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肌再生医療は失敗することもある?PRP皮膚再生療法の失敗の原因・リスクを解説

肌再生医療 失敗

肌再生医療は、肌機能を活性化することでシワやたるみといった肌トラブルを改善します。

患者さんご自身の細胞や血液成分を使用するため、副作用などの心配が少なく安全性が高いこともあり、注目を集めている治療法です。

しかし、中には肌再生医療が失敗し、思うような効果が得られない場合があります。

今回は肌再生医療のうち、PRP皮膚再生療法の失敗原因とリスクについて説明します。

肌再生医療を受ける際の参考にしていただけると幸いです。

肌再生医療は失敗することもある?

考える男性医師

安全性が高いとされる肌再生医療ですが、副作用やデメリットが全くないわけではありません。ときには治療が失敗することもあります。

肌再生医療には「線維芽細胞療法」と「PRP皮膚再生療法」の2種類があります。

線維芽細胞療法は、患者さん自身の皮膚から採取した線維芽細胞を培養・増殖させ、肌の気になる箇所に移植する方法です。

減ってしまった線維芽細胞を移植して増やすことで、シワやたるみといった肌トラブルの改善が期待できます。

PRP皮膚再生療法は、患者さん自身の血液から「多血小板血漿」を取り出し、肌に注入する方法です。

多血小板血漿とは、血小板を濃縮した血漿のことです。

血液に含まれる血小板には、出血した際に止血する作用があるほか、成長因子を放出して細胞の修復・増殖を促す作用があります。

この成長因子の作用を利用して、肌細胞の再生を促す治療がPRP皮膚再生療法です。

2つの肌再生医療のうち、PRP皮膚再生療法の失敗の原因について以下で説明します。

PRP皮膚再生療法の失敗の原因

頭を抱える医師

PRP皮膚再生医療をはじめとした肌再生医療の失敗の原因には、患者さん側のセルフケアの問題と、施術を行う側の問題があります。

施術を行う側の問題には、「医師の技術不足」が挙げられます。

また、患者さん側の「施術を受けるクリニックのリサーチ不足」もあるでしょう。

肌再生医療には高い技術力が求められるため、医師の技量によって施術の成功が大きく左右されます。

肌再生医療の実績が豊富なクリニックほど、技術と知識が豊富に蓄積されているので、クリニック選びが非常に重要です。

PRP皮膚再生療法の失敗の原因を理解することで、リスク低減に役立つでしょう。

医師の技術不足

困る女性医師

肌再生医療は、通常の美容医療に比べて高い技術力が必要です。そのため、担当する医師の技術力によって治療後の仕上がりに差が生じます

担当医師の技術力を知るには経歴を調べると良いでしょう。

1つのポイントとなるのが、担当医に形成外科や皮膚科の経験があるかどうかです。

人の皮膚の厚さや血管の走行などは個人差が大きいため、肌再生医療を行うには皮膚や顔の解剖学への深い理解が必要です。

そのため、美容皮膚科だけではなく、形成外科や一般の皮膚科を経験している医師の方が、安心して施術を任せられるでしょう。

このほか、各種学会への所属・認定もポイントです。

日本皮膚科学会・日本再生医療学会・日本美容外科学会など、医師の専門学会がありますので、これらの学会への所属・認定の有無を調べると良いでしょう。

施術を受けるクリニックのリサーチ不足

上記で説明した医師の経歴だけではなく、施術を受けるクリニックのリサーチも非常に大切です。

PRP皮膚再生療法などの肌再生療法を受ける際、クリニックを選ぶポイントとなるのが、「厚生労働省の認可を得ているか?」という点です。

実は、全てのクリニックがPRP皮膚再生医療などの肌再生医療を施術できるわけではありません。

肌再生医療の施術を行うには厚生労働省の認可が必要です。

平成26年11月25日施行の「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、厚生労働省が定めた安全性・管理体制などの基準を満たした施設のみが認可されます。

厚生労働省認可の「再生医療等提供機関」は第一種・第二種・第三種の3つに分類されており、PRP皮膚再生療法は第三種になります。

PRP皮膚再生療法を受けるクリニックを選ぶ際には、上記の認可を受けている施設かどうかをリサーチしてみると良いでしょう。

PRP皮膚再生療法のリスクは?

