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変形性膝関節症のリハビリについて解説!リハビリが必要な理由や気をつけるべきポイントとは

変形性膝関節症のリハビリについて解説!リハビリが必要な理由や気をつけるべきポイントとは

変形性膝関節症は膝の痛みや腫れなどを引き起こし、日常生活に大きな支障をきたす症状です。その治療には保存療法から手術療法までさまざまな方法があり、さらに治療後には継続してリハビリを行うことも大切です。

本記事では、変形性膝関節症の治療やリハビリについて、わかりやすいQ&A形式で解説します。リハビリが必要な理由や実際の進め方、注意点などを知り、日々のケアに役立ててください。

変形性膝関節症の治療について

変形性膝関節症の治療について ここでは、変形性膝関節症の治療について解説します。

変形性膝関節の治療にはどのような方法がありますか?
保存的治療と観血的治療(手術療法)があります。

保存的治療は、痛みや膝の動きを改善し、膝関節の機能を向上させつつ、症状の進行を抑えることを目的としています。治療の第一選択として、まず保存療法が行われることがほとんどです。具体的には薬物療法、装具療法、運動療法が含まれます。

保存療法で十分な効果がえられない場合、観血的治療(手術療法)を検討することがあります。

変形性膝関節症で受けられる再生医療を教えてください。
幹細胞治療とPRP療法があります。

幹細胞治療は、主に変形性膝関節症を対象とした治療法です。幹細胞は体内のさまざまな細胞から採取でき、ほかの細胞に変化する能力があります。そのなかでも、脂肪細胞に含まれる脂肪由来幹細胞は、採取が簡単で実用化が進んでおり、膝の再生医療で用いられています。

PRP療法は、患者さん自身の血液から多血小板血漿(PRP)という血小板を多く含む液体成分を抽出し、膝の患部に注射する治療法です。この治療では、血小板から分泌される成長因子の働きを活用します。

成長因子には、組織の修復を促したり炎症を抑えたりする効果があり、自己修復作用を高めることで早期回復を目指します。この療法は変形性膝関節症だけでなく、スポーツ選手のケガ治療にも応用されています。

変形性膝関節症の治療後のリハビリについて

変形性膝関節症の治療後のリハビリについて 変形性膝関節症は、治療を終えて終了ではありません。その後継続的にリハビリを行うことが重要です。

なぜ治療後にリハビリが必要なのですか?
炎症を抑えることと、痛みを緩和することが主な目的です。

変形性膝関節症では、膝関節を覆う滑膜(かつまく)に炎症が起こることが多く、その結果、膝に水がたまり腫れが生じます。滑膜はとても痛みを感じやすい組織で、関節内に水がたまることで関節内圧が変化し、痛みが出ます。この場合、注射で水を抜き、炎症を抑える薬物療法を行う必要があります。

さらに、膝の変形が原因で筋肉が骨に付着している部分(筋腱付着部)に無理なストレスがかかり、炎症を引き起こすこともあります。膝関節での炎症は立つ・歩くといった動作で負荷がかかりやすいため、炎症が悪化したり、回復が遅れたりすることがあります。この結果、腫れや痛みで体重をかけられなくなり、日常生活に支障をきたすことがあります。

一方痛みは、関節周囲の組織や筋肉の炎症、筋肉の緊張、または周囲の組織が固くなることによって引き起こされます。リハビリでは、炎症を抑える治療と並行して、緊張した筋肉をほぐし、固くなった組織をやわらかくすることで痛みを軽減します。また、筋力を向上させることで、膝関節を支え、安定させることを目指します。

さらに、膝以外の関節や姿勢の悪化が膝に余分な負担をかけている場合、その影響を軽減するためにほかの関節のリハビリを行うこともあります。特にO脚の場合は、膝の内側の関節が狭くなり、骨同士の接触や摩擦によって痛みが生じやすいです。このようなケースでもリハビリを通じて筋肉を強化し、関節の安定性を高めることが重要です。

