注目のトピック

再生医療

PRP療法の適応疾患は?治療方法や効果・注意点について徹底解説!

PRP療法の適応疾患は?治療方法や効果・注意点について徹底解説!

PRPはどのような疾患が適応となるのでしょうか?
本記事では、PRPの適応疾患について以下の点を中心にご紹介します!

  • PRPについて
  • PRPの適応疾患
  • PRP治療後の注意点

PRPの適応疾患について理解するためにもご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

PRPについて

PRPについて

PRPの治療について教えてください
PRPは、自身の血液から血小板を取り出し、その血小板を濃縮した多血小板血漿を用いる再生医療の一つです。

PRPには成長因子が豊富に含まれており、これが組織の修復や再生を促します。 また、自身の血液を使用するため、拒絶反応やアレルギーのリスクが低いという特徴もあります。

再生医療と聞くと、iPS細胞などの難しい技術を連想するかもしれませんが、PRPはシンプルでありながら効果が期待できる治療法です。

例えば、けがをした際にできるかさぶたは、血小板の働きによるものです。PRPはこの自然治癒のメカニズムを利用し、治癒を促します。

さらにPRPは、関節の痛みやスポーツ障害の治療など、多岐にわたる効果が期待できるため、整形外科や美容医療など幅広い分野で活用されています。

PRPの治療はどのように行われますか?
PRPは、自身の血液を利用した再生医療で、具体的な手順は次のとおりです。

まず、患者さんから必要量の血液を採取します。採血量は医療機関によって異なりますが、20cc程度です。

次に、採取した血液を遠心分離機にかけて、血小板を濃縮した多血小板血漿(PRP)を抽出します。

その後、抽出したPRPを、患部に注入します。例えば、肉離れや腱炎の治療には約2cc、関節炎の治療には約4ccのPRPを注入します。

このとき、わざと小さな新しい傷を作ることで、体がその部位を再び怪我として認識するため、さらに自己治癒力を高められます。

PRPとAPSとは何が違いますか?
PRPとAPSは、どちらも患者さん自身の血液を利用した再生医療ですが、その目的と手法に違いがあります。

PRPは、血液から血小板を濃縮した多血小板血漿を利用します。PRPには成長因子が豊富に含まれており、これが組織の修復や再生を促します。

主に関節炎や腱、靭帯、筋肉の損傷の治療に使用され、自然治癒力を引き出すことを目的としています。

APSは、PRPをさらに特殊な過程で濃縮し、抗炎症性のサイトカインや関節を健康に保つ成長因子を高濃度で抽出した自己タンパク質溶液を使用します。

APSは炎症を抑える効果が強く、関節内における痛みや炎症の緩和を目的としています。 主に変形性膝関節症の治療に用いられ、関節内の炎症を引き起こすタンパク質の活動を抑制することで症状の改善が期待されます。

このように、PRPが組織の再生と修復に重点を置き、幅広い損傷や疾患に対応する一方で、APS療法は特化された抗炎症効果と関節保護に重点を置き、特定の関節疾患に対する治療法として位置づけられています。

いずれの治療法も、自身の血液を使用するため免疫反応のリスクが低いことが特徴です。患者さんの状態や治療の目的に応じて、治療法を選択することが重要です。

PRPの適応疾患

PRPの適応疾患

PRPの適応となる疾患にはどのようなものがありますか?
PRPは、さまざまな疾患や怪我の治療に用いられる再生医療の一つです。
なかでも整形外科や美容医療、歯科治療において広く適応されています。

整形外科では、変形性関節症(膝、足関節など)や関節炎、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、頸椎神経根症が主な適応疾患です。

また、スポーツによる損傷である、腱炎、靭帯損傷(肘、膝、足関節など)、肉離れ、膝蓋腱炎、アキレス腱炎、足底腱膜炎、肩腱板損傷、手関節TFCC損傷などもPRP療法の適応となります。