考える医師

PRP皮膚再生療法は安全性が高い肌再生療法ですが、リスクが全くないわけではありません。

PRP皮膚再生療法では患者さん自身の血液から多血小板血漿を採取するため、拒絶反応やアレルギーの心配が少ないとされています。

しかし、治療効果や費用などにおいて、いくつかリスクがあるのも確かです。以下でPRP皮膚再生療法におけるリスクについて説明します。

効果が出るまでに時間がかかるケースがある

時間がかかる

PRP皮膚再生療法では、多血小板血漿に含まれる成長因子の作用を活用し、肌の再生を促すことでシワやたるみを改善します。

つまり、患者さん自身の肌細胞が本来持っている力を高めることで、肌の再生を促すのです。そのため、効果が出るまでに時間がかかるケースがあります。

PRP皮膚再生療法の効果が出るまでの期間には個人差があるため一概にはいえませんが、数週間から数ヶ月かかるケースも少なくありません。

一方、一般的なシワ取り治療であるボトックスは数日から1週間、ヒアルロン酸注射は注射直後から効果が実感できます。

ボトックスやヒアルロン酸注射のイメージでPRP皮膚再生療法を受けてしまうと、なかなか効果が実感できずに不安に思うケースもあるでしょう。

PRP皮膚再生療法を受けてどのくらの期間で効果が実感できるのか、担当医に相談し、理解してから施術を受けるようにしましょう。

費用が高額

PRP皮膚再生療法は公的保険適用外の自由診療です。施術にかかる費用は全て患者さんの自己負担となるため、高額になる場合が多いでしょう。

また、PRP皮膚再生療法は施術を一度受ければ終わりというわけではない点も、費用が高額になる要因です。

PRP皮膚再生療法は肌細胞の機能を高め、より自然な若々しさを引き出しますが、その効果は永続的なものではありません。

効果が持続する期間は1〜2年以上と、ボトックスやヒアルロン酸注射よりも長いとされていますが、徐々に効果はなくなっていきます。

そのため、効果を持続するには繰り返し施術を受ける必要があります。

費用はクリニックによって変わりますが、顔全体で20〜40万円(税込)程度かかるでしょう。予算の範囲内で施術が受けられるかどうか、事前に確認しましょう。

細菌感染の可能性がゼロではない

PRP皮膚再生療法では、稀に細菌感染が起こる場合があります。原因は細菌汚染された多血小板血漿を注射してしまうことです。

多血小板血漿の細菌汚染がなぜ発生するのかというと、採取した血液から多血小板血漿を取り出す際などに、人の手を介して細菌が侵入する場合があるからです。

多血小板血漿を取り出す場合だけではなく、医療行為において衛生を保つことは必須といえます。

しかし、何らかの原因で衛生が保たれず、手についた細菌が侵入する可能性もゼロではありません。

そのため、稀ではありますが、PRP皮膚再生療法で細菌感染が発生する場合があるのです。

PRP皮膚再生療法において細菌が体内に侵入した場合、注射した箇所が腫れたり赤くなったりします。

ほとんどの場合、これらの症状は自然治癒しますが、稀に膿瘍を形成したり蜂窩織炎を発症したりする場合もあるため注意が必要です。

PRP皮膚再生療法の施術後に腫れや赤みなどの異常を感じたら、早めに医療機関に相談するようにしましょう。

PRP皮膚再生療法の失敗例

疲れる男性医師

安全性が高いとされるPRP皮膚再生療法ですが、施術が失敗する可能性はゼロではありません

ここではPRP皮膚再生療法の失敗例について紹介します。

施術した部分が膨らみすぎてしまった

PRP皮膚再生療法の施術を行った部分が、想定よりも膨らみすぎてしまうという失敗例があります。

原因として次の3つが挙げられます。

  • 多血小板血漿の注入量が多い
  • 多血小板血漿の濃度が濃い
  • 添加した成長因子の量が多い

これらに共通するのは「成長因子の量が多すぎること」です。

PRP皮膚再生療法では、皮膚に多血小板血漿を注射することで肌機能の活性を促し、コラーゲンやヒアルロン酸の生成力を高めます。

これにより肌のハリが戻りシワやたるみが改善されるのです。

しかし、成長因子の量が多すぎると、コラーゲンやヒアルロン酸が過剰に生成されてしまい、想定よりも膨らみすぎる場合があります。

適切な成長因子の量は患者さんの体質などにも左右されるため、施術する医師の経験と技術が非常に重要です。

しこりができてしまった

PRP皮膚再生療法の施術によってしこりができてしまう場合があります。

原因は過剰に膨らんでしまう場合と同じく、成長因子の量が多すぎるためです。

成長因子の作用が強く働き、想定以上にコラーゲンやヒアルロン酸が生成されることで、膨らみがなかなか引かずにしこりとなる場合があります。

PRP皮膚再生療法で発生するしこりは、数ヶ月程度で吸収される場合が多いでしょう。

時間が経ってもしこりがなかなか吸収されず気になるという方は、しこりを解消する施術が受けられる場合があるので、医療機関に相談してみると良いでしょう。

思ったほどの効果を得られなかった

肌が気になる女性

施術箇所の膨らみすぎとは逆に、思ったほどの効果が得られない場合もあります。

効果が得られない原因として考えられるのが、「成長因子の不足」です。

PRP皮膚再生療法に使用する多血小板血漿は、患者さん自身の血小板を濃縮して作られます。実は、血小板に含まれる成長因子の量には個人差があります。

もともと成長因子が少ない方の場合、血小板を濃縮して多血小板血漿を得ても、十分な量の成長因子が含まれていません。

このような多血小板血漿を使用した場合、肌機能を活性化させるだけの十分な作用が働かないため、思ったほどの効果が得られない可能性があります。

確かに、PRP皮膚再生療法の効果を実感するまでには時間がかかります。

しかし、数ヶ月経っても効果が実感できないという場合には成長因子不足が原因の可能性もあるので、医師に相談しましょう。

PRP皮膚再生療法で失敗した場合の対処法は?

