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幹細胞治療

幹細胞治療による脳卒中の治療方法とは?期待されている治療効果について徹底解説!

幹細胞治療による脳卒中の治療方法とは?期待されている治療効果について徹底解説!

脳卒中は、発症後の後遺症が生活に大きな影響を及ぼす深刻な病気です。
近年、脳卒中の後遺症改善を目的とした治療法として関心を集めているのが幹細胞治療です。幹細胞治療では、幹細胞の再生能力を利用して損傷した脳細胞や神経を修復し、機能の回復を目指します。

本記事では脳卒中の幹細胞治療について以下の点を中心にご紹介します。

  • 脳卒中(脳血管障害)について
  • 幹細胞治療(再生医療)について
  • 脳卒中の幹細胞治療(再生医療)について

脳卒中の幹細胞治療について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

脳卒中(脳血管障害)について

脳卒中(脳血管障害)について

脳卒中とはどのような病気ですか?
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳の血流が途絶え、脳細胞がダメージを受ける疾患です。大きく分けて、脳の血管が詰まって酸素や栄養が届かなくなる脳梗塞と、血管が破れて出血が起こる脳出血やくも膜下出血があります。

脳梗塞は、動脈硬化や血栓の形成が原因となることが多く、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病と密接に関係しています。一方、脳出血やくも膜下出血は高血圧が主な要因とされ、過度のアルコール摂取や喫煙もリスクを高めます。

脳卒中の症状には、半身の麻痺や言語障害、視覚障害、突然の頭痛などがあり、発症直後の迅速な治療が予後に大きく影響します。

脳出血について教えてください
脳出血とは、脳内の血管が破れて血液が脳組織に流れ出ることにより発生する病気です。この出血により脳の神経細胞が圧迫され、さまざまな障害が引き起こされるため、大変危険な状態です。

主な原因には、高血圧や動脈硬化、脳動脈瘤の破裂が挙げられます。また、糖尿病や過剰な飲酒、喫煙などの生活習慣もリスクを高める要因とされています。

脳出血の症状は突然発症し、激しい頭痛や意識障害、片側の手足が動かしにくくなる半身麻痺、言語障害などが現れます。

脳梗塞について教えてください
脳梗塞は、脳の血管が詰まり、血液が流れなくなることで脳の一部が酸素不足に陥り、正常な働きができなくなる病気です。血管が詰まる原因には、動脈硬化による血栓や、心臓からの血栓が脳に流れ込む心原性脳梗塞などが挙げられます。

脳梗塞は突然発症するケースが多く、放置すると重篤な後遺症が残る可能性があるため、迅速な対応が重要です。代表的な症状には、片側の手足の麻痺や、言語障害、視覚異常、意識障害などがあります。
予防には、生活習慣の見直しが有効とされており、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満などリスク要因の管理が求められます。

くも膜下出血について教えてください
くも膜下出血とは、脳を覆う、くも膜という膜の下に出血が生じる病気です。脳内の動脈が破裂することで、くも膜と脳の間に血液が広がり、強い頭痛や吐き気、意識障害などの症状が突然現れることが特徴です。

くも膜下出血の主な原因として、脳動脈瘤の破裂が多いとされ、ほかには外傷や血管の異常なども引き金となる場合があります。
くも膜下出血による脳圧の増加や血流の遮断は、脳細胞に深刻なダメージを与え、場合によっては命に関わる危険性もあります。

くも膜下出血の主な治療法としては、外科手術によって出血を止めるか、血管内治療で動脈瘤の再破裂を防ぐことが行われます。
また、再出血を防ぐための生活習慣の見直しや、定期的な検査も重要です。

幹細胞治療(再生医療)について

幹細胞治療(再生医療)について

幹細胞治療とは何ですか?
幹細胞治療とは、体内の組織や細胞に分化できる、幹細胞を用いた再生医療の一種です。 幹細胞には、自己修復能力とさまざまな細胞に分化する能力があり、この特性を活かして損傷した組織や臓器の修復、再生を目的としています。

幹細胞には、骨髄や脂肪組織から採取される成人幹細胞、胎児の発育初期に由来する胚性幹細胞、または体細胞から人工的に作り出されるiPS細胞などが含まれます。

治療では、患者さんの幹細胞を培養・増殖し、必要な部位に移植することで機能回復を促します。
幹細胞治療は従来の治療方法では治りにくい病気にも可能性をもたらす革新的な治療法として期待されていますが、多くは有効性や安全性などが確認中の段階にあるとされています。適用される細胞の種類や適切な治療手順の選択が重要です。

幹細胞治療はどのような病気で応用されていますか?
幹細胞治療は、再生医療としてさまざまな病気に応用されています。特に、神経や心臓、肝臓などの再生が難しい臓器や組織に対する治療として関心が集まっています。

具体的には、脳梗塞後のリハビリ、パーキンソン病、アルツハイマー病などの神経系疾患、さらに心筋梗塞後の心機能回復、肝硬変、腎不全などに対しても効果が期待されています。

また、関節の軟骨再生を目的とした治療も進んでおり、変形性関節症の症状緩和にも有望とされています。その他、がん治療でも幹細胞の応用が試みられています。

幹細胞治療のリスクや副作用を教えてください
幹細胞治療には、効果が期待される一方で、リスクや副作用も存在します。
主なリスクには、細胞が予期せぬ形で増殖し腫瘍を形成する腫瘍化や、移植細胞が意図しない場所に分化する可能性が挙げられます。

