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20代でも変形性膝関節症は発症する?症状や原因、再生医療による治療法などを解説

20代でも変形性膝関節症は発症する?症状や原因、再生医療による治療法などを解説

変形性膝関節症と聞くと、中高年の病気だと思われる方も少なくないのではないでしょうか。実際に加齢が原因であることが少なくないそうで、患者数の半数以上が中高年です。しかし、少ないですが20代でも発症することがあります。ここでは、変形性膝関節症が20代で発症する場合について詳しく解説します。膝の痛みが気になる方、変形性膝関節症について知りたい方には、とても役に立つ内容です。予防方法も紹介しているので、ぜひ目を通してください。

変形性膝関節症の症状

変形性膝関節症の症状 変形性膝関節症は関節の軟骨がすり減り、炎症による痛みや骨の変形が起こる病気です。ここでは、変形性膝関節症が起こるメカニズム、その症状について詳しく解説します。

変形性膝関節症が起こるメカニズムについて教えてください。
変形性膝関節症はクッションの役割を果たしている関節軟骨がすり減ってしまうことで起こります。関節のねじれや傾きで関節のすき間が狭くなることで、炎症が起き、関節に痛みを感じたり、骨が変形したりするのです。
変形性膝関節症の初期症状はどのようなものですか?
初期の症状としては、立ち上がるときや歩き初めに、こわばりや痛みといった膝の違和感があります。ただ、しばらくすると痛みが消えてしまうため、あまり気にならない場合があるようです。もう少し症状が進むと、正座や階段の昇り降りにはっきりと膝の痛みを自覚するようになります。
変形性膝関節症が進行した際の症状について教えてください。
症状が進行すると、安静にしているときでも膝が痛みます。骨の変形も目立つようになり、膝を曲げたり、伸ばしたりすることが難しくなるでしょう。そうなると、歩行自体が困難になるため、日常生活に支障をきたします。

20代でも変形性膝関節症は発症する?

変形性膝関節症は、加齢が原因であることが少なくないため、中高年の病気と思われがちです。ただ、患者数は少ないですが、原因によっては、20代でも発症することもあるのです。ここでは、加齢以外の危険因子、20代で発症する場合について、それぞれ詳しく解説します。

変形性膝関節症の危険因子について教えてください。
加齢のほか、肥満やO脚、X脚といった体型によるもの、遺伝によるものが危険因子として挙げられます。あてはまる人は変形性膝関節症を発症しやすいといえるでしょう。また、靭帯や半月板の損傷や骨折などのケガ、関節リウマチや痛風などの病気が直接の原因となって発症することもあります。
20代でも変形性膝関節症になることはありますか?
20代でも変形性膝関節症になることはあります。若い人の場合は、靭帯や半月板のトラブルが原因であることがあります。スポーツをされている方に起こりやすいといえるでしょう。特に、ハードなトレーニングは膝に過剰な負荷がかかるため、炎症が起こりやすくなります。スポーツによっては接触プレーで、靭帯や半月板を損傷し発症することもあるでしょう。サッカーやバレーボール、ラグビーといった接触プレーが少なくないスポーツは注意が必要です。
変形性膝関節症の年齢別有病率について教えてください。
20代〜30代でも発症している方もいますが、確率は低いといえるでしょう。年齢別にみると、40代、50代から徐々に患者数が増え始めます。特に高齢女性の有病率は高く、60代の女性では約40%、70代の女性では約70%がこの病気にかかっているといわれています。

