AGAの治療を検討されている方のなかには、サプリメントについても知りたい方がいるのではないでしょうか。果たしてAGAにサプリメントは効果があるのか。本記事では、まずAGAの症状と原因について説明したうえで、サプリメントとの関係について詳しく解説し、現在行われている治療法についても紹介しています。AGAの治療を検討されている方、薄毛に悩む方にも役に立つ内容となっていますので、ぜひ目を通してください。
AGAについて
AGAとはAndroGenetic Alopeciaの略称です。男性型脱毛症として知られており、日本人成人男性の脱毛症の多くがAGAといわれています。まずAGAについての基本を押さえましょう。AGAの症状、遺伝をはじめとした原因について、さらには性別や年齢との関係まで詳しく解説します。
- AGAとはどのような症状ですか?
- AGAは進行性の脱毛症で、徐々に薄毛や抜け毛の部位が広がっていきます。治療をしない限りその進行を食い止めることはできません。生え際と頭頂部のどちらか一方、または両方から薄くなることが特徴です。一方で、側頭部や後頭部の毛量は変わりません。遺伝の影響を受けやすく、早い時期に発症します。時間をかけて症状が徐々に進行するため、年齢が高くなるにつれ薄毛や抜け毛の範囲が広がり、目立つようになるでしょう。男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)が毛周期であるヘアサイクルを乱すことが原因といわれています。DHTにより毛髪の成長が阻害され、短く細くなることで、薄毛となり、そのまま脱毛してしまうのです。
- AGAは遺伝しますか?
- AGAは遺伝の影響を強く受けるといわれています。AGAの主な原因は男性ホルモンといわれており、男性ホルモンの分泌や働きが活発な体質が親から受け継がれるからです。そのため父親、母親に関係なく、一方がこうした体質を持っている場合に、AGAの発症のリスクは高くなるでしょう。また、父親よりも母親からの方が染色体の問題で影響されやすくなります。このように遺伝はAGAの危険因子とされていますが、必ずしもAGAになるわけではありません。日頃の生活習慣を見直したり、ストレスをためたりしないなどの対策で予防することは可能です。
- AGAは何が原因で発症するのか教えてください。
- AGAは男性ホルモンが影響して起こる脱毛症です。男性ホルモンであるテストステロンと還元酵素の5αリダクターゼが結合するとジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンに変換されます。さらにこのDHTがホルモン受容体であるアンドロゲンレセプターと結びつくことで、ヘアサイクルを乱します。AGAになると、ヘアサイクルが短くなり、毛髪が十分に成長しないまま脱毛してしまうため、薄毛が目立つようになるのです。さらに、短い周期が繰り返されることによって、一生分のヘアサイクルが通常よりも早く終わりを迎えることになり、毛根から毛が生えてこなくなるのです。
男性ホルモン以外にも、ストレスや睡眠不足などの生活習慣の乱れ、喫煙などが発症の原因となりえます。これは頭皮環境に悪影響を与えることによるものですので注意が必要です。
- AGAに性別や年齢は関係がありますか?
- AGAは男性特有の脱毛症のことをさします。女性にも脱毛症はありますが、原因が異なるため、別の症状に分類されます。年齢については、加齢とともに発症頻度も高くなる傾向があります。20代で約10%、30代で20%、40代で30%、50代以降で40%程度となっています。ただし、AGAに気付く時期には個人差があり、数は少ないですが、10代でも発症に気付くこともあります。
AGAへのサプリの有益性
近年はAGA対策用のサプリメントも出ています。ここでは、サプリメントの有益性について解説します。また、サプリメントを摂取する場合に、どのような成分が入っているものを選ぶとよいのか、摂取する際の注意点についても説明しますので、参考にしてください。
- AGA対策サプリは効果がありますか?
- 普段の食事から摂る栄養素が毛髪や頭皮の材料となっています。例えば、タンパク質は髪の毛の主成分となるケラチンの材料です。ただ、髪にとって必要な栄養素を普段の食事ですべて補うことは難しいでしょう。サプリメントは、普段の食事では不足しがちな栄養素を手軽に補うことができる便利なアイテムです。医薬品とは異なり、直接的にAGAによる薄毛や抜け毛を改善する効果はありませんが、サプリメントを摂取することで、髪の毛や頭皮に必要な栄養素が十分に届くようになれば、頭皮環境もよくなり、薄毛の予防や改善にもつながるでしょう。
- どのような成分が入っているサプリメントがおすすめですか?
