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PRP療法でもダウンタイムは必要?症状・治療の流れ・注意点もあわせて解説

PRP療法でもダウンタイムは必要?症状・治療の流れ・注意点もあわせて解説

再生医療の一種であるPRP療法は注射のみで行うため、体に大きな負担がかからないというメリットがあります。

しかし、負担がかからないとはいえ治療後にダウンタイムが存在するかどうかについては気になるところです。

仮にダウンタイムがあるとするならばどのようなもので、どのような対策が必要になってくるのでしょうか。

PRP療法の概要・メリット・デメリット・ダウンタイムの有無・その症状などについて解説していきます。

PRP療法について

施術後の人

PRP療法とはどのような治療ですか?
PRP療法は再生医療の一種で、多血小板血漿(PRP)を使用して行われるものです。血小板には組織を修復することができる成長因子が含まれています。けがをしたとき、かさぶたが自然に取れると皮膚が元どおりになっていることも成長因子の働きのひとつです。血小板が濃縮されている血漿には、より濃厚な成長因子が含まれています。この成長因子を患部に注入することで、損傷した組織の修復を促すのがPRP療法です。米大リーグの大谷翔平選手が肘の靭帯修復のためにPRP療法を受けたこともあり、療法自体の知名度は上がりつつあります。
PRP療法を受けるときの治療の流れを教えてください。
PRP療法は現時点では健康保険の適用外で患者さんの金銭的負担が大きいこともあり、まず治療効果があるかどうかの検討が行われます。効果があると判断されて治療開始となった場合、最初に行われるのは患者さんからの採血です。治療で使用されるPRPは、患者さん自身の血液を原料として作られるからです。次に、採取した患者さんの血液を遠心分離機にかけます。血液中には一定量のPRPが含まれていますが、遠心分離機によって濃縮を行うことが目的です。PRPが濃縮された血漿ができれば、後は治療が必要となる患部に注射器で注入を行うことになります。外科手術を行うようなことはありません。
PRP療法を受けるメリットを教えてください。
PRP療法のメリットのひとつは、自分の血液を使用するため拒否反応のリスクが小さいことです。臓器移植の場合、拒否反応への対処は重要なテーマのひとつです。シリコンバッグ埋め込みによる豊胸術でも、バッグの拒否反応による炎症のリスクはあります。PRP療法をはじめとする再生医療は自分の細胞を使用するため、拒否反応のリスクは基本的にないと考えてよいでしょう。治療が注射器による注入によって行われるため、体への負担が小さいこともメリットといえます。大谷選手が受けたトミー・ジョン手術は投手として復帰するまでに1年以上が必要となりますが、PRP治療の場合は長期のダウンタイムは生じません。治療後もすぐに帰宅可能で、入院などは必要ないのです。
PRP療法のデメリットを教えてください。
デメリットとして挙げられることが多いのは、経済的負担が大きいことです。PRP療法をはじめとする再生医療のほとんどは、健康保険の対象外となっています。つまり、医療費の全額を患者さんが負担しなければなりません。同レベルのコストがかかる医療行為であっても、患者さんは一部を支払うだけでよい保健医療と比較すると経済的負担はどうしても大きくなるのです。患者さんによって治療効果に差があることも、デメリットといえます。ある患者さんに目立った治療効果があったとしても、別の患者さんに同様の治療効果があるかどうかは未知数なのです。経済的負担が大きいだけに、思わしい治療効果がなかったときのショックは大きくなってしまいます。

