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PRP育毛療法とは?PRP育毛療法を受けられない人やほかの治療法との違い、治療プロセスを解説します

PRP育毛療法とは?PRP育毛療法を受けられない人やほかの治療法との違い、治療プロセスを解説します

PRP育毛療法は、薄毛や抜け毛に悩む方に役立つ治療法の一つになっています。
しかし、PRP育毛療法とは具体的にどのような治療法なのでしょうか?また、従来の育毛治療法と比べてどのような特徴があるのでしょうか?

本記事ではPRP育毛療法について、以下の点を中心にご紹介します。

  • PRP育毛療法とは
  • PRP育毛療法とほかの毛髪再生治療の違い
  • PRP育毛療法のメリット・デメリット

PRP育毛療法を理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

PRP(多血小板血漿)育毛療法について

PRP(多血小板血漿)育毛療法について

PRP(多血小板血漿)育毛療法は、患者さん自身の血液から抽出した多血小板血漿を使用して毛髪の成長を促す治療法で、自然な方法で髪の成長をサポートするものです。
聖マリアンナ医科大学の研究によると、PRPは萎縮毛包(円形脱毛症や抗がん剤治療薬の副作用による抜け毛など、病的なもの)の再生ではなく、遺残する毛包に作用するもので、毛包のヘアサイクル関連物質の発現調節を行うことで活動期を維持し、毛髪の成長に関与していると考察されています。

以下で、PRP育毛療法の具体的な方法や成分の作用、適応条件について詳しく解説します。

PRP(多血小板血漿)育毛療法とは

PRP育毛療法は、患者さん自身の血液を採取し、遠心分離機を使って血小板を濃縮した多血小板血漿(PRP)を抽出するプロセスから始まります。

PRPを頭皮に注入することで、毛根の再生をサポートします。PRPには成長因子が含まれており、これらの因子が毛根に働きかけることで、毛髪の成長を助けます。

PRP育毛療法の特徴は、外科的な手術を伴わないことです。そのため、患者さんの身体的負担が少なく、回復期間も短いという利点があります。また、自己由来の血液を使用するため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクが低いことも特徴です。

PRP育毛療法は、複数回行うことで効果を高めていきます。治療の間隔や回数は、患者さんの状態や目標に応じて個別に設定されますが、継続的な治療と経過観察が重要です。

PRPに含まれる成分の作用

PRPには、さまざまな成長因子が含まれており、これらが毛髪の成長をサポートする役割を果たします。
以下では、主な成長因子とその作用について詳しく説明します。

TGF-β(トランスフォーミング増殖因子)

TGF-βは、細胞の成長や分化を調節する重要な成長因子です。毛根の細胞に働きかけ、毛髪の成長サイクルを正常化させる役割があります。
具体的には、毛包の休止期から成長期への移行を促し、毛髪の成長期間を延長させる効果があるとされています。

また、TGF-βは毛髪の成長に必要な細胞外マトリックスを生成し、より健康な毛髪の成長を促します。
さらに、TGF-βは毛包の幹細胞の維持にも関与しており、長期的に毛髪の成長を支えます。

PDGF(血小板由来増殖因子)

PDGF(血小板由来増殖因子)は、血小板から放出される強力な成長因子の一つで、血管の新生や細胞の成長を促す重要な役割を果たします。

PDGFは毛根周辺の微小血管の形成を刺激し、血流を改善します。
血流の改善は、毛根に必要な酸素や栄養素の供給につながるため、毛髪の成長につながります。

さらに、PDGFは毛根の細胞自体にも直接作用します。毛包を構成する細胞を増殖させて、毛髪のサイクルを活性化させます。これにより、休止期にある毛包が成長期に移行しやすくなり、新しい毛髪が形成されます。

EGF(表皮増殖因子)

EGF(表皮増殖因子)は、細胞を成長させ、分裂させる成長因子です。頭皮の細胞に対して強力な作用を持ち、毛根の再生をサポートする役割があります。

EGFは特に、毛包を構成する表皮細胞や毛母細胞の増殖を刺激することにより、新しい毛髪の形成が活発化し、健康な毛髪が育ちやすい環境を整えます。
ほかにも、EGFは毛包の休止期を短縮して成長期へ移行させます。

さらに、EGFは頭皮の皮膚細胞の代謝も活性化させるため、頭皮の健康が改善され、毛髪の成長にとって理想的な環境を整えます。

VEGF(血管内皮細胞増殖因子)

VEGF(血管内皮細胞増殖因子)は、頭皮における血管の発達と維持に重要な役割を果たします。

VEGFの作用により、頭皮の血流の改善や、毛根に必要な酸素や栄養素のスムーズな供給を目指します。
また、血流の改善は老廃物の除去も行い、毛包周囲の環境を健康に保ちます。

VEGFは、既存の血管を拡張させるだけでなく、新しい毛細血管も形成する働きがあるため、毛包周辺の血管網が充実し、毛髪の成長に必要な栄養素や酸素の供給を増加させます。
さらに、VEGFはEGF同様、毛包の細胞を成長期へ移行させ、毛髪の成長を促します。

