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変形性膝関節症における運動療法の効果は?再生医療による治療法についても解説!

変形性膝関節症における運動療法の効果は?再生医療による治療法についても解説!

長い時間歩くと膝が痛い……とお悩みの方は少なくないのではないでしょうか? 変形性膝関節症は、膝の痛みや変形を引き起こし、日常生活に大きな影響を与える病気です。しかし、適切な治療と運動療法を行うことで症状を軽減し、生活の質を向上させることが可能です。この記事では、変形性膝関節症の基本情報から、セルフチェック方法、さまざまな治療法について詳しく解説します。特に再生医療と運動療法について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは 変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が徐々にすり減り(摩耗)、関節が変形してしまう慢性的な疾患です。この病気は、膝の痛みやこわばり、関節の変形を引き起こし、歩行や日常生活の動作に支障をきたします。高齢者によく見られますが、若い人でも発症することがあるため注意が必要です。ここでは、変形性膝関節症の症状と原因についてご紹介します。

変形性膝関節症の症状

変形性膝関節症は、進行度によって症状が異なります。初期段階では、膝の違和感や軽い痛みが主な症状です。進行すると、長時間の立位や歩行時、階段の上り下りで膝の痛みが強くなり、長時間歩くことができなくなります。 また、関節の炎症により膝が腫れ、朝起きたときや長時間同じ姿勢を保った後に、膝がこわばることがあります。膝を曲げたり伸ばしたりするときに関節がゴリゴリこすれる音がするようになり、さらに進行すると膝関節が変形し、O脚やX脚になってしまうのです。

変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症の原因はさまざまです。まず、加齢とともに関節軟骨が摩耗し、再生能力が低下するため、変形性膝関節症が発症しやすくなります。特に女性は、閉経後にエストロゲンというホルモンが低下します。エストロゲンの減少は関節保護作用が低下すると考えられています。また、肥満体型は体重が膝関節に大きな負担をかけるため、変形性膝関節症のリスクを高めます。遺伝的要因が影響することもあり、家族に変形性関節症の方がいる場合は発症率があがります。

変形性膝関節症のセルフチェック方法

変形性膝関節症のセルフチェック方法 変形性膝関節症かもしれないけど、病院に行く時間がないと思っている人はいませんか? 自宅で行えるセルフチェックは、病気の早期発見と早期治療に役立ちます。ここでは、膝の状態を確認する方法をご紹介します。チェック項目に該当する場合は、早めに専門医の診断を受けましょう。

痛みのチェック

膝を伸ばしたり曲げたりする動作で痛みが強くなるかを確認します。特に立ちあがりや長時間の歩行、階段の上り下りで痛みが増す場合は、膝関節に異常がある可能性が高いです。

腫れの確認

膝が腫れているか、膝周囲に炎症が見られるかをチェックします。膝を軽く触ってみて、腫れや痛みの強さを確認しましょう。患部が熱を持っている場合は、炎症が進行している可能性があります。腫れが長期間持続する際は、医師に相談することが重要です。

こわばりの有無

朝起きたときや長時間同じ姿勢を保った後に、膝がこわばるかどうかを確認します。朝起きた直後に膝が硬く、動かしにくいと感じる場合は要注意です。長時間座っていた後に立ち上がったとき、膝が硬くて動かしにくいときも同様に注意が必要です。

関節音の確認

動作時に膝から音がするか関節音の確認をします。膝を動かすときにカチカチやゴリゴリといった音がする場合、関節軟骨が摩耗している可能性が高いです。また、関節の摩耗が進んでいくと、音がする際に痛みを伴います。

膝の変形のチェック

膝が変形しているか、O脚やX脚になっていないかを確認します。O脚やX脚は、膝の関節にかかる力が偏っていることが原因で発生するため、鏡の前で自分の膝を観察し、左右対称であるか確認しましょう。家族や友人に膝の形を見てもらうのも有効です。また、立ったときに膝が内側や外側に傾いていないかのチェックも重要です。

変形性膝関節症の治療法

変形性膝関節症の治療 変形性膝関節症の治療法は、症状の進行度や患者さんの生活スタイルに応じて選択されます。ここでは、主な治療法である保存療法と外科手術について解説します。

