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PRP療法のメリット|適応疾患や治療後の注意点、デメリットも解説

PRP療法のメリット|適応疾患や治療後の注意点、デメリットも解説

PRP療法は、美容や関節疾患など幅広い分野で利用され、自己血液を用いるためアレルギーのリスクが少ない点がメリットです。しかし、自由診療であるため費用が高く、効果にも個人差があるなどのデメリットも存在します。
本記事ではPRP療法のメリットについて以下の点を中心にご紹介します。

  • PRP療法のメリット
  • PRP療法のデメリット
  • PRP療法の適応疾患

PRP療法のメリットについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

PRP療法の概要

PRP療法の概要

PRP療法はどのような治療法で、どのような効果が期待できるのでしょうか?

PRPとは

PRPとはPlatelet-Rich Plasmaの略で、日本語で多血小板血漿を指します。血小板は血液中の成分の一つで、血液凝固を助けるだけでなく、組織の修復や成長因子を豊富に含んでいるのが特徴です。

PRP療法に用いられるPRPは、患者さん自身の血液からこの血小板を多く含んだ血漿部分を抽出し、再生医療に利用するものです。血液を採取後、専用の遠心分離機によって血漿部分と血小板の濃度を高めたPRPが生成されます。

この濃縮されたPRPには、創傷治癒を助ける成長因子が豊富に含まれているため、体内の組織修復を自然にサポートする効果が期待されています。

PRPは主にスポーツ外傷や関節炎、美容分野などで、傷ついた組織や老化した細胞の再生を助ける治療として活用されるようになっています。

PRP療法とは

PRP療法とは、患者さん自身の血液から抽出したPRPを注入して治療する再生医療の一種です。自身の血液を用いるため、副作用や拒絶反応のリスクが低く、自然な治癒力を活用した治療方法として関心を集めています。

PRP療法の流れは、まず血液を採取し、それを遠心分離によって血漿と血小板に分離し、血小板を多く含むPRPを抽出します。その後、PRPを注射などで目的の部位に直接注入することで、傷ついた組織の再生や炎症の軽減を図ります。

PRP療法は、スポーツによるケガや変形性関節症、また肌の再生を目的とした美容医療の分野でも利用されており、自然治癒力を活かした治療法として利用が進んでいます。

PRP療法は短時間で行える一方、効果が現れるまで数週間から数ヶ月を要する場合があるため、継続的な治療と経過観察が必要とされています。

PRP療法のメリット

PRP療法のメリット

PRP療法にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

通院治療が可能

PRP療法は通院での治療ができ、入院の必要がない点が大きなメリットです。これは、血液を採取して精製し、患者さん自身の成分を注射で患部に注入するだけのシンプルなプロセスだからです。

治療に使用される器具や手法も特別なものではなく、標準的な医療設備で対応ができるため、忙しい日常生活を送りながらも治療を受けられます。

また、治療後の安静や行動制限が不要なため、患者さんは日常の生活を続けられる点も魅力です。この通院治療の利便性により、時間が限られた方や入院を避けたい方にとって理想的な治療法です。

副作用が少ない

PRP療法は、患者さん自身の血液成分を利用するため、副作用のリスクが大変少ない点が特徴です。

ほかの治療方法では外部から薬剤や人工素材を使うケースが多い傾向にありますが、PRP療法では自己血液から抽出した成分を用いるため、体が自然に受け入れられ、アレルギー反応や拒絶反応が起こりにくいとされています。

その結果、ほかの治療法と比べて安全性が高く、副作用をできる限り抑えられることから、敏感な体質の方や化学物質への反応が懸念される方にもおすすめです。このような安全性の高さが、PRP療法の大きなメリットです。

手術を受ける必要がない

PRP療法は手術を伴わない治療法であるため、体への負担が少ないことも大きな利点です。手術のようにメスを使用したり組織を切開したりしないため、身体的なダメージや術後の痛み、感染症のリスクが抑えられます。

注射を行うのみの治療法であるため、傷跡も残らず、治療後に日常生活へ早く復帰できる点も大きな魅力です。また、身体への負担が少ないため、高齢者や手術に不安がある方にも選択しやすい治療法です。

このように、PRP療法は体に優しい治療方法として、幅広い層に受け入れられています。

PRP療法のデメリット

PRP療法のデメリット

PRP療法にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?

