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再生医療

再生医療の美容への効果とは?治療方法や安全性についても解説!

再生医療の美容への効果とは?治療方法や安全性についても解説!

肌のシミやしわ、くすみ、たるみ、毛穴の開きなどで悩んでいる方も多いのではないでしょうか。また、このような悩みに直面した際、皮膚科や美容皮膚科を受診して飲み薬や塗り薬の処方、フォトフェイシャルやレーザーフェイシャル、ケミカルピーリングなどの施術を受ける方も少なくないかと思います。

そこで今回は、新しい治療の選択肢として「肌の再生医療」について徹底的に解説していきます。

再生医療で美容を目的とした治療とは

再生医療で美容を目的とした治療とは 加齢による肌の老化をリカバリーするための治療法が再生医療です。老化症状を改善するための方法として、レーザー治療やケミカルピーリングなどの施術や美容成分が含まれる化粧品の使用をイメージする方も多いでしょう。このような肌の外側から行うケアではなく、内側からのお悩み解消が見込める再生医療についてご紹介します。

再生医療で美容を目的とした治療とは

私たち人間の肌の中には、ハリや潤い、弾力性などを保つためのコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどが存在しています。これらは肌細胞によって作り出されていますが、ストレスや紫外線などのダメージを受けると肌細胞は衰え、前述したコラーゲンなどの成分が作り出されなくなり、しわやたるみの原因になります。そのようなダメージを受けた肌に対して、患者さんご自身から採取した細胞やPRPを移植して、若さを取り戻すのが再生医療です。

肌の老化の原因と若返りのメカニズム

前述したように、肌の中にある肌細胞はストレスや紫外線・乾燥などが原因となって衰え、数も少なくなっていきます。肌細胞が衰えるとシミ、しわ、たるみといったお悩みにつながりますが、そこへご自身の肌細胞を新たに移植することで、衰えていた肌細胞の修復が行われます。肌細胞が修復されると肌が若さを取り戻し、加齢症状の改善が見込めるようになります。

再生医療と美容医療の違い

シミやしわなどの悩みを改善したいと思ったときの方法として美容医療を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。たしかに、レーザー治療やケミカルピーリングといった施術は、お肌の機能を修復するという面では再生医療と同じように捉えられるかもしれません。しかし、これらの美容医療は外から手を加える方法のため、時間がたつにつれて効果が弱まり、繰り返しの施術が必要になります。一方、再生医療は肌の内部にアプローチするため、継続的な効果が期待できます。

再生医療と細胞治療の違い

細胞を移植・投与する治療のことを細胞治療と言いますが、すべての細胞治療が再生医療に含まれるわけではありません。組織や臓器を再生する目的だったり、老化や病気による変化が起きないよう予防したりすることはもちろん再生医療と言いますが、がんの治療を目的とした細胞治療もあります。これは、免疫力を高めることが目的とされているため、再生医療には当てはまらないのです。ちなみに、がんに対する細胞治療は、患者さんからがん細胞を抑制する細胞を採取し、がん細胞への攻撃力を高めてから体内に戻すという方法で行われます。

再生医療の美容への効果とは

再生医療の美容への効果とは では、再生医療はお肌にどのような効果をもたらすのでしょうか。大きく分けて2つの効果が期待できるため、それぞれを詳しくご説明します。

加齢による肌の悩みを改善

小じわやほうれい線、たるみ、毛穴の開きといった肌のお悩みは、これまで生活してきた中で受けた紫外線や乾燥などが蓄積したことによって現れます。美容医療ではこれらの悩みに対処することはできますが、根本から解消することはできません。そこで、ご自身から採取した線維芽細胞などを移植する再生医療の技術を応用しコラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどの成分を増やすことで、肌そのものが若々しさを手に入れることができます

