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幹細胞治療で脱毛症は改善できる?脱毛症のメカニズムと細胞治療を徹底解説!

幹細胞治療で脱毛症は改善できる?

幹細胞治療で脱毛症は改善できるのでしょうか? 本記事では幹細胞治療で脱毛症は改善できるのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • そもそも脱毛症とは
  • 幹細胞再生治療の効果
  • 脱毛症の改善方法

幹細胞治療で脱毛症は改善できるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

脱毛症とは

脱毛症とは

脱毛症の原因とはなんですか?
脱毛症の原因は以下のようなものが考えられます。

  • 免疫異常:円形脱毛症では、本来体を守るべき免疫が誤って毛包を攻撃し、毛が抜けることが原因とされています。
  • 男性ホルモンの影響:男性型脱毛症では、男性ホルモンの影響で毛の生え替わりが加速して抜け毛が増え、毛が目立たなくなります。
  • 感染症や内科の病気:細菌や真菌の感染、甲状腺疾患や膠原病などの内科的病気、薬剤や放射線治療の副作用なども脱毛症の原因となります。

また、以下の要素も脱毛症の原因となり得ます。

  • 遺伝的要素:家族に脱毛症の人がいる場合、遺伝的要素が関与する可能性があります。
  • 出産後の女性ホルモンの変化:妊娠中から出産後にかけての女性ホルモンの変化も、脱毛症の原因となることがあります。
  • 精神的ストレス:ストレスは毛根への栄養補給を妨げ、毛周期を乱すことで脱毛を引き起こす可能性があります。

原因を理解し、適切な治療法を選択することが重要です。

脱毛症の種類について教えてください
脱毛症は毛髪が異常に抜ける状態を指し、原因や症状により自然治癒するまでの期間は異なります。

  • 円形脱毛症の単発型:円形もしくは楕円形の脱毛が1か所に起こる脱毛症で、円形脱毛症の中でも多いタイプです。
  • 円形脱毛症の多発型:円形もしくは楕円形の脱毛が2つ以上発生するタイプです。
  • 円形脱毛症の蛇行型:脱毛斑が細長くつながる状態です。
  • 円形脱毛症の全頭型:頭部全体の毛が抜ける状態です。
  • 円形脱毛症の汎発型:頭髪だけでなく、全身の毛が抜ける状態です。
  • 外傷性脱毛:頭皮に強い圧迫が持続的に加わることで血流が不足し、成長期の毛根がダメージを受けて退行して毛が脱落する現象を指します。硬い床などに長時間、意識無く動かずに寝ていた時などにも起こります。
  • 薬剤・化学物質による脱毛:特定の薬物や化学物質が毛母細胞を傷つけ、毛の生成を阻害する現象を指します。
  • 抗がん剤やタリウム:これらの物質は成長期の毛母細胞の細胞分裂を傷つけ、毛が作られない状態にするため頭髪全体が抜け落ちます。
  • 放射線:抗がん剤の使用後、数日〜数週間でびまん性脱毛が起こり、高度の脱毛を引き起こします。
  • ステロイド剤:長期間にわたってステロイド剤を使用すると、男性型脱毛症に似た休止期性脱毛を引き起こすことがあります。
  • その他の物質:タリウム中毒やホウ酸の大量吸収、抗血液凝固剤、ビタミンAの過剰摂取なども脱毛を引き起こす可能性があります。
脱毛症が自然治癒する期間について教えてください
  • 円形脱毛症の単発型:脱毛斑が一つだけの場合は約80%の人が1年以内に治癒するとされていますが、複数ある場合は自然治癒が難しく、適切な治療を行っても回復までに時間がかかることがあります。まれに次の段階である「多発型」に移行する場合があります。
  • 円形脱毛症の多発型:適切な治療を行っても治療が終わるまで半年から2年くらいかかることが多いとされています。
  • 円形脱毛症の蛇行型:後頭部から側頭部にかけて広がる場合、自然治癒が難しく治療期間が複数年に渡ることがあります。
  • 円形脱毛症の全頭型:長期間にわたる治療が必要となり、残念ながら回復に至らないケースもあります。ウィッグ(かつら)などを使って円形脱毛症と上手につきあう工夫が必要となります。
  • 円形脱毛症の汎発型:治療が長期に渡ることが多く、回復に至らないケースもあります。
  • 外傷性脱毛:多くの場合は一時的なもので時間が経つと毛髪は再生しますが、頭皮への圧迫を避けることで予防することもできます。
  • 抗がん剤やタリウム:これらの物質の影響が無くなれば回復します。
  • 放射線:一時的なもので、抗がん剤の使用を止めれば回復します。
脱毛症の改善方法について教えてください
脱毛症の改善方法は症状の程度や原因により異なります。

  • 内服薬・外用薬:脱毛範囲が狭い場合、グリチルリチンやセファランチンなどの内服薬、ステロイドや塩化カルプロニウムなどの外用薬が用いられます。
  • 施術:脱毛範囲が狭い場合でも、治療が長引くようであればステロイドの局所注射や雪状炭酸圧抵療法(ドライアイスを使って脱毛部分を冷却する方法)、紫外線・赤外線療法(免疫抑制作用を利用して症状を落ち着かせる方法)などの施術が行われます。
  • 局所免疫療法:脱毛範囲が広く6ヶ月以上続いている場合、特殊な薬剤を使って皮膚炎を起こす局所免疫療法が用いられます。治療をやめると脱毛が進む可能性があったり、保険が適用されないためハードルが高いとも言えます。
  • 経口薬:2022年に、アトピー性皮膚炎の薬であるバリシチニブが円形脱毛症治療薬として承認されました。この薬は、免疫細胞から分泌されるタンパク質の働きを抑えることで毛根への攻撃を止める作用があるとされています。

