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変形性膝関節症にサプリメントは効果がある?変形性膝関節とサプリメントの効果について解説します

変形性膝関節症にサプリメントは効果がある?変形性膝関節とサプリメントの効果について解説します

膝の痛みが気になることはありませんか?中高年になると膝の痛みを感じる人も少なくなく、その原因の多くが変形性膝関節症です。変形性膝関節症は少しずつ進行する病気で、放置すると歩行時の痛みだけではなく安静時や就寝時にも痛みが続き、日常生活に支障をきたす可能性があります。

この記事では、変形性膝関節症の症状や原因、治療法に加え、サプリメントの効果や摂取時の注意点についても詳しく解説します。ぜひ、この記事を通して正しい知識を身につけ、ご自身に合った治療法を見つけるための一助としてください。

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは 変形性膝関節症は、膝関節の軟骨の摩耗や変形によって、痛みや腫れ、動かしにくさが生じる病気です。中高年以降に多く見られますが、若い世代でも発症する可能性があります。進行すると日常生活に支障が出るため、早期発見、早期治療が重要です。 ここでは、変形性膝関節症の概要をはじめ、原因や症状について詳しく解説します。

変形性膝関節症の概要

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ったり変形したりすることで、痛みや腫れ、動かしにくさなどの症状が現れる病気です。一般的に40歳代から徐々に増え始め、加齢とともに発症率が高くなるとされています。ただし、個人の生活習慣や遺伝なども関与するため、必ずしも年齢だけが要因となるわけではありません。若い世代でもスポーツや関節への負担が大きい仕事をしている場合など、変形性膝関節症を発症することもあるので注意が必要です。また、変形性膝関節症は進行性の病気で、一度発症すると自然に治癒することは難しいため、早期発見、早期治療が重要となります。

変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症の原因は複数あります。まず、加齢による関節の摩耗が主な要因の一つで、年齢を重ねるにつれて関節軟骨の弾力性が失われ、すり減り、関節が変形することで発症します。また、家族に変形性膝関節症の人がいる場合や、関節への怪我、長期の過度な運動なども変形性膝関節症のリスクを増加させる要因となるので注意が必要です。さらに、肥満や姿勢の悪さ、O脚は膝関節への負担を増大させ、軟骨の摩耗を促進する可能性があります。その他にも、変形性膝関節症は女性に多く発症することがわかっています。骨や軟骨、筋肉を健康に保つエストロゲンの分泌量が急激に減る閉経後に関節軟骨の変性が起こることから、ホルモンバランスの変化が関節の健康に影響していると考えられています。

変形性膝関節症の初期症状

変形性膝関節症の初期症状には、軽い膝の痛みや膝のこわばり、関節の違和感などがあります。歩き始めや階段の上り下りなど、膝に負担がかかった際に鈍い痛みを感じることがあります。また、起床時や長時間座っていた後などに膝がこわばる感じがしたり、膝の曲げ伸ばしの際に引っかかりやゴリゴリとした違和感を覚えたりすることがあります。

変形性膝関節症が進行した場合の症状

変形性膝関節症が進行すると軟骨がさらにすり減り、休んでもなかなか膝の痛みが治まらなくなります。正座や階段の昇降、膝を深く曲げるなどの動作が困難になり、腫れや熱感などの症状が現れることもあります。さらに、O脚やX脚など外から見た時の膝の変形が目立つようになるほか、関節がすり減って摩擦が大きくなるため、歩くときしむような音がします。

末期になると関節軟骨がほとんど消失し、骨同士が直接こすれ合うようになるため、常に強い痛みがあり歩行が困難になります。日常生活に支障をきたすため精神的なダメージも大きくなりがちです。

変形性膝関節症とサプリメント

変形性膝関節症とサプリメント 加齢とともに増加する変形性膝関節症ですが、痛みを緩和し健康な状態を維持するためにサプリメント摂取を検討する方もいるのではないでしょうか。たしかに、グルコサミンやコンドロイチンといった成分は、軟骨の生成や炎症を抑える効果が期待されています。しかし、その効果は限定的であることを理解しておく必要があります。

ここでは、変形性膝関節症に対するサプリメント摂取の有用性と注意点について解説します。

変形性膝関節症にサプリメント摂取は有用なのか

変形性膝関節症の治療には、薬物療法やリハビリテーション、手術などがありますが、近年ではサプリメントによる効果も注目されています。変形性膝関節症に有効とされるサプリメント成分には、グルコサミンやコンドロイチン、プロテオグリカンなどがあり、これらの成分は、軟骨の生成を助けたり、炎症を抑えたりする働きが期待されています。しかし、現時点ではこれらのサプリメントの効果を明確に示す十分な科学的根拠は乏しいのが現状です。サプリメントはあくまで補助的な役割ととらえ、医師の指示のもと適切に摂取することが重要です。また、食事療法や運動療法など生活習慣の改善も並行して行うことが大切です。

