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再生医療

再生医療って何?わかりやすく解説します!

再生医療 わかりやすく

再生医療をご存知でしょうか。 本記事では再生医療をわかりやすく以下の点について紹介していきます!

  • 再生医療とは
  • 再生医療の用途
  • 再生医療のメリットとデメリット

再生医療についてご理解いただくためにもご参考頂けましたら幸いです。 是非最後までお読みください。

再生医療とは

再生医療とは

再生医療って何ですか?
再生医療は、病気や外傷によって損傷した組織や臓器を修復・再生するための治療アプローチです。この方法では、幹細胞やその他の生体組織工学的な手法を活用して、新しい細胞や組織を生み出し、患部を修復します。再生医療は、治療法が確立されていない難病や、従来の治療法では限界がある疾患に対して特に有望であり、新しい治療法の開発にも貢献しています。
例えば、体性幹細胞を用いた再生医療では、患者さん自身の細胞を採取し、それを培養して必要な組織や臓器の細胞に分化させ、移植することが行われます。このような方法を用いて、皮膚や軟骨などの再生が可能で、既に保険適用として実施されています。体性幹細胞は、分化能力に優れており、多くの種類の細胞に変化できる特性を持っています。再生医療は、このような幹細胞の特性を活かし、新しい細胞や組織を生み出して患者さんの健康を回復させるための治療法です。
再生医療はどこに使えますか?
再生医療は幅広い用途に応用できる技術であり、以下のような分野や用途で活用されています。

  • 臓器や組織の再生:幹細胞治療を用いて、心臓、腎臓、肝臓などの臓器の再生や、骨、軟骨、皮膚などの組織の再生が可能です。これは事故や疾患による損傷や老化に対する治療に役立ちます。
  • 免疫調整: 幹細胞を用いて免疫系の調整が行われ、自己免疫疾患やアレルギーの治療に応用されます。
  • 神経再生: 幹細胞治療は神経再生にも利用され、脳梗塞、脊髄損傷、パーキンソン病などの神経系障害の治療に期待されています。
  • 美容医療: 皮膚の再生、しわやシミの改善、脱毛症治療、バストアップなど、美容医療分野でも幹細胞治療が用いられています。
  • 再生医療の研究と開発:再生医療は新たな治療法や薬剤の開発にも貢献しており、難治性の疾患の研究においても進歩をもたらしています。

再生医療は幅広い健康問題に対処するための有望なアプローチであり、将来的にはさらなる進展が期待されています。

再生医療の費用はどれくらいですか?
再生医療の費用は治療の種類によって異なります。以下は一般的な費用相場の概要です。

  • 造血幹細胞移植(保険診療):約15万円
  • 脊髄再生治療(保険診療):約300万円から450万円
  • 変形性膝関節症治療(自由診療):幹細胞投与だけで100万円以上
  • 更年期障害治療(自由診療):医療機関によって異なる
  • バストアップ治療(自由診療):医療機関によって異なる
  • エイジングケア治療(自由診療):幹細胞治療などに関わる費用は数十万円から数百万円、場合によっては1,000万円を超えることもある
  • パーキンソン病治療(治験):治験費用は自費負担ゼロだが、服用している薬や検査費用は通常の保険対象であり一部負担が必要

治療の種類や医療機関によって費用が異なるため、具体的な治療費用を知りたい場合は、該当の医療機関で相談し、詳細な見積もりを取ることが重要です。また、保険診療と自由診療、治験といった要因も費用に影響を与えますので、検討する治療方法に応じて適切な情報を収集することが大切です。

