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再生医療

再生医療は手指の関節にも効果がある?手指関節の症状への再生医療の治療法を解説!

再生医療は手指の関節にも効果がある?手指関節の症状への再生医療の治療法を解説!

指の関節が痛くて動かしにくい、物をつかむのがつらいと感じることはありませんか?
加齢や日常的な手の使いすぎが原因で、関節に痛みや変形が生じることがあります。こうした指の悩みに対する治療法のひとつとして近年より実用化されているのが再生医療です。
本記事では手指関節の再生医療について以下の点を中心にご紹介します。

  • 再生医療について
  • 手指関節の痛みと再生医療
  • 再生医療のメリット・デメリット

手指関節の再生医療について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

再生医療とは

再生医療とは

再生医療とはどのような医療ですか?
再生医療とは、失われた臓器や組織を再生し、根本的な治療を目指す医療技術です。
人間が本来持つ”再生する力”を活用し、細胞や組織の修復を促します。
人間の身体は約60兆個の細胞で構成され、すべての細胞は一つの受精卵から生じます。受精卵は細胞分裂を繰り返し、神経や筋肉、骨などに分化し、組織や臓器を形成します。
再生医療では、この細胞の成長能力を活用し、治療へ応用します。具体的な治療方法としては、患者さんの細胞を採取し、体外で培養・増殖させた後、損傷部位に移植する手法が挙げられます。
これにより、失われた組織の機能を回復させることが可能となります。再生医療にはiPS細胞や体性幹細胞が利用され、治療の選択肢が広がっています。
整形外科ではどのような再生医療が行われていますか?
整形外科では、従来の手術やリハビリに加え、再生医療が活用されるようになっています。再生医療は、従来の治療では難しい疾患に対する新たな選択肢となり、患者さんの身体への負担を軽減しながら組織の回復を促します。代表的な治療法の一つが”PRP(多血小板血漿)療法”です。これは患者さん自身の血液を採取し、血小板を濃縮した成分を患部に注射することで、炎症の抑制や組織再生を促す方法です。主にスポーツ外傷や変形性膝関節症などの治療に用いられ、手術と組み合わせることも可能とされています。

また、”自家培養軟骨移植術”も行われています。これは患者さん自身の軟骨細胞を採取し、体外で培養した後、欠損部位に移植する方法で、すでに保険適用されています。
さらに、滑膜由来の体性幹細胞を用いた半月板や軟骨の再生治療も研究が進められています。
このように、整形外科の再生医療は今後さらに発展し、患者さんの生活の質向上に貢献すると期待されています。

手指関節の痛みと再生医療

手指関節の痛みと再生医療

母指CM関節症について教えてください
母指CM関節症とは、親指の付け根にある母指CM関節に炎症が起こる疾患です。 親指は手のなかでも特に可動域が広く、物をつまむ・握るなどの重要な動作に関わるため、この関節に負担がかかりやすい特徴があります。この疾患の主な原因は、加齢や過度な使用による関節軟骨の摩耗です。関節を支える靭帯が緩んだり、骨同士がぶつかることで炎症が生じ、痛みが発生します。特に女性に多く見られ、初期には物をつまむ際や瓶のふたを開ける動作で痛みを感じることが特徴です。

進行すると、関節が腫れて親指の動きが制限されるほか、関節が変形し”白鳥の首”変形と呼ばれる特有の症状を呈することがあります。
また、母指が開きにくくなるなど、日常生活に支障をきたすこともあります。

治療は、安静や装具の使用、消炎鎮痛薬の服用などの保存療法が中心ですが、重症例では手術が検討されます。早期の適切なケアが重要であり、症状を感じたら速やかに整形外科を受診することがすすめられます。

ヘバーデン結節・ブシャール結節について教えてください
ヘバーデン結節とブシャール結節は、指の関節に変形を引き起こす疾患です。
ヘバーデン結節は指の第1関節、ブシャール結節は第2関節に発症する変形性関節症で、40代以降の女性に多く見られます。主な症状として、関節の腫れや痛み、こわばり、可動域の制限などが挙げられます。進行すると関節の変形が目立ち、日常生活の動作にも支障をきたします。リウマチと似た症状を呈するため、血液検査やレントゲンでの診断が必要です。

発症の原因は明確にはわかっていませんが、女性ホルモンの低下や関節の過度な使用、遺伝的要因が関与していると考えられています。更年期を迎える女性や、手を酷使する方に多く見られるのが特徴です。

治療法は確立されていませんが、痛みの軽減には消炎鎮痛薬や装具の使用、テーピングが有効とされています。関節に負担をかけない工夫をしながら、患者さんの症状に応じた適切なケアを行うことが大切です。

