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PRP療法でしこりが出た場合は?原因・対処法などを解説

PRP しこり

再生医療として注目されているPRP療法は、歯周外科治療・形成外科治療・美容外科治療・整形外科治療などでも活用されています。

特に美容外科や整形外科では、副作用や感染リスクを抑えられることから注目の治療方法ともいえるでしょう。

しかし、リスクは完全に回避できるとはいえません。「PRP療法を受けるとしこりができた」という話を耳にした人も多いのではないでしょうか。

本記事では、PRP療法でしこりが出た場合の原因・対処法について詳しく解説します。

PRP療法に興味がある、もしくはPRP療法を試してしこりが気になっている人はぜひ参考にしてください。

PRP療法のメリット・デメリット

注射

PRP療法とは何でしょうか?
PRP療法を簡単に説明すると、人間が本来持っている治癒能力・組織修復能力・再生能力をサポートして、最大限の力を引き出す治療方法です。自身の血液を約20cc採血し、特殊な技術を用いて血液中の血小板を抽出します。抽出した血小板を増殖させて約3~7倍に高濃縮した多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう)を治療部位に注入することで、自己治癒力を高めてケガ・病気・皮膚の状態改善を促す再生医療のひとつです。
治療の効果は確認されているものの、まだ研究段階にある治療法です。そのため、PRP療法を受けるには厚生労働省が認可している医療機関へ受診する必要があることに留意しておきましょう。
PRP療法は何科で受けられますか?
PRP療法は歯周外科・形成外科・美容外科・整形外科で治療を受けられます。先述しているとおり、厚生労働省に認可されている医療機関でのみ受けられる治療方法です。あらかじめPRP療法を受けられるか調べておくことをおすすめします。
PRP療法を受けるときは自費診療になりますか?
PRP療法は先進医療に該当する治療方法のため、費用は自己負担となります。治療する部位・回数・修復や再生の度合いによって金額が異なります。
例えば、PRP療法の活用例が多いスポーツ外傷での治療にかかる費用をみてみましょう。膝を損傷した場合にかかる費用は、26,400円+第二種再生医療実施料(13,200円)となります。PRP療法を受ける際は、治療スケジュールだけでなく、治療費も含めて医師と相談することが大切です。
PRP療法を受けるメリット・デメリットはありますか?
どの治療方法にもメリット・デメリットは存在します。もちろん、PRP療法も例外ではありません。PRP療法のメリットは何といっても副作用や感染リスクが低いことです。自身の血液を利用して治癒力を高めるため、アレルギー反応のリスクも低いことが挙げられます。ほかにも以下のようなメリットが挙げられるでしょう。

  • 日帰りで治療を受けられる
  • 年齢の上限制限がない
  • 治療痕が残りにくい
  • 何度でも治療を受けることができる
  • 長期的な効果持続が期待できる

採血と注射を用いた治療方法であるため、患者さんの体にかかる負担を軽減できます。続いて、デメリットについてもみていきましょう。PRP療法におけるデメリットは以下のとおりです。

  • 安定した効果が出にくいことがある
  • 患部への注入には痛みをともなうことがある
  • 機器の原材料に対するアレルギー反応が出ることがある
  • 血管損傷・血腫・神経損傷・傷の治癒遅延・採血にともなう感染症のリスクがある
  • 蜂巣炎・痛み・炎症・紅斑・あざ・腫れ・知覚異常が出ることがある
  • 血栓症を引き起こす可能性がある
  • 治療費用が高い傾向にある

PRP療法の効果には個人差があります。注射による痛み・熱感・内出血・腫れ・感染などが生じても一時的なことが多いです。もし、腫れや熱感がみられる場合には注射した部位を冷やしましょう。冷やしても効果がないまたはほかの症状もみられる場合には、速やかに医師へ相談することを心がけてください。

PRP療法が向かない人とはどのような人ですか?
PRP療法はすべての人に適用できる治療方法ではありません。PRP療法が向かない人は以下のとおりです。

  • 感染症の治療をしている人
  • 感染症の治療歴がある人
  • 血圧や脈が不安定な人
  • 血液疾患や血液に異常がある人

自身の血液を利用した治療方法であるため、血管や血液に関連する異常がある可能性が高い人はPRP療法を受けることが難しいでしょう。どうしてもPRP療法に関心がある人は、医師のカウンセリングや検査を受けることをおすすめします。

