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再生医療で歯茎を治療する方法とは?治療の種類や期待できる効果について解説!

再生医療で歯茎を治療する方法とは?治療の種類や期待できる効果について解説!

歯は物をかみ砕くだけでなく、発音を助けたり身体の姿勢やバランスを保ったりする役割を担っています。今回は、人間が生活していくうえで欠かせない歯を覆っている「歯茎」について、衰えてしまう原因や関連する治療、その治療の効果などについてご紹介していきます。「最近、歯茎が下がってきたように感じる」「冷たい物が歯にしみる」という症状のある方はぜひ参考にしてみてください。

再生医療とは

再生医療について「新しい治療なんだな」とざっくりとしたイメージはできていても、どのような治療なのか具体的に説明できる方は少ないかと思います。そのような方のために、まずは再生医療について詳しく説明していきます。

再生医療とはどのような治療方法ですか?
ケガや病気などが原因で機能障害や機能不全に陥ってしまった組織・臓器に対して、細胞や人工物を用いて機能の再生を目指すのが「再生医療」です。日本では再生医療を推進するための法律が整備されたり、薬や医療機器の安全基準を定めていた法律が改正されたりするなど、再生医療で世界をリードしていく体制が構築されています。再生医療によって、これまで治療法がなかった疾患やこれ以上良くならないと診断された状態の改善・修復が期待できます。
幹細胞について教えてください。
幹細胞は人間であれば誰もが持っていて、失われた細胞を再び作り出して補充する力がある再生医療を行ううえで欠かせないものです。幹細胞は、皮膚や血液といった限定された組織の中で細胞を作り続けている「組織幹細胞」と、身体の細胞であればどんな細胞でも作り出せる「多能性幹細胞」といった2つのタイプに分けられます。また、多能性幹細胞の中にはES細胞やiPS細胞などが含まれます。
幹細胞の種類にはどんなものがありますか?
前述したように、幹細胞の種類には多能性幹細胞と組織幹細胞があります。多能性幹細胞はさまざまな細胞を作り出すことができ、中でもES細胞は再生医療の中心的な存在として使用されてきました。ESとは日本語で「胚性幹細胞」と言い、受精卵から細胞を取り出して培養した物がES細胞です。一方、組織幹細胞とは、造血幹細胞は血液系の細胞に、神経幹細胞は神経系の細胞にと、皮膚や血液・脂肪などの決まった組織や臓器の中で、細胞を作り続けているものです。ただ、組織幹細胞の中にも、筋肉や軟骨、脂肪、神経などに分化する機能を持つ「間葉系幹細胞」というものがあると言うことが明らかになってきました。この細胞は骨髄から採取することができ、治療に使用することで痛みや炎症の緩和が期待できます。さらに近年では脂肪由来、臍帯由来、歯髄由来の間葉系幹細胞などが注目を浴びています。

歯茎が下がる症状と原因

歯茎が下がる症状と原因 ここからは歯茎の再生医療についてご紹介します。歯茎は、虫歯や歯周病、間違った歯みがき、歯ぎしり、かみ合わせ、加齢などの原因によって下がってしまい、歯との間にすき間ができることがあります。そうなることによってどのようなリスクがあるのでしょうか。

歯茎の下がりを放置するとどのようなリスクがありますか?
歯茎が下がることによって歯と歯のすき間が露出し、そこに食べ物が挟まりやすくなります。食べ物が挟まることは不快感があるだけでなく、虫歯の原因にもなります。また、歯の表面は硬いエナメル質で覆われていますが、そのすぐ下には象牙質という柔らかい組織があります。象牙質があらわになると刺激が神経に伝わりやすくなるため、知覚過敏となってしまいます。さらに、歯が長く見えてしまうため、口元の印象が悪くなってしまうというのもリスクの1つです。
歯茎が下がる原因について教えてください。
では、なぜ歯茎が下がってしまうのでしょうか。原因は主に4つあります。1つ目は歯周病です。歯周病は細菌が原因で発生し、進行すると歯を支えている顎の骨(歯槽骨)を溶かしてしまいます。これにより、歯槽骨を覆っている歯茎も下がっていってしまうのです。2つ目の原因は間違った方法で行う歯みがきです。汚れをしっかり落としたいという一心で力を入れて歯を磨く方が多いのですが、その方法は実は歯茎を傷つけており、歯茎はどんどん痩せていってしまいます。矯正治療によって歯茎の後退に悩む方も増えているようです。矯正治療は器具を使って歯を移動させますが、その範囲が顎の骨よりも大きいと、歯茎が下がる可能性が高まるからです。さらに、かみ合わせがずれていることによって歯や歯茎に必要以上の力が加わるため、上下の歯のかみ合わせが良くないことも歯茎が下がる原因になります。

