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変形性膝関節症の予防方法とは?症状や再生医療による治療法についても詳しく解説

変形性膝関節症の予防方法とは?症状や再生医療による治療法についても詳しく解説

変形性膝関節症は、60代以上に少なくない病気です。その患者数は3000万人以上いるとされ、今や国民病といえます。膝の痛みが気になり、年齢的にも変形性膝関節症を心配されている方も少なくないのではないでしょうか。ここでは、その症状、なりやすい人について、現在行われている治療方法から予防法までを、詳しく解説していきます。変形性膝関節症が気になる方、心配な方には大変役に立つ内容となっています。ぜひ目を通してみてください。

変形性膝関節症の概要

変形性膝関節症の概要 変形性膝関節症の患者数は65歳以上、性別では男性より女性にみられやすいです。ここでは、変形性膝関節症について、基本を抑えましょう。

変形性膝関節症の症状について教えてください。
主な症状は膝の痛みと骨の変形です。初期の段階で少なくないのが、歩き始めの膝の違和感で、はじめは痛みを感じないこともあります。また、椅子から立ち上がるときに痛みを感じることもあるでしょう。そのまま放置しておくと、症状は悪化していきます。膝にはっきりと痛みを自覚するようになり、膝の曲げ伸ばしが難しくなります。正座や階段の昇り降りといった動作が困難になるのです。そして末期の段階では、骨は変形し、歩行が困難になり、日常生活に支障をきたします。
変形性膝関節症にはどのような種類がありますか?
変形性膝関節症には、主に一次性と二次性の2種類があります。一次性は、特定の原因はないものの、関節の軟骨がすり減り、骨が変形してしまうタイプです。これは加齢による筋肉の衰えや、肥満といった生活習慣が影響し、複数の要素が絡み合って発症することが少なくありません。一方、二次性は原因が明確で、ケガや病気、関節リウマチなどの既存の健康問題が引き金となります。例えば、スポーツなどで膝を酷使した結果、関節が損傷することなどが考えられます。
変形性膝関節症はどのような人がなりやすいですか?
加齢、筋肉の衰え、肥満や外傷といったことが原因として挙げられます。これらにあてはまる人は変形性膝関節症になりやすい人といえるでしょう。

変形性膝関節症の保存療法

変形性膝関節症の保存療法 変形性膝関節症の保存療法は、運動療法、薬物療法、装具療法のことをいいます。それぞれの治療法について、その特徴と期待される効果について詳しく解説します。

変形性膝関節症の薬物療法について教えてください。
消炎鎮痛薬などの内服薬で痛みや炎症を抑えます。または、湿布や軟膏などの外用薬が処方されるでしょう。また、変形性関節症になると、関節内の滑液が減ることから、この髄液の主成分に近いヒアルロン酸を直接注射します。これにより、関節内が髄液で満たされ、関節の動きが滑らかになり、痛みが軽減されます。
変形性膝関節症の理学療法について教えてください。
運動療法にはストレッチ訓練、関節周りの筋力トレーニングなどがあります。適切な運動を行うことは、足全体の筋肉を鍛え、体のバランスを改善し、膝関節への負担を減らすことにつながるのです。ほかに、理学療法士の手によって行う徒手療法、器具を用いた物理療法があります。
変形性膝関節症の装具療法とはどのような治療法ですか?
膝の変形によって不安定になった膝を支えるために膝関節装具を装着します。これにより、痛みが軽減し、膝への負担を減らすことが可能です。また、日本人にはO脚が少なくないため、膝の内側に体重が偏って、内側の関節軟骨だけすり減りやすい傾向があります。これを補正するために、靴の中敷きに足底板(そくていばん)を入れることで、体重のかかる位置を変え、痛みを軽減することができます。

変形性膝関節症の外科的治療法

運動療法、薬物療法といった保存療法を用いても痛みが緩和されず、日常生活にも支障をきたすようになってくると、手術を検討することになるでしょう。手術には、内視鏡手術、骨切り術、人工関節置換術の主に3つがあります。それぞれの手術にはどのような特徴があるのか、詳しく解説します。