保存療法

保存療法は、身体を傷つけず(非侵襲的)に症状を緩和する治療法です。薬物療法では、鎮痛剤や抗炎症薬を使用して、痛みや炎症を和らげます。代表的な薬物は、アセトアミノフェンやロキソニンです。 リハビリを行う運動療法も効果的です。リハビリでは、膝のサポーターや杖などを使用して、膝関節の負担を軽減する指導も行われます。温熱療法や冷却療法、電気刺激療法などを用いる物理療法も、痛みや炎症を和らげます。 また、膝への負担を軽減させるためには、適切な体重管理や栄養バランスのよい食事を心がけることも重要です。

外科手術

保存療法で効果が見られない人や症状が重度の人は、外科手術が検討されます。主な手術方法として、3つ選択肢があります。

1つ目の関節鏡視下手術は、関節鏡を用いて関節内の異常を診断・治療する方法です。この手術では、軟骨の損傷部分を除去したり、関節内を洗浄したりすることで、痛みの軽減や関節機能の改善が期待されます。侵襲が少なく、回復も早いことから、軽度から中等度の変形性膝関節症の患者さんに適しています。

2つ目の骨切り術は、膝の骨を切り正しい角度に修正することで、関節の負担を軽減する手術です。特に若年者や中年者に対して行われることがあり、骨の再生力が高い患者さんに適しています。この手術により、関節のアライメント(骨・関節の配列)を改善し、痛みを和らげると同時に、膝関節の機能を向上させることが可能です。

3つ目の人工関節置換術は損傷した関節を人工関節に置換する手術で、重度の変形性膝関節症患者さんに対して行われます。この手術は、痛みの劇的な軽減と関節機能の大幅な改善が期待されるため、患者さんにとってとても有効です。人工関節は高い耐久性を持ち、長期間にわたり良好な状態を維持できるため、日常生活の質を大きく向上させることができます。 これらの手術はそれぞれ特徴と適応があります。専門医とよく相談し、自分に適した治療法を選ぶことが大切です。

再生医療による変形性膝関節症の治療法

再生医療による変形性膝関節症の治療法 再生医療は、変形性膝関節症治療の新たな選択肢として注目されています。患者さん自身の細胞や血液を用いて、関節の修復や再生を促進する治療法です。ここでは、代表的な再生医療の方法を3つご紹介します。

PRP療法

PRP療法(Platelet-Rich Plasma療法)は、患者さん自身の血液から抽出した血小板を用いて、関節の修復を促進する治療法です。血小板は成長因子が豊富で、組織の修復や再生を促す効果があります。PRP療法の主な効果としては、痛みの軽減や膝関節の機能改善が期待できます。

APS療法

PS療法(Autologous Protein Solution療法)は、患者さん自身の血液から抗炎症作用を持つ成分を抽出し、関節に注入する治療法です。炎症を抑え、関節の痛みを軽減する効果があります。特に慢性的な炎症が原因で症状が悪化している場合に有効です。

ASC療法

ASC療法(Adipose-derived Stem Cell療法)は、患者さん自身の脂肪組織から抽出した幹細胞を用いて、関節の修復を図る治療法です。幹細胞は軟骨再生や組織修復を促進する能力があり、関節の機能改善が期待できます。これにより、痛みの軽減や運動能力の向上が図れます。

変形性膝関節症における運動療法の効果

運動療法は、変形性膝関節症の治療においてとても重要な役割を果たします。適切な運動を行うことで関節の機能を改善し、痛みを軽減する効果があるのです。ここでは、運動療法の具体的な効果を解説します。

膝の負担が軽減する

運動療法により筋力が強化されると、膝への負担が軽減します。特に大腿四頭筋の強化は、膝関節の安定性を高め、痛みを軽減する効果があります。筋肉が関節をしっかり支えることで、日常生活での動作が楽になるのです。

膝関節が安定する

運動療法により筋力が強化されると、膝への負担が軽減します。特に大腿四頭筋の強化は、膝関節の安定性を高め、痛みを軽減する効果があります。筋肉が関節をしっかり支えることで、日常生活での動作が楽になるのです。

膝関節の可動域が広がる

ストレッチや適度な運動により関節の可動域が広がり、動作が楽になります。関節の硬直を防ぎ、柔軟性を維持することで、日常生活での動作がスムーズになり、膝の痛みや違和感も軽減されます。