手術を行った場合のリハビリについて教えてください
手術後は、膝関節の可動域や筋力を取り戻すためのリハビリが必要です。

リハビリの内容は、手術の種類によって異なります。例えば、装具の使用や可動範囲の制限、体重をどの程度かけられるか(荷重制限)などが、手術内容や患者さんの状態に応じて決まります。

入院期間は手術の種類によっても異なり、内視鏡手術の場合はおよそ3日程度、人工関節置換術の場合は2~3週間程度が一般的です。退院後も、必要に応じて外来通院でリハビリを続けます。

リハビリの具体例としては、膝関節が硬くならないように動かす可動域訓練や筋力トレーニング、歩行訓練などが挙げられます。

PRP療法を行った後はどのようなリハビリが必要ですか?
注射後1~2週間を目安に、各症状に応じたリハビリを行います。

リハビリは、負荷の少ないゆっくりとした動作から始め、痛みや状態を見ながらトレーニングを進めます。また、患部以外の部分も鍛えるトレーニングを取り入れることで、体全体のバランスを整えます。

PRP療法によって患部の痛みが軽減され、組織が修復されたとしても、患部に過剰なストレスがかかると再発のリスクがあります。日常生活やスポーツで、患部に負担をかける動きを避けることも重要です。そのため、継続的なリハビリを行い、再発予防のための体作りを進めることが推奨されます。

幹細胞治療を行った後はどのようなリハビリが必要ですか?
治療後の炎症を抑えるため、負荷の少ないリハビリから始めることが重要です。

幹細胞治療後は、膝周りの筋肉が痛みによって硬くなっているケースがあるため、まずはストレッチを中心に進めるのが一般的です。特に、椅子に座った状態で行えるストレッチなど、関節や筋肉に負担をかけない方法がおすすめです。

負荷のかかるトレーニングや激しい運動は、炎症が完全に収まる前に行うと逆効果になることがあります。医師や理学療法士の指導のもと、徐々にリハビリ内容を進めていきましょう。

変形性膝関節症のリハビリで気をつけるポイント

変形性膝関節症のリハビリで気をつけるポイント 治療後はリハビリが大切ですが、やみくもにやればよいわけではありません。ここでは、リハビリを行う際の注意点を紹介します。

リハビリの期間中に避けるべき動作はありますか?
膝に強い負担がかかる動作は避けましょう。

痛みがある場合は一時的に安静にすることが必要ですが、変形性膝関節症の原因のひとつに肥満や筋力低下があるため、運動を完全にやめるのはNGです。体重を減らし、筋力を保つことは、症状の進行を防ぐために欠かせません。

ただし、膝への負担が大きい運動は控えましょう。具体的には、長時間の立ち仕事や歩行、負荷の高いウエイトトレーニング、膝に過剰なストレスをかける激しい運動など、これらの動作は軟骨や関節面を摩耗させる可能性があります。

リハビリの期間中に食生活で気をつけることはありますか?
バランスのとれた食事を心がけることが大切です。

膝関節に直接作用し、変形性膝関節症を治す特定の食べ物はありません。しかしものによっては、筋力低下や肥満、女性ホルモンの影響など、リスク要因にアプローチできる可能性があります。そのため、栄養バランスのよい食事を意識することが大切です。

特に、筋力を保つ高タンパク食品、体重管理に役立つ低カロリー食品、骨の健康をサポートするカルシウムやビタミンDを含む食品などがおすすめ。日々の食生活を見直し、体全体の健康を保つことで、リハビリの効果をより高めることができます。

編集部まとめ

年を重ねると悩む人が増える膝の痛みですが、その原因のひとつとなるのが変形性膝関節症です。治療方法には多様な選択肢があり、リハビリを通じて症状の改善や再発予防が期待できます。適切な運動や食生活を取り入れることで、膝の負担を減らし、長期的な健康維持を目指すことが可能です。一方で、負担の大きい運動や不適切な食生活は症状を悪化させるリスクもあります。医師や専門家の指導のもと、自分に合ったリハビリプランを立て、日常生活に取り入れていきましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松繁 治医師(新東京病院)

松繁 治医師(新東京病院)

岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科

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