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PRP療法のデメリットは?新しい治療法に潜むデメリットについて解説します

PRP療法のデメリットは?新しい治療法に潜むデメリットについて解説します

PRP療法のデメリットをご存知でしょうか。例えば、治療費が高額であり、保険が適用されないことが挙げられます。 新しい治療法とされるPRP療法ですが、本記事ではPRP療法のデメリットについて、以下の点を中心にご紹介します。

  • PRP療法はどのような治療法か
  • PRP療法のデメリットとは
  • PRP療法の失敗例とは

PRP療法のデメリットについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

PRP療法とは

PRP療法とは

PRP(多血小板血漿)療法は、患者さんの血液を加工し、組織再生を助ける成分を抽出して、疾患部位に投与する再生医療の一種です。
この治療法は、自身の血液を用いるため重篤な併発症が少ないとされています。PRP療法は主にスポーツ外傷や変形性膝関節症、慢性の炎症や痛みの治療に用いられており、患者さん自身の体が持つ自然な治癒力をサポートし、改善へと導きます。

治療の対象となる疾患には、テニス肘やゴルフ肘、アキレス腱炎、ジャンパー膝といったスポーツ関連の外傷、変形性膝関節症や変形性足関節症、腰痛、肩の疾患などが含まれます。
これらの疾患に対して、PRP療法は組織の再生を促すとされ、炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。なかでもスポーツ選手や早期回復を望む患者さんにとって、この療法は有効です。

治療は、まず患者さんの血液を採取し、遠心分離によって血小板を多く含む血漿を抽出することから始まります。このPRPを患部に注射し、その後、数日間は激しい運動を控えることで、患部の自然な治癒が進むとされています。
治療後には、組織の再生により炎症が抑えられることで、痛みが和らぎ、関節の軟骨が保護される効果が期待できます。

ACP PRP療法は、PRPの純度をさらに高めたもので、治療の邪魔になる赤血球や好中球といった成分を約99%除去するとされています。これにより、PRP注射による炎症反応が少なくなる場合があり、治療効果が高まる可能性があります。
ACP PRP療法は欧州で広く利用されており、治療は短時間で済む場合が多いとされ、採血からわずか15分程度で治療が完了するそうです。

PRP療法のメリット

PRP療法のメリット

新しい治療法とされるPRP療法ですが、メリットはどのようなものがあるのでしょうか。以下にご紹介します。

副作用が少ない

PRP療法のメリットのひとつに、合併症などが少ないことが挙げられます。この療法では患者さん自身の血液を使用するため、外部からの異物が体内に入ることが少ないとされています。
そのため、輸血後に問題となる肝炎やHIVなどの感染リスクを避けられる可能性が期待できます。

また、他者の血液を使わないため、輸血によるアレルギー反応や移植片対宿主病(GVHD)といった併発症も防ぎやすいとされています。

さらに、PRP療法は年齢制限がなく、広い範囲の患者さんに適用できます。治療は通常の採血と同じ方法で行われるため、手術と比べて身体への負担が少ない傾向があり、侵襲性が低いともされています。

外科的な治療が不要

外科的な治療を必要としない点もメリットのひとつです。この治療法は、患者さんの血液を採取し、それを特別な方法で加工して再生を促す成分を抽出し、患部に注射することで症状の改善につなげます。

これにより、メスを使う外科手術が不要となります。また、手術や入院も不要なため、治療は日帰りで行う場合が多く、治療後すぐに日常生活に戻れる可能性があるとされています。

身体を切開したり開いたりすることがないため、手術によるリスクも低いとされています。例えば、全身麻酔に伴うアレルギー反応や手術部位の感染といった合併症のリスク低減が期待できます。ほかにも、処置は短時間で終わり、処置後の痕も残りにくいという特徴があります。

新しい治療法

PRP療法は新しい治療法であり、従来の方法では改善が難しかった症状に対しても有効だとされています。

例えば、膝の変形性関節症では、進行によって半月板が損傷し、軟骨がすり減って膝が変形しますが、PRP療法により症状の改善が見られる場合があります。

痛み止めやヒアルロン酸注射が効果を示さなかった患者さんでも、PRP療法によって痛みの軽減や機能の回復が期待できます。

治療の効果が長持ちしやすい

PRP療法は、効果の持続性が高いともされています。例えば、膝の痛みをヒアルロン酸注入で治療する場合、1週間に一度の注射を5回行い、その後は症状に合わせて約2週以上の間隔で継続投与されます。

