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再生医療で椎間板ヘルニアは改善する?症状・幹細胞治療・今後の可能性について解説

再生医療 椎間板

重いものを持ったり急に運動したりすると痛くなるのが腰です。そんな腰痛にはさまざまな病気が隠れている場合もあります。

その1つが椎間板ヘルニアです。自然治癒も多い椎間板ヘルニアですが、なかには深刻状態のために手術を余儀なくされる人もいます。

しかし、さらに重症化して手術も難しいケースも少なくありません。そのような場合に期待されているのが再生治療です。

本記事では椎間板ヘルニアにおける再生治療について紹介します。費用・今後の可能性についても解説するので、参考にしてみてください。

椎間板ヘルニアの症状や再生医療による改善

椎間板ヘルニアの症状や再生医療による改善

椎間板ヘルニアとはどのような症状ですか?
椎間板ヘルニアに罹患するとみられる主な症状は以下の8つです。

  • 腰痛・背痛・首の痛み
  • 手足のしびれ・痛み
  • 歩行障害
  • 筋力低下
  • 筋肉委縮
  • 膀胱直腸障害
  • 慢性疼痛
  • うつ病

初期段階では痛み・しびれなどの自覚症状がみられるでしょう。徐々に悪化していくと歩行障害・筋力低下・筋肉萎縮などがあらわれるようになります。
さらに重症化すると、背中の神経圧迫が膀胱・直腸の神経圧迫にまで進行して膀胱直腸障害を引き起こすので危険です。また治療せずに放置していると、急性疼痛が慢性疼痛に変化します。すると慢性疼痛による継続的な痛みが精神に悪影響を及ぼし、うつ病の発症リスクが高まるでしょう。

原因について教えてください。
背骨は椎骨という複数の骨がつながって形成されています。しかし、椎骨は硬い骨でできているため、背骨を形成するうえでそれぞれの間にクッションのような緩衝材が必要です。
その緩衝材のような役目を果たしているのが椎間板です。椎間板は核となる部分に「髄核」というやわらかいゼリー状の物質を持ち、その周りを線維輪という細い糸状のものが何重にも重なって形成された壁で覆っています。
本来なら椎間板は椎骨と椎骨の間に収まっていなければいけません。しかし、何かの拍子に髄核が線維輪を突き破ってしまい、背骨の内側に存在する神経を圧迫してしまいます。これが椎間板ヘルニアです。
椎間板が神経を障害するとどうなるのですか?
椎間板の中身である髄核はやわらかいゼリー状のものをしているため、飛び出しても支障がないのではと思う人もいるかもしれません。しかし背骨の中心を走っている神経は、例えやわらかいゼリー状の髄核であっても圧迫されれば機能障害の原因になります。その結果、痛み・しびれ・麻痺などの身体的な症状が出てしまうのです。なお椎間板が神経を圧迫して発症する病気は、椎間板ヘルニアだけではありません。ほかにも以下のような病気があげられます。

  • ぎっくり腰(急性腰椎症)
  • 坐骨神経痛
  • 脊柱管狭窄症
  • 間欠性跛行(かんけつせいはこう)

椎間板が神経に刺激を与えているからといって、必ずしも椎間板ヘルニアであるとは限りません。上記のような病気の可能性もあるので、病院で診察を受けてください。

再生医療で椎間板ヘルニアの改善が期待できるのですか?
自然治癒も多い椎間板ヘルニアですが、手術を余儀なくされる患者さんも存在します。その理由として、あげられるのが椎間板の変形です。
一時的な椎間板による神経圧迫の場合、安静にしていると飛び出した部分が元の位置に戻り、痛みなどの症状も治まります。しかし変形した椎間板は自力で元に戻ることは難しく、最終的には取り除くしかありません。そのような患者さんに対しては、再生医療での治療・改善が期待できるでしょう。

椎間板ヘルニアの再生医療・幹細胞治療

椎間板ヘルニアの再生医療・幹細胞治療

椎間板ヘルニアの治療方法を教えてください。
椎間板ヘルニアの治療は部位・程度の特定から始まります。X線・CT・MRIで検査を行い、場所・骨の形状などを調べて評価するのが一般的です。自然治癒も多いので、基本は以下のような保存治療を行います。

  • 安静療法
  • 薬物療法(消炎鎮痛剤・筋弛緩剤・ビタミンB12など)
  • 注射療法(ブロック注射)
  • 理学療法

多くの場合は痛みの症状があるため、安静療法を行うと同時に薬物療法を行うことが多いでしょう。また、神経・筋肉の腫れが強ければそれぞれの症状に合わせた薬も処方されます。
多くの場合は鎮痛剤で痛みは取れますが、効果がみられない場合は神経に局所麻酔剤を注射するブロック注射を行うこともあるでしょう。ただし、重症の場合は上記のような治療では難しく、手術を必要とします。主な手術が必要な場合の症状は以下の通りです。