PRP療法でしこりが出た場合の原因や対処法

問診

PRP療法でしこりができる原因は何があげられますか?
ここからは多くの人が懸念点として挙げている「しこり」について解説します。まずPRP療法でしこりができる原因は、細胞の再生が強く引き起ったことによるものです。
特に美容外科で使用されるPRP療法は、成長因子(FGF)を放出させて細胞の修復とコラーゲンやエラスチンの産生を促す多血小板血漿を肌に浸透させることで、美しい肌に導きます。この成長因子は、線維芽細胞増殖因子と呼ばれるたんぱく質の一種です。
必要以上の成長因子を注入してしまうと、しこりができる傾向にあります。PRP療法は、しこりの発現が1%以下になるほど改良されています。しかし、目の下などの皮膚の薄い部位に注射する場合には、しこりができやすくなるため注意が必要です。
PRP療法を受けしこりが出た場合の対処法を教えてください。
PRP療法を受けてしこりが出た場合には、ケナコルト注射でしこりを改善できます。ケナコルト注射とは、ステロイドの一種である「トリアムシノロンアセトニド」をしこりに直接注射する治療方法です。
ケナコルト注射後、数日から数週間程で効果が現れます。しこりの対処方法はありますが、しこりができない量のPRP療法を受けることに留意しましょう。
しこりができた際の除去費用はどのくらいですか?
しこりができた際の除去費用は、初診料とケナコルト注射を含めて約1,000円になります。ただし、しこりを除去する医療機関によって費用は異なることに留意しましょう。約1,000円の除去費用は、保険適用で3割負担の目安となる金額です。

  • 保険が適用されるか
  • 除去費用はいくらか
  • 除去までの期間はどのくらいか

ケナコルト注射は月に1回までに設定されていることもあるため、治療を受ける際には上記の内容を医師と相談することをおすすめします。

PRP療法の安全性や心がけたいこと

医師

PRP療法は効果や安全性が確保された治療ですか?
PRP療法は先進医療に該当する治療方法です。そのため、効果や安全性については完全に確保されているわけではありません。
しかし、先進医療は安全性と有意性を確保するために一部の医療機関で治療を実施している医療方法です。いくつかの要件に該当すれば、保険が適用される可能性があります。さらに、PRP療法はさまざまな用途で活用されており、症状の改善率は94%と高い数値です。
副作用や感染症に関する報告も少ないことからリスクが低い治療方法であり、注目されている治療方法であるといえます。効果や安全性に関しても、安心できる治療方法ではありますが、不安な人はぜひ医師とカウンセリングしたうえで検討してください。
PRP療法を行うときに心がけたいことはありますか?
PRP療法は採血した血液の状態によって効果が決まるといっても過言ではありません。そのため、体調や血液の状態がよくない場合には、再度採血が必要となる傾向にあります。採血をスムーズに行えるよう、体調面や健康面には注意しましょう。
また、PRP療法後は1ヶ月後・3ヶ月後・6ヶ月後と必要に応じて経過観察を行います。体調や損傷部位の変化があれば医師に相談することが大切です。体調面はもちろん、医師と良好なコミュニケーションを心がけてください。

編集部まとめ

医師

PRP療法でしこりが出た場合の原因・対処法について詳しく解説しました。PRP療法は先進医療ですが、効果と安全性が高く注目されている治療方法であるといえます。

多くの人が心配している「しこり」に関しても、これまでの発症例からしこりの発現を1%以下に抑えるまでPRP療法は改善を重ねています。

しこりが発現しやすいとされている目などの皮膚が薄い部位に注射する場合には、注射する量に注意してください。

いくつかの注意点やメリット・デメリットを踏まえたうえで、医師と相談することを心がけましょう。PRP療法に興味がある、もしくはPRP療法を試してしこりが気になっている人の参考になれば幸いです。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

松澤 宗範医師(青山メディカルクリニック院長 慶応義塾大学病院形成外科)

2014年3月 近畿大学医学部医学科卒業 2014年4月 慶應義塾大学病院初期臨床研修医 2016年4月 慶應義塾大学病院形成外科入局 2016年10月 佐野厚生総合病院形成外科 2017年4月 横浜市立市民病院形成外科 2018年4月 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科 2018年10月 慶應義塾大学病院形成外科助教休職 2019年2月 銀座美容外科クリニック 分院長 2020年5月 青山メディカルクリニック 開業

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