サプリメント摂取の注意点

サプリメントは、不足しがちな栄養素を補うのに役立つ一方、安易な摂取には注意が必要です。

まず、サプリメントはあくまで食品であり、薬のような治療効果は期待できません。いくつかの成分が膝関節の痛みに有効性を持つ可能性が示唆されていますが、あくまでも減ってしまった成分を補うというもので、摂取した成分が必ずしもすべて膝関節の軟骨に届くとは限りません。効果を実感できているのであれば飲み続けてもよいですが、サプリメントだけに頼らず、健康維持の一助として利用することが大切です。なお、サプリメントを摂取する際は、摂取量を守りましょう。効果を高めたいからとサプリメントを過剰摂取すると健康を害する可能性があるため危険です。

また、持病がある方や薬を服用中の方、妊娠中、授乳中の方がサプリメントを摂取すると副作用が現れる可能性もあるので、事前に医師や薬剤師に相談してから摂取することをおすすめします。さらに、サプリメントの効果や安全性には個人差があるので、体質に合わないと感じたら摂取を中止し、医師に相談しましょう。

変形性膝関節症を病院で治療する重要性

変形性膝関節症を病院で治療する重要性 加齢とともに増加する変形性膝関節症ですが、膝の痛みを我慢しながら生活している方も少なくないのではないでしょうか。「年のせいだから」と諦めてしまう前に、まずは病院で医師に相談することが大切です。適切な治療を受けることで痛みを和らげ、進行を遅らせることができる可能性があります。

ここでは、変形性膝関節症に関する疑問や放置するリスク、治療の重要性について解説します。

変形性膝関節症は自然治癒する?

変形性膝関節症は、残念ながら自然治癒しません。一度すり減った軟骨は放置しても自然に修復することはなく、どんどん軟骨がすり減り症状が悪化します。変形性膝関節症は進行が緩やかなので、痛みがまったくない時期があったり症状が軽度である場合も少なくありません。膝に違和感や痛みが少しでもあれば病院を受診することが早期発見や早期治療に役立ちます。

また、自然治癒は難しくても生活習慣の改善や運動療法などによって、症状を和らげたり、進行を遅らせたりすることが可能です。変形性膝関節症と診断された場合は、医師の指導のもと、適切な治療やセルフケアに取り組むことが症状の悪化防止につながります。

変形性膝関節症を放置するリスク

変形性膝関節症を放置すると、さまざまなリスクがあります。

変形性膝関節症は進行性の病気であるため、放置すると痛みや腫れが強くなり、歩行や階段の上り下り、正座などが困難になることがあります。さらに進行すると安静時にも痛みが続くようになり、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。また、膝関節の変形が進むと、膝がO脚に変形したり、膝が伸びなくなったりなどの症状が現れることもあります。

このように、痛みや関節の可動域制限により歩行や運動が困難になると、筋力低下や体力低下、肥満などを招き、さらに変形性膝関節症の症状を悪化させる要因となります。重症化すると寝たきりになるリスクも高まるので、少しでも膝に違和感を覚えたら、早めに診察を受受けることが大切です。

変形性膝関節症は状態に合わせて治療することが重要

変形性膝関節症は、進行段階や症状、日常生活における支障の度合いなどが患者さんによって大きく異なります。そのため画一的な治療ではなく、それぞれの状態に合わせた適切な治療を選択することが重要です。初期段階では、運動療法による筋力強化や関節可動域の改善、体重コントロール、サポーター着用などの保存療法が中心となります。痛みが強い場合は、薬物療法で痛みを抑制しながらリハビリテーションを進めることもあります。症状が進行し、保存療法の効果が乏しい場合は、ヒアルロン酸注射や手術療法などの選択肢も検討されます。いずれの場合も医師と相談し、自身の症状やライフスタイルに合った適切な治療法を行うことが大切です。

変形性膝関節症の治療方法

変形性膝関節症の治療方法 変形性膝関節症の治療方法には、運動療法、手術療法、保存療法があります。症状が軽い初期には保存療法や運動療法が行われ、中期や末期になると手術療法が検討されることもあります。変形性膝関節症の治療では、症状の程度や年齢、生活スタイルなどを考慮したうえで、自分にあった治療法を選択することが大切です。 ここでは、それぞれの治療法について詳しく解説していきます。

運動療法

運動療法は、筋力を向上させて膝関節への負荷を軽減し、症状の進行を抑える治療法です。ウォーキングなどの有酸素運動や簡単な筋トレ、ストレッチなど症状や進行度合いに合わせた適切な運動プログラムが重要となります。運動療法は専門家の指導のもと、無理なく継続することが大切です。自己判断での運動は症状悪化の可能性があるので、必ず医師や理学療法士と相談しながら行いましょう。

