再生医療による豊胸とは、何を使うものでどのようなものなのでしょうか?
再生医療という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、それが具体的に何を指すかや、豊胸への応用方法については多くの人にとってなじみがないでしょう。
そのためどのような人におすすめで、メリットやデメリットはどのようなものなのか、何を選べばいいのかなど分からないことが多いかもしれません。
今回の記事では、再生医療による豊胸の効果やPRP注射・脂肪幹細胞脂肪といった方法・豊胸の失敗例について解説します。再生医療を利用した豊胸について気になる方は是非参考にしてみてください。
再生医療による豊胸とは?
再生医療による豊胸には、大きく2種類あります。
- 成長因子である血小板を含む自分の血漿を濃縮して注射するPRP注射
- 現在の美容医療でも行われている豊胸の種類の1つである脂肪注入を応用した手法は、患者さん自身の脂肪を採取し、その中から脂肪幹細胞を増やして再注入する脂肪幹細胞注入
従来の豊胸術にこれらを組み合わせることも可能で、再生医療を利用しない豊胸よりも生着率が高く、自然にバストアップすることができるのです。
PRP注射と脂肪幹細胞注入を同時に行うことで、体外で増やして注入した脂肪幹細胞の定着や増殖を成長因子であるPRP注射が助ける働きもあるので、合わせて行われることもあります。
再生医療による豊胸の効果は?
再生医療による豊胸では脂肪の生着率が高まるので、自然な仕上がりと従来の脂肪注入よりも長期間バストアップした状態を保つことができます。
従来の豊胸の脂肪注入では脂肪の生着率は5~20%程度でしたが、再生医療による豊胸では脂肪由来幹細胞を混ぜて脂肪注入を行うことによって生着率80%以上を維持できるのです。このため、従来の脂肪注入よりもはるかに高い効果を期待できます。
再生医療のよる豊胸では、自然なバストアップをすることができるので従来の治療方法のように異常に大きくなってしまってバランスが取れないリスクはほとんどありません。
PRP注射も脂肪幹細胞注入も患者さん自身の血液や細胞を使って、自分の体の中にある細胞を増殖させたり、活性化させたりすることができます。
外から体内には本来ない異物を入れるわけではないので、拒絶反応がなく副作用やアレルギー反応も起こりにくい治療なのです。
PRP注射による豊胸の特徴
PRPとは多血小板血漿のことで、自分の血液を採取しそこから分離した血小板を濃縮したものです。血小板には成長因子が含まれ組織を元に戻そうとする力が働きます。
PRP療法は、注入した場所の細胞を活性化させる再生医療なので、皮膚のたるみやしわの改善にも使われてきました。
また、整形外科の分野でも使われていて脊椎疾患や慢性腰痛症・膝の痛みにも効果が確認されています。その他にも皮膚移植や歯科治療の分野でも活躍している治療方法です。
これを豊胸に応用すると、注入したPRPにより脂肪細胞の増殖を促すことでバストアップ効果が期待できます。しかしPRP注射による豊胸の持続期間は個人によって異なりますが、一般的には3〜4年程度です。
一定期間は維持されますが、半永久的ではありません。また高い豊胸効果が期待できる反面、血小板には血を固める作用もあるためしこりができてしまうリスクがあります。
自分の血液から採取した成長因子を使用
PRP注射による豊胸では、豊胸をする本人の採血をして血液から採取した成長因子を使用します。自分の血液を使用するため、アレルギー反応が起こる可能性は低いです。
PRP注射では1カップ程度のバストアップが可能で、そのために必要な血液量は200〜400 mL程度です。一般的な献血では全血で200〜400 mL、成分献血で300〜600 mLの採血をするので、献血と同じくらいの量の血液が必要になります。
このため貧血がある人や体重が軽い人は注意が必要です。受けられるかどうかは医師と相談しましょう。
ダウンタイムが短い
PRP注射は採血と注射を行う豊胸でメスを入れることはないので体への負担が少なく、ダウンタイムが短いこともメリットの1つです。数日は注入部の痛み・腫れ・赤みが生じることがありますが1週間以内にほとんど収まります。
また1~2週間程度は内出血が生じることがありますが、他の豊胸術と比べると範囲が狭いことが多く、ひどくはありません。入院をする必要はなく日帰りで施術が受けられるので、当日は自宅に帰ることができます。
また入浴は3日できませんが、シャワーのみは当日から可能なので、日常生活における制限も少ない治療方法です。
ダウンタイムをあまり気にせず、長い休みを取る必要もない治療なので受けやすい治療です。
