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注射で痛みを改善する再生医療「PRP療法」とは?基礎知識や適応条件など徹底解説!

注射で痛みを改善する再生医療「PRP療法」とは?

注射で痛みを改善するPRP療法という再生医療があることを知っていますか? 本記事では、注射で痛みを改善する再生医療について以下の点を中心にご紹介します。

  • PRP(多血小板血漿)療法とはどんな治療方法なのか
  • PRP療法のメリットとデメリットとは?
  • PRP療法の治療の流れや注意点とは?

PRP療法について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

PRP療法について

PRP療法について

PRP療法とはどんな治療法ですか?
PRP療法は近年注目を浴びる再生医療の一部として知られ、私たちの持っている自己治癒能力を活用する新しい治療方法です。
まず、PRPは、「血小板を多量に含む血漿」を意味します。これは、患者さん自身の血液を特定の方法で遠心分離し、血小板を濃縮したものです。血小板は、私たちの身体が傷を治す際に重要な役割を果たしている成分です。傷ができると、血小板がその場に集まり、成長因子を放出しながら血を固める働きが期待できます。これにより、傷ついた組織の修復や新しい細胞の生成が促されるのです。 その血小板の力を活用したのが、PRP療法です。
具体的には、傷ついた部位や痛みを持つ箇所に対して、高濃度のPRPを注入します。面白いことに、この治療では故意に「新しい傷」を作ることがあります。その理由は、慢性化した痛みや問題を持つ部分が再び「傷ついている」と認識させ、炎症や治癒過程を再び始めさせるためです。
この新たな炎症と、濃縮されたPRPによって、修復能力が高まり、身体の自己治癒プロセスが加速します。 さらに、身体の各部位での怪我や損傷、例えば打撲や捻挫においても、PRP療法は期待できます。これらの損傷部位においても、血小板が重要な役割を果たしており、傷んだ組織の修復をサポートします。
PRPの注入は、この自己治癒機転をさらに強化し、怪我の回復を加速させる働きが期待されるのです。 ヨーロッパやアメリカでは、PRP療法はすでに広く受け入れられ、多くの医療施設で実践されています。 痛みの原因や、怪我の種類、程度に関わらず、自身の身体の「治す力」を活用し、早期治癒や疼痛の軽減をもたらす新しい選択肢としてPRP療法は選ばれています。 PRP療法は自己治癒力をサポートし、身体の持つ再生能力を引き出す治療法として、自分の血液を使って、痛みや傷、怪我を早く、治癒することが目的とされています。自然な方法での治療を求める方々にとって、良い選択となり得るでしょう。
PRP療法の原理を教えてください。
PRP療法の根幹には、「血小板」が中心的な役割を果たしています。我々が日常的に「血小板」と聞いて思い浮かべるのは、その血液凝固が期待できることです。しかし、血小板の能力はそれだけに留まりません。
血小板は、成長因子という非常に重要な物質を多く含んでいます。この成長因子(グロースファクター)は、細胞がダメージを受けたとき、その復旧・修復のために働く鍵となる成分です。 たとえば、皮膚や筋肉、関節などの部位がダメージを受けた際、血小板から分泌される成長因子が、傷んだ組織や細胞の修復を進めます。
具体的には、コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促進し、新しい血管の形成や骨細胞の活性化を助ける等、さまざまな機能を持つ成長因子が存在します。それぞれの成長因子は、細胞増殖や組織修復のサポートを行い、結果として体の自然な治癒能力が向上します。