変形性膝関節症の内視鏡手術はどのように行われますか?
関節鏡で観察しながら、すり減った関節軟骨や損傷した半月板を処置します。関節軟骨内を掃除するようなイメージです。この手術は傷口も小さく済み、手術後数日で歩行ができ、早期に社会復帰ができます。痛みの緩和が期待できますが、根本的な治療ではないため、効果の持続性は限定的です。そのため、症状が軽い場合に適用されます。
変形性膝関節症の骨切り術について教えてください。
骨切り術は症状が中程度までで、活動性が高く、65歳よりも若い患者さんに適した手術です。膝関節の近くで脛骨を切って向きを変え、変形を正すことで、膝の痛みが軽減します。骨切り術は自分自身の関節を温存できるのが大きな特徴で、侵襲が少ない手術とされ、身体への影響が少なく済みます。一方で、切った骨がくっつくまで痛みが続き、機能回復にはリハビリをしっかり行うことが必要です。
変形性膝関節症の人工膝関節置換術について教えてください。
変形した関節の表面を人工的な関節に置き換える手術です。この手術で、痛みが大幅に改善することが期待できるでしょう。症状が進行して痛みが強い場合、日常生活に支障が出ている場合に用いられます。一方で、膝の曲がりに制限が付くことや、人工関節には寿命があるなどのデメリットもあり、激しい運動や仕事も内容によってはできなくなることがあります。

変形性膝関節症の再生医療による治療法

再生医療とは、病気やケガで損傷した組織の働きを、自然の回復力を利用して治療することです。まだ、科学的根拠が乏しく効果や安全性には明確でない部分がある治療ではありますが、治療方法としては、患者さんの血液や幹細胞を培養した後に、損傷した部位に注入し、修復・再生を目指す方法をとります。ここでは、PRP療法、APS療法、ASC療法についてそれぞれ解説します。

PRP療法とはどのような治療法ですか?
PRP (Platelet Rich Plasma)療法は、血液に含まれる血小板の成長因子の働きを利用した治療法です。成長因子には組織の修復を促す働きがあり、組織の修復を促進し、炎症が緩和されます。患者さんの血液から血小板を含む液体成分を取り出し、それを膝の患部に注射します。
APS療法とはどのような治療法ですか?
APSとは、自己タンパク質溶液(Autologous Protein Solution)のことです。PRPからさらに、炎症を抑えることに有効なたんぱく質を高濃度で抽出し、関節に注入します。これにより、膝の痛みが軽減し、炎症を緩和することが期待されます。
ASC療法とはどのような治療法ですか?
脂肪組織に含まれる幹細胞である脂肪由来幹細胞を用いた治療法です。脂肪由来幹細胞には複製機能があり、これを活用します。自分自身の脂肪から採取した幹細胞を培養し、関節内に投与します。軟骨に分化し再生を促すだけでなく、周囲の組織や細胞にも影響し、炎症を鎮めることが目的です。

変形性膝関節症の予防方法

ここからは、変形性膝関節症にならないための予防方法について解説します。効果的な歩き方や運動方法、体型や体質で気をつけるべきことについて解説するので、参考にしてください。

変形性膝関節症を予防するための歩き方について教えてください。
正しい歩き方のポイントは、顔を上げてまっすぐ前を見て歩くことです。これにより前傾姿勢を防ぎます。次に、下腹部に力を入れて歩くことにより、背筋が伸びやすくなります。そして、前に出す足は伸ばして、適度な歩幅で歩きましょう。きちんと伸ばすことで、筋肉が鍛えられます。また、腕を軽く振ると足が前に出やすくなります。意識しながら歩くことで、正しい歩き方が習慣となり、予防につながるでしょう。
変形性膝関節症を予防するための運動方法について教えてください。
筋トレやストレッチは筋肉を鍛えるほか、筋肉の柔軟性も高めて動きを良くします。膝の曲げ伸ばし運動は、膝関節の骨の運動性を高めるのでおすすめです。このストレッチは、椅子に深く腰かけて行います。姿勢を正して、片足ずつ、2秒かけて膝を伸ばした後、2秒かけて曲げる動きをしましょう。これを20回、2セットずつ行います。
変形性膝関節症を予防するために、体型や体質で気をつけるべきことはありますか?
体重増加は膝への負荷がかかるため、肥満を防ぐことは変形性膝関節症の予防にも効果があります。また、変形性膝関節症は加齢による筋力の低下や女性ホルモンの変化が原因として挙げられています。適度な運動のほか、バランスのよい食事を心がけましょう。

編集部まとめ

変形性膝関節症について、理解は深まりましたか? 変形性膝関節症は症状が進行すると、強い痛みや骨の変形が起こり、日常生活が困難になり、手術が必要になることもあります。近年では、再生医療のような身体に負担の少ない治療も広まってきていますが、なるべくそうならないように気をつけたいですね。今回は、いくつか予防法についても紹介しています。ご自身でできることから始めて、足の健康を守りましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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