- 薄毛で悩む方に積極的に摂取してほしい栄養素としてまず挙げられるのが、亜鉛です。亜鉛は、ミネラルの一つで、摂取したタンパク質を、髪の毛の主成分となるケラチンに変えるのを助けることが期待されています。日本人は亜鉛が不足しがちといわれているので、サプリメントで補うと良いでしょう。一方で、亜鉛の1日の摂取推奨量は成人男性で11mgとされています。過剰摂取は、銅欠乏、貧血、胃の不調など健康に悪い影響をもたらす可能性がありますので注意しましょう。また、ケラチンを構成する必須アミノ酸の一つである、リジンが配合されているものもおすすめです。リジンには丈夫な髪の毛への成長をサポートすることが期待されています。また、リジンのような必須アミノ酸は、体内で生成することができないため、食事やサプリメントで摂取します。さらに、ビタミン類も細胞の機能を活性化させる働きがあり、髪や頭皮の健康に必要な栄養素です。特にビタミンB群は細胞分裂を活性化させたり、新陳代謝を促したりすることも期待できます。ビタミンAは頭皮の乾燥予防によい影響をもたらし、ビタミンEには抗酸化作用があるので、頭皮環境を改善するのに役立つでしょう。その他、髪の毛や頭皮に良い影響を与えるものとして、リコピンやイソフラボンもあります。トマトなどに多く含まれるリコピンは強い抗酸化作用を持ち、血行促進効果も期待できます。大豆などに多く含まれているイソフラボンは抜け毛の原因となる還元酵素の抑制に役立つといわれています。
- AGA治療のためにサプリを摂取する際の注意点を教えてください
- サプリメントに記載されている用法・用量を守ることが大切です。規定量を超えて摂取したからといって、効果が高まるわけではありません。むしろ、体に悪影響となることがあります。必ず決められた量を守りましょう。飲み合わせにも注意が必要です。特に、持病などで医薬品を摂取している場合は、事前に医師や薬剤師に相談しましょう。薬によってはサプリメントの成分と相性が悪いものがあるからです。サプリメントはいつ飲んでも問題ありませんが、食後に摂取するとよいでしょう。食後は消化吸収が促進され、サプリメントの栄養素が吸収されやすいからです。
AGAへの治療法
現在AGAにはさまざまな治療法があり、一人ひとりの症状にあわせて適切な治療を選択します。ここでは一般的な投薬治療をはじめ、近年、注目を集めている再生治療についても紹介しますので、参考にしてください。
- AGAの治療法を教えてください
- AGAの治療では、皮膚科を受診のうえ、内服薬や外用薬といった投薬治療、薬剤を直接頭皮に注入する注入療法といった対症療法を受けます。内服薬では主なものに、フィナステリド内服薬やデュタステリド内服薬がありますが、どちらも5αリダクターゼを阻害する働きがあり、薄毛の進行を防ぐ効果が期待できます。外用薬では、ミノキシジル外用薬があり、発毛を促進する効果が期待できます。注入療法は、メソセラピーともいわれ、頭皮に薬剤を皮下注射する治療法です。このような投薬治療で効果が期待できない場合は、自分の健康な髪の毛をAGAの患部に移植する自毛植毛があります。
- PRP療法によるAGA治療について教えてください
- PRP療法とは自分自身の血液を利用した再生医療の一つです。例えば、指を切ったり、膝を擦りむいても、時間が経つにつれカサブタが出来て、自然に治った経験があると思います。再生医療とは、自分自身の細胞組織を用いて、このような、もともと人間が持つ再生する力を引き出し、治療に利用する医療技術をいいます。PRPとは多血小板血漿(けっしょう)をさし、PRP療法では自分自身の血液中の血小板から成長因子を多く含む液体を抽出し、頭皮に注入します。血小板には、傷ついた細胞を修復する働きがありますから、これにより、成長因子が頭皮の状態を改善し、育毛を促進させ、抜け毛を防ぐ効果が期待できます。また、この治療法では自分自身の血液を利用するため、アレルギー反応も少なく、内服の副作用に悩んでいる方におすすめの治療法といえます。
- 幹細胞培養上清療法によるAGA治療について教えてください
- 幹細胞には自己複製能力と分化能力という働きがあります。これらの働きを利用した治療法が幹細胞培養上清療法です。幹細胞の培養液から成長因子を高濃度で抽出した幹細胞培養上清液を頭皮に注入します。このなかに含まれる成長因子が傷ついた細胞を修復し再生させるほか、細胞の分化や増殖にも働きかけ、育毛、発毛することが期待できるのです。
編集部まとめ
AGAとサプリメントの関係から、現在行われているAGAの治療法までを解説しました。サプリメントは医薬品とは異なり直接的な効果はありませんが、普段の食事では不足しがちな髪にとって必要な栄養素を手軽に補うことができます。その一方で、摂取する際にはいくつかの点に気を付ける必要があります。このようにサプリメントは上手に利用することで、薄毛予防や改善をサポートしてくれるアイテムになります。
参考文献