関節に投与する回数によって金額が変わるためです。1回の投与で大体5万円(税込)かかり、それを3回1クールとしている病院が多い傾向にあります。

PRP療法は保険適応外だけでなく、先進医療や高額医療補助の対象外でもあるので費用が高額です。また、病院によってはPRP療法後の痛み止めや湿布の処方も、全額自費になるので注意しましょう。

PRP療法の抗炎症作用を高めたASP療法の場合、片膝で30〜40万円(税込)ほどの費用がかかります。ASP療法もPRP療法と同様に、保険は適応されません。

再生医療の費用は診療内容によっても違う?

再生医療の費用は診療内容によっても違う?

再生医療の費用は保険診療なのか、自由診療なのかで価格が異なります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

保険診療の場合

再生医療はほとんど保険適用されません。多くの医療機関で自由診療扱いになっています。ただし、厚生労働省から薬事承認された再生医療製品を使用していれば、保険適用されることがあります。

厚生労働省に承認された再生医療製品は19種類ありますが、条件や期限付きのものもあることを覚えておきましょう。

保険適用されると思っていても条件に当てはまっていなかったり、薬事承認された日から換算した期限が過ぎたりしていると保険適用になりません。保険適用された場合は、自由診療価格の3割負担です。

自由診療の場合

有効性や安全性を厚生労働省に認められていない医療技術や、再生医療製品を使用する場合、自由診療扱いとなります。承認されるためには臨床研究や治験をしなければなりませんが、再生医療はこのデータが足りません。

自由診療の場合、限度額に制限がないため医療機関によって金額が大きく異なることがあります。そのため、自由診療の場合はいくつかの医療機関の費用を比較するようにしましょう。

今まで治療できなかった病気への効果を期待できることから、保険適用への声が上がっているので今後適用範囲が広がる可能性はあります。

なぜ再生医療は費用が高いの?

なぜ再生医療は費用が高いの?

再生医療は他の医療よりなぜ高額になってしまうのか疑問に思う方も多いでしょう。ここでは、コスト・研究・高額療養費について解説します。

細胞培養に高いコストがかかるため

再生医療製品はそもそも患者数の少ない疾患に使用するため、医薬品のように大量生産ができません。大量生産できないことに加え、生物由来材料で無菌性が担保されていなければいけないため材料費が高額です。

また、通常の施設と異なり、清浄度が高い特別な施設が必要となります。毎日24時間の管理が必要になるので、人件費などの管理費も発生します。

さらに、品質検査のコストや輸送にかかるコストなどがあり、細胞培養するためには高いコストが必要なのです。

iPS細胞など技術ライセンスがあるものや知財権のある細胞を使用する場合、別途で費用が発生します。

研究段階の治療法のため

再生医療に限らず医薬品などの研究段階では億単位の費用がかかっています。また、研究段階の場合、厚生労働省からの承認が下りず保険適用外になります。

保険適用外の治療は、すべて自己負担になるので費用が高額です。また、保険適用外の再生医療の場合、診察・検査・投薬・入院料なども保険適用されないことが多いでしょう。

研究段階のものは臨床データが十分と判断され、厚生労働省から承認されれば今後保険適用になる可能性があります。

高額療養費の対象外のため

医療費が家計に負担をかけないように、医療機関や薬局での支払いが月間上限額を越えた場合、余分な負担を軽減するための「高額療養費制度」が設けられています。

しかし、再生医療は多くのケースで保険適用外のため、高額療養費制度が使用できません。そのため、費用が高額になってしまいます。

ただし、先進医療に当たるとされた再生医療は保険外併用療養費制度が使えることがあります。これは先進医療分は自費ですが、入院費などは保険適用になる制度です。

また、高額療養費や先進医療の対象にならなくても、医療費控除できる可能性があります。自分が対象になるかは税務署に問い合わせましょう。

現在の再生医療はどの治療で使われているの?

現在の再生医療はどの治療で使われているの?

再生医療は様々な治療に用いられている治療法です。その中で本記事では、脊髄損傷再生医療・変形性膝関節症治療・美肌治療について詳しく解説します。

脊髄損傷再生医療

脊髄損傷再生医療

骨髄損傷は毎年5,000人近くに発生しており、主な原因は交通事故や高所からの転落です。骨髄損傷による麻痺には確立された治療法がなく、リハビリや装具で改善するにとどまっています。

そこで、iPS細胞・嗅神経鞘細胞・骨髄細胞などを用いた細胞移植療法の研究が進められています。この方法は、海外ではすでに有効性が確認されている方法です。

変形性膝関節症治療

変形性膝関節症治療

変形性膝関節症治療にはPRP療法を用いることが多く、人工関節を入れることなく改善が見込めます。

保険診療だとヒアルロン注射やリハビリなどで改善しますが、根本的な治療にはなりません。

再生医療であれば、自分の血漿や血小板を採取して幹細胞を培養し、投与することで膝の軟骨を再生します。これにより、膝関節の変形の進行が止まり改善していくのです。

美肌治療

美肌治療

美肌治療にはPRP療法を用いた再生医療が使用されています。血小板には成長因子が多く含まれているので、注入すると細胞を活性化します。

この作用によって、肌の組織が再生されたり修復されたりするのです。また、コラーゲンやヒアルロン酸の産生が盛んになるので、スキンケアなどよりも大きな効果が得られるでしょう。

肌のしわや顔のほうれい線に悩んでいる方におすすめな治療です。

まとめ

まとめ

再生医療はまだ研究段階のものが多く、治験などのデータが足りていません。そのため、厚生労働省から承認されていないものが多く保険適用外の治療が多いです。

保険適用外のため全額自費で支払わなければなりません。また、自由診療の医療機関が多いため、高額療養費が使えないデメリットもあります。

費用は高額になってしまいますが、治療法がなかった病気が治療できたケースもあるためメリットが大きいです。

再生医療が使用できるかは医師の判断となるため、本記事を読んで再生医療を受けるか迷われた方は医療機関を受診してください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業

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