注目のトピック

再生医療

人工関節を使った股関節の治療法は?再生医療を用いた治療の選択肢などもあわせて紹介

人工関節を使った股関節の治療法は?再生医療を用いた治療の選択肢などもあわせて紹介

人工股関節という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、関節リウマチや変形性股関節症、大腿骨頭壊死症を始めとしたさまざまな病気が原因で股関節の機能が失われてしまった場合に、その機能を補うために置き換えられる人工の股関節のことです。この記事では、人工股関節とはどのようなもので、どのように治療をするのか、人工股関節を用いない場合にはどのような治療の選択肢があるのかをご説明します。

人工関節を使った股関節の手術方法について

まずは、人工関節を使った手術について解説します。

人工関節とはどのようなものですか
人工関節とは、金属やセラミック、ポリエチレンといった素材を用いて作られた関節のことです。病気やけがなどが原因で傷んだり変形したりしてしまった関節を補うために使用されます。股関節のほか、ひざやひじ、肩、手指など、さまざまな部位に用いられています。
人工股関節置換術とはどのような手術ですか
人工股関節置換術は、前述した人工股関節を、損傷してしまった股関節と置き換える手術です。人工関節は、主にステムとボールとソケット、ライナーの組み合わせでできており、軟骨の役割を持つライナーにボールを組み込むことで、関節がスムーズに動くように工夫されています。手術は、損傷した部分を取り除き、そこに人工関節を固定するという流れで行われます。医療機関によって差はありますが、入院期間の目安は2、3週間ほどです。リハビリテーションや、杖を使った歩行訓練などを行い、安定した歩行が可能であると判断されたら退院となります。
人工股関節置換術には何種類の方法がありますか
人工股関節を骨に固定する方法としては、セメント人工股関節という樹脂を用いる方法と、セメントレス人工股関節という金属表面を加工することで骨に直接固定する方法が主に行われています。セメント人工股関節は、骨セメントを用いることで、人工関節の位置や向きを維持させやすいという特徴があります。セメントレス人工股関節は、人工関節に小さな穴を複数あけておくことで、人工関節内部へ骨が浸透し成長していくため、次第に強度が高まっていくという特徴があります。また、これらの方法以外に、一部をセメントレス、一部を骨セメントで固定するハイブリッド人工股関節が用いられることもあります。
人工股関節置換術は年間どれくらいの人が受けますか
人工股関節置換術は、年間で7万人以上の方が受けているといわれています。この数は、年々増加傾向にあり、股関節の働きを補う治療法として一般的になっていることがわかります。
人工股関節置換術のデメリットについて教えてください
人工関節置換術が股関節の機能を補う治療として一般的になっていることからもわかるように、人工股関節置換術にはさまざまなメリットがあります。しかし、入院期間が長く患者さんへの負担が大きい、合併症が起こる可能性があるといったデメリットもあります。合併症としては脱臼や感染症、血栓症・塞栓症などのリスクがあり、感染症に関しては置換部分の免疫が低下することで感染しやすくなるということがわかっています。また、人工関節は永久に使えるものではありません。そのため、日々の活動量などに応じて、すり減ったりゆるんだりする可能性があります。

人工関節を用いない股関節の手術方法について

人工股関節置換術は一般的に行われている手術ではあるものの、多くの手術と同様にデメリットもあり、身体への負担がかかるということをご説明しました。では、人工関節を用いない場合には、どのような手術が検討されるのでしょうか。