VEGFの作用は、頭皮全体の健康維持にも貢献します。健康な血管網は、頭皮の代謝を活性化し、ほかの栄養素や成長因子の働きを支えるからです。これにより、総合的な頭皮の健康が向上し、長期的な毛髪の成長と維持につながります。

PRP育毛療法を受けられない人

PRP育毛療法は、患者さん自身の血液から抽出した血小板を利用するため、状況によっては受けられない方もいます。
PRP育毛療法が難しい方について、以下で詳しく解説します。

血小板異常による疾患を抱えている方

血小板は血液凝固や組織修復に不可欠です。そのため、血小板減少症や血小板機能障害などの疾患を抱えている方は、血小板に関連する疾患があるため、PRP育毛療法を受けられません。

血小板減少症や血小板機能障害などの疾患を抱えている方は、治療によって症状が悪化する可能性もあります。
血液検査で異常が見つかった場合や、出血しやすい、あざができやすいなどの症状がある方は、まず医師に相談してください。

感染症のある方

細菌感染症やウイルス感染症に罹患している方はPRP育毛療法を受けることはできません。

感染症がある状態でPRP育毛療法を受けると、PRP育毛療法の効果も十分に得られない可能性があるだけでなく、感染が頭皮全体に広がる危険性があります。
感染症の症状がある場合は、まず感染症の治療を優先してください。

がん治療中の方

がん治療、特に化学療法や放射線療法は、正常な細胞にも影響を与えるため、がん治療中の方もPRP育毛療法を受けられません。

がん治療中は免疫系が弱っている場合があり、PRP育毛療法によって予期せぬ副作用が生じる可能性があります。また、がん細胞が増殖してしまう可能性も否定できません。
がん治療が終了し、医師から許可が出てから育毛治療を検討するのがよいでしょう。

PRP育毛療法とほかの毛髪再生治療の違い

PRP育毛療法とほかの毛髪再生治療の違い

毛髪再生治療にはさまざまな方法がありますが、それぞれの治療法には独自の特長と利点があります。
PRP育毛療法は、自己血液から抽出した多血小板血漿を利用する治療法です。
これに対し、PFC (血小板由来成長因子濃縮液)やHARGカクテル療法などの治療法も存在します。

ここからは、これらの治療法の違いについて詳しく解説し、各治療法の特長と利点を比較していきます。

PFC (血小板由来成長因子濃縮液)毛髪再生治療

PFC毛髪再生治療は、患者さん自身の血液から抽出した血小板由来成長因子を濃縮した液体を使用する治療法です。この治療法は、成長因子を高濃度に濃縮することで、毛根の再生を図ります。

PFC治療では、まず患者さんの血液を採取し、遠心分離機を使用して血小板を抽出します。その後、成長因子を濃縮し、頭皮に注入します。この過程で薄毛の改善が期待されます。
また、PFC治療は、自己血液を使用するため、アレルギー反応のリスクが低いとされています。

HARG(HARGカクテル療法) 毛髪再生治療

HARGカクテル療法は、脂肪幹細胞から抽出した成長因子を使用する毛髪再生治療です。
HARGカクテル療法は、幹細胞由来の成長因子を頭皮に注入することで、毛根の再生をサポートします。HARG療法は、特に進行した薄毛の治療に効果があるとされています。

HARG療法のプロセスは、まず患者さんの脂肪組織から幹細胞を抽出し、成長因子を取り出します。その後、成長因子を頭皮に注入し、毛根の再生をサポートします。

HARG療法は、幹細胞の再生能力を活用するため、毛髪の再生が期待されます。
また、HARG療法は、ほかの治療法と併用することで効果を高めるとされています。

PRP育毛療法のメリット

PRP育毛療法のメリット

PRP育毛療法には、従来の育毛治療とは異なるいくつかの利点があります。
ここでは、PRP育毛療法の主な3つのメリットについて詳しく解説します。
副作用のリスクが低いこと、ダウンタイムが短いこと、そして効果の持続時間が長いことが特長として挙げられます。

副作用のリスクが軽減される

PRP育毛療法の大きな利点の一つは、副作用のリスクが軽減されることです。患者さん自身の血液から抽出した血小板を使用するため、体に対する負担が少ないとされています。

従来の育毛薬や育毛剤と比べると、アレルギー反応や予期せぬ副作用が起こる可能性が低くなります。自己由来の成分を使用するため、体が異物として認識する可能性が低いのです。
また、薬剤を使用しないため、薬物相互作用のリスクもありません。

ただし、リスクがないわけではありません。注射による痛みや、まれではありますが、感染症のリスクがあります。

ダウンタイムが短い

PRP育毛療法のもう一つの利点は、外科的な処置を必要としないため、ダウンタイムが短いことです。治療後すぐに日常生活に戻ることが可能とされています。
注射部位に若干の赤みや腫れが生じる場合がありますが、これらの症状は数日で自然に収まるとされています。頭皮に直接注入するため、髪の毛を切る必要もありません。

