注目のトピック

再生医療

脳出血の後遺症は再生医療で治療できる?治療方法・再発防止についても解説

再生医療 脳出血

脳出血の後遺症として多くの場合、身体的麻痺が残ります。この後遺症を治療するために、再生医療は非常に効果があるものとして注目されています。

再生医療とは、1度失った機能を再び回復させる医療技術です。脳出血で患った後遺症治療に非常に有効とされています。

本記事では、脳出血の後遺症は再生医療で治療できるのか、治療方法・再発防止について詳しく解説していくのでぜひ参考にしてみてください。

脳出血の症状や再生医療の有効性について

脳出血の症状や再生医療の有効性について

脳出血はどのような病気ですか?
脳出血とは、脳卒中の中の1つです。脳を貫いて走っている非常に細い血管(穿通枝)が破損することで出血が起こり、出血に巻き込まれた神経細胞が障害される病気です。
原因の多くは、高血圧によるものであり、高血圧による脳出血(高血圧性脳出血)は、高血圧症や動脈硬化などを起こしやすい50〜60歳くらいに多く発症しています。また、高血圧の他に脳出血の危険因子としては、喫煙・アルコールの過剰摂取・ウエスト/ヒップ比の高値・高齢・血清総コレステロール低値などがあげられます。単に高血圧だけでなく、危険因子が複数重なることでも脳出血発症の危険性は高まるので日頃から健康に気を遣うことは非常に大切です。
高血圧は薬物管理の発達により、昭和35年以降の死亡率は低下しており、平成20年は26.7%となっています。しかし、それでも日本の3大死因の1つであり、重要な疾患には変わりないのです。
また、高血圧性以外の脳出血の原因として、脳血管の異常があります。生まれつきの異常による脳動静脈奇形・海綿状血管腫・硬膜動静脈瘻と呼ばれる病気があり、高血圧性に比べて若い人に起こりやすいです。大きさや発生部位はさまざまで、脳出血の他にくも膜下出血になる場合もあります。
症状について教えてください。
脳出血の症状は出血を生じた場所によって症状は異なります。脳出血の典型的な症状としては以下の通りです。

  • 手足の脱力(運動麻痺)
  • 言葉がしゃべりづらい・理解できない(失語)
  • 呂律が回らない(講語障害)
  • 半身の感覚が鈍い(感覚障害)
  • 意識障害
  • 脳幹の呼吸中枢の障害

どのような症状でも突発的に発症することが特徴です。また、後遺症なく完治する人は少なく、遺症をもたらしてしまう場合がほとんどです。
そのため、後遺症に関して不安なことがあればまずは治療を担当した医師に相談するようにしてみてください。

脳出血の後遺症にはどのような症状がありますか?
脳出血の後遺症はさまざまあります。主な後遺症は以下の通りです。

  • 運動障害
  • 構音障害
  • 嚥下障害(飲食が難しくなる症状)

上記の症状以外にも脳出血発症時の症状がそのまま後遺症として残ることがあります。
また、上記の後遺症に共通しているものが麻痺です。

再生医療は脳出血の後遺症にも有効なのですか?
再生医療は、脳出血の後遺症には非常に有効です。これまでは完全に失われた機能までは完璧に元通りにすることはできませんでした。しかし、近年の再生医療の発達により機能を失った脳を回復させ、後遺症を改善できるようになりました。
特に、後遺症で多く発症する身体的麻痺に対して再生治療である幹細胞治療は非常に有効とされています。

再生医療による脳出血の治療や回復について

再生医療による脳出血の治療や回復について

再生医療で脳出血の後遺症を治療する方法を教えてください。
脳出血の後遺症治療は、再生医療の1つである幹細胞治療を行います。幹細胞治療とは、細胞の再生能力を活かして、傷ついた組織・失われた組織を元に戻すことを目的としている医療技術です。
幹細胞は、分裂して増殖する「自己複製能力」と血管・心筋・骨・脂肪などのさまざまな細胞に変化できる「分化能力」があります。これを利用して以下の手順で治療を行います。

  • 状態の進行度・障害の程度・これまでの治療履歴の確認後、血液検査
  • 少量の脂肪細胞を採取
  • 国の許可を得た細胞培養可能施設で脂肪組織から分離した幹細胞の培養・増殖を行う
  • 数週間後、培養・増殖した幹細胞を体内に戻す
  • 術後は担当医による経過観察

移植した後、経過観察をしながら症状の状態によって並行してリハビリも行います。
また、幹細胞は脂肪組織の他に骨髄・臍帯・乳歯髄などさまざまな場所から採取することが可能です。脂肪組織以外でも同じような手順で施術は行われます。