美容医療の分野では、血小板に含まれる成長因子が肌の修復や再生を促し、若返り効果が期待できるため肌再生治療にPRPが使用されます。

PRPは、骨や歯茎の再生を促し、インプラントの安定性を高めるため、歯科治療では、インプラント治療や骨造成治療にPRP療法が利用されています。

また、手術後の傷口の治癒を早めるため、海外では手術後の傷口治療にも使用されています。

スポーツ外傷にPRPを使用するメリットは何ですか?
PRPには成長因子が豊富に含まれており、これが損傷した組織の修復を促します。

なかでも関節の軟骨損傷や筋、腱の損傷に対して行われ、痛みの軽減や機能の回復が期待できます。また、PRPを注入することで、怪我からの早期復帰も期待できます。

さらに、PRP療法はWADA(国際アンチドーピング機構)によりドーピング対象外とされており、アスリートも使用できる点が魅力です。

変形性関節症に対してPRPはどのような効果が期待できますか?
PRPに含まれるサイトカインは炎症を抑える作用があり、関節内に注入することで慢性的な痛みの原因となる炎症を和らげます。

ほかにも、PRPに豊富に含まれる成長因子が軟骨細胞に働きかけ、軟骨組織の修復や再生を促します。これにより、軟骨のすり減りによる変形の進行を抑制し、関節機能の改善が期待できます。

PRP治療後の注意点

PRP治療後の注意点

PRP治療後の注意点を教えてください
PRP治療後は、いくつか注意する点があります。

まず、注射後3〜4日程度は細胞の活発な代謝が行われるため、腫れやかゆみ、赤みや痛みが出ることがありますが、これらの症状は自然に消失します。

しかし、痛みを感じる間に安静にし過ぎると、治療部位が硬くなり、長期的な痛みの原因になる可能性があります。したがって、治療直後から軽いストレッチや動かすためのトレーニングを行うことが重要です。

次に、翌日から浴槽に浸かれますが、治療後数日間は血流が良くなる活動を避けるべきです。具体的には、長時間の入浴、サウナ、運動、飲酒などが該当します。

これらの活動は治療部位の痛みを強くする可能性がありますが、痛みが強くなったとしても治療効果に差はありません。

また、PRPの効果には個人差があります。血小板に含まれる成長因子の割合は個人ごとに異なるため、その効果も一様ではありません。処置後の腫れや痛みも個人差があり、まったく症状が出ない人もいれば、強い痛みや腫れを感じる人もいます。

これらの症状は一過性であり、治療を行わなくても自然に改善しますが、まれに処置部位が感染することもあり、その場合は抗生物質による治療が必要となります。

最後に、PRPは現在の日本では多くの疾患に対して健康保険の適用がありません。そのため、治療費やリハビリテーションの費用は自費負担となることが多いようです。ただし、PRPは入院を必要としないため、手術に比べて経済的な負担が少ない場合もあります。

PRPの効果が実感できるまでどのくらいかかりますか?
PRP治療では、血小板を抽出し、その内部に含まれる成長因子が組織の炎症を改善し、修復を促します。

しかし、投与された血小板が成長因子を分泌し始めるまでには少し時間がかかるため、治療効果を実感するまでには2〜4週間程度の時間が必要とされています。

また、PRP療法の効果が現れるまでの時間は、治療箇所や内容によっても異なります。例えば、皮膚再生療法では2週間〜2ヵ月程度で効果が表れやすいですが、軟骨の修復や関節の炎症を抑える場合には約1〜3ヵ月の期間が必要となることがあります。

このように、PRP療法は即効性があるわけではなく、時間をかけて少しずつ効果を発揮する治療法です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでPRPの適応疾患についてお伝えしてきました。 PRPの適応疾患について要点をまとめると以下のとおりです。

  • PRPは、自身の血液から血小板を取り出し、その血小板を濃縮した多血小板血漿を用いる再生医療
  • PRPは整形外科や美容医療、歯科治療などさまざまな分野で適応されている
  • 痛みを感じる間に安静にし過ぎると、治療部位が硬くなり、長期的な痛みが続くこともあるので、治療直後から軽いストレッチや動かすためのトレーニングを行うことが重要

これらの情報が、少しでもPRPを検討している方々のお役に立てれば幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

京都府立医科大学医学部医学科 卒業 / のべ10年以上の美容皮膚科勤務を経て、現在はくみこクリニック北山院に勤務している。コロナ以前は、大阪医専にて、医療従事者の教育にも関わった経験がある。

記事をもっと見る

注目の記事

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-022-340