  • 運動障害
  • 排尿・排便障害
  • 保存治療でも痛みが続く場合

医師の判断にもよりますが、上記のような症状が確認できる場合は飛び出したヘルニアを摘出する手術を行います。椎間板ヘルニアで行われる手術は主に以下の通りです。

  • 日帰り可能:経皮的レーザー椎間板髄核減圧術(PLDD)・経皮的オゾン椎間板減圧術(PODD)・ハイブリッドレーザー治療
  • 入院が必要:経皮的内視鏡ヘルニア摘出術(PELD法)・内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術(MED法)・顕微鏡下椎間板ヘルニア摘出術(MD法)
  • 症状・状態による:椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)

椎間板ヘルニアの状態・症状にもよりますが、多くの場合は原因となっている飛び出た椎間板ヘルニアを取り除くことを目的としています。神経を圧迫しなければ、痛み・しびれ・麻痺などの症状は緩和・完治されるからです。
手術といっても重症度によって内容は異なり、なかには日帰りが可能なものもあります。しかし医師の判断にゆだねられるため、診断・指示に従ってください。

再生医療による椎間板ヘルニアの治療方法は?
椎間板は自己再生能力が極めて乏しいため、変形・欠損すると修復には途方もない時間を要します。しかし背骨は重要な役割を担っており、長期にわたる変形・欠損状態は日常生活にさまざまな弊害をもたらしてしまうでしょう。
そこで考えられたのが、再生医療による取り除いた椎間板の早期修復です。早期修復されれば、それに由来する疼痛も軽減されるとの報告も上がっています。
椎間板ヘルニアの幹細胞治療について教えてください。
椎間板ヘルニアの幹細胞治療は、主に幹細胞培養上清液による修復方法です。幹細胞培養上清液とは、再生・修復の能力を持つ幹細胞を培養する際に発生する上澄み液のことです。
幹細胞同様に再生・修復の効果が期待されています。実際の幹細胞を使用する場合、先に採取して培養しなければいけません。手術が必要となり、時間もかかります。一方の幹細胞培養上清液の場合は、滅菌凍結されたものを使用するため、事前採取・培養の必要はありません。この幹細胞培養上清液を椎間の関節部分に注射して幹細胞の活性化を促し、治療を行います。
また、幹細胞を培養して注射で患部に注入する治療を行っている病院もありますが、この場合は幹細胞の採取・培養が必要になるため、幹細胞培養上清液治療と比べると治療には時間がかかるでしょう。
再生医療による治療を行うメリットを教えてください。
再生医療は、さまざまな要因で失ってしまった体の細胞・機能などを回復するための治療です。これまでは失われてしまった部分を別の医療器具・ドナー提供などで補ってきました。しかし成長とともに作りかえたり、提供してもらった組織・臓器があわなかったりします。
再生医療では自己再生が可能なため、組織などは年齢と共に成長していくので作りかえる必要はありません。またアレルギー・副作用などの発症リスクが抑えられる点もメリットといえるでしょう。

椎間板ヘルニアの再生医療の今後の可能性は?

椎間板ヘルニアの再生医療の今後の可能性は?

再生医療による椎間板ヘルニアの治療の今後の可能性は?
再生医療のみで椎間板ヘルニアを治療することは困難でしょう。再発する可能性はゼロではないからです。再発を予防するには身体機能の低下を抑えることが欠かせません。これは突発的に起こる腰痛の原因と大差がなく、そのためには日頃からの適度な運動などが効果を発揮するとされています。再生医療での治療後に欠かせないのがリハビリテーションです。治療した箇所に大きな負荷をかけないように身体を動かすことで、原発の再発リスクは軽減されます。
生活の再構築・再発予防を目指すためには、自発的に定期的な運動などで身体機能の低下を抑えることが重要です。そのような意味でも、足掛かりとしてリハビリテーション医療との連携が必要不可欠であるとされています。この連携がうまく取れれば治療後の再発リスクが抑えられ、生活の再構築も可能になるでしょう。
再生医療による椎間板ヘルニアの治療の費用は?
再生医療による椎間板ヘルニアの治療は、幹細胞培養上清液による修復方法と幹細胞を培養する方法の2通りがあります。どちらの治療も費用相場は30~40万円(税込)だそうです。参考にしてみてください。
ただし、投与量によって費用が抑えられることもあれば高くなることもあります。あくまで目安なので、注意してください。

編集部まとめ

青空

椎間板ヘルニアは自然治癒できるものも多いですが、一度変形・欠損してしまうと修復・再生が困難な病気です。

症状が重症化すると手術を余儀なくされることになり、その結果日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。

治療後も生活の再構築が可能になるように再生医療の研究が進められています。しかし、発症原因の多くは突発的な腰痛と大差ありません。

予防・再発防止のためには適度な運動が必要不可欠なのです。再生医療の進歩に伴い、椎間板ヘルニアの治療に明るい兆しは見えつつあります。

しかし、自発的な予防も欠かせないことを忘れないでください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) TOTO関西支社健康管理室産業医

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平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) TOTO関西支社健康管理室産業医

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