副作用やアレルギーが少ない
PRP注射は自分の血液を使用しているため、体から拒絶されることは少なく副作用やアレルギーが起こることは少ないです。体質や体調によって起こることもありますが、他の治療よりは起こりにくく、安全性が高い治療であるといえます。
起こりうる副作用としては、注射で注入することによる赤み・腫れ・痛みがあります。この副作用は注射の副作用としては一般的なもので、よく出てしまうことがあるものなのでやむを得ない副作用です。
やわらかく自然な仕上がりになりやすい
PRP注射では、1カップ程度の自然なバストアップをすることができ、自分の体の中にある成長因子を使った肌再生による豊胸なので柔らかく不自然にはなりません。
シリコンを入れているわけではないので、乳がん検診なども受診できます。「検診を受けたいけど、豊胸していても受けられるのか」と気にする必要がありません。
脂肪幹細胞注入による豊胸の特徴
脂肪幹細胞注入による豊胸では、自分自身のお腹や太もも・お尻から少量の脂肪吸引を行い、その吸引した脂肪から幹細胞を取り出します。
この脂肪由来幹細胞を培養し、脂肪細胞と混ぜて注入することでバストアップすることが特徴です。脂肪幹細胞注入に使用する脂肪由来幹細胞をする方法としない方法がありますが、どちらも脂肪幹細胞を脂肪細胞と混ぜて注入するという豊胸術です。
自分の細胞を使用するので、拒絶反応は出ず比較的安全で副作用の少ない治療であることも特徴です。
自分の幹細胞や脂肪を採取して使用する
脂肪幹細胞注入では、自分のお腹や太もも・お尻など脂肪が不要な箇所から脂肪吸引を行いその脂肪から幹細胞を取り出して脂肪細胞と混ぜて注入します。
吸引する脂肪は少量でいいので、体の侵襲度は低く傷口は目立ちません。体のどの部分の脂肪でも使用することができるので、傷が気にならない箇所から吸引してもらうというのもいいでしょう。
このように脂肪幹細胞注入は自分の細胞を採取して使用するので、アレルギーや副作用はほぼなく安全な施術です。
幹細胞を培養させるものと非培養のものがある
取り出した幹細胞を培養して増やしてから使用する方法と、取り出して培養せずそのまま使う方法があります。
培養する方法は、脂肪吸入と豊胸手術で2回来院する必要がありますが、1回あたりは短く済み、多くの幹細胞を注入することができます。しかし、培養に4~6時間かかるので豊胸手術ができるまでに時間がかかります。
培養しない方法では来院は1回で済みますが、吸入する脂肪の量が多くなるため負担が大きく、1回の病院でも滞在時間が長く4~5時間はかかるでしょう。また痩せている人は特に幹細胞が少ないので培養する場合よりも効果が落ちてしまう可能性があります。
脂肪注入の定着率を上げるためには、幹細胞が多いほどいいといわれているのでしっかり効果を出すためには、培養して脂肪幹細胞を増やしてから注入した方がいいと考えられます。
なぜなら少し待つとしても定着率が上がれば、定着した脂肪は半永久的に存在するため、永続的にバストアップ効果を維持できるのです。
脂肪の生着率が高い
自分の脂肪を使用するため、通常の脂肪注入と比べて脂肪の生着率が高く、生着した脂肪は半永久的に残るため再注入を行う必要もないといわれています。
脂肪細胞のみの注入と比べるとおよそ5倍の生着率といわれていて、長期間バストアップした状態を維持することが可能です。
注入した脂肪幹細胞が体に定着して自分の脂肪細胞となるので、外から入れたものではなく自分の体で作り出した脂肪細胞と同じように考えられます。このため自分の体の変化に応じて定着した脂肪細胞も減ることがあります。
効果が長続きする
生着率が高いため、従来の脂肪注入のデメリットだった脂肪が体に吸収されてしまうことを改善したものが脂肪幹細胞注入です。このため、バストアップ効果が長続きするようになり、うまくいくと半永久的に残ることもあるほどです。
注入した脂肪幹細胞は3ヶ月くらいかけて定着し、自分の脂肪細胞となります。このため、加齢やダイエットにより体重や脂肪が落ちたときにはバストもそれに合わせて変化します。
このため、年老いて見た目が変化した場合も胸だけ大きくて不自然ということがなくなります。
自然な仕上がりになりやすい
注入された脂肪細胞と幹細胞は、自分の脂肪細胞となり生着します。このため、シリコンを入れたときのような不自然さはなく、もともと自分の胸だったように柔らかさや弾力・質感を保ってくれます。
自分の脂肪細胞となってくれるものなので、歳をとった時や痩せた時には胸も合わせて小さくなってくれて、違和感なく変化してくれるのです。
再生医療による豊胸の失敗例は?