人工関節を用いない股関節の治療法について教えてください。
人工関節を用いない手術としてまず挙げられるのが、骨切り手術です。手術により骨の角度や位置を調整することで、軟骨などへの負担を減らします。この方法は、関節障害がそれほど進行していない場合に適応となります。股関節鏡手術は、大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)や股関節唇の障害の際に行われる手術です。皮膚に小さな穴をあけ、そこから器具を入れて、関節唇を縫い合わせたり骨を削ったりします。
それぞれの治療法についてメリットとデメリットを教えてください
骨切り手術には、手術をしておくことで将来的な変形性股関節症のリスクを減らせるという利点があります。しかし、一般的に人工股関節手術よりもリハビリテーションに時間がかかり、執刀技術が術後の経過に影響を与えやすいというデメリットがあります。股関節鏡手術は、皮膚や筋肉の大きな切開を必要とすることなく治療を行えることが大きな利点です。ただし、軟骨障害が進行している場合や寛骨臼形成不全がある場合は適応とならないなど、対象となる方が限定されます。

人工関節を用いない股関節の治療法について

人工関節を用いない股関節の治療法について ここからは、人工関節を用いない場合の治療方法について解説します。

人工関節を用いない治療法について教えてください。
人工関節を用いない治療法として、近年期待が高まっているのが再生医療です。再生医療は、人間にもともと備わっている「自然治癒力」を生かした新しい治療法であり、患者さん自身の血液や幹細胞を使って治療を行います。
再生医療を用いた股関節治療にはどのようなものがありますか
股関節の再生医療には、幹細胞治療やPRP療法があります。幹細胞治療は、患者さんの脂肪を採取し、その中から抽出した脂肪幹細胞を関節内に注入する方法です。炎症の抑制や、損傷の修復といった作用が期待できます。PRP療法は、血液中の血小板に含まれる作用を利用して、関節の炎症や痛みを抑える方法です。
再生医療を用いた治療のメリットを教えてください
再生医療のメリットの一つは、自身の脂肪や血液を利用するため、アレルギー反応が起こるリスクが少ないことです。また、取り出した幹細胞を保存しておき、治療が必要になった際に利用することもできます。さらに、注射によって採取と注入を行うため、切開などと比べて身体への負担が少なく、入院の必要がない点もメリットといえます。
再生医療を用いた治療はどのような人におすすめですか
再生医療は、入院や手術をせずに症状を改善させたい方や、これまでにさまざまな治療を受けたがなかなか症状が良くならない方などにおすすめです。また、関節の変形がそこまで進行していない方や軟骨の残っている量が多い方などは、再生医療が適している場合があります。これらに当てはまらない場合でも再生医療ができる可能性はありますし、逆にこれらに当てはまっていても他の治療法のほうが適している場合もありますので、気になる方は一度医療機関で相談してみてください。

再生医療を用いた股関節治療の流れや費用について

再生医療を用いた股関節治療の流れや費用について 最後に、股関節の再生医療における流れや費用についてご説明します。

再生医療を用いた治療はどのような流れで行われますか
PRP療法は、診察後に採血を行い、抽出した成分を注射するという流れです。成分の抽出を外部で行っている場合には後日来院する必要がありますが、院内で行っている場合にはその日に注射まで完了します。幹細胞治療も同様に、診察後に脂肪を採取し、培養した幹細胞を注射するという流れです。ただし、幹細胞の場合には培養する時間が必要なため、採取から注入まではおよそ1カ月以上の期間をあける必要があります。また、どちらの治療も治療後の経過観察が必要です。
再生医療を用いた治療どれくらいの期間や費用がかかりますか
PRP療法の場合、前述したようにその日のうちに治療が完了することもあります。自由診療のため医療機関によって費用は異なりますが、目安は10万円から40万円ほどです。幹細胞治療の場合は、投与までに1カ月以上の期間がかかり、費用の目安は70万円から150万円ほどです。医療機関によって、治療に必要となる検査費用などを含んで金額を明示している場合とそうでない場合があるので、詳細はしっかりと確認しましょう。

編集部まとめ

股関節に病気やけがを負ってしまった場合の治療法について、人工関節を中心にまとめましたが参考になったでしょうか。関節の損傷は加齢とともに増えるものであり、多くの治療法が開発されています。それぞれにメリット・デメリットがありますので、情報を取り入れることで自分に合った治療法を見つけましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) 上場企業産業医

記事をもっと見る

注目の記事

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-600-634