また、患者さんご自身以外の方の幹細胞を使用する場合には、免疫反応が起きるリスクもあり、その結果、アレルギー反応や拒絶反応が発生する場合があります。

さらに、感染症のリスクも見逃せません。幹細胞を体内に導入する際、細菌やウイルスが混入することで感染症が引き起こされる可能性があり、治療後の管理が重要です。

幹細胞治療を行う際は、リスクを十分に理解したうえで、医師とともに慎重に計画することが重要です。

脳卒中の幹細胞治療(再生医療)について

脳卒中の幹細胞治療(再生医療)について

脳卒中の幹細胞治療で期待されている効果を教えてください
脳卒中に対する幹細胞治療は、脳細胞の修復と機能回復を目指した新しい治療法です。
脳卒中の幹細胞治療で期待されている効果には、以下のような点があります。

【脳細胞の再生と修復】
幹細胞を用いた治療は、脳卒中で損傷を受けた脳細胞を再生し、麻痺や言語障害などの後遺症の改善に効果が期待されます。これにより、患者さんの日常生活における自立性の向上を目指します。

【症状の緩和】
幹細胞から放出される成分には、痛みや不快感を軽減する作用があるとされています。

【リハビリ効果の強化】
再生医療をリハビリテーションと組み合わせることで、損傷した脳機能の回復を促進し、リハビリ効果の強化を目指します。

【再発予防】
幹細胞治療は、脳の血管を修復し、保護することで、将来的な脳出血や脳梗塞のリスクを減少を目指すものです。脳卒中の再発率を下げる助けとなり、患者さんの長期的な健康維持に寄与すると考えられています。

ただし現時点では、脳卒中後の日常生活自立度は、少し良くなる程度であることに留意すべきでしょう。
日本ではまだこのような治療の保険適応が認可されておらず、費用も高額になる可能性があります。

脳卒中の後遺症改善に期待されている効果を教えてください
幹細胞治療は、脳卒中の後遺症に対しても改善が期待されています。
脳卒中後、運動機能の低下や言語障害、感覚障害などが後遺症として残ることが多いようですが、幹細胞治療はこれらの症状に対して改善の効果が期待されています。

移植された幹細胞は、脳内で新しい神経細胞や血管の生成を助け、損傷した神経回路の再接続を支援する役割を果たします。その結果、脳卒中で失われた機能の部分的な回復や、運動機能や感覚の改善が期待されています。

さらに、幹細胞が分泌する成長因子が炎症の抑制や細胞修復を促すことで、脳内環境が整い、全体的な回復が進むと考えられています。

しかし、再生医療が本当に日常生活の自立度を向上させるかは、まだ疑問が残されています。
2024年に “システマティックレビュー研究” の結果をまとめた、『Efficacy and safety of mesenchymal stem cell therapies for ischemic stroke: a systematic review and meta-analysis』という論文のなかにも、そのような記載があります。
論文は2005~2023年までの間に発表された間葉系幹細胞を使った幹細胞治療の効果を調べた研究を世界中から集め、データを分析し、間葉系幹細胞を使った幹細胞治療が本当に有効なのかどうかを調べたものです。

論文には結果として、間葉系幹細胞を使った幹細胞治療は

  • 脳卒中の重症度(NIHSSスコア)を改善させる
  • 日常生活の自立度(modified Rankin Scaleスコア)を向上させる
  • 日常生活の自立度(Barthel Indexスコア)を向上させるとはいえない

と記載があります。

つまり、再生医療は期待されている治療ではありますが、有効性についてはまだ未知の部分が多いようです。

幹細胞治療による脳卒中の治療は、どれくらいで効果が現れますか?
幹細胞治療による脳卒中の改善効果は、個人差がありますが、数ヶ月〜半年程度で効果を実感できるケースが多い傾向にあります。治療後、幹細胞が脳内で損傷した細胞を修復し、血流を改善することで徐々に機能が回復していきます。

運動機能や言語能力の改善では、効果の実感が早いとされ、治療後数ヶ月以内に変化を感じる患者さんもいます。しかし、神経回路の再生や神経細胞の修復は時間がかかるため、長期的なフォローアップが必要です。

効果の出方には個人差があり、治療開始時期や脳卒中の損傷部位、程度などによっても異なるため、定期的な検査と医師の指導のもとで進行状況を確認することが重要です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで脳卒中の幹細胞治療についてお伝えしてきました。
脳卒中の幹細胞治療の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 脳卒中とは、脳内の血管が詰まるか破れることで脳細胞が損傷し、後遺症を引き起こす深刻な病態である
  • 幹細胞治療は、幹細胞の再生能力を利用して損傷した細胞や組織を修復・再生させる治療法である
  • 脳卒中の幹細胞治療は、損傷した脳組織の再生と機能回復を目指し、後遺症の改善を期待できる新たな治療法である

幹細胞治療は脳卒中後の回復を目指す患者さんにとって、有効なサポートとなる可能性を秘めています。
幹細胞治療を受けるにあたっては、医師の指導のもとで定期的な経過観察が必要とされ、幹細胞の安全性や治療プロセスについて理解することが重要です。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
勝木 将人医師(諏訪赤十字病院 こむぎの森 頭痛クリニック)

勝木 将人医師(諏訪赤十字病院 こむぎの森 頭痛クリニック)

2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.

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