再生医療で使われる幹細胞について

再生医療で使われる幹細胞について

なぜ再生医療には幹細胞が使われるのですか?
再生医療に幹細胞が使われる理由は以下の通りです。

  • 自己複製能と多分化能を持つ特殊な細胞: 幹細胞は自分自身を複製し、多くの異なる種類の細胞に分化できる能力を持っています。この特性により、幹細胞は新しい細胞を生成し、組織の修復と再生を促進するのに理想的な細胞とされています。
  • 自己修復能力を活用: 幹細胞は通常、身体が損傷した場合や細胞の数が不足していると感知すると、自己修復能力を発揮します。再生医療では、この幹細胞の自己修復能力を活用して、損傷した組織や臓器を修復し、機能を回復させることが目的です。
  • 多様な治療対象に適用可能: 幹細胞は多くの組織や臓器に分化できるため、幅広い治療対象に適用可能です。例えば、軟骨や骨、皮膚、神経細胞、血管など、さまざまな部位で幹細胞治療が行われています。
  • 自己由来の細胞を使用するための安全性: 幹細胞治療では、患者さん自身から採取した自己由来の細胞が使用されるため、拒絶反応やアレルギー反応のリスクを出来るだけ減らし、治療の安全性を高めることが期待できます。
  • 最新の医療技術として注目されている: 幹細胞治療は最新の医療技術の一つであり、様々な疾患や障害の治療において、新たな可能性を提供しています。そのため、再生医療において幹細胞の活用は非常に注目されており、研究と臨床応用が進行中です。

再生医療において、幹細胞は身体の自然な再生力を支え、新しい治療法の基盤となっています。

多分化能幹細胞とは何ですか?
多分化能幹細胞は、特定の組織や器官を構成する細胞に分化する能力を持つ幹細胞の一種です。これらの幹細胞は、組織幹細胞や体性幹細胞と呼ばれ、自己複製能力を持ちながらも、特定の組織内の細胞に分化します。

  • 組織幹細胞: 特定の組織内に存在し、その組織の中で分裂して同じ種類の細胞を生成する能力を持っています。同じ組織内の細胞に分化し、その組織の正常な機能を維持・修復する役割を果たします。例えば、骨髄内に存在する造血幹細胞が組織幹細胞の一例です
  • 体性幹細胞:体内の多くの組織や器官に存在し、異なる組織の細胞に変化する能力を持ちます。たとえば、間葉系幹細胞(MSC)は骨、軟骨、血管、心筋細胞などに分化できる体性幹細胞の一例です。MSCは、骨髄や脂肪組織などから容易に採取でき、組織の修復や再生に用いられています。

多分化能幹細胞は、組織の損傷や疾患の治療において重要な役割を果たしており、再生医療において幅広く利用されています。特に体性幹細胞はその多様な分化能力と安全性から、さまざまな疾患の治療に応用され、研究が進行中です。

多能性幹細胞とは何ですか?
多能性幹細胞(Pluripotent Stem Cells)は、体を構成するほとんどすべての異なる細胞型に分化できる能力を持つ幹細胞の一種です。これらの細胞は、特定の組織や器官に限定されず、多くの細胞ラインに分化します。多能性幹細胞は、ES細胞(胚性幹細胞)、EG細胞(胚性生殖細胞)、およびiPS細胞(人工多能性幹細胞)という主要な種類に分かれます。

  • ES細胞(胚性幹細胞): 受精卵が胚盤胞期に達したときに内部細胞塊から取得される細胞です。これらの細胞はほぼすべての種類の細胞に分化する潜在能力を持っており、特に胚の初期段階での分化を再現するのに役立ちます。しかし、ES細胞の取得には胚盤胞期の受精卵が必要であり、倫理的・法的な問題が関与することがあります。
  • EG細胞(胚性生殖細胞): 精子や卵子を含む生殖細胞から作成される細胞で、多能性を持ちます。ES細胞と似た性質を持ち、細胞分化における重要な役割を果たします。
  • iPS細胞(人工多能性幹細胞): 体細胞から特定の遺伝子を導入し、初期の幹細胞状態に戻すプロセスで生成されます。iPS細胞は倫理的に取得しやすく、特定の細胞型に分化させることができるため、再生医療や疾患研究のために広く利用されています。

多能性幹細胞は、細胞療法や組織の再生、薬物スクリーニング、疾患の解明などの多くの医学的応用において非常に重要な役割を果たしています。しかし、遺伝子変異や安全性の問題などが課題となっており、これらの課題を解決するための研究が継続的に行われています。

