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変形性膝関節症の薬の効果丨薬物療法で用いられる薬の種類や注意点、ほかの治療法

変形性膝関節症の薬の効果丨薬物療法で用いられる薬の種類や注意点、ほかの治療法

中高年に多いとされるのが変形性膝関節症です。心あたりのある方やすでに症状が出ている方もいるかもしれません。初期には痛みもあったりなかったりして、膝に違和感はあるけれどいつか治ると放置されてはいませんか?

しかし、変形性膝関節症の症状は徐々に何年にもわたって進行していくという特徴があります。この記事では、このようなつらい痛みに効く薬はある? 種類は? 薬以外にはどのような治療があるの? などの疑問にお答えしていきます。

変形性膝関節症の薬物療法について

変形性膝関節症の薬物療法について 変形性膝関節症で初期の段階といわれている膝の腫れや痛みには、変形の少ない場合には薬で炎症や痛みを和らげる薬物療法が一般的です。次に薬の種類や効果などを説明します。

変形性膝関節症の薬物療法ではどのような薬が使用されますか?
外用薬は経皮吸収といい、皮膚から吸収されて内部で拡散するものです。一部は血流により患部周辺組織に作用します。つまり、膝につけた外用薬の成分は膝関節周辺の筋肉、腱に広がり膝関節内部で作用します。外用薬には、非ステロイド系消炎鎮痛剤が含まれており、炎症を抑えて鎮痛作用も発揮します。塗り薬(クリーム、軟膏、ゲル状のもの)や湿布薬があります。近年では、変形性膝関節症に効くエスフルルビプロフェンテープも発売されました。従来の湿布薬よりも患部への吸収がよく、効果が期待されています。膝の痛みが激しい場合に短時間で効果が期待できるのが内服薬です。非ステロイド系の消炎鎮痛剤である、ジクロフェナク、ロソキソプロフェン、やアセトアミノフェンなどが代表的です。
変形性膝関節症の治療で使用される注射薬の種類を教えてください
膝関節注射薬としては、ヒアルロン酸注射が一般的です。膝関節液には、もともとヒアルロン酸が多く含まれていて、関節の衝撃に対してクッションのような役割や、関節を滑らかにしてくれる働きがあります。変形性膝関節症になると、ヒアルロン酸が減少してしまうためこれを補充するのがこの注射の目的です。1~2週間ごとに5回くらい続けると効果が出るといわれています。また、強力な抗炎症作用のあるステロイド剤の注射も膝の炎症を抑えてくれますが、この薬の使用には副作用のリスクもあり慎重な使用が求められます。
鎮痛剤の服用は変形性膝関節症の治療に効果がありますか?
痛みのコントロールをいかにするかが、変形性膝関節症の治療にとってはとても大切といえます。鎮痛薬によって痛みを抑えることは可能ですが、痛みが和らいでも変形性膝関節症が治ったわけではありません。鎮痛剤はあくまでも対症療法と考えましょう。鎮痛薬の使用以外に、運動療法で筋肉をつけることも重要です。
薬物療法で薬を使用する際の注意点はありますか?
外用薬を処方された場合は特に使用上の注意について意識してください。内服薬では、用量や飲み方などに気をつけるのが常識になっていますが、外用薬に関しては無頓着になりがちです。内服薬と同様に湿布や塗り薬にも使用上の注意があります。湿布剤でも貼りすぎると、薬剤の血中濃度を高め副作用が起きることがあります。

変形性膝関節症の治療法

変形性膝関節症の治療法 薬での治療方法を解説してきましたが、変形性膝関節症の治療にはほかにどのような治療方法があるのでしょうか? 次に治療の種類を解説します。

変形性膝関節症の治療法の種類を教えてください
治療には大きくわけて2種類あります。ひとつは運動で機能障害の改善や低下した筋肉の向上を行いつつ、つらい痛みを緩和する保存療法です。そしてもうひとつが、対症療法で効果のない患者や症状が悪化した場合などに行われる、関節鏡視下手術、高位脛骨(けいこつ)骨切り術、人工膝関節置換術といった手術療法です。 しかし、近年、第3の治療法として注目されているのが再生医療の活用です。
変形性膝関節症の再生医療のメリットを教えてください
再生医療は自分自身の血液や皮下脂肪から採取した成分を使い、患部の修復を促す治療です。痛みを軽減する対症療法とは異なり、病気の進行を抑えて痛みを治します。さらに持続効果も長く期待できる治療です。また、心配される拒絶反応については自身の血液や組織を使うため発生するリスクは低いとされます。さらに手術ではないので術後の入院をする必要もありません。