全額自己負担である

PRP療法は自由診療の一種であり、保険適用外であるため、治療費は全額自己負担になります。日本では公的医療保険が適用されないため、治療費が高額になるケースが多く、簡単に受けられる治療ではありません。

例えば、関節や肌の治療に用いる際も、診察費や薬代と異なり、施術自体の費用が高額になる傾向があります。そのため、事前に予算を考慮して治療を検討するのが重要です。

また、治療が長期間にわたることもあるため、複数回の治療を行う場合にはさらに費用がかさむ可能性があります。予算的な負担が大きいことから、まずは効果やデメリットに関して十分な情報収集と医師との相談を行い、慎重に検討するのが推奨されます。

効果に個人差がある

PRP療法の効果には個人差があり、すべての患者さんに一様な結果が期待できるわけではありません。

PRP療法は自己血小板を用いて治癒を図る治療法ですが、体質や状態によって効果の現れ方が異なるため、効果が実感できるまでに時間がかかるケースや、期待した改善が見られない場合もあります。

患者さんの症状の程度や治療部位によっても、効果の持続期間や改善度に違いが生じることがあります。このため、PRP療法に対して過度な期待を抱くことなく、効果のばらつきを理解したうえで治療を検討するのが大切です。

治療前には医師からの十分な説明を受け、リスクやメリットを踏まえて現実的な目標を持つことが望まれます。

治療後に炎症が起こる場合がある

PRP療法では、治療後に一時的な炎症が生じることがあります。血小板には細胞の修復や治癒をサポートする成分が含まれており、これを注入することで自己治癒を図りますが、その過程で患部に軽度から中程度の炎症反応が引き起こされることがあります。

炎症は治療の一環として自然な反応であるものの、痛みや腫れが数日続く場合もあります。関節などに注入する場合は、使用部位や注入量によって炎症が強く現れる可能性があるため、治療後のケアが必要です。

炎症が長引く場合には、安静にすることや適切なアイシングなどの処置が推奨され、場合によっては医師の診察を受けることが求められます。治療後にどのようなケアが必要か、事前に医師と相談しておくと安心です。

PRP療法の適応疾患

PRP療法の適応疾患

PRP療法は、血小板を活用した再生医療の一環であり、主に組織の修復や再生を必要とする疾患に適応されています。関節や筋肉、腱などの整形外科的な問題に効果が期待でき、変形性膝関節症、肩の腱板損傷、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)、アキレス腱炎などで用いられることが多いようです。

変形性膝関節症では、PRPの注入により軟骨の保護や修復を促し、痛みの軽減と機能改善が見込まれています。また、肩や肘の腱や筋肉の損傷に対しても、血小板由来の成長因子が損傷部位の再生をサポートし、組織の自然治癒力を高めます。

さらに、PRP療法は皮膚科分野でも関心を集めており、美容目的の肌の改善や傷跡の改善、毛髪再生などに応用されています。肌の老化によるしわに対してPRPを注入することで、自己の皮膚が内側から活性化し、ハリや質感の改善が期待されます。

毛髪の再生では、成長因子が頭皮の血行を良くし、毛包の活性化を促すことで、薄毛の改善に貢献することが確認されています。

PRP療法は自身の血液を利用するため、拒絶反応や感染リスクが低い点が特徴です。しかし、疾患や症状により効果の現れ方が異なるため、治療の適応に関しては医師と十分に相談し、自身の状態に合った適切なプランを選択するのが大切です。

PRP療法を受けることができないケース

PRP療法を受けることができないケース

PRP療法は、自己血小板を利用する再生治療法ですが、すべての方が受けられるわけではありません。治療を受けられない主なケースには、健康状態や持病がある場合が含まれます。

例えば、血液に関連する疾患を抱えている方は、PRPの注入が治療の効果が得られにくいだけでなく、逆に健康リスクを伴う可能性があるため、受けることが難しくなります。

また、重度の感染症がある方も除外基準に含まれることが多いようです。これは感染の拡散や悪化を防ぐためです。

さらに、免疫不全の方やがん治療中の方もPRP療法を避けるべきとされています。免疫機能が低下している場合、治療によって体内の負担が増大し、体調が悪化するリスクが高まるからです。