肌の老化速度を緩やかにする

もう1つの効果としては、肌の老化速度を緩やかにすることです。元気な細胞を移植することで患者さん自身の「お肌の細胞を作り出す力」も向上します。また、移植された細胞は線維芽細胞として定着し、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンといった若々しいお肌には欠かせない成分の生成とメンテナンスを繰り返していきます。この働きによって老化の進行が緩やかになり、新たなお悩みの予防にもつながっていきます。

美容を目的とした再生医療の3つの治療方法

美容を目的とした再生医療の3つの治療方法 肌に対して再生医療を行うことにはさまざまなメリットがあります。それは、ご自身の細胞を用いて肌トラブルを根本から解消できること、メスやレーザーは使用せず注射治療のためダウンタイムが短いこと、定期的に治療を受けることで老化を遅らせられることです。そんな再生医療について、ここからは具体的な治療法を3つご紹介します。

線維芽細胞療法

まず1つ目は線維芽細胞療法です。この治療は、肌の内部でコラーゲンなどを生み出している「線維芽細胞」を患者さんご自身から採取し、それを専用施設で増殖・培養したうえでお肌の気になる部分に移植する方法です。線維芽細胞を移植することで肌細胞の増殖・分化につながり、弾力と透明感のある肌を手に入れることができます。こめかみや目尻、まぶた、眉間、おでこ、頬、唇、首、手などの部位に施すことができ、クマやゴルゴライン、ほうれい線、口元のしわ、マリオネットライン、ニキビ跡などのお悩み解消が期待できます。

治療の流れとしてはまず血液検査を行い、感染症やアレルギー反応などのリスクがないか事前に確認します。問題がなければ耳の裏から皮膚を採取し、専門機関で約1万倍に培養します。培養した細胞を2回に分けて注入し、完了となります。皮膚を採取する際や細胞を注入する際は麻酔を施すため、痛みはほとんどありません。ただ、費用は高額なため、治療を受けた後に後悔することがないよう、治療内容の説明やアフターフォローを行ってくれるか医療機関どうかをしっかりと確認するようにしましょう。

PRP皮膚再生療法

2つ目は、PRP皮膚再生療法です。PRPは多血小板血漿と言い、成長因子と呼ばれる成分が多く含まれているものです。成長因子は、コラーゲンの生成や皮膚の成長を促すため、PRPを皮膚に注入することでしわやシミ、肌の凹凸などの改善が期待できます。この治療も線維芽細胞療法と同様に、目の周りや口元、首、手などのあらゆる部位のお悩みに適応しています。

なお、PRPは患者さんの血液を少量だけ採取し、専用の遠心分離機にかけることで抽出できます。患者さんご自身の血液から抽出したものを使用しているため、拒絶反応などの副作用は少ないとされていますが、まれに変色や壊死、着色などが起きることがあります。そのため、このようなトラブルが起きても真摯に対応してくれるような医療機関を選ぶことをおすすめします。

幹細胞培養上清液の導入

最後は、幹細胞培養上清液についてご紹介します。これは幹細胞セクレトームエキスとも呼ばれ、幹細胞を培養するときに使用した培養液を遠心分離させ、滅菌処理などを施した上澄み液のことを指します。この上澄み液には成長因子や免疫調整因子、抗炎症因子、神経再生因子などが豊富に含まれていて、衰えた細胞の活性化を促してくれるため病気の治療や健康維持、美容の効果が期待できます。肌の小じわやシミ、くすみなどに効果的です。

再生医療で美容を目的とした治療の安全性について

再生医療で美容を目的とした治療の安全性について 再生医療は厚生労働省から認可を受けた医療機関のみが提供できる治療で、すでにあらゆる医療機関で行われています。しかし、新しくてさまざまな可能性を秘めている治療とは言え「再生医療って本当に安全なの?」「リスクが隠れていないか心配」などと不安や疑問を抱いている方もいらっしゃるでしょう。そのような悩みを解消するため、ここからは治療の安全性について説明していきます。