再生医療で歯茎を治療する方法

では、衰えてしまった歯茎の状態を良くするにはどのような治療があるのでしょうか。ここからは代表的な歯茎の再生医療についてご紹介します。

歯茎のPRP再生療法とはどんな治療方法ですか?
PRPとは多血小板血漿と言います。成長因子が多く含まれており、このPRPを注射することで組織の再生を促すのがPRP再生療法です。この再生医療を行う際は、まず治療を患者さんの血液を採取します。その血液を遠心分離機にかけてPRPを抽出し、患部に注入するという流れです。ご自身の血液を使用するためアレルギー反応や拒絶反応などを引き起こす心配はありません。PRP再生療法は歯茎の再生といった歯科の分野だけでなく、整形外科や皮膚科、美容外科といった幅広い分野で活用されています。
薬剤を使用する歯茎の再生治療について教えてください。
再生医療はすべて自由診療と思っている方も多いかと思います。しかし、「リグロス」と呼ばれる薬剤を使用した再生医療は保険適用で受けられます。リグロスには傷を修復したり血管を生成したりする機能を持つ「FGF-2」という成長因子が含まれており、歯槽骨が欠けた部分に塗布することで、周辺組織の再生を促します。
ヒアルロン酸を使用する歯茎の再生治療について教えてください。
これらの治療のほかに、美容外科の施術などで用いられるヒアルロン酸を歯茎に注入する治療法もあります。この治療は歯茎が健康な方のみに適用となるため、歯周病の症状が出ている方はまずは歯周病治療が優先されます。この治療のメリットとしては、ヒアルロン酸はもともと人間の体内の成分であるため、安全性が高いことが挙げられるでしょう。一方で、体内に吸収されやすく効果の持続期間は短いというデメリットもあります。

再生医療で歯茎を治療することで期待できる効果

再生医療で歯茎を治療することで期待できる効果 これらの再生医療にはどのような効果があるのか、治療後に気を付けなければならないことはあるのか、気になるところですよね。それぞれ詳しく解説していきます。

再生医療で歯茎を治療することで期待できる効果はなんですか?
主に2つの効果が期待できます。まずは抜歯を回避できるということです。重症化した歯周病の最終手段として抜歯が行われることがありますが、再生医療を行うことで歯茎や骨を再生でき、抜歯の必要がなくなります。また、歯周病を治すことはできませんが、進行を食い止めることはできます。どちらの効果を求めるにしても、重症化する前に治療に取り組むことが大切ですので、気になる症状がある場合は早めに医療機関に相談することをおすすめします。
再生医療で歯茎を治療した後に注意すべき点について教えてください。
せっかく歯茎を治療したのに歯周病を再発させてしまっては意味がありません。そのため、歯茎が下がってしまわないよう日々のセルフケアを正しく丁寧に行うことが大切です。例えば、フロスを使って歯周ポケットをこまめにきれいにすること、歯みがきの際は力を入れすぎないこと、バランスの良い食事を意識することなどです。また、禁煙することも歯周病予防につながります。

編集部まとめ

歯茎が下がる原因や放っておくと生じるリスク、関連する再生医療、日々の正しいケア方法などについてまとめましたがいかがでしたでしょうか?先ほども述べましたが、歯茎の治療はできるだけ早く取り組むことが大切です。症状がある方が早めに医療機関に相談するのはもちろん、目立った症状がない方も一度チェックしてみることをおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業

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