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アトピー性皮膚炎の幹細胞治療とは?治療の流れを解説します

アトピー性皮膚炎の幹細胞治療とは?治療の流れを解説します

アトピー性皮膚炎の悩みを抱える方々にとって、幹細胞治療は新たな希望の光となりつつあります。この治療法は、損傷した皮膚組織の修復を助け、炎症を抑えることで、アトピーの症状を根本から改善する可能性を秘めています。 本記事ではアトピー性皮膚炎の幹細胞治療について以下の点を中心にご紹介します。

  • アトピー性皮膚炎の概要
  • アトピー性皮膚炎の幹細胞治療
  • アトピー性皮膚炎の幹細胞治療におけるリスクと副作用

アトピー性皮膚炎の幹細胞治療について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は小児期に多く見られる病気ですか?
アトピー性皮膚炎は、小児期に多く見られる病気です。2歳未満の乳幼児期から学童期に発症することが多く、成長するにつれて症状が改善する傾向がありますが、成人まで再発を繰り返す場合もあります。

具体的には、乳児期には頬や頭、首周りに湿疹が現れやすく、幼児期から学童期には肘の内側や膝の裏側など関節部分に症状が現れます。

アトピー性皮膚炎の子どもたちは10%以上の割合で発症し、強いかゆみによる生活の質の低下が見られることもあります。乳幼児では食物アレルギーと関連が深く、皮膚症状の改善には包括的な対策が必要になります。

アトピー性皮膚炎は症状が良くなったり、悪化したりを繰り返しますか?
アトピー性皮膚炎は、症状が良くなったり悪化したりを繰り返すことが特徴です。湿疹とかゆみが繰り返し発生し、長期化しやすいのが厄介な点です。

アトピー性皮膚炎では、乾燥やストレス、汗などの外的因子により症状が悪化することが多いようです。また、季節の変わり目や花粉などの影響も受けやすいとされています。

かゆみを我慢できずに掻きむしることで皮膚のバリア機能が低下し、さらに悪化してしまう悪循環に陥ることが多いようです。

治療には抗アレルギー薬、ステロイド薬、免疫抑制薬などの薬物療法が用いられますが、長期使用による副作用の管理が必要で、治療が難航することもあります。

アトピー性皮膚炎の考えられる原因を教えてください
アトピー性皮膚炎の原因は複雑で多岐にわたります。
まず、遺伝的な要因が大きく関与しており、家族にアレルギー疾患の既往がある場合、発症リスクが高まります。

また、環境中に存在するダニやホコリ、食物残渣、さらには黄色ブドウ球菌などのアレルゲンが皮膚に接触すると炎症を引き起こす可能性があります。

アトピー性皮膚炎患者さんの多くは、皮膚のバリア機能が低下しているという特徴があります。防げるはずの外部刺激が皮膚内部に侵入しやすくなり、結果として炎症が起こりやすい状態になっています。

さらに、免疫系の過剰反応も重要な要因の一つです。サイトカイン(インターロイキン4や13など)が過剰に産生されることで、炎症やかゆみが誘発されます。

加えて、日常生活におけるさまざまな環境要因も症状に影響を与えます。例えば、汗をかいたり、皮膚が乾燥したり、ストレスにさらされたりすると、症状が悪化する可能性があります。

これらの要因が複雑に絡み合い、個人ごとに異なる形でアトピー性皮膚炎の症状を引き起こしていると考えられています。そのため、さまざまな要因を総合的に考慮したアプローチが必要とされています。

アトピー性皮膚炎の重症度は何段階に分けられますか?
アトピー性皮膚炎の重症度は5段階に分けられます。

症状が軽い状態は、皮膚が乾燥してカサカサしている程度です。
軽症では、炎症は少なく、乾燥とわずかな紅斑が見られます。
中等症では、紅斑や丘疹、掻痒が見られ、皮膚の一部が厚くなることがあります。
重症になると、炎症が強まり、皮膚が赤く腫れ、浸潤やびらんが見られます。
最重症では、これらの症状が体表面積の30%以上に広がり、強い炎症が続きます。

アトピー性皮膚炎の幹細胞治療

アトピー性皮膚炎の幹細胞治療

幹細胞治療でアトピー性皮膚炎の症状を軽減できるのでしょうか?

