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PRP療法でニキビ跡が治療できる?メリット・デメリット・費用もあわせて解説

PRP療法でニキビ跡が治療できる?メリット・デメリット・費用もあわせて解説

ニキビ跡がなかなか治らずに悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

ニキビ跡は基本的には徐々に薄くなりやがて消えますが、なかには数年以上経っても消えず薬を使用しても改善しないものもあります。

では、薬を使っても改善しないニキビ跡を治すにはどのような治療方法があるのでしょうか。あまり聞きなれない治療法かもしれませんが、PRP療法と呼ばれる治療法があります。

そこでこの記事では、PRP療法でニキビ跡が治療できるのか、メリット・デメリットや治療費について詳しく説明します。

PRP療法によるニキビ跡の治療

肌に自信がある女性

ニキビ跡が残る原因を教えてください。
ニキビ跡は大きく2つの種類に分けられ、それぞれ原因は異なります。1つ目は炎症後色素沈着と呼ばれるニキビ跡に紫色や茶色などの色が残るタイプです。ニキビになると炎症によってメラニン色素が発生して肌に沈着してしまうため跡が残ってしまいます。また、メラニンは肌への強い刺激や紫外線が原因でも発生するので、ニキビを引っ掻いたり長い時間日光に当てないようにしましょう。2つ目は萎縮性瘢痕(いしゅくせいはんこん)と呼ばれるニキビ跡が窪んで皮膚がクレーターのようになるタイプです。原因としては同じ箇所で繰り返しニキビが発生することや、自分でニキビを潰してしまうことが挙げられます。ニキビを自分で潰すのは萎縮性瘢痕の原因となるだけでなく、細菌による感染症のリスクもあるのでやめましょう。
PRP療法について教えてください。
PRP(多血小板血漿)療法は血小板の持つ治癒力を利用した治療法です。治療に使用する血小板は患者さん本人の血液から採取し、その血液から特殊な機械で血小板を多く含んだ血漿(けっしょう)のPRPを抽出します。このPRPを患部の真皮層に注入することで、血小板に含まれた成長因子が周囲の細胞を活性化させ、肌に含まれるコラーゲンなどの成分の生成を促します。これにより肌が再生され元の肌に近い状態へと戻るのです。PRP療法の特徴は患者さんの治癒力に頼った治療なので、ケミカルピーリングのように薬剤を使用しないことです。PRPは自分の血液から抽出しているので、副作用のリスクも少なく安全性の高い治療法となっています。
PRP療法でニキビ跡が治療できる理由を教えてください。
PRP療法でニキビ跡が治療できるのは、肌の真皮層が再生されるからです。ニキビ跡は通常、表皮のターンオーバーによって徐々に薄くなり、数ヵ月で体外に排出されます。しかし、数年経っても残っているニキビ跡は、表皮のさらに奥にある真皮層にまで影響していることが考えられます。真皮層もダメージを受ければ再生するのですが、表皮のようにターンオーバーをしているわけではありません。そのため、再生時の跡が残ってしまうと肌にずっと残ったままになってしまいます。PRP療法ではこの真皮層に残ったニキビ跡にPRPを注入することで、その部分の真皮層の再生が促され、元の状態に近づきます。
PRP療法が向かない人はいますか?
色素沈着によるニキビ跡は表皮のターンオーバーによって自然と消える場合があるので、PRP療法には向かないことがあります。ニキビ跡ができてすぐにPRP療法に頼るのではなく、数ヵ月程度は様子を見ながら皮膚科で薬を処方してもらうことがおすすめです。それでも色素沈着によるニキビ跡が改善しない場合は、真皮層にメラニン色素が沈着している可能性があるのでPRP療法が有効だと思われます。反対に、皮膚がクレーターのようになる萎縮性瘢痕の場合はPRP療法が向いているといえます。このニキビ跡は真皮層のダメージによるものと思われるので、自然治癒や薬による治療が難しいです。そのため、萎縮性瘢痕が疑われる場合はPRP療法が可能なクリニックに相談することをおすすめします。