再生医療で豊胸をしてみたいと思ったとき、失敗するとどうなるか、どのようなリスクがあるのか気になるでしょう。再生医療による豊胸ではどのような問題点があるのでしょうか。
いくつかの失敗例がありましたので、その原因と対策について解説します。
バストが大きくなりすぎてしまった
再生医療を利用した豊胸術では自然な仕上がりが特徴なので、大きくなりすぎてしまうということはほとんどないです。
しかし、自分の希望の大きさにならなかったり、思ったより大きくなってしまったと感じることはあるかもしれません。手術前のカウンセリングでしっかり自分の希望を伝えてそれに近づく施術をしてもらうようにしましょう。
バストアップしなかった
PRP注射は成長因子が働くことで脂肪細胞を増やし、肌再生を促すことでバストアップにつながります。しかしながら痩せている人や脂肪がつきにくい・大きくなりにくい人はあまり効果が感じられずバストアップしなかったと思うこともあるでしょう。
体質による効果の差があることは、この治療のデメリットといえます。 脂肪幹細胞注入では、脂肪幹細胞の数が重要となるので採れた量が少なかったり、培養で増えなかったりして細胞の数が少ないと思い通りにバストアップしないこともあるでしょう。
しこりができてしまった
特にPRP療法では、凝固作用を持つ血小板を凝縮して使用するのでしこりができてしまうことがあります。
注入量が多すぎるとしこりができやすくなったり、成分の濃度が低いと効果が得られませんが、高すぎるとしこりができやすくなってしまったりすることがあり注意が必要です。
また皮下脂肪が多い人は、しこりの原因となる脂肪幹細胞が多い傾向がありしこりができやすくなってしまいます。その人に合った量を注入することでしこりはできにくくなるので、信頼できる医師を見つけることが重要です。
脂肪幹細胞注入の場合は、しこりは生着しなかった脂肪細胞が変化したものなので、生着率が上がればしこりもできにくくなります。
左右差が出てしまった
豊胸術を受ける理由には、授乳や加齢などが原因のバストの左右差を改善するということもあります。このため左右差をなくすように施術することもできるのですが、失敗すると左右のバランスが悪くなってしまうこともあります。
PRP注射や脂肪幹細胞注入の量を間違えてしまったり、左右で脂肪細胞の量がもともと違っていたりすると思うような結果にならない場合もあるので注意が必要です。
再生医療による豊胸の安全性は?
再生医療による豊胸は自分の血液や脂肪細胞を使用するため、拒絶反応が起こりにくく副作用やアレルギーがほとんどないため安全性が高いです。
PRP法はメスを使わず、異物を体内に入れることもないので、効果が緩やかになくなっていったとしても将来的なメンテナンスが必要ということもありません。このため、従来の豊胸術と比べても極めて安全性の高い施術です。
幹細胞注入は、スプーン1杯程度の少量の脂肪を吸引をしますが傷口は小さく目立たない程度です。また培養する方法ではここで一旦帰宅でき、手術時間も短くなるので、体への負担を減らすことができます。
まとめ
今回の記事では、再生医療を利用した豊胸について、効果・PRP注射・脂肪幹細胞注入の解説とともにご紹介しました。
現在、豊胸に使われている再生医療はPRP注射と脂肪幹細胞注入がありどちらも自然な仕上がりで副作用・アレルギーも出にくく安全性が高いです。
メリットがあればデメリットもありますが、何か異物を入れるのではなく、自分の胸自体を大きくするような自然で安全なバストアップを求めている人には向いている治療方法です。
再生医療による豊胸が気になっている人ややってみようか悩んでいる人は、今回の記事を参考にしてみてください。
参考文献