幹細胞再生について

幹細胞再生について

幹細胞再生治療とはなんですか?
幹細胞再生治療は、自身の皮下脂肪から採取した幹細胞を用いた革新的な医療技術です。幹細胞は新しい皮膚や血液などの細胞を生み出す能力を持つ細胞で、組織幹細胞と多能性幹細胞の二つのタイプがあります。
組織幹細胞は特定の組織や臓器の細胞を再生します。例えば、造血幹細胞は血液、神経幹細胞は神経系の細胞を再生します。多能性幹細胞はさまざまな細胞に分化・変化できる能力を持ちます。2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞したiPS細胞は、この多能性幹細胞の一つです。
幹細胞再生治療は、上記の幹細胞の特性を利用した新しい治療法として注目されています。特に皮下脂肪から採取した幹細胞は、髪の毛のもととなる細胞の活性化に効果が期待できるとされています。毛髪再生治療では脂肪組織由来の幹細胞を頭皮に直接注入し、髪を作る細胞の活性化を促してヘアサイクルを整えます。
幹細胞再生治療の期待できる効果について教えてください
幹細胞再生治療は、脂肪由来の幹細胞を用いて毛包幹細胞を活性化し、髪の毛の成長を促進することを目指しています。幹細胞再生治療では以下の効果が期待できます。

  • ヘアサイクルの正常化:毛乳頭細胞の働きを促進し、成長期を長く保つことで毛包の再生を促進します。
  • 毛髪の成長期の促進:幹細胞培養液を投与することで、毛髪の成長を促す毛乳頭細胞を増殖させます。
  • 退行期への早期移行の抑制と休止期の短縮:エクソソームは毛乳頭細胞の働きを抑制するサイトカインや炎症性サイトカインを抑制し、退行期への早期移行を抑制し、休止期を短縮します。

幹細胞再生治療は、髪の毛の成長を促進し、薄毛や抜け毛の問題を改善する可能性があります。ただし、個々の結果は患者さんの体質や状態により異なるため、治療を受ける前に医師と相談することが重要です。

幹細胞再生治療の安全性について教えてください
幹細胞再生治療は頭皮への直接注入や皮下脂肪の採取などを行うため、安全性は事前にしっかりと確認する必要があります。また、治療を行う医療機関や医師、培養施設は厚生労働省によって認可・管理されています。認可を受けていない病院やクリニックでの幹細胞治療の実施は許可されていません。
幹細胞再生治療の副作用は新しい治療方法であるため、まだ全てが判明していないのが現状です。しかし、投与される細胞が自分自身のものであるため、アレルギーや拒否反応が現れにくい治療法と考えられています。

幹細胞治療のメリットとデメリット

幹細胞治療のメリットとデメリット

幹細胞治療のメリットはなんですか?
以下が幹細胞再生治療のメリットです。

  • 患者さんへの負担が少ない: 幹細胞治療は患者さん自身の細胞を用いるため、身体へのストレスが最小限に抑えられます。
  • 治療時間が短い:幹細胞治療のもう一つのメリットは、治療時間が短いことです。具体的には患者さんの体内から幹細胞を取り出し、培養したあと増殖した幹細胞を体内に戻すという過程を経て、治療が完了します。
幹細胞治療にデメリットはありますか?
幹細胞再生治療は注目を集めていますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。

  • 保険適用外:幹細胞再生治療は保険適用外であるため、治療費が高額になる可能性があります。しかし医療技術の進歩や関連機関の努力により、治療費を抑える動きもみられます。
  • 効果に個人差がある:幹細胞再生治療の効果は、他の治療法や薬と同様に効果の感じ方には個人差があります。
  • 症状によっては治療を受けられない:特定の症状を持つ患者さんは幹細胞再生治療を受けられない場合があります。例えば、人工透析を行っている患者さんは培養した幹細胞が体内に戻されても、透析により幹細胞が取り除かれてしまう可能性があります。

デメリットを理解し、医師と相談して適切な治療法を選択することが重要です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで幹細胞治療で脱毛症は改善できるのかについてお伝えしてきました。幹細胞治療で脱毛症は改善できるのかの要点をまとめると以下の通りです。

  • 脱毛症は、毛髪の生え変わりより、過度に毛髪が抜ける状態のこと
  • 幹細胞治療は、「ヘアサイクルの正常化」「毛髪の成長期の促進」「退行期への早期移行の抑制と休止期の短縮」などの効果が期待できる
  • 脱毛症は、「内服薬・外用薬」「経口薬」を使用することで改善が期待できる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

京都府立医科大学医学部医学科 卒業 / のべ10年以上の美容皮膚科勤務を経て、現在はくみこクリニック北山院に勤務している。コロナ以前は、大阪医専にて、医療従事者の教育にも関わった経験がある。

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