変形性膝関節症の検査方法と治療法

現在行われている検査方法、治療方法にはどのようなものがあるでしょうか。膝関節治療で近年、注目を集めている再生医療についても詳しく解説します。

変形性膝関節症の検査方法について教えてください。
一般的な検査方法は、問診、触診、そしてX線検査です。必要によりMRI検査を追加することもあります。問診では痛みなどの自覚症状について患者さんから聞き取ります。関節の曲げ伸ばしなどの膝関節の動きはどうか、腫れや変形、痛みを感じる部位はどこか医師が患部に触れて行うのが触診です。X線検査では、とげ状の骨がみられるか(骨棘)、関節のすき間が狭くなっているか(関節裂隙狭小化)、軟骨の下の骨が硬くなっているか(軟骨下骨硬化)を確認します。これらの所見により、グレード1〜4に分類し、グレード2以上の場合は変形性膝関節症と診断されます。なお、ほかの病気の有無について調べるため、血液検査や関節液検査を行うこともあるでしょう。
変形性膝関節症の治療法について教えてください。
変形性膝関節症と診断された場合、まずは保存療法から始めることになるでしょう。保存療法とは筋トレやストレッチなどの運動療法、ヒアルロン酸注射、湿布などの薬物療法、足底板やサポーターを装着する装具療法のことです。生活指導を受けながら、これらを組み合わせて行います。保存療法を続けても症状が改善せず、日常生活に支障をきたすような場合は手術を検討することになるでしょう。手術には、内視鏡を使って関節内をクリーニングする関節鏡手術、骨を切って変形を整える骨切り術、そして人工膝関節置換術があります。どの手術を選択するかは、症状の進行具合や患者さんの生活様式によって異なります。
変形性膝関節症の再生医療による治療法について教えてください。
保存療法では症状の改善がみられないが、手術は避けたい場合の新たな選択肢として、近年注目を集めているのが再生医療です。自分自身の細胞や組織を利用して、損傷した組織の自己再生能力を活性化させ、回復させることができる治療法です。ここでは膝治療で行われている、PRP療法、APS療法、ASC療法の3つの再生医療について解説します。 ・PRP療法 患者さんの血液から血小板を抽出して、多血小板血漿(Platelet Rich Plasma)という成長因子 を含んだ高濃度の溶液をつくり、患部に注入します。血小板に含まれる成長因子は、組 織を回復させる働きがあるため、炎症や痛みを改善する効果が期待できます。 ・APS療法 APSとは、自己タンパク質溶液(Autologous Protein Solution)の略称で、成長因子からな るPRPをさらに高濃縮して患部に注入します。APSは、痛みや炎症を緩和させるだけで なく、骨の変形など進行を抑えることも期待できます。 ・ASC療法 自身の脂肪組織から採取した幹細胞を培養し、関節内に投与します。関節内に投与された 幹細胞は軟骨に分化するだけでなく、関節の炎症を抑え、周辺組織の修復を促すことが 期待できます。
変形性膝関節症を放置するとどのようなことが起こりますか?
初期の段階では、痛みも一時的で気にならないこともあるでしょう。しかし、時間をかけて症状は悪化していきます。すり減った関節軟骨は自然に再生することはないからです。そのまま放置し末期になると、骨も変形して、歩行自体が困難になってしまいます。そうならないためにも、早期に発見し、早い段階で進行を食い止めることが大切です。膝に気になる症状があれば、一度医療機関を受診するといいでしょう。

変形性膝関節症のリハビリと予防方法

変形性膝関節症のリハビリと予防方法 変形性膝関節症にならないために、今からできることはあるのでしょうか。ここでは変形性膝関節症予防にも効果的なリハビリ方法について、日常生活で気を付けるべきポイントについて紹介します。

変形性膝関節症のリハビリ方法について教えてください。
変形性膝関節症にならないために、膝関節周りの機能を維持することが大切です。リハビリでも行われている膝周りの筋肉を鍛えるトレーニングや脚の曲げ伸ばしのストレッチを習慣にするとよいでしょう。また、ウォーキングも効果的で、痛みが強い場合は水中で行うのがおすすめです。
変形性膝関節症を予防するために気を付けるべきポイントを教えてください。
体重増加は膝に負担がかかるため、肥満であれば減量します。肥満や筋力低下を防ぐためにも適度な運動を心がけましょう。一方で、運動のしすぎも膝に負担がかかるので注意します。日常生活では、正座はしない、クーラーなどで膝を冷やさないようにする、洋式トイレを使用するといったことに気を付けるといいでしょう。

編集部まとめ

中高年に少なくないと言われる変形性膝関節症ですが、原因によっては20代でも発症することがわかりました。発症してもそのまま放置し悪化すると、歩行が困難になり、日常生活にも大きく影響します。そのため早期発見が大切です。膝で気になる症状があれば、早めに医療機関を受診することがおすすめです。症状がない方でも、肥満の方は減量する、膝に負担がかかるような激しいトレーニングは避けるといったことが予防につながるでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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