PRP療法のダウンタイム

ニキビを気にする女性

PRP療法の治療後にダウンタイムは必要ですか?
PRP療法は注射のみで行うため負担は小さいですが、ダウンタイム自体は存在します。外科手術と比較して短いというだけであり、ダウンタイムがないというのは間違いです。ワクチン注射を行ってしばらくの間は、発熱などの副作用が出ていない場合でも注射をした部位に痛みが生じます。健康診断で行う採血の後でも止血までの時間が必要ですし、内出血が起きた場合には元どおりになるまでに時間がかかります。PRP療法の注射もこれと同じことで、ダウンタイムそのものは発生すると考えて間違いありません。ダウンタイムの期間はPRP治療を行う部位によって変わってきますが、いずれの場合も長期にわたって続くようなことはありません。
PRP療法でのダウンタイム時に起こりやすい症状を教えてください。
日本美容外科学会の美容医療診療指針では、しわ・たるみ改善のために行われるPRP療法の効果・合併症について取り上げられています。指針によると施術後のダウンタイムには以下のような症状があるものの、重大で持続的な副作用はないとしています。
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  • 皮膚の赤み
  • 浮腫
  • 痛み
  • 皮下出血
  • 皮膚の乾燥

これらの症状の改善までには1週間から2週間が必要です。一方、変形性膝関節症の症状改善のためにPRP治療を行った場合は施術後に痛みが強くなることがあります。ダウンタイムは1週間程度で、期間中は膝のクーリングや鎮痛剤の投与を行います。ダウンタイムの終了後に、普段どおりの生活・運動を始めることができるのです。いずれにしても、外科手術のように強めのダウンタイムの症状が出るようなことはありません。

PRP療法のダウンタイムの過ごし方

顔を気にする女性

PRP療法後のダウンタイム時の注意点はありますか?
皮膚科領域・整形外科領域ともPRP治療を行う場合に限らず、ダウンタイムの症状を可能な限り軽く抑えることは重要です。ダウンタイムの症状を悪化させないためには、医療機関の指示に従うことが重要となります。一例として、ダウンタイム中の痛みを抑えるために処方される薬剤の取り扱いが挙げられます。必ず処方された鎮痛薬のみを使用し、医療機関の指示にしたがって服用しなければなりません。処方された薬以外のものと併用することで、悪影響が出かねないことが理由です。薬に限らず、医療機関の指示に従うことは重要となります。医療機関の指示には必ず医学的な根拠があり、従わないこと自体に一定のリスクがあるのです。
PRP療法後のダウンタイムの過ごし方を教えてください。
施術を行った部位に、できるだけ刺激を与えないようにすることが重要となります。一例を挙げれば、顔のしわ・たるみを取るためにPRP療法を行った後に、マッサージなど刺激を与えるような行為は推奨されていません。顔に負担がかかるような表情を作るようなこともやめてください。必要以上に血行を良くしないため、飲酒や熱い風呂に入ることも禁忌となっているのです。また、注入を行った部位に感染が起きないようにする必要もあります。PRP注入を行った部位を濡らすと感染が起きるリスクがあるため、施術を行ってから一定時間は濡らさないようにする必要もあるのです。
PRP療法のダウンタイム時の症状で受診すべき目安を教えてください。
PRP療法のダウンタイムは長くても2週間程度で、1週間前後で症状が改善されていきます。つまり、施術後1週間が経過しても痛みが引かない場合には医療機関を受診すべきだといえるのです。施術を行った部位に、何らかの問題が起きている可能性があるからです。一例を挙げれば、感染症が起きているケースが考えられます。患部へのPRP注入は注射器によって行われますが、施術後の過ごし方や医療機関の技量によってはそこから細菌が侵入することが考えられるのです。PRP療法施術後のダウンタイムの過ごし方が重要なのは、症状が長引いて医療機関を受診しなければならなくなることを避けるためといえます。

編集部まとめ

医院の先生

PRP療法は外科手術などと比較すると体への負担は小さいですが、ダウンタイム自体は存在しているのです。

ダウンタイムの症状自体は重いものではありませんが、期間中の過ごし方が良くないと症状がいつまでたっても改善しないこともあり得ます。

ダウンタイムの症状を早期に改善したいと考えているのなら、期間中は医療機関の指示にしたがって生活することが必要です。

勝手なことをすると感染症などを起こす可能性がありますので、禁忌とされる行動は取らないなど注意していきましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

京都府立医科大学医学部医学科 卒業 / のべ10年以上の美容皮膚科勤務を経て、現在はくみこクリニック北山院に勤務している。コロナ以前は、大阪医専にて、医療従事者の教育にも関わった経験がある。

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