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変形性指関節症の症状とは?かかりやすい人の特徴や再生医療による治療について解説

変形性指関節症の症状とは?かかりやすい人の特徴や再生医療による治療について解説

お年寄りの指が曲がっていたり膨らんでいたりするのを見たことはありませんか?このような症状は変形性指関節症という病気である可能性が高いです。今回はその変形性指関節症はどんな人がかかりやすいのかという特徴や、さまざまな治療法について紹介します。

変形性指関節症の症状と種類

変形性指関節症とはどのような病気なのでしょうか。ここでは、病気の症状と一緒に説明していきます。

変形性指関節症にはどんな症状がありますか?
指の関節が腫れたり変形したりして痛みが生じる病気のことを総称して変形性指関節症と呼びます。似ている病気の中に関節リウマチというものがありますが、変形性指関節症は指だけに起こるものです。具体的な症状としては、指を使うと痛む、痛みにより指の可動範囲が狭くなる、指が変形するなどがあります。これらの痛みを訴えて受診する方がほとんどです。
変形性指関節症の種類について教えてください。
変形性指関節症には、へバーデン結節、拇指CM関節症、ブシャール結節などの種類があります。手指の関節のどこで炎症が起きているかによって呼び名が変わります。
へバーデン結節とはどんな疾患ですか?
人差し指から小指の第一関節に生じる指関節症です。赤く腫れたり曲がったりすることで痛みが生じます。ヘバーデン結節は1本の指だけでなく、複数の指に同時に起こるケースもあります。原因はまだはっきりと解明されていませんが、指関節が硬いことや筋肉の柔軟性が低下することも変形の要因だと言われています。
拇指CM関節症とはどんな疾患ですか?
これは親指のみに起こる指関節症です。親指の手首付近にあるCM関節(指先から数えて3番目の関節)という部分に、腫れや痛みが生じる病気です。どの関節にも骨同士の間にクッションの役割をする軟骨がありますが、骨同士が直接ぶつかり摩擦が生じることで炎症が起きてしまいます。このことが原因で親指の関節に痛みが出るのが拇指CM関節症です。進行すると親指の付け根が変形し、外側に飛び出て見えることもあります。
ブシャール結節とはどんな疾患ですか?
人差し指から小指の第二関節に起こる指関節症です。症状や原因はヘバーデン結節とほとんど同じで、原因もまだはっきりしていません。

変形性指関節症にかかりやすい人

変形性指関節症にかかりやすい人 先ほど説明したとおり、変形性指関節症ははっきりとした原因が分からないまま発症する場合が多いですが、実は罹患しやすい人の特徴があります。ここでは、どのような人が特に気をつけるべきなのかを紹介します。

変形性指関節症にかかりやすい性別や年代について教えてください。
実は患者さんの大半は女性で、40代以上の人が多いです。そのことから、こうした変形性指関節症は女性ホルモンと関係するのではないかといわれています。
変形性指関節症にかかりやすい人の特徴について教えてください。
細かい作業やタイピング、家事で手をよく使う仕事をしている人も変形性指関節症になりやすいといわれています。また、患者さんの中には、突き指など指のケガの後遺症を持っている人も多いので、普段から指をよく使う人や、指にケガをしたことがある人は、気にかけておく必要があります。こうした特徴に当てはまらない人でも、指の腫れや痛みに気付いたり、違和感を感じたりしたら早めに整形外科を受診するようにしましょう。

従来の変形性指関節症の治療方法

ここでは、変形性指関節症になってしまったらどのような治療法を選択したら良いのかを紹介します。まずは昔からよく採用されている基本的な治療法から説明します。

自分でできる変形性指関節症の治療方法について教えてください。
ここまで読んでいただいたら分かるように、変形性指関節症を発症した際に困るのは指関節の痛みと変形です。日常生活になるべく影響を及ぼさないようにするためにはまず、今苦しんでいる痛みを抑えることが最優先事項です。テーピングや専用の装具を用いて痛みのある関節を固定することで、手を使ってもあまり痛みを感じないようにコントロールすることができます。装具を使用する場合は自分の指に合ったものを選択することによりしっかりと固定できるので、一度医療機関に相談してみましょう。また、こうした固定を行うと同時に、痛み止めの薬を飲んだり湿布や塗り薬を貼ったりすることで痛みを抑えることができます。しかし、痛み止めの薬を飲んで無理をすると変形が悪化することがありますので、痛みが我慢できない時だけにしておきましょう。
医療機関での変形性指関節症の治療方法について教えてください。
患部の固定や薬による対症療法を行っても、痛みや炎症が引かずにつらい場合は注射や手術での治療を検討しましょう。手術方法としては、とげのように変形した骨の一部を削ったり、ワイヤーなどで固定したり、人工関節を入れたりする方法があり、痛みを生じている関節の位置や、症状の状態などによって複数の術式から選択することができます。ただし、手術をすると指を使う作業が一時的に制限されたり、普段通り指が使えるようになるまで数カ月程度かかったりするので、そうしたデメリットも踏まえた上で医師と相談して検討すると良いでしょう。

再生医療による変形性指関節症の治療

再生医療による変形性指関節症の治療 固定や痛み止めを使っても症状が改善しないが、手術もしたくないという患者さんには再生医療による治療が合っているかもしれません。ここでは新しい治療の選択肢として注目されている関節症に対しての再生医療について説明します。

関節再生医療について教えてください。
指関節だけでなく、膝や足首などさまざまな関節の治療で再生医療は使われています。再生医療とは、患者さん自身の血液や細胞を利用する治療で、入院を必要としない日帰りでできる治療法です。
PRP療法とはどんな治療方法ですか?
血小板を利用して治療するのがPRP療法です。血小板にはケガをして出血したときなどに働く止血作用があるほか、血小板の成長因子にはさまざまな組織を修復する作用もあります。患者さんから採取した血液の中から遠心分離機などを使って血小板を取り出し、血小板濃度を高めたものをPRPと呼びます。PRP療法は、そのPRPを関節に直接注射器で注入することで炎症による痛みの緩和や組織の修復が期待できる治療法です
APS療法とはどんな治療方法ですか?
PRPをさらに濃縮したものをAPSと呼び、APS療法は次世代型PRP療法とも呼ばれています。関節への鎮痛や抗炎症作用がある部分をさらに濃縮したものなので、PRP療法よりもさらに注射による治療効果が期待できるものです。
幹細胞による変形性指関節症の治療について教えてください。
あらゆる細胞に変化する能力をもった細胞を幹細胞といいます。幹細胞を利用することで、関節のクッションとなっている軟骨を再生させることが期待できる治療法もあります。幹細胞には、体内で損傷している部分にくっつき、そこで起こっている炎症や痛みを抑える働きがあると同時に、傷や損傷した組織を修復する働きもあるといわれています。幹細胞は脂肪などに存在するものなので、治療の際はまず患者さんの腹部などから脂肪を採取するところから始めます。脂肪の中から幹細胞を取り出し、それを注射器で関節部分に注入します。こちらもPRP療法などと同じように入院を必要としないので、日帰り治療を受けることができます。

編集部まとめ

いかがでしたか。「歳を重ねたらよくなる病気だから」と変形性指関節症の治療を諦めるのはまだ早いです。家でできる治療から、手術、再生療法までさまざまな治療法を紹介しましたので、ぜひメリットデメリットを踏まえて自身が納得できる方法を選んでみてください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松繁 治医師(新東京病院)

松繁 治医師(新東京病院)

岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科

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