PRP療法では、患者さん自身の血液から血小板を濃縮し、この濃縮された液体を治療対象の部位に注入します。この濃縮されたPRPには、通常の血液より、3から5倍の量の成長因子が含まれているといわれています。つまり、PRP療法により、治療部位に高濃度の成長因子が供給され、これが組織や細胞の修復を劇的に促進します。 これが、PRP療法の原理であり、多くの人々が痛みの軽減や怪我の早期回復を体験する理由です。自身の体の成分を利用して治療するため、アレルギーや拒絶反応のリスクも低く、非常に高い評価を受けています。
メリットは何でしょうか?
PRP療法のメリットを、以下に詳しく説明します。
安全性が高い:PRP療法の特徴として、その高い安全性が挙げられます。治療に用いる血液は患者さん自身から採取されるため、アレルギー反応や拒絶反応などのリスクが非常に低いとされます。
難治性の疾患にも対応: PRPは体の自然治癒力を強化し、ケガや慢性的な痛みを回復・軽減させる働きがあります。これにより、従来の治療法では結果が見込めなかった難治性の疾患に対しても、症状の緩和が期待できます。
美肌:PRPにはさまざまな成長因子が含まれており、これが皮膚組織の修復・再生をサポートします。そのため、PRP療法は美肌治療としても受け入れられており、皮膚の若返りやダメージの回復を目指せます。
体への負担が少ない: 従来の手術より、侵襲が少なく、体への負担が非常に少ないと言えます。治療は注射器を使用して行われ、手術のような大きな傷跡が残ることはありません。治療後の安静も特に必要とされておらず、日常生活を普段通り過ごせます。
ケガの回復を早める:スポーツ選手にとって、怪我は競技活動に大きな支障をもたらす要因です。PRP療法は、身体への負担が少ないだけでなく、ケガの回復を早めることも期待できます。これにより、競技への早期復帰が可能となります。
慢性疾患の症状緩和: 変形性関節症や腰痛、アキレス腱炎、テニス肘などの慢性疾患による症状の治療としても、PRP療法は高い期待を持たれています。 総じて、PRP療法は多くの患者さんや医療従事者から支持を受けている方法といえるでしょう。
デメリットは何でしょうか?
PRP療法は再生医療の一環としてさまざまな場面で用いられていますが、その利点と同時に注意を要するポイントやデメリットも存在します。以下に、PRP療法の主なデメリットや注意点について詳述します。
個人差がある: PRP療法の大きな特徴の一つとして、使用する血液が患者さん自身から採取される点が挙げられます。そのため、PRPの成分は一定ではなく、これが治療に個人差を生じさせる要因となります。結果が感じられる時期やその持続期間など、全ての患者さんで均一な結果を保証することは難しいのです。
痛みや腫れが生じることがある: PRP療法後、特に初めの数日間は注射部位に炎症反応が生じることが一般的です。この炎症反応は、痛み、腫れ、熱感、発赤といった症状を引き起こすことがあります。これらの症状は一時的なもので、時間とともに軽減していくものの、治療直後の不快感や不便を感じることがあります。
治療後の特別な注意点: PRP療法は、体の自然治癒力を活性化させる目的で行われるため、治療後には特定の注意が必要です。PRP療法後の3〜4日間は炎症反応による痛みが生じることが考えられます。
PRP療法後の生活上の注意点: PRP療法後、関節内に投与した場合は、24時間以内のシャワーや入浴は避けるよう勧められることが多いとされています。また、治療当日の激しい運動やアルコールの摂取も控える必要があります。注射部位に腫れや赤みが現れた場合は、冷やすことが推奨されます。そして、稀に、内出血が生じることがあるため、それに関しても適切なケアが求められます。 総じて、PRP療法は多くのメリットを持つ反面、デメリットや注意点も考慮する必要があります。治療を受ける前に、これらの点を十分に理解し、専門家との相談を通じて適切な選択をすることが重要です。

