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変形性膝関節症は30代でもなる?かかりやすい人の特徴や治療方法について詳しく解説 

変形性膝関節症は30代でもなる?かかりやすい人の特徴や治療方法について詳しく解説

変形性膝関節症は、膝関節に痛みが出ることが特徴である病気です。徐々に進行していく病気で、自然に治るものではありません。また、進行していくと歩行が困難になる恐れがあるため注意が必要です。60代以上の女性の60~80%の方が変形性膝関節症といわれている現在ですが、若い方でもかかることはあるのか、かかりやすい人の特徴や、かかった場合に行われる治療方法など、変形性膝関節症について詳しく解説します。

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは、どのような病気なのでしょうか? その原因やかかりやすい人の特徴など、変形性膝関節症についての質問にわかりやすくお答えします。

変形性膝関節症とはどのようなものですか?
変形性膝関節症は、高齢者でも特に女性によく見られる、膝関節が痛む病気です。膝関節表面の軟骨が長い年月を経て徐々にすり減ることで、関節が変形したり、痛みの症状が出てきたりするのです。すり減ってしまった軟骨は自然には治癒しませんので、治療が必要になります。変形性膝関節症の種類としては、一次性変形性膝関節症と二次性変形性膝関節症があります。明確な原因のないものが一次性変形性膝関節症であり、変形性膝関節症というとこの一次性であることが多くなっています。二次性変形性膝関節症は、代謝性疾患、先天異常、膝の骨折、靭帯(じんたい)や半月板の損傷といった外傷の後など、明確な原因があるものをいいます。
変形性膝関節症の原因を教えてください。
変形性膝関節症は、関節や軟骨の老化が主な原因だといわれていますが、肥満や遺伝も考えられるとされています。また、膝の骨折、靱帯や半月板の損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することもあります。
どのような人が変形性膝関節症にかかりやすいですか?
変形性膝関節症にかかりやすい方として、筋力が低下し膝関節に負担がかかりやすい高齢者や女性、肥満の方が挙げられます。また、常日頃から膝への負担が大きい方や、運動不足の方もかかりやすいといえます。膝関節に負担がかかりにくい生活習慣を心がけ、適度な筋力を保つことが大切です。
30代でも変形性膝関節症にかかることはありますか?
変形性膝関節症は、60~70代の高齢者に多く見られる病気です。しかし若年層の方であっても、基礎疾患や過去の膝の外傷の後遺症として、変形性膝関節症の症状が現れることはあります。慢性的に膝の痛みがある場合は、年齢に関係なく病院を受診するようにしましょう。

ここでは、原因やかかりやすい方について解説しました。次章では、変形性膝関節症の症状について、どのようなものがあるのか詳しく説明します。

変形性膝関節症の症状

変形性膝関節症の症状としては膝の痛みが挙げられますが、具体的にはどのような状況で痛むのでしょうか?また、悪化するとどうなるのでしょうか?気になる質問にお答えします。

変形性膝関節症の症状について教えてください。
膝関節には、立ちあがるときや歩くときに負荷がかかります。そのため、歩き始めや階段の上り下りをするとき、長時間歩いているときに痛みを感じる、正座をすると痛いなどの症状が現れます。初期症状としては、階段の上り下りのときや、立ちあがったときの膝の痛みが挙げられます。変形性膝関節症も、初期であればしばらく安静にすることで痛みは治まります。しかしそれは一時的なものであり、基本的には徐々に悪化してしまいます。また、膝の痛み以外の症状としては、膝に水がたまって膝が腫れる、膝が重くだるい感覚があるなどが挙げられます。
変形性膝関節症が悪化するとどうなりますか?
変形性膝関節症が悪化すると、関節の変形が徐々に進行していきます。関節の変形とはO脚やX脚のことをいい、悪化するとO脚の方が多くなります。また、痛みが増す、膝の可動域が狭くなるなど、歩行障害が現れます。なお、関節の変形がさらに進行していった場合、筋力の低下とともに膝関節の靭帯のバランスが悪化し、膝がグラグラして安定しなくなります。歩く際には杖やシルバーカーなどの補助具が必要になるでしょう。重症化すると一目で膝の変形がわかるようになり、歩けなくなってしまうのです。

変形性膝関節症の治療法

変形性膝関節症は自然に治るものではありませんので、治療が必要になります。では、変形性膝関節症の治療には、どのような方法があるのでしょうか? 治療法についての質問にお答えします。

変形性膝関節症の従来の治療法を教えてください
変形性膝関節症の従来の治療法としては、運動療法や装具療法、薬物療法などの保存療法が挙げられます。保存療法は、主に初期症状から用いられる治療法です。

運動療法とは、筋力をあげるためにストレッチやウォーキングなどの運動や歩行の改善をすることで、膝関節への負荷を軽くし、症状の進行を抑えるために行われます。装具療法は、O脚やX脚といった足の変形を矯正するためにサポーターや足底板などを使用し、膝への負担を軽減させるために行われます。薬物療法は、主に痛みを抑える目的で行われ、具体的には関節の動きを滑らかにするためのヒアルロン酸の注射、内服薬の服用、湿布などの外用薬の塗布が挙げられます。 これらの治療法は保存療法なので、進行を防ぐための治療になります。

再生医療による変形性膝関節症の治療方法を教えてください
再生医療には、PRP-FD療法と幹細胞治療の2種類があります。

PRP-FD療法とは、血小板を濃縮した液体成分(PRP)を活性化し、無細胞化してフリーズドライ加工したものを、膝関節患部に注入する治療法です。血小板が患部に集まり、サイトカイン(炎症の調節因子で低分子タンパク質の総称)や成長因子を放出することで組織の炎症の改善、修復を促す効果が期待できます。 また、幹細胞治療とは、自身の皮下脂肪から抽出した幹細胞を、膝関節に注入する治療法です。幹細胞はさまざまな細胞に変化(分化)することができ、細胞の新陳代謝において欠かせないものであり、痛みを抑え、組織の修復を促す効果が期待できます。

再生医療による治療のメリットとデメリットを教えてください
再生医療による治療のメリットとしては、、入院手術が不要であることが挙げられます。デメリットとしては、自由診療のため、通常の治療と比べて治療費用が高額になることが挙げられます。再生医療ができる医療機関は限られているため、事前に再生医療を行っているかどうかを確認してから受診するとよいでしょう。

なお、再生医療においては、癌(がん)の既往歴や免疫低下疾患のある方や、HIVや梅毒などの感染症の方など、状況によっては受けられない場合もあるため注意が必要です。

編集部まとめ

いかがでしたでしょうか。変形性膝関節症は、一般的には徐々に進行していく疾患であり、自然に治ることは期待できません。階段の上り下りや立ったり座ったりするときなどに膝の痛みが気になる方は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。初期段階で治療を行うことで、症状を抑えることができます。また、運動不足や肥満などは変形性膝関節症の原因になるため、日頃から適度な運動をし、健康的な生活習慣を心がけましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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