幹細胞治療はアトピー性皮膚炎の症状軽減に効果が期待できる治療法の一つです。幹細胞治療では、患者さん自身の脂肪由来幹細胞を使用し、静脈点滴によって体内に投与します。

幹細胞は血管やリンパ管を通じて体内を移動し、損傷した部位を修復および再生する働きを持ちます。また、幹細胞は抗炎症作用と免疫抑制作用を持つため、皮膚の炎症を抑え、かゆみを軽減する効果も期待できます。

幹細胞治療は、従来の抗アレルギー薬やステロイド薬よりも長期的な症状改善が見込まれます。しかし、効果には個人差があり、すべての患者さんに同様の効果が得られるわけではないため、治療を受ける際には医師との十分な相談が重要です。

幹細胞治療の流れを教えてください
アトピー性皮膚炎の幹細胞治療は、初めにカウンセリングを受け、症状や治療内容について医師と詳細に相談します。
次に、事前検査として採血が行われ、感染症やウィルスの有無を確認します。

検査結果に基づき治療が可能と判断された場合、腹部などから脂肪を採取し、脂肪から幹細胞を抽出し培養します。

4〜5週間程度の培養期間を経て、幹細胞が十分に増殖した後、点滴により静脈に投与されます。点滴は1時間半から2時間程度かかります。
治療後は定期的な予後検診が行われ、治療による変化や副作用の有無を確認します。

幹細胞治療にかかる費用を教えてください
アトピー性皮膚炎に対する幹細胞治療の費用は、医療機関によって異なりますが、高額な治療になります。典型的な料金の例として、1回の治療で150万円〜300万円以上かかることがあります。

費用には、初診時のカウンセリング、事前の血液検査、脂肪組織の採取、幹細胞の培養、投与、そして術後のフォローアップが含まれます。

複数回の治療を行う場合、2回目以降はやや割引された価格設定になることもありますが、それでも総額で300万円を超えることも珍しくありません。
重要な点は、この治療が自由診療であり、健康保険が適用されないことで、基本的に全額自己負担となります。

幹細胞治療のリスクと副作用

幹細胞治療のリスクと副作用

幹細胞治療を受けられない方もいますか?
アトピー性皮膚炎の幹細胞治療は、すべての患者さんに適用できるわけではありません。治療を受けられない方にはいくつかの基準があります。

まず、重い貧血のある方は、幹細胞の培養に必要な血液が十分に採取できないため、治療を受けられません。
また、悪性腫瘍がある方も、再生医療を受けられません。

加えて感染症の検査結果が陽性の場合や、未成年者も治療の対象外となります。さらに、治療を受けるためには一定の健康状態が求められ、適応基準を満たしていない場合には再生医療を受けられません。

そのため、幹細胞治療を希望する際には、事前に医師とのカウンセリングと検査が必要になります。

幹細胞治療にはどのような副作用がありますか?
アトピー性皮膚炎の幹細胞治療にはいくつかの副作用や合併症のリスクがあります。 まず、脂肪採取時には、術後感染や出血、内出血、皮膚の色素沈着、創部の疼痛や腫れが発生する可能性があります。

幹細胞の投与時には、注射部位の疼痛、発疹や発熱、かゆみなどの過敏症、注射部位の硬結や内出血が生じることがあります。

また、まれに重篤な副作用として、アナフィラキシー反応(急性アレルギー反応)や肺塞栓(注入された細胞による血管閉塞)があります。肺塞栓は深刻な症状を引き起こすことがあり、過去に国内で死亡例もあります。

これらの副作用や合併症のリスクがあるため、幹細胞治療を受ける際には医師と十分に相談し、リスクを理解したうえで治療を進めることが重要です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでアトピー性皮膚炎の幹細胞治療についてお伝えしてきました。アトピー性皮膚炎の幹細胞治療の要点をまとめると以下のとおりです。

  • アトピー性皮膚炎は湿疹とかゆみが繰り返し発生し長期化しやすい
  • アトピー性皮膚炎の幹細胞治療では患者さん自身の脂肪由来幹細胞を静脈点滴によって体内に投与する
  • アトピー性皮膚炎の幹細胞治療では、脂肪採取後の感染や出血や疼痛、幹細胞の投与時にアナフィラキシー反応や肺塞栓などの副作用や合併症のリスクがあるため、幹細胞治療を受ける際には医師と十分に相談しよう

幹細胞治療はアトピー性皮膚炎の未来を切り開く可能性を秘めています。この治療法により、患者さんの肌の苦痛が和らぎ、日常生活の質が向上することを願っています。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

山下 真理子医師(くみこクリニック京都駅前院)

京都府立医科大学医学部医学科 卒業 / のべ10年以上の美容皮膚科勤務を経て、現在はくみこクリニック北山院に勤務している。コロナ以前は、大阪医専にて、医療従事者の教育にも関わった経験がある。

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