しかし、PRP療法では年に1、2度の注射で効果は約3年間続くとされており、ヒアルロン酸注射に比べて長期間にわたって症状を緩和できる可能性があります。

PRP療法のデメリット

PRP療法のデメリット

PRP療法には、いくつかのデメリットも存在します。以下で詳しく解説します。

効果を感じるまでに時間がかかる

PRP療法は即日で効果を感じられる治療方法ではなく、効果が実感できるまでに時間がかかるというデメリットがあります。PRP皮膚再生療法の場合、成分が注入されることで細胞の増殖が促され、コラーゲンの再生が行われます。

このプロセスには時間が必要で、成長因子を含まないPRP療法では効果を感じるまでに約2〜3ヵ月、成長因子を含む場合でも約1〜2ヵ月かかります。治療箇所によっても効果の現れ方が異なるとされ、数週間〜数ヵ月程度かかる場合もあります。

健康保険が適用されないため費用が高額

PRP療法は健康保険が適用されないため、自費診療となり費用が高額になるのがデメリットです。従来の方法では約25万円〜30万円以上の費用がかかる場合が多く、患者さんにとって経済的負担が大きいといえるでしょう。

保険診療として認められるための十分な臨床データがまだ揃っていないため、現時点では自費診療が基本です。最近では手頃な価格で提供するクリニックも増えてきており、PRP療法の普及が期待されていますが、依然として高額な治療費がネックとなる場合が多いでしょう。

治療効果に個人差がある

PRP療法のデメリットとして、治療効果に個人差があることも挙げられます。例えば、PRP-FD療法の場合、約80%の患者さんに効果があるとされていますが、肥満の方や重度の変形性膝関節症の患者さんには効果が出にくい場合があります。

さらに、治療効果が現れるまでの期間も個人差が大きく、患者さんによっては効果を実感するまでに時間がかかる場合があります。このように、PRP療法の効果は一律ではなく、患者さんの状態や体質によって大きく変わるため、治療前に十分な説明と理解が必要です。

治療後数日間に炎症などが起こる可能性がある

PRP療法では、治療後に注射部位に炎症が起きる可能性もデメリットのひとつです。個人差はありますが、赤みや腫れ、痛みや熱感が数日続くなどの症状が現れたり、細胞の活性化によって注入部にしこりができたりする場合があります。

これらの症状は失敗例ではなく、いずれも時間とともに穏やかに治まっていくとされていますが、治療後に一時的な不快感を伴う可能性があることには留意しておきましょう。

RP療法が受けられないケース

RP療法が受けられないケース

PRP療法を受けるにはいくつかの条件があり、次のような方は受けられない可能性があります。まず、発熱がある方はこの治療を受けられません。関節に感染が生じている場合や、薬物アレルギーを持っている方も同様です。

免疫抑制薬を服用している方や抗がん剤を使用している方も、PRP療法の対象外となります。また、患部に細菌感染がある場合も治療は避けられます。

なかでも注意が必要なのは、1ヵ月以内にPRP治療を受けた方で、この場合も再度治療を受けることはできません。そのほかにも、医師が不適当と判断した場合はPRP療法を受けられません。

PRP療法の費用

PRP療法の費用

PRP療法の費用相場はどのくらいになるのでしょうか。一例ではありますが、以下にご紹介します。

PRP療法の価格相場

PRP療法は新しい再生医療の一環として提供されており、その費用は自費診療となります。価格帯としてはPRP治療は3万円程度から始まり、PRP-FD療法やAPS療法では約30万円前後となります。

また、膝関節内注射の場合、1回のPRP注射が55,000円程度であり、4〜6回程度の投与が推奨されてます。関節外投与では、1回33,000円程度で、2回目の投与は約3週間後に行われます。これに加えて、ウイルス検査代として別途5,500円程度が必要になる場合もあります。

膝関節内注射を1回5万円程度で提供しているクリニックもありますが、設備や技術により価格が異なるため、詳細は各医療機関に問い合わせましょう。

PRP療法はなぜ自由診療か

PRP療法は有効性がまだ検証段階にあるため、健康保険が適用されない自由診療となっています。例えば、APS療法に関しては、米国で変形性膝関節症の患者さんを対象とした大規模な治験が進行中です。この治験によって有効性が確認されるまで、保険適用は難しいのが現状です。