アドバイスする医師

PRP皮膚再生療法が失敗し、膨らみやしこりが残ってしまった場合でも、対処する方法はあります

膨らみやしこりを小さくする注射を打ったり、手術で除去したりするなどの対処法がとられます。

PRP皮膚再生療法を行っているどの医療機関も、失敗しないように細心の注意を払いながら施術しているでしょう。

しかし、思わぬ要因によって失敗してしまう可能性もゼロではありません。万が一失敗した場合でも対処は可能なので、施術を受けた医療機関に相談してください。

以下でPRP皮膚再生療法が失敗した場合の具体的な対処法について説明します。

ケナコルト注射

注射器と医師

ケナコルトとはステロイド(副腎皮質ホルモン薬)の一種で、炎症を抑えたり細胞を萎縮させたりする効果があります。

PRP皮膚再生療法によって異常に盛り上がった細胞に対してケナコルトを注射することで、細胞を萎縮させ膨らみやしこりを解消します。

膨らみやしこりの大きさによっては一度の施術で効果が現れることもありますが、基本的には複数回の施術が必要となる場合が多いでしょう。

ケナコルト注射の副作用としては、皮膚がへこみ過ぎたり、皮膚に赤みが出たりすることがあります。

このほか、ステロイドは免疫力を低下させる副作用があるため、感染症を引き起こしやすくなる場合があります。

患者さんの健康状態によってはリスクもある対処法なので、医師とよく相談してから施術を受けるか判断しましょう。

手術で除去する

手術によって膨らみやしこりを除去する対処法もあります。

しかし、症例によっては手術ができない場合があったり、術後の回復期間が長くかかったりする場合があります。

そのため、膨らみやしこりの除去に手術が選択されることはあまりありません。

PRP皮膚再生療法のメリット・デメリット

相談する女性

PRP皮膚再生療法は安全性が高く、自然な肌のハリ・弾力のアップが期待できることがメリットです。

しかし、メリットだけではなくデメリットも存在します。ここではPRP皮膚再生療法のメリット・デメリットについて説明します。

自分の組織のみを使用する場合は安全性が高い

PRP皮膚再生療法の施術では、患者さん自身の血液から取り出した多血小板血漿のみを使用する場合と、成長因子を添加して使用する場合の2通りがあります。

患者さん自身の組織のみを使用する場合は、拒絶反応やアレルギーなどの副作用が起こりにくく、安全性が高いです。

患者さん自身の血小板の成長因子が少ない場合や、より効果を高めたい場合に成長因子を添加して使用します。

成長因子を添加して使用する場合は、作用が強く働きすぎて膨らみやしこりが発生する確率が高まるため、医師の高い技量が求められます。

肌のハリ・弾力がアップする

PRP皮膚再生療法は、多血小板血漿に含まれる成長因子の作用を利用し、患者さん自身の肌機能を高める治療法です。

肌が本来持っている機能を向上させ、コラーゲンやヒアルロン酸の生産を促進することで、自然な肌のハリ・弾力アップが期待できます。

ボトックスやヒアルロン酸注射とは違い、自然な若々しさが得られるでしょう。

効果が出るまで時間がかかる

PRP皮膚再生療法のデメリットとして、効果が出るまでに数週間から数ヶ月ほどの時間がかかる点が挙げられます。

効果が出るまで時間がかかる理由は、肌機能が回復しコラーゲンやヒアルロン酸の生産が増えるまでに時間がかかるからです。

また、血小板に含まれる成長因子の量や質によっても、効果が現れるまでの時間が左右されます。

数ヶ月経っても一向に効果が現れないという場合には、成長因子不足による施術の失敗も考えられるため、一度医師に相談すると良いでしょう。

施術を受けられないケースもある

患者さんの健康状態によっては施術が受けられないケースもあります。

PRP皮膚再生療法の施術が受けられないケースは以下のような方です。

  • 妊娠中の方
  • 授乳中の方
  • 心疾患・脳疾患・肝疾患・腎疾患がある方
  • 抗凝固薬など血液をサラサラにする薬を飲んでいる方
  • 重度の糖尿病の方

上記の方々はPRP皮膚再生療法の施術が受けられないので、事前のカウンセリングで医師に必ず伝えましょう

まとめ

注射治療を受ける女性

PRP皮膚再生療法は手術の必要がなく、注射だけでシワやたるみが改善し、自然な若々しさが手に入る注目の治療方法です。

しかし、一般的な美容医療に比べ高い技術力が必要なため、施術の成功・失敗は医師の技術力や経験値に大きく左右されます。

そのため、医師やクリニックについての事前リサーチが非常に重要です。

医師の経歴や、クリニックが再生医療の認可を受けているかなどの情報を、事前にホームページで確認しましょう。

PRP皮膚再生療法の技術・経験が豊富な医師の施術を受けることで、失敗する確率が減ります。

万が一失敗した場合にも、経験豊富な医師ならばすぐに対処できるでしょう。PRP皮膚再生医療は決して安い施術ではありません。

費用に見合う施術が受けられるように、経験豊富な医師が在籍するクリニックを選びましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業

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