手術療法

保存療法で効果がない場合や症状が進行している場合に手術療法が検討されます。手術療法には、関節鏡手術や高位脛骨骨切り術、人工関節置換術があり、どのような手術を行うかは、患者さんの年齢や活動量、関節の状態などを総合的に見て医師が判断します。

関節鏡手術は、関節鏡で膝関節の中を掃除する手術で、変性した半月板や軟骨、増え過ぎた滑膜や骨の棘を処理します。また、高位脛骨骨切り術は、すねの骨である脛骨を切って変形を矯正し、関節にかかる負担を軽減する手術です。関節を温存できますし、施設にもよりますが術後一定期間を過ぎると活動制限なく動けるようになるため、生活スタイルを変更する必要はありません。そして、人工関節置換術は、膝の変形が進行し、関節の痛みや機能障害が強い場合に選択されます。人工関節を用いて損傷した関節を置き換える手術で、人工関節を部分的に置き換える人工膝関節単顆置換術と、関節全体を置き換える人工膝関節全置換術があります。

保存療法

変形性膝関節症の治療は基本的に保存療法から始めます。保存療法では日常生活における負担軽減を第一に、薬物療法、理学療法、装具療法などを組み合わせます。具体的には、肥満であれば体重管理を行い、膝への負担を減らすことが重要です。痛みが強い場合は、鎮痛剤の内服やヒアルロン酸の関節内注射を行います。また、筋力低下を予防、改善するために、太ももの筋力トレーニングなどの理学療法も有効です。さらに、必要に応じて関節を固定するサポーターなどの装具を用いることもあります。

再生医療による変形性膝関節症の治療

再生医療による変形性膝関節症の治療 再生治療とは、人間に備わっている細胞や組織の自己再生能力を利用し、損傷した組織などを修復、再生する医療のことです。患者さん自身の細胞を使うため、拒絶反応が少ない、手術と比べて身体への負担が少ない、薬物療法と比べて副作用が少ないなどさまざまなメリットがあり、変形性膝関節症の新しい治療法として注目されています。

ここでは、変形性膝関節症に対する代表的な再生医療である、幹細胞治療、PRP療法、APS療法について解説します。

幹細胞治療

幹細胞治療は、脂肪組織などから採取した幹細胞を培養し、それを膝関節内に注射することで炎症や痛みの改善効果が期待できます。患者さん自身の幹細胞を使用するため、拒絶反応やアレルギー反応のリスクが低いとされています。また、治療は低侵襲なので入院の必要もなく日帰りで行えますし、日常生活への影響がとても少ない治療法といえます。ただし、幹細胞療法を行えるのは厚生労働省から認定を受けた病院のみとなっているので、治療を希望する方は医療機関に事前に確認するとよいでしょう。

PRP療法

PRP療法は、患者さん自身の血液から採取した血小板血漿(Platelet Rich Plasma)を患部に注射することで膝関節の修復を促します。PRPには組織の修復や炎症を抑える効果を持つ成長因子が豊富に含まれており、これらが損傷した軟骨や組織の再生を促進します。PRP療法は手術に比べて身体への負担が少なく、日帰りで治療が受けられるというメリットがあります。また、患者さん自身の血液を使うため、拒絶反応や感染症のリスクも低い治療法です。

APS療法

APS療法は、患者さん自身の血液から採取したPRPをさらに分離・濃縮し関節内に注入することで関節炎症を抑え、痛みを軽減する治療法です。次世代PRP(濃縮PRP)とも呼ばれています。

変形性膝関節症では、関節内で軟骨を破壊する炎症性サイトカインが活発に働いています。APS療法では、この炎症性サイトカインの働きを抑え、軟骨の健康を守るために患者さん自身の血液から抗炎症性サイトカインと成長因子を高濃度に抽出し、APSを生成します。APS療法は、PRP療法の効果に加え、炎症や痛み、軟骨のすり減りを抑制する効果が期待できます。また、PRP療法同様、患者さん自身の血液を使用するため、免疫反応が起こる可能性は極めて低いと考えられています。効果の発現には個人差がありますが、一般的に治療後2週間~3ヵ月で効果が現れるとされています。

まとめ

変形性膝関節症は、放置すると歩行困難になるなど生活の質を著しく低下させる可能性があります。変形性膝関節症の初期症状が見られたり、少しでも膝に違和感を覚えたりしたら、自己判断せず速やかに医療機関を受診しましょう。保存療法や手術療法などに加え、再生医療などの新しい治療法も登場していますが、自身の症状や進行度に合わせて適切な治療法を選択することが重要です。自己判断でサプリメントだけに頼るのではなく、医師に相談のうえ、治療計画に基づいた治療を行うようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松繁 治医師(新東京病院)

松繁 治医師(新東京病院)

岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科

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