治療時間も短く、1回の施術は30分~1時間程度で終わります。そのため、忙しい方でも時間を作りやすく、定期的な治療を継続しやすいのが利点です。

効果の持続時間が長い

PRP育毛療法の3つ目の利点は、効果の持続時間が長いことです。頭皮の環境を改善し、毛根を活性化させることで、長期的な効果を狙います。

PRP育毛療法の効果は3〜6ヵ月程度持続するとされています。ただし、個人差があり、生活習慣や遺伝的要因によっても効果の持続時間は変わってきます。

効果を維持するためには、定期的な治療が推奨されます。初回治療後3〜6ヵ月ごとにメンテナンス治療を行うことで、効果を持続させることが可能とされています。
また、PRP育毛療法はほかの育毛治療と併用でき、相乗効果を得られる可能性もあります。

PRP育毛療法のデメリット・副作用

PRP育毛療法のデメリット・副作用

PRP育毛療法には、ほかの治療法と同じく、以下のようなデメリットが存在します。

  • 即効性がない
  • 継続的な治療が必要
  • 治療費用が高額になる
  • 採血や治療時の注射による痛みや不快感を伴う

また、PRP育毛療法はリスクの低い治療法とされていますが、副作用がまったくないわけではなく、以下のような副作用が現れる可能性があります。

  • 注射部位の痛みや腫れ
  • 頭皮の赤み
  • 軽度の頭痛
  • アレルギー反応
  • 毛髪の一時的な脱落

副作用が生じた場合は、速やかに医師に相談することが大切です。 また、PRP育毛療法を受ける前に、これらのリスクについて十分に理解し、納得してから治療を受ける判断をしましょう。

PRP育毛療法の診察・施術の流れ

PRP育毛療法の診察・施術の流れ

ここからは、PRP育毛療法の診察から施術までの流れを詳しく解説します。

カウンセリング・診察

PRP育毛療法の第一歩は、カウンセリングと診察です。

まず、患者さんの頭皮の状態や薄毛の進行度を確認するために、医師による診察が行われます。
カウンセリングでは、患者さんの悩みや希望を詳しく聞き取り、治療プランを提案します。
また、PRP療法の仕組みや期待できる効果、施術の流れについても詳しく説明されます。

採血・PRP抽出

カウンセリングと診察が終わったら、次に行われるのが採血とPRPの抽出です。 患者さんの腕から血液を採取(20cc程度)し、その血液を専用の遠心分離機にかけて血小板を濃縮します。

この過程で、成長因子を豊富に含むPRPが抽出されます。
PRPの抽出には、特殊なキットや技術が使用されるため、短時間で高濃度のPRPを得られます。

採血からPRPの抽出までの時間は20〜30分程度で、患者への負担が少ないプロセスです。

PRP注入

最後に、抽出されたPRPを頭皮に注入します。
注入には、極細の針を使用し、痛みを抑えながら行います。注入する部位は、薄毛が気になる箇所や発毛を促したい部分です。注入時に少量の出血は伴いますが、すぐに止血が行われます。

注入後は、しばらく経過観察を行い、問題がないことを確認し、今後の治療計画や施術後の注意事項を説明してから終了となります。施術全体の所要時間は1時間程度です。

PRP育毛療法は、ダウンタイムが少ないとされていますが、施術後は医師の指示を守り、もしも気になる症状が生じた場合は、担当医へ相談しましょう。

まとめ

まとめ

ここまで、PRP育毛療法についてお伝えしてきました。
PRP育毛療法についての要点をまとめると以下のとおりです。

  • PRP育毛療法とは、患者さん自身の血液から抽出した多血小板血漿を使用して、毛髪の成長を促す治療法
  • PRP育毛療法が、自己血液から抽出した多血小板血漿を利用する治療法で、ほかには、濃縮した血小板由来成長因子を液体を使用する治療法や脂肪幹細胞成長因子を使用する治療法がある
  • PRP育毛療法のメリットは、副作用のリスクが軽減されることやダウンタイムが短いことなどで、デメリットは即効性がないことや継続的な治療が必要なこと、治療費用が高額になることなど

本記事が少しでも、薄毛や抜け毛に悩まれている方のお役に立てれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
佐上 徹医師(合同会社さがみ産業医事務所代表 / 新宿クレアクリニック院長)

佐上 徹医師(合同会社さがみ産業医事務所代表 / 新宿クレアクリニック院長)

・横浜市立大学医学部卒業 ・東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了 ・専門は放射線診断学 産業医学 臨床疫学 ・大学病院等で放射線診断医として研鑽を積む。放射線診断専門医・指導医を取得した後、大学院へ進学。 ・2016年国立がん研究センターがん対策情報センター全国がん登録分析室で疫学研究に従事。 ・2017年大手サービス業の専属産業医に従事(6年)。 ・2023年合同会社さがみ産業医事務所を設立。 ・2024年新宿クレアクリニック院長を兼ねる。

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