再生医療による治療でどの程度機能が回復するのですか?
再生医療でも、失われた機能を完璧に元通りにすることはできません。ですが、「全く歩けなかった人が杖を付きながら歩けるようになる」・「全くものを持つことができなかった人が少しであれば持てるようになる」など程度の回復は大いに見込めます。
しかし、後遺症の状態や人によって回復速度は異なるため、全員が必ずしも同じような速度で回復するとは限りません。
脳出血の再生医療はどこで受けられるのですか?
再生医療を受けられる医療機関は非常に限られています。治療項目ごとに治療の妥当性・安全性・医師体制・細胞加工管理体制が厳しく審査され、厚生労働省より計画番号を得た医療機関のみが再生治療を行えます。
そのため、費用は決して安いわけではありません。自費治療で100万円から400万円(税込)が相場といわれています。参考にしてみてください。

再生医療による脳出血のリハビリや再発防止について

再生医療による脳出血のリハビリや再発防止について

再生医療はリハビリの効果も高めてくれるのですか?
再生医療とリハビリを組み合わせることで、神経障害・運動障害の両方に同時に回復アプローチをかけることができます。リハビリの例として、電気刺激療法というものがあります。電気刺激療法とは、神経細胞や筋肉に電気刺激を与え、神経経路の活性化を促す治療方法です。
リハビリの中で電気刺激を繰り返し行い、身体麻痺の改善を目指します。再生医療で麻痺した身体を少しでも動かせられるようになった上で、電気刺激療法でリハビリを行えば、更なる回復が見込めるようになります。再生医療とリハビリの同時施術には特に大きなリスクはないとされているため積極的に取り組みましょう。
再生医療で脳出血の再発防止ができるのですか?
再生医療で脳出血の再発防止をすることができます。多少傷ついているが、まだ脳出血になるに至っていない血管を、今後脳出血が起きないように綺麗に修復することで再発防止につながるものです。
脳出血を起こしてしまった人の中には、回復具合の他に再発してしまう不安を抱えていることもあるでしょう。このような不安を解消するために、事前に治療を施しておくという方法もあります。
再発防止のために日常生活で注意するべきことはありますか?
脳出血を再発させないためには、日頃からの血圧管理が非常に大切です。
血圧を上げないようにするためには、特に生活習慣を改善する必要があります。具体的な改善内容としては以下になります。

  • 減塩(1日6グラム以下)
  • 適度な運動(週2〜3程度のランニング・1回20〜30分程度)
  • 健康的な食生活(DASH法:カリウム・カルシウム・マグネシウム・食物繊維・タンパク質を多く含む食材を摂り、高脂質・高炭水化物を避ける食事方法)
  • 禁煙
  • 適度なアルコール摂取・禁酒

上記の通りに生活習慣を見直してしばらく経っても目標の血圧値にならない場合は、投薬での治療をする場合もあります。高血圧を治療する薬としては主に以下のものがあります。

  • カルシウム拮抗薬
  • アンギオテンシンⅡ受容体遮断薬
  • アンギオテンシン変換酵素阻害薬
  • 利尿剤
  • β遮断薬

投与する薬によって副作用は異なります。投薬治療を行う際は医師の指示にしたがって行うようにしてください。

編集部まとめ

患者

今回は脳出血の後遺症は再生治療で治療することができるのか、治療方法・再発防止について詳しく解説してきました。

脳出血は、後遺症として麻痺が残ることが非常に多いです。しかし脳出血の後遺症は再生医療とリハビリを合わせて行うことで大きく回復が見込めます。

また、治療と同時に生活習慣も見直すことにより再発防止につながります。再発防止のために生活習慣から危険因子を排除していくことも大切です。

この記事を参考にして、前向きに過ごせる毎日にしていただけると幸いです。

参考文献

この記事の監修歯科医師
甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) TOTO関西支社健康管理室産業医

記事をもっと見る
  • この記事の監修医師
  • 他の監修記事
甲斐沼 孟医師(上場企業産業医)

平成19年(2007年) 大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科 卒業 平成21年(2009年) 大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医 平成22年(2010年) 大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 平成24年(2012年) 国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 平成25年(2013年) 大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 平成26年(2014年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医員 令和3年(2021年) 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長 令和5年(2023年) TOTO関西支社健康管理室産業医

  1. 人工関節に変わる新しい膝の治療方法とは?再生医療のメリットや種類について解説

  2. 人工関節のデメリットは?治療法の詳細や人工関節を使わない治療法まで解説

  3. 変形性膝関節症とO脚の関係性とは?知っておきたい治療と予防

注目の記事

RELATED

PAGE TOP