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変形性関節症の指はどう治療すれば良い?症状の種類についてもまとめました

変形性関節症とはどのような疾患なのかをご存じでしょうか。この記事をご覧の方の中には、祖父母が変形性関節症になり、手や股関節、ひざなどに痛みを訴えている姿を目にしている方や、自分自身が変形性関節症の疑いがある方など、さまざまな方がいらっしゃるかと思います。変形性関節症に関する症状や治療法を解説しますので、ぜひ参考になさってください。

変形性関節症とは

変形性関節症とは まずは、変形性関節症がどのような病気なのかを解説します。

変形性関節症とは何ですか?
変形性関節症とは、外部からの刺激などが原因で関節軟骨に摩耗や変性が生じる疾患です。それと同時に、関節のまわりの滑膜に炎症が生じることで、変性スピードが加速してしまうという特徴があります。身体のどの関節にも起こりうる疾患ですが、特に多くの方が症状を訴えるのは股関節やひざです。

特にひざに関しては、50歳を超えた方の多くが、変形性膝関節症を患っているとされています。 原因としては、加齢のほか、肥満や遺伝、感染性疾患の後遺症などがあると言われています。また、使い過ぎによる軟骨のすり減りが原因となることもありますが、どの部位に生じるかによっても原因は異なります。

変形性関節症の症状について教えてください。
変形性関節症の代表的な症状は、患部の腫れと痛みです。また、これらの症状により、動かしにくさや、可動域の制限が生じることもあります。さらに悪化すると、骨が削れて棘のような形になる骨棘形成や、関節やその周囲がだんだんと固まっていく関節拘縮、関節の変形が生じます。

こういったさまざまな症状は、そのほかの症状を引き起こす原因ともなるため、一つの症状が生じることで他の症状も発症しやすくなるという悪循環につながります。 また、変形性関節症が指に生じた場合を「変形性手指関節症」といい、この疾患では手指の痛みや腫れのほか、手を握りにくい、手がこわばっている感じがするといった症状が現れます。「時間がたっても痛みが続くが、年のせいかと思い諦めている」という方も少なからずいますが、悪循環に陥る前に治療を開始することが重要です。

指の変形性関節症の種類

指に症状が現れる変形性関節症には、へバーデン結節、ブシャール結節、母指CM関節症などの種類があります。それぞれの症状や原因について詳しく解説します。

へバーデン結節とブシャール結節について教えてください。
指のDIP関節が変形性関節症になった場合を、へバーデン結節と呼びます。DIP関節とは、人さし指から小指までの第一関節のことです。腫れや痛み、変形などの症状が現れることで、日常的な動作をするにも困難が生じます。また、関節にこぶのようなものができるという特徴もあり、中年期以降の女性に多く見られます。原因としては、外傷のほか、裁縫などの手仕事による手指の酷使や、加齢などが挙げられますが、はっきりとした原因がわからない場合も少なくありません。

ブシャール結節は、人さし指から小指までの第二関節に変形性関節症が生じることを指します。ヘバーデン結節が生じるDIP関節に対し、ブシャール結節が生じる第二関節は専門的にはPIP関節と呼ばれます。ブシャール結節の場合も、症状は痛みや腫れ、変形などであり、へバーデン結節と同様に中年期以降の女性によく症状が現れます。ヘバーデン結節もブシャール結節も「加齢により生じたもの」と捉えられがちで受診の必要性を感じていない患者さんが多く、治療の開始が遅れがちである点が特徴として挙げられます。

母指CM関節症について教えてください。
親指の付け根に変形性関節症が生じた場合を、母指CM関節症と呼びます。親指の付け根は、手の指の中でも特に生活の中で負荷がかかっている部分のため、年齢を重ねるにつれて多くの方が母指CM関節症を発症します。症状は、ほかの変形性関節症と同様に、痛みや腫れ、変形です。特に、瓶などのふたを開ける動作や物をつまみ上げる動作などをした際に、痛みを感じることが多いでしょう。

指の変形性関節症の治療法

指の変形性関節症の治療法 指の変形性関節症は、初期では手のこわばりや関節の違和感、握りづらさといった症状が現れ、中期では手の腫れ、痛みの悪化、手の動かしにくさといった症状が出てきます。さらに悪化すると、痛みで生活に支障が出たり、関節が変形したりします。指は、日常生活の中で当然のように使っている部位であり、思うように動かせなくなることには大きな負担やストレスを伴います。重症化してしまう前に治療を開始しましょう。ここからは、指の変形性関節症に対する治療について解説します。

指の変形性関節症の治療方法について教えてください。
指の変形性関節症の治療の流れとしては、整形外科などで視診・触診を受け、レントゲン撮影や血液検査などを行ったうえで、病態に合わせた治療法が提案されるのが一般的です。保存的治療として行われているのは、抗炎症作用のある内服薬や外用薬の処方、ステロイドの関節内注射、テーピングや装具を用いた患部の固定などです。これらの保存的治療で症状が落ち着くことも多くあります。

また、変形性手指関節症には女性ホルモンの影響もあることがわかってきており、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをする「エクオール」を含むサプリメントを提案するクリニックも増えてきています。 これらの保存的治療では変化がない場合や、すでに症状がかなり進行してしまっている場合には手術が検討対象となります。主に行われている手術は、関節形成術や関節固定術、人工指関節置換術などです。

関節形成術は、棘のように削れてしまった骨や水ぶくれを切除する方法です。関節固定術は、変形した骨を削り、スクリューネジを挿入することで動きを固定する手術です。固定されてしまうためその指は動かすことができなくなってしまいますが、痛みを軽減することができます。人工指関節置換術は、損傷した指の関節を人工関節に置き換えることで、その働きを取り戻す方法です。

再生医療を用いた指の変形性関節症の治療

変形性手指関節症でお悩みの方の中には、「保存的治療では改善が見込めないけれど、手術もしたくない」という方や、より改善が見込める治療法をお探しの方もいらっしゃるかと思います。そのような方に知っておいていただきたいのが、再生医療による変形性手指関節症の治療です。

再生医療を用いて指の変形性関節症を治療することはできますか?
人間の自然治癒力を活かした治療法である再生医療は、変形性手指関節症の治療でも活用され始めています。再生医療にはいくつもの種類がありますが、変形性手指関節症で基本となるのはPRP療法です。PRP療法は、患者さんの血液を遠心分離器にかけ、血小板濃度を高めたPRP(多血小板血漿)を再度患者さんの関節などに戻すことで、痛みや炎症の緩和を図る方法です。血小板には、止血作用や成長因子が含まれており、その作用を生かすことで変形性手指関節症の症状緩和や進行抑制が期待できます。手指への再生医療はまだ対応していない医療機関も多いですが、近くに対応しているクリニックがある場合などは一度相談してみることをおすすめします。

編集部まとめ

編集部まとめ 指の変形性関節症でお悩みの方へ向けて、症状や治療法をまとめましたが参考になったでしょうか。前述したように「加齢のせい」と受診の必要性を感じていない方も多い症状ではありますが、変形や動かなくなる可能性もあるため、できるだけ早めに対処しておくことが大切です。手指の症状は、整形外科や手外科などで専門的な診療が受けられますので、気になる症状がある方は一度受診してみてください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) 上場企業産業医

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