肌の再生医療とは、自分の細胞を培養し移植することで、老化による肌質の変化やトラブルを改善する美容医療の一つです。
老化により減ってしまった肌細胞を補うことで、しわ・たるみ・目の下のくまなどの肌の悩みを根本から改善することができます。効果が現れるまで時間はかかりますが、仕上がりが自然なことがメリットの一つです。
さらに体に大きくメスを入れることがなく、人工的に作られた製品や添加剤を使用しないため、体への負担が少ないこともわかっています。
一方で効果に個人差があり即効性がないことや、費用が高額になる可能性があることも知っておきましょう。
今回は肌の再生医療の効果と治療法について詳しく解説します。
肌の再生医療の効果
- 肌の再生医療とはどのような治療ですか?
- 肌の再生医療とは、自分の細胞を培養または抽出して、再度自分の肌に移植する治療です。ここでは「幹細胞治療」と「PRP療法」について解説します。幹細胞治療は、老化で減ってしまった皮膚の肌細胞を補充する治療です。社員が減ってしまった会社に、若い社員を多く採用した場合をイメージしてください。社員が増えることで仕事を多くこなすことができ、肌を活性化させることができます。
一方PRP療法は、血小板が肌細胞を活性化させる成長因子を出すことを利用し、血小板を多く含む血液成分を肌に注入する治療です。社員が減ってしまった会社でボーナスを出したり、やる気が出るよう励ましたりする場合をイメージしてください。
どちらの治療も肌の老化による悩みを根本から改善します。また、自分の皮膚や血液を使うためアレルギーの心配が少ないことも特長です。肌の再生医療は自分の細胞を使って、しわ・たるみ・目の下のくまといった肌トラブルを改善させることができます。
- 肌の再生医療で治療できる部位はどこですか?
- 肌の再生医療で治療できる部位は、顔全体・首・手の甲などです。具体的に以下のような部位を治療できます。
- おでこ
- 眉間
- 瞼のくぼみ
- 目の下のくま
- 目尻
- 頬
- ほうれい線
- 口元
- 首
- 手の甲
顔全体はもちろん、気になる部位だけを治療することも可能です。
- 肌の再生医療ではどのような効果が期待できますか?
- 肌の再生医療は次のような症状の改善に効果が期待できます。
- しわ
- たるみ
- 老化(肌のハリ・ツヤの低下)
- 目の下のくま
老化によって減った肌細胞を補充したり、活性化させたりすることで、肌のハリや潤いを保つ効果が期待できます。
さらに仕上がりが自然なことも、肌の再生医療の特長の一つです。
- 肌の再生医療はどのくらい効果が持続しますか?
- 肌の再生医療は、治療法によって効果が持続する期間が異なります。また、個人差もあるので注意しましょう。
一般的に幹細胞治療で2〜3年、PRP療法で1〜2年効果が持続すると考えられています。
肌の再生医療の種類とメリット・デメリット
- 肌の再生医療の一つ「幹細胞治療」とは何ですか?
- 幹細胞治療とは自分の肌細胞を増やして気になる部位に移植することで、老化による肌の衰えを改善する治療法です。はじめに老化が緩やかな部位(耳の後ろなど)の皮膚を採取し、肌細胞を培養して増やします。ここでいう肌細胞とは、すなわち真皮線維芽細胞です。
真皮線維芽細胞は、肌を構成するコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸などを作り出し、肌のメンテナンスをしてくれます。老化により減ってしまった真皮線維芽細胞を補充することで、老化による肌のトラブルを根本的に改善する治療法です。
- 肌の再生医療の一つ「PRP療法」とは何ですか?