血行が促進される

運動により血行が促進され、関節や周囲の組織に十分な酸素と栄養が供給されます。これが関節の健康維持に影響し、痛みの軽減にもつながります。特に有酸素運動は全身の血行を改善し、関節の健康を保つのに効果的です。

手軽に始められる変形性膝関節症の運動療法

手軽に始められる変形性膝関節症の運動療法 変形性膝関節症の患者さんでも、手軽に始められる運動療法があります。ここでは、初心者でも取り組みやすい運動を紹介します。

ストレッチ

ストレッチは関節の柔軟性を保つために重要です。変形性膝関節症の人は痛みによって膝周りの筋肉が硬くなりやすい傾向があります。そのため、簡単なストレッチを日常生活に取り入れることで、膝の動きをスムーズにすることが期待できます。ストレッチは毎日取り組むことがおすすめです。 ハムストリングスのストレッチは、床に座り片足を前に伸ばして、つま先を手で軽く触れるようにします。太ももの裏側が伸びるのを感じながら、数秒間その姿勢を保持します。反対側も同様に行いましょう。 また、膝の痛みが強い場合は膝の柔軟性を高める運動がおすすめです。足を伸ばして踵(かかと)の下にタオルを置き、踵をゆっくり滑らせて膝をできる限り曲げます。その後、踵をゆっくり滑らせて膝を伸ばしましょう。これにより、膝関節の柔軟性が向上し、痛みの軽減につながります。

筋力トレーニング

筋力トレーニングは、大腿四頭筋やハムストリングスなどの筋力を強化することで、膝関節の負担を軽減します。週3回程度を目安に行いましょう。 まず、椅子に腰かけ、片方の足を水平に伸ばします。5〜10秒保持したら、足を下ろします。このとき、動作はゆっくりと行い、足首はしっかり曲げておくことがポイントです。 また、レッグレイズという運動もおすすめです。まず、床に仰向けに寝て、片足の膝を曲げます。次に、反対の足をまっすぐに伸ばしたままあげ、ゆっくりと戻す動作を繰り返します。これにより、腹筋と大腿四頭筋が鍛えられ、膝の安定性が向上します。

有酸素運動

有酸素運動は、膝に負担をかけず心肺機能を向上させることができます。膝に過度な負担をかけずに有酸素運動が行えるエアロバイクや水中運動などがおすすめです。歩行の際には姿勢を正し、ゆっくりとしたペースで行うことが重要です。 歩行中の痛みが強い場合は、プールでのウォーキングや軽い水中エクササイズが効果的です。水中では浮力が働くため、膝への負担が大幅に軽減され、関節の痛みを和らげる効果があります。水中エクササイズは、膝に優しく関節の動きをスムーズにするため、理想的な運動といえるでしょう。

変形性膝関節症の運動療法で注意すること

運動療法を行う際には、医師や理学療法士の指導のもと実施することが重要です。ご自身で行う場合、これから説明する注意点に留意して取り組みましょう。

無理のない範囲で行う

運動は無理のない範囲で行うことが重要です。痛みが強い場合は無理をせず、休息をとるようにしましょう。過度な運動は、関節に負担をかけ、症状を悪化させる可能性があります。

関節に衝撃がかからない運動を選ぶ

膝の関節に負担がかからない運動を選びましょう。水中での運動や、ゆっくり関節を動かす運動がおすすめです。これにより、関節へのダメージをできる限り抑えつつ、効果的に運動が行えます。

正座や深い屈曲を避ける

正座や深く膝を曲げる動作は、膝に大きな負担をかけるため避けるようにしましょう。これらの動作は、痛みや炎症を引き起こす可能性があります。膝を適度に伸ばす動作や、軽い曲げ伸ばしを意識して行いましょう。

編集部まとめ

変形性膝関節症は適切な治療と運動療法により、症状の進行を遅らせ、痛みを軽減することが可能です。再生医療の進歩により高度な治療法が選択肢に加わり、運動療法を組み合わせることで、生活の質を大きく向上させることができるようになりました。また、運動療法を行う際には無理をせず、自分の体調に合わせたペースで取り組むことが重要です。自分に合った治療法を選択し、より快適な日常生活を送りましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
眞鍋 憲正医師(UT Austin)

眞鍋 憲正医師(UT Austin)

信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了 / UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar / UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar

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