組織幹細胞とは何ですか?
組織幹細胞(Tissue Stem Cells)は、特定の組織や器官内に存在し、その組織や器官内の細胞に分化できる能力を持つ幹細胞の一群です。これらの細胞は体内に分布し、組織の健康維持や修復、再生を担当します。以下はいくつかの組織幹細胞の例です。

  • 造血幹細胞:白血球、赤血球、血小板などの血液細胞に分化できます。日常的に新しい血液細胞を生成し、血液系の健康を維持します。
  • 骨髄幹細胞: 骨髄内に存在し、骨、脂肪、軟骨などの異なる組織に分化できます。骨髄幹細胞は造血幹細胞とは異なり、特に骨髄内の細胞の構築に関与します。
  • 脂肪幹細胞: 脂肪組織から生成され、脂肪、軟骨、骨などの組織に分化できます。脂肪組織は幹細胞を比較的多く含むため、幹細胞の供給源として利用されています。
  • 歯の幹細胞: 歯の幹細胞で、歯髄幹細胞、歯根幹細胞、乳歯幹細胞などがあります。これらの幹細胞は高い増殖能を持ち、骨や脂肪、他の細胞に分化できます。

組織幹細胞は特定の組織や器官内での細胞再生に不可欠であり、組織の健康を維持し、損傷した細胞を修復する役割を果たします。これらの幹細胞は、再生医療や組織工学の研究においても重要な役割を果たしています。

再生医療の用途

再生医療の用途

再生医療は現在どんな病気の治療に使われていますか
再生医療は、幅広い疾患に使用されており、特に以下の病気や疾患への応用が進んでいます。

  • 脳梗塞: 脳の損傷部位に再生医療を適用することで、神経細胞の修復や機能回復を促す研究が行われています。
  • 心筋梗塞: 心筋梗塞後に心臓の損傷を修復し、心機能を改善するために、心筋に幹細胞を移植する治療法が研究されています。
  • 認知症: 神経細胞の再生や機能回復を目指すために再生医療が研究されています。
  • パーキンソン病: 脳内の神経細胞を修復するために幹細胞治療が試みられています
  • 変形性関節炎: 変形性膝関節症や変形性股関節症などの関節疾患に対して、関節の軟骨や組織を再生するために再生医療が応用されています。
  • リウマチ:免疫調節や病状の改善を目指すために再生医療が研究されています。
  • 糖尿病: インスリン産生細胞の再生や膵臓機能の向上を促すための治療法が検討されています。

これらの疾患に対する再生医療の研究と治療は、患者さんの生活の質を向上させ、新しい治療法として期待されています。また、予防的な効果や体全体の機能向上にも寄与する可能性があるため、将来的にはさらに多くの疾患への適用が期待されています。

再生医療は美容にも期待できますか?
再生医療は美容にも効果が期待できるといわれています。
再生医療の中心的技術の1つ、幹細胞療法は、細胞が分化してさまざまな細胞として機能する特性を持っています。そのため、創傷治癒、免疫調整、神経再生などの機能を持ち、多くの疾患や損傷に対する治療効果が期待されています。
美容分野においては、肌の治療や再生に利用されています。幹細胞を利用して肌の老化やダメージを修復し、若返りや美肌効果を目指す治療が行われています。また、皮膚の損傷治癒促進や、紫外線や環境ストレスによるダメージからの回復も期待されています。
しかしながら、再生医療の利用にはまだ多くの課題や不明点があり、治療の安全性や長期的な効果、副作用などについての確認や研究が必要とされています。そのため、実際に再生医療を受ける際は、医師の意見やアドバイスをしっかりと受け取り、リスクと効果をよく理解した上で判断することが大切です。
現在までにどんな臨床研究が行われましたか?
現在までに行われた臨床研究は以下の通りです。