- PRPとはPlatelet Rich Plasma(多血小板血漿)の略で、血小板を多く含んだ血液成分です。血小板と聞くと怪我をした時に出血を止めるイメージがあると思いますが、加えて傷んだ組織の修復を促す物質(成長因子)を出す働きも担っています。
このほかにも血小板にはコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の生成を促進する作用もあるため、老化による肌のトラブルを内側から改善してくれます。自身の血液からPRPを抽出し、肌の老化が気になる部位に注入することで、しわやたるみを改善する治療法です。
- 肌の再生医療のメリットを教えてください。
- 肌の再生医療には次のようなメリットがあります。
- 肌の衰えを根本から治療する
- 仕上がりが自然
- アレルギーや副作用が少ない
- 採取した細胞を保管できる
再生医療は老化により減ってしまった肌細胞を増やすことで、肌が老化する原因を根本から改善する効果があります。コラーゲンやボトックスを注入した場合に比べて仕上がりが自然であることもメリットの一つです。
さらに自分の細胞や血液を使って治療を行うため、アレルギーが起こる可能性が低くなります。そして繰り返しの治療に備えて採取した細胞を一定期間保管することができるため、次の治療の時よりも若い細胞を使って治療することが可能です。
- 肌の再生医療のデメリットを教えてください。
- 肌の再生医療には次のようなデメリットがあります。
- 培養に時間がかかる
- 即効性はない
- 効果の出方に個人差がある
- 費用が高額になりやすい
再生医療は自分の細胞を培養して増やす必要があります。培養には1ヶ月程度かかるため、すぐに治療を行うことができません。さらにヒアルロン酸やボトックスを注入する治療と比べて、治療後すぐに効果を実感できるわけではありません。
その分効果が持続するため、メンテナンスの頻度は下がると考えられますが、効果の出方や持続時間に個人差があることもデメリットの一つです。費用が高額になりやすい点にも注意しましょう。
肌の再生医療の安全性と費用
- 肌の再生医療の安全性について教えてください。
- 肌の再生医療は自分の細胞や血液を使って治療を行うため、安全性の高い治療法と考えられています。人工的に作られた製品を使用しないため、アレルギーのリスクがほとんどないことが特長です。また、ほかの美容整形と異なり、体に大きくメスを入れる必要がありません。
注射した部位に内出血・赤み・腫れ・しこりなどが現れることもありますが、1週間程度で治まります。痛みや傷が残る心配がほぼなく、安心して治療を受けることが可能です。さらに再生医療には高度な技術と経験が必要であることから、平成26年に国によって「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が施行されました。
病院であればどこでも再生医療を受けられるわけではなく、厚生労働省が認可した施設でのみ治療を受けることができる仕組みです。治療を検討している病院やクリニックが認可を受けているかを確認することで、安心してより安全性の高い治療を受けることができます。
- 肌の再生医療の費用はどのくらいですか?
- 肌の再生医療にかかる費用は保険適用外で、病院や治療する部位によって異なります。治療費の目安は次のとおりです 。
- 幹細胞治療:100万〜150万円(税込)程度
- PRP療法:10万〜50万円(税込)程度
ほかの治療法に比べて高額ですが、メンテナンスの頻度が低く安全性が高いことを考慮し、自分に合った治療法かどうかを検討してみましょう。
編集部まとめ
今回は肌の再生医療の効果について解説しました。老化にともなう肌の変化やトラブルは、多くの人が抱える悩みです。
これまで肌細胞が少なくなることで起こるしわやたるみに対しては、ヒアルロン酸やボトックスを注入する対症療法がメインとして選択されてきました。
ヒアルロン酸やボトックスの注入は即効性があり、すぐに施術を受けられますが、仕上がりが不自然になることがある・効果が持続しないといった点がデメリットとなります。
一方で肌細胞に直接働きかける再生医療は、効果が現れるまで時間がかかりますが、あくまで自然に、自分の細胞の力で肌のハリやツヤを取り戻すことができる点が特長です。
しわやたるみは見た目の印象を決める大切な要素の一つです。しわやたるみを原因から改善することで若いころの肌に近づくことができ、老化の速度を遅らせることもできます。
肌の再生医療を受けることで今の肌の悩みをどの程度改善できるか、費用がどれだけかかるかをよく検討し、自分に合った治療法を見つけていきましょう。
参考文献