認可の受けた医療機関のみが提供できる

再生医療はさまざまな発展が期待されている一方、新しい治療法のため安全性が認められた医療機関でしか提供することができません。再生医療を行う機関は「第二種・三種再生医療等・治療に関する提供計画」という意見書を厚生労働省に提出し、認可を受けてから治療を実施しています。ただ、クリニックの中には、正式な手続きをせずに再生医療を提供しているところもあります。そのため、再生医療を受けたいと考えている方は、医療機関や厚生労働省のホームページを確認し、認可を受けているか、安全性が担保されているかどうかを事前に確認することが大切です。

治療実績が豊富

1995年、アメリカで線維芽細胞を培養し皮膚に注射する治療が行われました。その後、1999年に東海大学形成外科グループでも再生医療が実施され、それ以降、さまざまな医療機関で取り扱われるようになりました。30年以上の歴史がある肌の再生医療にはすでに多くの治療実績が残っており、患者さんによって異なるさまざまなお悩みに対応できるとして注目されています。

副作用が少ない

患者さんご自身の組織から採取した幹細胞を培養して治療を行うため、アレルギー反応や拒絶反応といった副作用が出る可能性はとても低いです。また、再生療法は基本的に、注射治療で行われます。薬剤や手術など外科的な介入をしないため、感染症の心配や合併症のリスクが少ないことも再生医療のメリットの1つです。

再生医療で美容を目的とした治療の課題

再生医療で美容を目的とした治療の課題 保存療法や薬物療法といった一般的な治療と同じように、再生医療にも前述したメリットだけでなくデメリットがあります。ここからは美容を目的とした再生医療における課題をご紹介します。治療の良いところだけを見るのではなく、悪いところにもしっかりと目を向けて、再生医療を受けるかどうか判断することをおすすめします。

再生医療の効果には個人差がある

肌のお悩みやその程度が患者さんによって異なるように、再生医療の効果やその持続時間にも個人差があります。体質によっては効果が感じられなかったり、効果が現れるまでに時間がかかったりします。このように、すべての人に100%の効果が出るわけではないということを覚えておきましょう。ただ、どれくらいの効果が出るかなどは、医療機関などで事前に判断できることが多いため、専門の医療機関に相談してみましょう。

再生医療の医療費が高額になる

現在日本では、再生医療に対して保険は適用されていません。そのため、自由診療として患者さんが治療費を全額負担する必要があり、経済的な負担が大きい点がデメリットとして挙げられます。手術や入院をせずに治療を受けられるというのはメリットが大きいですが、治療費が高いことによって「再生医療を受けたくても受けられない」という方がいらっしゃるのが課題です。

クリニック選びで失敗することがある

厚生労働省が安全性や医師・設備の管理体制などを厳しく審査し、基準を満たしたクリニックのみが肌の再生医療を提供できます。また、これだけではなく、第二種・三種再生医療等・治療に関する提供計画書を提出し、計画番号を取得する責任がクリニックにはあるのですが、この工程を踏まずに再生医療を提供しているクリニックが存在しているのも現状です。

認可かどうかを確認せずに「費用が安いから」「家から近いから」などの理由でクリニックを選んでしまいトラブルになるというケースも少なくありません。基準を満たしていないクリニックで施術を受けると、肌にしこりができたり注射の跡が内出血になって残ってしまったりといった問題が起きてしまう可能性があります。法律を遵守し認可を受けているか、事前のカウンセリングなどで施術のメリットと一緒にリスクや注意点をきちんと教えてくれるかなどを確認し、クリニックを選ぶようにしましょう。

まとめ

まとめ いかがでしたでしょうか?今回は、美容に対して再生医療を行う目的をはじめ、美容医療との違いや具体的な再生医療、そのメリットやデメリットについてまとめました。胃や大腸などの臓器の疾患とは違って、肌の老化症状やトラブルは目に見えるものです。そのため、コンプレックスに感じて焦って治療を決めてしまう方もいらっしゃるでしょう。再生医療にはあらゆるメリットがありますが、デメリットももちろん存在するため、きちんとした知識を身につけたうえで治療を受けるかどうか検討されることをおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業

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