  • 2014 年:滲出型加齢黄斑変性に対して、患者さん自身のiPS細胞から分化誘導した網膜色素上皮細胞を用いた細胞シート移植の研究。
  • 2017 年:滲出型加齢黄斑変性に対して、他人のiPS細胞から分化誘導した網膜色素上皮細胞を懸濁液として移植する研究。
  • 2018 年:パーキンソン病の治療として、他人のiPS細胞でドパミン神経前駆細胞を作製し、細胞移植する研究。
  • 2018 年:進行性骨化性線維異形成症に対する治療として、iPS細胞を使った創薬研究で見つけた治療薬候補の効果を確認する研究。
  • 2018 年:ペンドレッド症候群の治療として、iPS細胞を使った創薬研究で見つけた治療薬候補の効果を確認する研究。

これらの研究はiPS細胞を使用して、特定の疾患の治療や薬の開発を目的として行われました。

再生医療のメリットとデメリット

再生医療のメリットとデメリット

再生医療のメリットを教えてください。
再生医療のメリットには以下のようなものが挙げられます。

  • 体への負担が少ない:従来の手術や治療方法に比べて、体にかかるストレスや負担が少なくなります。
  • 疾患の根本治療が可能:対症療法しか存在しなかった疾患に対して、根本からの治療が期待されます。
  • 副作用や拒絶反応の減少:患者さん自身の細胞を使用した場合は、移植後の拒絶反応のリスクを減らせます。
  • 手術の必要が減少:幹細胞を注射するだけで治療が可能なケースがあり、これにより手術に伴う体力の消耗や傷跡の問題、回復時間の短縮が期待されます。

これらのメリットにより、再生医療は多くの難治性の病気や疾患の新しい治療手段として注目されています。

再生医療のデメリットを教えてください。
再生医療のデメリットには以下のようなものが挙げられます。

  • 実績が少なく確実な治療効果が保証されていない:再生医療はまだ発展途上の分野であり、100%の治療効果があるとは断定できない状況があります。
  • 高額な治療費用:多くの再生医療は自由診療として扱われ、治療に100万円以上の大きな費用がかかることがあります。
  • 倫理的問題:特にES細胞を使用する際、胚の段階での卵細胞を使用するため、それに関わる倫理的な問題が提起されることがあります。これは、本来赤ちゃんに成長する可能性を持つ卵細胞を治療や研究のために使用することに関する論争を意味します。

これらのデメリットを考慮しながら、再生医療の可能性とリスクを正確に理解し、治療を選択をすることが重要です。

再生医療は今後どうなっていくのでしょうか?
再生医療の市場規模に関する予測は、調査会社やその時点の前提条件により大きく異なります。シードプランニング社の報告によれば、2030年に1兆円、2050年に2.5兆円の市場規模に成長すると予測されています。
しかし、富士経済の予測では、2030年の市場規模は500億円で、再生医療等製品の市場は611億円になるとされており、これはシードプランニング社の予測の約1/10です。

  • 現状の市場規模:2015年時点での再生医療市場規模は140億円で、その大部分は「がん免疫細胞療法」や「美容領域」などの保険外診療に関連しています。
  • 主要な市場製品:再生医療関連製品として、培養軟骨、培養皮膚、心筋シートなどが挙げられます。中でも、細胞性医薬品は将来的に大きな市場を持つと見込まれており、脳梗塞や脊髄損傷など、従来の治療法での根本治療が難しかった疾患への応用が期待されています。
  • 不確定要素:再生医療の市場規模を予測する際の不確定要素として、バイオテクノロジー技術の研究開発状況や、国の保険制度の収載対象範囲・金額などが影響を及ぼしています。
  • 注意点:再生医療の市場予測は楽観的なものが多く、実際の成果や市場の成熟度には不確実性があります。前提条件の設定や算出には慎重さが求められます。

再生医療の将来性は非常に大きいとされていますが、その市場規模や具体的な展望については多くの不確定要素が存在するため、楽観的な予測だけでなく、各種データや情報を慎重に解釈し、考察する必要があります。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで再生医療をわかりやすく紹介してきました。 再生医療についてまとめると以下の通りです。

  • 再生医療は、病気や外傷によって損傷した組織や臓器を修復・再生するための治療アプローチ
  • 再生医療は、損傷した臓器や組織の再生に貢献している
  • 再生医療のメリットは副作用が少ないことで、デメリットは実績が少ないこと

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業

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