PRP療法の適応や持続期間について

PRP療法の適応や持続期間について

PRP療法が適応できる疾患は何でしょうか?
PRP療法は近年、さまざまな疾患や障害の治療に広く採用されるようになっています。特に、変形性関節症やスポーツ外傷が主な適応疾患として挙げられます。変形性関節症、特に膝の変形性関節症の患者さんでは、半月板の損傷や靭帯のゆるみなどによる膝の変形と痛みが進行する場合があります。
従来の治療法、例えば痛み止めの内服やヒアルロン酸の注入で結果が得られなかった方々の中には、PRP治療により症状が改善することが報告されています。 また、スポーツ外傷や障害もPRP療法の重要な適応疾患となっています。特にスポーツ選手は、怪我からの迅速な復帰を望む傾向があります。靭帯損傷、肉離れ、腱炎といったトラブルに対し、PRP療法がおすすめとされています。 難治性の外傷や障害を持つ患者さんも、従来の治療方法での改善が見られない場合、PRP療法を求めて来院することが増えています。 要するに、PRP療法は、多くの疾患や障害においての治療法として位置づけられており、幅広く応用されています。
PRP療法が適応できる条件はありますか?
PRP療法は結果が期待できる治療法として注目されていますが、適応するためのいくつかの条件が必要です。
基本的な条件:治療を受ける患者さんの全身の健康状態が良好であること ・重大な合併症が存在しない ・貧血の所見が確認されないなど
治療内容を理解し、文書による治療への同意が得られることも求められます。
PRP療法の適応を外れる条件:特定の疾患や薬物を使用している場合 ・がんの治療中 ・感染症や発熱がある ・薬剤過敏症の既往歴がある ・免疫抑制剤を内服中の方など PRP療法は非常におすすめな治療法である一方で、適応できる患者さんには一定の条件が存在します。 これらの条件を満たしているかどうかを確認するため、専門の医師の診察や適切な検査が必要です。
PRP療法の働きはどのくらい持続されますか?
PRP療法は自身の治癒能力を活用する治療法であり、多くの場合、痛みの緩和や改善が2〜3カ月後に現れることが一般的です。しかし、結果が表れる時期は患者さんの個人差に大きく影響され、早い方では2週間後に結果を感じることもありますし、稀に半年経過した後で初めて結果を実感される場合もあります。これは、年齢、日常の活動性や治療時の病状などによって影響されるためです。 持続期間も同様に個人差がありますが、1回の治療で6〜12ヵ月持続するとされています。実際に、奈良病院のデータによれば、治療を受けてから2年近く持続している患者さんもいます。一方で、半年や1年で無くなるケースも確認されています。これは、PRP治療が体内の成長因子を活性化させて治癒を促進するため、その反応や持続期間が個々の体質や状態によって異なるからです。

PRP療法の治療や費用について

PRP療法の治療や費用について

治療の流れを教えてください。
PRPの治療は自分の血液を利用した治療法で、治療当日の流れはシンプルです。事前に治療の適応性の確認、十分な説明、問診、および検査が行われます。当日の主な手順は以下の通りです。
血液採取:まず、約55mLの血液を患者さんから採取します。これは献血の約400mLより、非常に少量です。
血小板の濃縮:採取した血液は特殊な技術で処理され、血小板を濃縮してPRPを抽出します。 注射:得られたPRPは、エコー(超音波画像)を使用してガイドしながら、痛みのある場所、例えば関節などに直接注射されます。 病院によっては、PRPの分離・抽出に使用する専用の機械が完備しているため、採血から治療が完了するまでの時間は約1時間となります。これにより、日帰りでの治療が可能となっています。
治療の注意点はありますか?
治療を受けた後には、特定の期間ごとにいくつかの注意点があります。
① 治療当日:当日は、全身の入浴は避けてシャワーをおすすめします。翌日からは入浴が可能ですが、2~3日間は長湯を控えることが望ましいとされています。
② 治療翌日~3日目:この期間中は、運動や激しい身体活動は避けるようにしてください。しかし、治療部位に腫れや他の異常が見られなければ、活動の再開が可能です。
③ 治療3カ月頃まで:この期間中、ひざに過度なストレスや負担をかけないよう心掛けてください。特に長時間の歩行や階段の昇降は、可能な限り避けることが推奨されます。 これらの注意点を守ることで、治療の働きを引き出すとともに、合併症のリスクを抑えられます。
費用について教えてください。
PRP療法の費用についてですが、現在のところ、これらの治療は健康保険の対象外となっています。そのため、治療費は全て自己負担となります。具体的な費用は、治療を提供する医療機関や治療対象となる体の部位によって異なるため、詳しい金額については直接、ご希望の整形外科外来や医療機関に問い合わせるとよいでしょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで注射で痛みを改善するPRP療法という再生医療についてお伝えしてきました。 PRP療法の要点をまとめると以下の通りです。

  • PRP療法とは、自己治癒力をサポートし、身体の持つ再生能力を引き出す治療法
  • PRP療法は多くのメリットを持つ反面、デメリットや注意点も考慮する必要がある
  • PRP療法の治療は、病院によっては、採血から治療が完了するまでの時間は約1時間となり日帰りでの治療が可能で、合併症のリスクを抑え治療の結果を引き出すために注意点を守る必要がある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業

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