ステロイド治療を行っている方も、血小板の再生効果を抑制する薬が影響し、効果が十分に得られない可能性があるため、適応外とされることがあります。また、妊娠中や授乳中の方も安全性が確立されていないため、PRP療法を避ける傾向があります。

以上のように、PRP療法には健康状態や治療環境によって受けられないケースが存在します。治療を希望する場合には、医師による診断と相談が重要であり、健康リスクを考慮して慎重に適応の可否を判断することが求められます。

PRP療法の流れと費用

PRP療法の流れと費用

PRP療法とはどのような流れで行われ、費用はどのくらいかかるのでしょうか?治療後の注意点も含めて詳しく解説します。

PRP療法の治療の流れ

PRP療法は、患者さんの血液から血小板を抽出し、それを注入することで組織の修復を目指す治療法です。治療の流れとしては、まず問診や検査で治療の適応可否が判断されます。

適応と判断されれば、治療当日にまず患者さんから血液が採取され、専用の機器で血小板が多く含まれる成分のみを分離します。この工程には15~30分程度かかります。

その後、分離されたPRP(多血小板血漿)は治療対象部位に直接注入されます。注入は医師が行い、患部に適切な量を投与することで治癒効果が期待できます。

治療時間自体は短く、トータルで1時間程度で完了する場合が多いようです。治療後はすぐに帰宅でき、手軽に行える治療ですが、治療前に医師と十分に相談し、流れを把握しておくことが大切です。

PRP療法の費用について

PRP療法は保険が適用されない自由診療であるため、費用は全額自己負担となります。費用は施設や治療内容によって異なりますが、1回の治療で5万円~20万円程度が相場です。

関節や美容目的で行われる場合、治療部位の数や注入回数によっても費用が変動し、複数回の治療を必要とする場合はさらに費用がかかることがあります。例えば、初診料や診察料が別途発生する場合もあるため、治療開始前に総額の見積もりを確認しておくと安心です。

また、長期的な効果を目指して定期的な施術が推奨されることもあり、その場合は定期的な費用負担を考慮する必要があります。費用に関しては、事前に医療機関で詳細を確認し、自身の予算と照らして慎重に計画を立てることが大切です。

PRP療法の治療後の注意点

PRP療法後にはいくつかの注意点があり、治療効果をできる限り引き出すために適切なケアが必要です。治療直後は患部に痛みや腫れが生じることがあるため、無理に動かさず安静にすることが推奨されます。

治療当日は患部を冷やすことで炎症を抑えることが効果的とされています。激しい運動や飲酒も避け、血流が増えることで炎症が悪化するリスクを避けるためです。

また、治療効果は数週間から数ヶ月かけて徐々に現れるため、効果がすぐに感じられない場合でも焦らず経過を観察するのが重要です。痛みが長引く場合や異常を感じた場合は、早めに医師の診察を受け、適切な対応を求めることが勧められます。

まとめ

まとめ

ここまでPRP療法のメリットについてお伝えしてきました。PRP療法のメリットの要点をまとめると以下のとおりです。

  • PRP療法は自己血小板を利用することでアレルギーリスクが低く、自然治癒力を引き出して組織の再生や痛みの軽減に効果が期待できる点がメリットである
  • PRP療法のデメリットは、自由診療で費用が高額になる上、効果には個人差があり、治療後の腫れや痛みが生じる場合もある
  • PRP療法は、関節の変形性疾患やスポーツによる靭帯損傷、肌のエイジングケアなど幅広い症状に適応されている

PRP療法を検討する際には、適応疾患や治療の流れ、効果やリスクを医師と十分に相談し、治療後のケア方法に関しても理解を深めることが推奨されます。効果的な治療を受けるためには、デメリットを含めた全体像を把握し、自身の体調や治療目的に合った選択を行うことが大切です。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

京都府立医科大学医学部医学科 卒業 / のべ10年以上の美容皮膚科勤務を経て、現在はくみこクリニック北山院に勤務している。コロナ以前は、大阪医専にて、医療従事者の教育にも関わった経験がある。

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