膝の痛みはできるだけ早く治したいと思うものです。運動療法や内服薬、外用薬、ヒアルロン酸注射などいろいろ治療をしたけれど結果が思わしくない方には、新たな治療の選択肢となることでしょう。再生医療は実用化が進み、一定の効果をあげている治療方法です。

変形性膝関節症の再生医療のデメリットはありますか?
医療行為であるので、リスクはゼロにはなりません。治療後に起こる副反応として、患部の痛みや熱感、赤みや腫れなどが起こる可能性もあります。また、採血や、注入時に注射を使用することから、感染症を引き起こすリスクもなくはありません。さらに、治療後の後療法は指示されたとおりに行わないと、組織が硬くなり長期的な痛みのもととなるので注意しましょう。そして、治療の効果は人により差が出ることも正しく理解しておいてください。事前のカウンセリングでリスクの説明をよく聞いておくことも重要です。なお、再生医療には公的医療保険は使えません。全額自己負担となることも認知しておいてほしい点です。
変形性膝関節症のPRP療法とはどのような治療ですか?
血液中に含まれる血小板は傷ついた組織の修復を促します。転んで擦りむいたときに自然に傷がふさがり、かさぶたができて元どおりに治っていくことは経験したことがあるでしょう。これが自己治癒力で、血液中の血小板が重要な役割をしてくれるのです。PRP療法はこの自己治癒力をサポートする治療法です。方法としては、自分の血液を20ccくらい採血して、血液中の血小板が多く含まれる部分(多血小板血漿=PRP)のみを抽出し自己PRPをつくります。このPRPのなかには、成長因子がたくさん含まれているので、それを患部に注射します。するとその部分の組織が血小板によって修復を始め、痛みの軽減効果をもたらします。自身の治癒力で、関節の炎症を制御しようとする方法なのです。しかし、膝の変形が重度の場合や、肥満の方はPRP療法では効果が出にくいといわれていますので、PRP療法の適応可否は医師の診察によって判断されます。
変形性膝関節症の幹細胞治療について教えてください
幹細胞は骨や軟骨、血液、神経などのいろいろな細胞に変化する能力をもっています。これを患部に投与することで失われた軟骨を再生しようとするのがこの治療法です。変形性膝関節症の幹細胞治療には脂肪由来の幹細胞が使われることがあります。こお腹から脂肪を採取して幹細胞を取り出し、その後、その幹細胞を培養し、投与液に混ぜて膝関節内に注射します。入院の必要がなくその日に帰宅できることが多いです。軟骨の保護や維持、膝関節の痛みと機能改善を長期的に持続できる効果が期待されています。
変形性膝関節症で再生医療の治療を受けられないケースはありますか。
膝の再生医療での治療ができないケースとしては、感染症に罹患している、重度の糖尿病、悪性腫瘍を治療中などの場合があります。また、重度の膝の変形がある場合は、治療を受けても効果が出にくいでしょう。心配なことがあれば主治医とよく相談してください。医師の診察によっては、治療の効果が期待できる場合もあるようです。

編集部まとめ

膝のつらい痛みには鎮痛剤が救いでもあります。しかし、あくまでも薬は対症療法です。薬により痛みは和らいでも、病気自体は進行している場合もあるのです。薬の使い方には注意が必要であることはいうまでもありませんが、特に気をつけたいのが、湿布や塗り薬です。用法を間違えると血中濃度が意外なほど高くなり危険です。また、近年は再生医療でも変形性膝関節症は治療ができるようになりました。治療の選択肢が広がっています。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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