手指関節の痛みに対するPRP療法について教えてください
PRP療法(多血小板血漿療法)は、患者さん自身の血液から血小板を抽出し、関節や組織の修復を促す治療法です。血小板には組織の再生を助ける成分が含まれており、炎症の抑制や痛みの軽減が期待されます。手指関節の痛みに対するPRP療法は、特に変形性関節症やへバーデン結節・ブシャール結節の患者さんに有効とされています。
これらの疾患では関節軟骨がすり減り、炎症や変形が生じます。PRPを患部に注射することで、炎症を抑え、組織の修復を促進する効果が期待できます。

治療の流れは、まず患者さんから採血し、遠心分離器を用いて血小板を濃縮したPRPを抽出します。その後、患部に直接注射し、関節の自然治癒力を高めます。 手術を伴わないため、身体への負担が少なく、回復を促進できるのが特徴です。

手指関節の痛みに対するAPS療法について教えてください
APS療法(自己タンパク質溶液療法)は、PRPをさらに分離処理し、炎症を抑えるタンパク質や軟骨を保護する成長因子を高濃度に抽出した治療法です。変形性関節症に対して、炎症や痛みの改善、軟骨の変性抑制効果が期待されています。手指関節の痛みに対するAPS療法は、へバーデン結節やブシャール結節などの患者さんに有効とされ、関節の炎症を軽減し、進行を抑えることを目的としています。欧州では、APSを1回注入することで、2年以上にわたって痛みや関節機能の改善が持続したという結果もあります。

治療の流れは、まず患者さんの血液を採取し、専用の機器で炎症抑制タンパク質を高濃度に分離・抽出します。その後、患部へ直接注射し、自己治癒力を高めます。手術を伴わず、関節の負担を軽減できるため、安全性の高い治療法とされています。

このように、APS療法は、手指関節の痛みに対する再生医療の新たな選択肢の一つとなっています。

再生医療のメリット・デメリット

再生医療のメリット・デメリット

再生医療のメリットを教えてください
再生医療には、疾患の根本的な治療が期待できること、副作用や拒絶反応が少ないこと、身体への負担が軽いことなどのメリットがあります。第一に、再生医療は従来の対症療法とは異なり、病気や怪我で失われた組織を再生することで根本的な治療を目指します。例えば、変形性関節症の治療では、関節軟骨の再生を促すことで機能回復が期待できます。

次に、多くの再生医療では患者さん自身の細胞を培養して使用するため、他者の細胞による免疫拒絶反応が起こりにくく、安全性が高いのが特徴です。また、薬剤投与による副作用のリスクも低減されます。

さらに、外科手術と比較して身体的な負担が少ない点も利点です。再生医療では細胞の採取や注射などの低侵襲な方法で治療が行われるため、入院を必要とせず、日帰りで治療を受けることも可能とされています。

これらの特徴から、再生医療は従来の治療法では難しかった疾患への新たな選択肢となり、患者さんの生活の質の向上に貢献すると期待されています。

再生医療のデメリットを教えてください
再生医療にはメリットが多い一方で、いくつかのデメリットもあります。
主なものとして、費用が高額であること、効果が保証されないこと、治療を受けられる施設が限られていることが挙げられます。まず、再生医療は自由診療が多く、治療費が高額になりやすい点が課題です。細胞培養や高度な技術を要するため、数十万から数百万円かかることもあります。公的医療保険が適用される治療は限られており、経済的負担が大きくなる可能性があります。

また、効果には個人差があり、すべての患者さんに治療効果が得られるとは限りません。症状の程度や体質によっては、期待した効果が現れないこともあります。

さらに、再生医療は厚生労働省の認可を受けた医療機関でのみ提供されるため、治療を受けられる施設が限られています。特に地方では選択肢が少なく、通院が困難な場合もあります。
これらのデメリットを理解したうえで、患者さんに応じた治療法を慎重に選ぶことが大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで手指の再生医療についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。

  • 再生医療とは、人が本来持つ再生能力を活用し、失われた組織や臓器を回復させる医療技術であり、iPS細胞や体性幹細胞を用いた治療法が研究・実用化されている
  • 手指関節の痛みには加齢や過度な使用が関与しており、PRP療法やAPS療法などの再生医療が炎症や痛みの軽減、軟骨の再生を促す治療法として選択されている
  • 再生医療は根本的な治療や副作用の少なさが利点である一方、費用が高額で効果に個人差があり、治療を受けられる施設が限られる点が課題とされる

再生医療は、手術をせずに関節の回復を促し、痛みの軽減が期待できる治療法の一つです。
手の痛みが続くときは無理をせず、専門の医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。
再生医療を含め、快適な毎日を取り戻す方法を考えてみましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
松繁 治医師(新東京病院)

松繁 治医師(新東京病院)

岡山大学医学部卒業 / 現在は新東京病院勤務 / 専門は整形外科、脊椎外科

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