PRP療法でニキビ跡を治療するメリット・デメリット

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PRP療法でニキビ跡を治療するメリットはありますか?
PRP療法で治療するメリットは副作用のリスクが低いことです。上記でも少し説明しましたが、PRP療法は患者さんの血液を加工して治療を行います。そのため、感染症やアレルギーなどのリスクが低く安全性の高い治療法といえるでしょう。しかし、副作用が起こる可能性もあり、その場合は治療後に顔の痒みや腫れが発生します。また、治療の際の痛みを感じるのは注射を打つときのみで、治療中は麻酔を行うためほとんど痛みを感じません。治療は基本的に1度で終了するので繰り返しクリニックに訪れる必要がない点もメリットといえます。
PRP療法でニキビ跡を治療する際のデメリットを教えてください。
PRP療法のデメリットは、効果の大きさや効果が現れるまでの時間に個人差が見られることです。個人差が出てしまう理由は、はっきりとはしていませんが、血小板に含まれる成長因子の割合の違いが治癒力の個人差に影響しているといわれています。そのため、事前の説明よりも効果を感じられなかったり、治療から数ヵ月経っても効果が発揮されない場合があります。
効果の持続はどのくらい維持されますか?
PRP療法は注入から2週間〜3ヵ月程度までには効果が現れ始め、数ヵ月〜半年程度効果が維持されます。1度の注入でも効果がありますが、個人差があるのであまり効果を実感できない方もいるようです。その場合は、数ヵ月程度の間隔を開けて複数回注入する必要があります。
PRP療法の治療後のダウンタイムで気を付けることはありますか?
PRP療法の治療後に細胞の活性化による顔の痒み・腫れ・赤みが発生する場合があります。ほとんどの場合は1週間程度で治りますが、症状が長引く場合は治療を受けたクリニックに相談しましょう。ダウンタイムの過ごし方の注意点として、数日間は激しい運動・サウナ・長時間の入浴・飲酒は避ける必要があります。シャワーや洗顔は可能ですが、むやみに患部を触ると細菌感染を引き起こす恐れがあるので、あまり触らないことが大切です。ただし、クリニックによってダウンタイムの過ごし方が異なる場合がありますので、治療を受けたクリニックの指示に従いましょう。

PRP療法でニキビ跡を治療する際の確認事項や費用

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PRP療法でニキビ跡を治療するときに知っておきたいことはありますか?
PRP療法はリスクの低い治療法ですが、誰でも受けられるわけではありません。以下に当てはまる方はPRP療法を受けられませんので注意してください。
  • 抗凝固薬(血が固まりにくくなる薬)を服用している方
  • 20歳未満の方
  • 貧血の方
  • 癌や感染症などの疾患がある方
  • 血小板の異常などにより血液が固まりにくい方
  • 腎臓や肝臓の機能障害がある方
  • 妊娠・授乳中の方など

これらのほかに医師が患者さんの状態を診断して、PRP療法にリスクがあると判断される場合は治療が受けられません。

PRP療法によるニキビ跡の治療費はどのくらいですか?
PRP療法でニキビ跡を治療する場合の治療費は約100,000〜300,000円(税込)で、治療費はPRPを何本打つかによって変わります。例えば、片側の頬の狭い範囲であれば1本で済むので約100,000円(税込)です。両頬のニキビ跡を治療したい場合は2本打つ必要があるため約200,000円(税込)かかります。さらに治療範囲が広がると3本あるいは4本打つ必要があるため、それ以上の治療費がかかるでしょう。また、PRP療法は保険の適用がされないので、全額自己負担になる点に注意してください。

編集部まとめ

鏡

PRP療法は副作用のリスクが低いので安全性の高い治療が可能です。一方で効果には個人差があり、効果が出るまでには時間がかかる点は理解しておく必要があります。

治療効果を長期的に保ちたい方は、定期的にPRP注射を受けることでより持続的な効果を得ることができます。

また、治療範囲が広い程PRPを打つ本数が多くなるので値段も高くなり、保険の適用外なため全額自己負担である点も注意が必要です。

治療費も高く感じるかもしれませんが、ニキビ跡に対する治療は保険の適用外になることが多く、治療費が高額になる傾向があります。

そのなかで、副作用のリスクが低い治療方法を選びたいと思う方にはPRP療法が適しているでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

京都府立医科大学医学部医学科 卒業 / のべ10年以上の美容皮膚科勤務を経て、現在はくみこクリニック北山院に勤務している。コロナ以前は、大阪医専にて、医療従事者の教育にも関わった経験がある。

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