しかしながら、つらい痛みを抱えている患者さんに対して治療の選択肢を提供するために、一部の医療機関ではこの治療が自由診療で行われています。自由診療であっても、従来の治療法では効果が見られなかった患者さんにとって重要な選択肢となるでしょう。

PRP療法は医療費控除の対象か

PRP療法にかかる費用は公的医療保険の適用外であるため、全額自己負担となります。しかし、この治療にかかる費用は確定申告において医療費控除の対象となる可能性があります。

治療を受けた際に発行される領収書は、確定申告まで大切に保管しておきましょう。再発行が難しいため、失くさないよう注意が必要です。

具体的な医療費控除の適用に関しては、管轄の納税所に確認しましょう。治療目的であることから、条件を満たせば医療費控除が適用される可能性があります。

PRP療法の失敗とは?

PRP療法の失敗とは?

これまでご紹介したメリットやデメリットを理解したうえで、PRP療法を実際に受けた場合、失敗する場合はあるのでしょうか。以下に解説します。

効果が感じられなかった

PRP療法は、患者さん自身の血小板を利用した再生医療であり、その効果は個人の血小板の質に左右される場合があります。そのため、すべての患者さんが同じ効果を得られるわけではなく、効果を実感できない可能性があります。

治療を受けた後、期待した効果が現れず失敗と感じる場合がありますが、これは治療の性質上、避けられない問題とされています。

また、PRP療法を受けた後は効果が現れるまでに時間がかかるとされており、1回の治療で効果が感じられない場合があり、複数回の治療が必要なケースも少なくありません。

PRP療法は即効性がないため、効果が現れるまでに数週間〜数ヵ月程度かかる可能性があります。治療目的によってはPRP療法よりも美容医療が向いているケースもあります。
例えば、即効性を求めるならヒアルロン酸注入などのほうが効果が期待できるとされています。

いずれにせよ、治療を受ける前に医師と十分に相談し、期待する効果や治療回数について理解しておくことが重要です。

治療後に感染症を発症した

PRP療法の後に感染症を発症することは少ない傾向がありますが、可能性はゼロではありません。治療後に赤みや腫れ、発熱などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。

PRP療法を行う医療機関は厚生労働省への届け出が義務付けられており、一定基準以上の安全性が確保されています。しかし、あくまでも目安のため、採血や注射時に感染症のリスクがあることを理解し、治療後のケアを怠らないようにしましょう。

治療後に医師から指示されたケアを怠ると、硬い組織が形成され、長期的な痛みの原因になる可能性もあります。
また、治療は全額自己負担の自由診療であるため、経済的負担も考慮する必要があります。

しこりが残った

PRP療法の効果が過剰に出てしまうと、皮膚が膨らんだり、PRPの成分がしこりとなって施術箇所に残ったりする場合があります。

このしこりは数ヵ月で自然に消滅するとされています。しこりが残る原因は、PRPの濃度や注入量の調整が不適切であったためです。

施術を受ける際には、医師が患者さんの皮膚の厚みや状態を正確に把握し、適切な濃度と量でPRPを注入することが重要です。

しこりが残った場合でも、治療自体が失敗に終わったわけではありませんが、適切な管理とアフターケアが重要です。患者さんは治療後の経過を注意深く観察し、異常があればすぐに医師に相談しましょう。

まとめ

まとめ

ここまでPRP療法のデメリットや失敗例についてお伝えしてきました。 PRP療法のデメリットの要点をまとめると以下のとおりです。

  • PRP(多血小板血漿)療法は、患者さん自身の血液を用いて行われる再生医療の一種であり、重篤な併発症が少ないとされているが、治療法が適応できないケースも存在する
  • PRP療法のデメリットとして、費用が高く、治療効果には個人差があり、治療後に炎症などが起こる場合が挙げられる
  • PRP療法の失敗例には、患部にしこりが残る場合はあるほか、治療後に期待した効果が得られなかったり、感染症に罹ったりする可能性がある

PRP療法は新しい治療法として期待もされていますが、デメリットについて理解しておくことは大切です。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

京都府立医科大学医学部医学科 卒業 / のべ10年以上の美容皮膚科勤務を経て、現在はくみこクリニック北山院に勤務している。コロナ以前は、大阪医専にて、医療従事者の教育にも関わった経験がある。

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